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『第25回青森県高等学校理数系課題研究発表会』が理工学部で開催されました。

 令和6年12月14日(土),理工学部を会場に『第25回青森県高等学校理数系課題研究発表会』が開催され,五所川原高校理数科1・2年生,三本木高校GSCクラス1・2年生,青森高校1・2年生,3校の校長及び関係教職員が来学しました。

 

 開会式後,数学・物理系,化学・地学系,生物・物理系の3分科会に分かれて高校生たちの研究成果の発表が行われ,理工学研究科・農学生命科学部から教員6名が助言者として参加しました。

【第1分科会(数学・物理系)】

「巡回セールスマン問題」/三本木
「災害時に使いやすくよく光るペットボトルランタンの条件」/五所川原
「RSA暗号について」/三本木
「新しい形状のうちわの探究」/五所川原
「プロジェクトK~目指せ安打製造機~」/三本木
「期待値の損得判定について」/五所川原
「サボニウス型風車の発電効率」/青森

助言者/(理工学部)/別宮 耕一/手塚 泰久

~担当助言者からのメッセージ/ 別宮 耕一 ~

 どのグループも,限られた時間,限られた設備の中,チームで生み出した研究成果を発表してくれました。成果を出す過程での頑張りや葛藤が発表の端々に感じられ胸が熱くなる思いでした。
 「巡回セールスマン問題」については,事前に資料を見てどんなことを発表してくれるのか楽しみにしていましたが,事情で当日参加できず残念でした。是非次の機会にお話を聞かせてください。
 「災害時に使いやすくよく光るペットボトルランタンの条件」については,様々な素材から作られたランタンの性能評価が定量的になされており,もう少し突き詰めれば画期的な成果が得られる予感がしました。期待しています。
 「RSA暗号について」では,高校生には難解と思われるフェルマーの小定理について,短時間で正確な解説を簡潔にしてくれました。見事でした。その上で定理の実用的な応用である暗号の原理と適切な例を紹介してくれました。この調子で研究の幅を広げていってください。
 「新しい形状のうちわの探究」の研究のきっかけを聞いたとき,確かに市中に出回っているうちわが同じ形であることに気づかされました。そして,着眼点と手に入るものを上手に組み合わせた実験設備にうならされました。より最適化された形のうちわがこのチームから生み出されることを期待しています。
 「プロジェクトK~目指せ安打製造機~」では,野球部に強くなってもらいたいという思いから出発して,スイングのフォームを改善するための解析方法を提案してくれました。それだけでも嬉しくなるような話ですが,高価な解析ツールで作成したかのような分析画像がスマートフォンのみを使って作成されたと聞き感動しました。アイデアに脱帽です。
 「期待値の損得判定について」では,期待値を求めるための画期的な公式を提案してくれました。この公式がいかに有用であるかを示すために,公式を利用して大学入試問題を次から次に解いていく様子は圧巻でした。それだけでなく,各種の宝くじの期待値が簡単に求まることも実演してくれました。説得力満点のプレゼンでした。次回作を大いに期待しています。
 「サボニウス型風車の発電効率」では,風車の最適な形状や運用方法について,膨大な実験結果を基に分析がなされていました。先輩から受け継いだ実験設備に改良を加え,研究が深化している様子を目の当たりにさせてもらいました。しかもその成果は段ボール箱や市販のサーキュレータなどを組み合わせた設備から生み出されたものとは思えない素晴らしいものでした。この文化が後輩たちに受け継がれ成果を生み出し続けることを期待しています。

 

 
 
 

【第2分科会(化学・地学系)】

「廃棄物からつくる石けん」/五所川原
「コーヒーの汚れの効率の良い落とし方」/三本木
「水中シャボン玉と界面活性剤」/青森
「ポリグルタミン酸による消火効率」/三本木
「津軽平野の温泉の地球化学的特徴とその活用」/五所川原
「堤川の水質改善に向けて」/青森

助言者/(理工学部)/鷺坂 将伸/北川 文彦

~担当助言者からのメッセージ/ 鷺坂 将伸 ~

 第二分科会では,廃棄油や温泉を有効利用するため,または地域の河川の安全性を検証するため,火災時の消火を効果的にするため,そして興味深い事象への大きな知的探求心から,様々な化学・地学に関連する研究が提案され,実施された成果が報告され,活発に討論されました。器具や装置,データなど限られている中で,可能な限り本質に迫ろうと調査,学習,思案,工夫を重ね,時には関連分野の科学者,企業・農家などの協力も得て,試行錯誤しながら研究する様子を見ることができました。高校生でもこれだけの研究ができるんだと強く感銘を受けるとともに,皆さんが将来素晴らしい研究者になることを容易に想像できる,とても素晴らしい発表会になりました。参加された高校生皆さんの今後の輝かしい活躍を楽しみにしています。

 

 
 
 

【第3分科会(生物・物理系)】

「Top of the 酵母」/五所川原
「称賛と罵声を浴びせることによる植物の成長への影響」/三本木
「クマムシの蘇生及び生態について」/青森
「食欲と色」/三本木
「木炭による水質浄化作用について」/五所川原
「PIXEを用いた土壌分析」/三本木

助言者/(農学生命科学部)/藤井 祥/遠藤 明

~担当助言者からのメッセージ/ 遠藤 明 ~

 この分野では生物系5件,物理系1件の発表があり,いずれの発表も洗練されたユニークなテーマであることに加え,皆さんの日ごろの研究に対する前向きな姿勢が当日の発表によく表れていたと思います。普段,皆さんは正課の授業の受講(予復習も含めて)をこなすだけでも大変だと思われますが,さらに課題研究で自らテーマを設定し,計画立案・調査・実験を重ねレポート等にまとめて発表するといったプラスαの時間を使って忙しい中でも研究に時間を費やしていることと思います。時間が足りなくて大変だと感じるかたもおられると思うのですが,おそらく多くの方は,実験時のワクワク感や結果を解析するときのドキドキ感を得ながら真理を探究していくことが大好きなので研究に打ち込めているのだと思うのです。これからもチームで一緒に研究している仲間とともに楽しんで研究を進めていってください。今後,皆さんが益々ご活躍されることを期待しています。

 

 
 
 
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