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『第24回青森県高等学校理数系課題研究発表会』が理工学部で開催されました。

 令和5年12月16日(土),理工学部を会場に『第24回青森県高等学校理数系課題研究発表会』が開催され,五所川原高校理数科1・2年生,弘前南高校1・2年生,三本木高校GSCクラス1・2年生,青森高校1・2年生,4校の校長及び関係教職員が来学しました。

 開会式後,数学・物理系,化学・地学・生物系,生物系の3分科会に分かれて高校生たちの研究成果の発表が行われ,理工学研究科・農学生命科学部から教員6名が助言者として参加しました。

【第1分科会(数学・物理系)】

「青森を活性化!」/五所川原
「シャープペンシルの芯の硬度の規則性」/三本木
「水中の音速と温度の関係」/五所川原
「=(math*art)~マス・アート~」/三本木
「メンタンピンは効率の良い役なのか~役と期待値について~」/五所川原
「サボニウス風車の発電効率について」/青森
「ポリグルタミン酸の粘度測定」/三本木
「自転車のカゴに加わる衝撃の緩和」/五所川原
「野球選手の身体的データと成績の関係」/三本木

助言者/(理工学部)/守 真太郎/宮永 崇史

~担当助言者からのメッセージ/ 宮永 崇史 ~

 本分野では数学系4件,物理系5件の発表がありました。それぞれユニークなテーマ設定で,地域振興に向けての戦略,ゲームに勝つ確率,サステナブル社会への挑戦,身近な現象の物理問題,など多岐にわたる研究発表が行われました。私は日頃から身近な数理・物理現象を研究テーマに選ぶことを学生に推奨しているので,本研究発表会は聞いていて実に楽しいものでした。どの発表も,テーマの目標選び,仮説の立て方がよくできていたと思います。実験手法や解析方法などは,費用と時間の関係上多少の限界があると感じられましたが,それでもできる限りの工夫を凝らし,精度の高い結果を導くように努力されていたと思います。そして,たとえ自分たちのたてた仮説に合わない結果が出た場合でも,もう一度目標に立ち帰り,得られた結果を別の視点から見直すことも有益だと思います。参加・発表された生徒諸君の,ますますの成長を祈っています。

【第2分科会(化学・地学・生物系)】

「消臭剤を作ろう!」/三本木
「水溶液の色の変化~ゲーミング反応~」/青森
「New Power プラスチック~強く手ごろでエコなプラスチック~」/五所川原
「耐えろ!ティッシュペーパー!」/三本木
「堤川の水質改善に向けて」/青森
「ケイ藻による河川の水質評価について」/弘前南

助言者/(理工学部)/関 貴一/松田 翔風

~担当助言者からのメッセージ/ 松田 翔風 ~

 いずれの発表も洗練された素晴らしいものばかりで感銘を受けました。身近なものや現象を化学の観点から深堀りし,そこから導かれた知見を堂々と発表しており,皆さんが真摯に研究に取り組まれてきたことを強く感じました。①興味深いテーマを探索する,②仮説を立てる,③実験方法を構築し実験する,④得られた実験結果を文献も参考にしながら考察する,⑤結論を導く,という一連の流れは研究を進めていく上での基本になります。今後皆さんが研究者として益々ご活躍することを期待しています。

【第3分科会(生物系)】

「魚類の色覚と生息域の関係」/青森
「~コケの役割~」/五所川原
「からだのつぼの不思議」/三本木
「培地中の栄養成分による納豆の抗カビ作用への影響について」/五所川原
「性格判断で見つけよう!My best friend.」/三本木
「スクロースと塩化ナトリウムがクマムシの蘇生に与える影響 並びに気象要素がクマムシの生態に与える影響について」/青森
「エコ&サステナブル~リボーンベジタブルで家計応援~」/五所川原
「ブナの樹幹流による土壌pHの変化について」/三本木

助言者/(農学生命科学部)/岩井 邦久/本多 和茂

~担当助言者からのメッセージ/ 岩井 邦久 ~

 発表や聴講した皆さん,お疲れ様でした。どの発表も分かりやすく,皆さんが一生懸命準備してきたことが伝わってきました。また,発表に対して参加者から質問や意見があったこと,そして発表者がそれに真摯に対応していたことに好感を持ちました。このやりとりは研究発表会の根幹をなすものであり,皆さんがそれを実践できていたことを嬉しく思います。科学において真理を見つけるためには,独りよがりではダメです。他者とのやりとりが皆さんを成長させますから,その姿勢は持ち続けてください。
 研究内容には高校生の問題意識と自由な発想を感じました。これも研究の着想には重要なことですので,何事にもハテナと思う科学の目を身につけてください。その一方で,手法には改善や工夫するべきものがありました。特に,生物系の実験はちょっとした条件の違いで結果を再現できないことが多々あります。それによって考察も覆ることがあるので,適切な条件をよく考えてから実験することが重要です。
 研究は,一朝一夕に成果が出るものではありません。先輩が残した課題を自分たちが解決するとそこから新たな課題が生まれ,それを後輩が研究してデータを積み重ねていく。そうやって一つのテーマの結論となるものが導き出されるのです。今後の活動を通し,科学する心を培ってくれることを期待しています。

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