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『第22回青森県高等学校理数系課題研究発表会』が理工学部で開催されました。

 令和3年12月11日(土),理工学部を会場に『第22回青森県高等学校理数系課題研究発表会』が開催され,五所川原高校理数科1・2年生,三本木高校SCクラス2年生,弘前南高校SSHクラス1・2年生,青森高校1・2年生,4校の校長及び関係教職員が来学しました。
 数学系,物理系,化学・地学系,生物系の4分科会において高校生たちの研究成果の発表が行われ,理工学研究科・農学生命科学部から教員8名が助言者として参加しました。

【第1分科会(数学系)】

「平面充填~みんなも一緒にマジ卍~」/三本木
「謎とき『數學端記』~田中佳政の量識萬物變數法と新制龍籌~」/弘前南
「校舎または街角で人と出会う確率について」/五所川原
「駐車場の配置と効率」/三本木
「「1=0.99999・・・・」は本当に正しいのか」/弘前南
「黄金長方形から作る図形の規則性」/五所川原
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助言者/(理工学部)/金 正道/江居 宏美

~担当助言者からのメッセージ/ 江居 宏美 ~

 どの発表内容も興味深く,楽しく聴かせていただきました。この研究発表会に向けて,各自の研究テーマに真摯に取り組まれてきた姿を感じました。身近な問題を数学的に解くためにモデル化する,分からないことがあれば文献調査を行う,研究手法や過程に問題点があれば随時修正するなど,研究をするための基本が詰まっているように思いました。また,研究をさらに発展させた次なるテーマを挙げているグループもありました。今回の研究発表で“終わり”ではなく,研究者としての“始まり”であることを期待しています。
 先生方におかれましては,ある時は研究統率者として,ある時は控えめに生徒を見守りながらご指導されてきたことと思います。すばらしい研究発表会となったことに,感謝します。

【第2分科会(物理系)】

「竹とんぼの滞空時間と諸条件の因果関係の考察」/五所川原
「効果的な核廃棄について」/三本木
「お茶の葉のパラドックスについて」/青森
「ダンボールを用いた衝撃軽減構造の研究」/五所川原
「最強のビニールハウス」/三本木
「ガンマスカウトを用いた放射線量の測定」/弘前南
「電波と遮蔽物の関係」/五所川原
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助言者/(理工学部)/御領 潤/齊藤 玄敏

~担当助言者からのメッセージ/ 齊藤 玄敏 ~

 生徒の皆さんの熱意とまじめさが伝わってくる発表会でした。また,指導を担当された先生が過大に知恵を授けることなく,生徒の皆さんの発案と行動に重きを置き,正しい方向に導かれている様子が好印象でした。質疑応答が活発になると,さらに良い発表会になると思います。
 研究を通して生徒の皆さんに身に付けていただきたいことは,①わからない問題に出会ったときに,どのようにアプローチしたらよいか(問題解決の方法論)と,②実験対象を深く観察する習慣です。①は理系の研究に限らず様々な場面で役立ちます。②は観察で終らず,対象が持つ情報に気付くことが大切です。センスと経験が必要です。今から始めましょう。

【第3分科会(化学・地学系)】

「流星群の裸眼観測と電波観測について」/弘前南
「割れにくいシャボン玉を作る」/三本木
「ウニの初期発生と溶存イオンの因果関係」/青森
「りんご果汁を用いたバイオエタノールの生成方法」/弘前南
「錆取りについて」/三本木
「界面活性剤について」/五所川原
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助言者/(理工学部)/鷺坂 将伸/萩原 正規

~担当助言者からのメッセージ/ 萩原 正規 ~

 今回いずれの発表においても,高校生研究者の苦労や努力がうかがえるものであり楽しく発表成果を聞くことができました。環境問題を意識した研究テーマも複数あり,皆さんの意識の高さを感じました。いずれの研究もしっかりと仮説を立て,それに取り組む姿勢がうかがえましたが,同時に実験設備の限界から,本当に調べたいことが十分に解き明かせないというもどかしさも伝わってきました。少しでも大学の設備を利用するなどの機会があれば,もっと刺激的な研究成果が得られるのではないかと感じました。
全体の講評では,皆さんが苦労して得た成果を聴衆に理解してもらうための資料作成の重要性についてコメントしましたが,来年度以降の発表に参考になってくれることを期待しています。

【第4分科会(生物系)】

「クマムシ類における光走性の検証」/青森
「プラナリアの食と自切について」/弘前南
「生ゴミからつくるコンポストの研究」/五所川原
「水素水ともやし」/三本木
「魚類の色覚について」/青森
「可食部以外の抗菌活性」/弘前南
「そこにeyeはあるんか♡」/三本木
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助言者/(農学生命科学部)/横山 仁/津田 治敏

~担当助言者からのメッセージ/ 横山 仁 ~

 身近にいる生物,食品,生ごみ,あるいは学校の生徒を対象にして思いもかけない視点からのテーマを扱っていて,時間を忘れて発表に聴き入ることができました。スライドが美しく分かりやすくできているのに驚くと共に,座長役も各演題に対する質疑応答も高校生自身できちんと行っている姿に感銘を受けました。これに対して助言者として私がしたコメントは,実験の十分な例数を確保すること,対照実験(コントロール)を取ること,他の研究者が同じ実験を再現できるように実験条件の記録をきちんと残すこと,などが大半でした。これらは当たり前のように見えて実際に行うのは意外に難しく,プロの研究者でもおろそかにしがちなポイントです。心の片隅に留めつつ,楽しみながら研究をする気持ちをいつまでも持ち続けて欲しいと思います。

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