いきあたりばったり読書日記 (仮題) (2006 年版)

ジャンルは著しく偏っています。主として以下のように分類できそうです。 There are counter hits, thank you. (scince 2000-Feb-07)
Venus of Milos

ハワイ幽霊城の謎 : はやみねかおる : 講談社青い鳥文庫

名探偵夢水清志郎事件ノートのハワイ番外編。何故か過去の名探偵夢水清志郎左右衛門 のエピソードとパラレルに話は進む。金田ファーストという人物が, じつは昔の 名探偵らしいところが, 番外編ならでは。

2006-12-24 記


黄金比はすべてを美しくするか ? : マリオ・リヴィオ : 早川書房

最も謎めいた「比率」をめぐる数学物語

2006-12-08 記


光と物質のふしぎな理論 : R.P.ファインマン : 岩波書店

ファインマンといえば, 量子電磁力学(QED)と経路積分なわけだが, そういう話がやさしく説明されている。 しかし ! やさしいだけあって, 光の振る舞いの量子論的な説明が主題のようだ。 (普通の)量子力学と比べて, どこがどうちがうのか ? という疑問には, 同じ問題をあつかっていないので良く分からなかった。 また, 光の振る舞いを経路積分のことだろうなと想像させる言葉で説明していて, QED と経路積分は不可分なモノなのかなぁとも疑問に思った。

2006-11-24 記


ダンテ・クラブ : マシュー・パール : 新潮社

南北戦争後のボストンで, ダンテの地獄篇の英訳をすすめる文豪たちと, その地獄篇になぞらえた連続殺人事件。 登場人物が, 事件にあたふたとしているのは, まあ探偵じゃないからしかたないか。

2006-11-12 記


ケプラー予想 : ジョージ・P・スピーロ : 新潮社

六法最密格子または面心立法格子が, 同じ大きさの球による最も密な充填構造である ことは, 化学者 (または物理学者) には良く知られたことである。 しかしこれを数学的にきちんと証明することは, 難問だった, ということらしい。 まず本書を読んで驚いたのは, 最密構造は前述の二つだけではなく, 無数にあると いう事。そして三次元接吻数問題として, 1個の周りに12個を配置するのに, 六方最密充填構造以外にも五角アンチプリズム構造があるということ。 証明の部分が付録として末尾にまとめられているが, 本文中に取り込んでもよかったの ではないか, 少なくとも章末ごとにまとめるていどにしておいてほしかった。

2006-11-12 記


ガブガブの本 : ヒュー・ロフティング : 国書刊行会

『ドリトル先生』番外篇なわけだが, 豚のガブガブによる「食べ物語」。 井伏鱒二の訳ならどうなったかとか, 原語の英語の言葉遊びがどうなのかとか, ほのぼのわくわくするわけですヨこれが。

2006-10-28 記


聖なる血 : トマス・F・モンテルオーニ : 扶桑社ミステリー

ブラム・ストーカー賞受賞作という事で, どんな吸血鬼話かと期待(誤解?)して しまっていたのだけど, 話は全く違って, キリストの復活を現代的に ネタにしたもの。亜米利加の基督教国さ加減もうかがえて, 興味深かった。

2006-10-28 記


ほとんど無害 : D.アダムス : 河出文庫

ナンセンスギャグが一杯だったはずなんだけど, 難しいですねぇ。 ま, 人生ってそんなものか。てな感じでした。

2006-10-09


シャーロック・ホームズの失われた事件簿 : ケン・グリーンウォルド : 原書房

伝説のラジオドラマのノベライズ。 でもモリアーティとの出会いとか, その後のからみとか, ストーリー間に 関連があったりして, よくできてる。おもしろい。 また最後に, ホームズの不死性などにも言及されてるし (笑)。

2006-10-06 記


短篇集 シャーロック・ホームズのSF大冒険 上下 : マイク・レズニック&マーティン ・H・グリーンバーグ 編 : 河出文庫

SFまたはファンタジーの要素があって, ホームズが (どんな形態であれ) 登場すれば良い , という事だそうだ。 過去・現在・未来・死後と分類されたうちの, 過去の部でファンタジー系が多かった。 もっと SF 色が強いことを期待していたのだけど, 残念。 下の幽霊相手の方が, 出来が良い気がした。
既訳があっても, これまでに出てる SF 系パロアンソロジーをまとめて読みたいっ ! 二冊とも出版してくれっ !! とここで言ってみよう。

2006-10-06 記


シャーロック・ホームズ ベーカー街の幽霊 : ジョン・L・ブリーン 他 : 原書房

アンソロジー・シリーズ ! イギリスと幽霊とは切っても切り放せないけど, 「幽霊まで相手にしちゃいられない」のだそうで, 結局どうよ ? てなわけで, うまく料理されてます。

2006-10-06 記


シャーロック・ホームズ ワトスンの災厄 : アン・ペリー 他 : 原書房

パロディ集の第四弾 ! 十九世紀末の大彗星接近にからむ事件, 「小惑星の力学」の著者である若き学者との 邂逅とか, スイスへの休暇旅行をとりやめてハイランド(スコットランド高地)での 公にされることのなかった語られなかった事件とか, はたまたワトソンが ストランド誌に送った手紙の形式で語るホームズ誕生秘話とかが面白かった。

2006-09-10 記


地球帝国秘密諜報員 : ポール・アンダーソン : ハヤカワ文庫SF

古典的SFスペオペと言って良いでしょう。 とはいっても, 壮大なアクションよりは, 口八丁のスパイ物。

2006-09-10 記


陰摩羅鬼の瑕 : 京極夏彦 : 講談社ノベルス

今回は, 儒教でした。 ていうか, 連続殺人事件の犯人と大まかな動機は, だいたい途中で見えた。 でも今回の場面設定は, ちょっとやりすぎじゃないかというほどに, 特異ですね。

2006-09-01 記


火星縦断 : ジェフリー・A・ランディス : 早川文庫SF

わけあって読みかけだったのだけど, 読了。 最新の科学知識と緻密さを持って, 直球ど真ん中の SF っていう感じ。 テンポもよくて, おもしろいっ !!

2006-08-20


百器徒然袋 -- 風 : 京極夏彦 : 講談社ノベルス

榎木津礼二郎が関わる事件。 残念ながら(?), 「五徳猫」「雲外鏡」「面霊気」などの妖怪は 後から取って付けたよう。 ま, 面白かったからいいけど。

2006-08-20


さいごの戦い : C.S.ルイス作/瀬田貞二訳 : 岩波書店

魔術師のおい : C.S.ルイス作/瀬田貞二訳 : 岩波書店

馬と少年 : C.S.ルイス作/瀬田貞二訳 : 岩波書店

銀のいす : C.S.ルイス作/瀬田貞二訳 : 岩波書店

朝びらき丸 東の海へ : C.S.ルイス作/瀬田貞二訳 : 岩波書店

カスピアン王子のつのぶえ : C.S.ルイス作/瀬田貞二訳 : 岩波書店

ライオンと魔女 : C.S.ルイス作/瀬田貞二訳 : 岩波書店

フルカラー版イラストによる「ナルニア国物語」。 いちおう独立したお話×7 なので, ひとつづつは簡単に読めちゃう。 第一巻の解説にもあるけど, キリスト教色がときどき出てきて, 最終巻はハルマゲドンと最後の審判かと思っちゃう。 で, 列車事故だけは, なんだかなぁっていう感じでした。

2006-08-20 記


魔術師エベネザムと詩を詠む悪魔 : クレイグ・ショー・ガードナー : 早川文庫FT

あんまり抱腹絶倒でもなかったんだけど, スラップスティック・コメディーな ファンタジーの第二弾。

2006-07-24 記


さようなら、いままで魚をありがとう : ダグラス・アダムス : 河出文庫

「銀河ヒッチハイク・ガイド」三部作の第四作目登場 ! 破壊されたはずの地球が「人類救済キャンペーン」で救われたのか ? イルカはどこへ行ったのか ? 被造物への神の最後のメッセージとは何か ? ナンセンス・ギャグ大爆発 !?

2006-07-15 記


魔術師エベネザムと不肖の弟子 : クレイグ・ショー・ガードナー : 早川文庫FT

抱腹絶倒か?スラップスティック・コメディーなファンタジー

2006-07-15 記


シェイクスピア贋作事件 : パトリシア・ピアス : 白水社

副題に「ウィリアム・ヘンリー・アイアランドの数奇な人生」とある。 現実にいた「シェイクスピア文書」の贋作者のドキュメントタッチの評伝。 シェイクスピアの正体をうんぬんする説もあるくらいだから, 古今東西, 真作贋作論争もあったことだろう。 その中でも, 著名人も巻き込んで支持派懐疑派に別れた論争の, 問題の贋作を少年が作成して, 一時は多くの人々をして真作と信じせしめた というのだから, 驚きだ。 あえて一言でまとめると, 人は自分の信じたいものを信じる, ということか。

2006-06-18


ダーティペアの大征服 : 高千穂遥 : 早川書房

ごぞんじ, ケイ & ユリ のコンビが, 剣と魔法の世界で大暴れ。 「充分に発達したテクノロジーは魔法と区別がつかない」の法則を地で行く世界だ。 ていうか, 一冊読んで, ここまでがプロローグだったりするって, どいうことよっ !!

2006-05-29 記


宇宙クリケット大戦争 : ダグラス・アダムス : 河出文庫

例の「銀河ヒッチハイク・ガイド」のシリーズ第三巻。 絶版になっていた幻の作品 (?) が, 続々と新訳で出版されるのは嬉しい。 内容は......うむう, ハチャメチャで支離滅裂。 ていうか, もともとそういうナンセンス・コメディーなんだから, いいのか (笑)。

2006-05-12 記


コプラシウム : ウィル・マッカーシイ : 早川文庫SF

ネタはバリバリのはーどえすえふなんだけど, アレンジのせいで冒険活劇巨編に なってる。SF 小物が魔法のように出てくる世界だけど, 今回の鍵はファクスと 呼ばれる物質転送機。転送の過程で情報の複製とか保存とか修正ができてしまう。 応用編として, (工業) 製品の製造装置, 人の怪我や病気の治療装置という 使い方が面白いかも。

2006-04-30 記


夢幻紳士【冒険活劇篇1】: 高橋葉介 : ハヤカワコミック文庫


夢幻紳士【逢魔篇】: 高橋葉介 : 早川書房

マンガなんですけど, 夢幻魔実也くんの表と裏の顔がいっぺんに楽しめる! なお「逢」は二点しんにょう。

2006-04-30 記


野村ノート : 野村克也 : 小学館

爽やかな田尾がクビになって, 野村がイーグルスの監督になって, ちょっと悪人のイメージが付いてしまった。 で, キャンプの時は毎日ミーティングと報道されてたけど, その「野村ノート」かとおもった。 まあ, 一般向には野球の細かい技とかテクニックとかを書いても しょうがないからかなぁ。

2006-04-30 記


ダイロンの聖少女 : 高千穂遥 : ソノラマ文庫

クラッシャージョウの新作。めずらしく (?) 依頼者がまとも, って そういう評価もどうかと思うゾ。 でも残念ながら, 昨今の世間から言って, 新しさに欠けるかな。

2006-04-30 記


プルトニウム・ブロンド : ジョン・ザコーアー&ローレンス・ゲイネム :

地球最後の私立探偵によるユーモア☆ハードボイルド SF なんだそうだが, 一番面白いのは相棒のコンピュータだと思う。 現代のマスコミの(事件)報道についての皮肉も利いてる。 話のノリは C 調なんだけど, 表紙のマンガはちと違うような ...

2006-04-30 記


こちら南極 ただいまマイナス60度 : 中山由美 : 草子社

南極越冬した日記, asahi.com でホワイトメールとして連載されていたもののまとめ。 実は当時結構楽しみにしていてチェックしてました。 でも本にまとめるときに, 少し (たくさん ?) 削ぎ落とした分があるようで, そこんところが残念だったかも。 おまけに, 朝日新聞から出版されないところも, 大人のジジョウ (?)

2006-04-30 記


個人情報、保護魔法! : ロバート・アスプリン&ジョディ・リン・ナイ : 早川文庫FT

表紙だけ何故か LotR なんだけど, 中身は前回の続編でオウズが一応の主役。 普段の彼にしてみれば, 今回はちょっとヌケてるところが多かったかな。 ていうか, 前回からの一応の新シリーズだけど, いずれも情報収集の面で不足がちで, 読んでてちょっと不満だったかも。旧友という新キャラが続々と登場。

2006-04-30 記


功名が辻 : 司馬遼太郎 : 文春文庫

某局のテレビドラマでやってるみたいですが (笑), ずいぶんと脚色してるなと。 おかげで読んでても千代は仲間由紀恵ちゃんがしゃべってたけど, 一豊は上川隆也では なかった。一豊はもっと愚図で魯鈍で冴えない感じに書かれてる。 かかわり合ったのが信長・秀吉・家康なので, そっちの話も出てくるから, 純粋に千代と一豊だけの話じゃなく, 千代と一豊から見た天下人という面での ストーリー展開もあり, その意味では水増しなのか得したのか。 関が原のあと土佐に封じられて入国してからは, 人が変わったみたいでダメね。 ていうか, 秀吉の与力・家臣としてつかえていたときに, 力でなく諜略で他国を 攻め落とし, あるいは味方に取り込んでいった技を見ていただろうに, それを新たな知行地での地元の勢力を取り込むための策としてに生かせない なんてねぇ......

2006-03-21 記


AΩ (アルファ・オメガ) 超空想科学怪奇譚: 小林泰三 : 角川ホラー文庫

SF 関係で何だか高く評価されていたような気がするのに, ホラー文庫 ? だったのかと ちょっと不審に思ったけど, 読んでみたらなるほどスプラッタとも言えるな, と。 敵を追い掛けてきた宇宙人が飛行機事故を起こして, 人間と融合して共生関係になり, その敵と戦うために超人に変身し......まるでウルトラマンがベムラーを追って 地球にやってきたのと重なるなあと。でもそのあとが, 敵がキリスト教史感に 染まった変なグループに取り付いたせいで, 黙示録の顕現した世界になるかと おもえば, キメラ的どろどろぐちゃぐちゃのスプラッタになったかとおもえば, 純愛だったり, なかなか忙しい。

2006-03-21 記


絵の教室 : 安野光雅 : 中公新書

情感のある風景画のような絵の絵本だけじゃなく, だまし絵的な楽しい絵の絵本も たくさん出している著者の, その自分の絵に対する思いというか, ちょっと違うかな, そんなものをつづったと思われる授業のテキスト。

2006-03-21 記


99.9% は仮説 : 竹内薫 : 光文社新書

世の中の仮説でできているという著者の主張は, そりゃそうなんだけど, でもそれは科学哲学とか科学史の素養のある人にとってはアタリマエ。 でもおおかたのニッポン人には「仮説」という言葉は, その「確からしさ」との 組で考える訓練ができていないと思われるので, また「前提・論理・結論」という 構造を把握して分離して考える訓練ができていないと思われるから, 科学とオカルトや似非科学を同列にされてしまいそうで, ヤだな。

2006-03-21 記


数学的思考法 : 芳沢光雄 : 講談社現代新書

副題が「説明力を鍛えるヒント」なわけだが, そっちの方が一般受け しそうではあるが, 「○○力」という題名が流行ってるから, 嫌ったのかな。 というのは余談として, 数学というと数値計算を連想する人には, 日常的に使われている論理的な説明というのも数学が日常で役に立つ例 なんだよと訴えたい。

2006-03-21 記


新しい生物学の教科書 : 池田清彦 : 新潮文庫

現代の生物学の到達点を各項目ごとにやさしく解説。 高校の生物の教科書でその事項がどのように記述されているかも 参照・批判しつつ話を進めている。 ていうか, そういう企画の雑誌連載だったわけだが。 細かい事項, 特に生化学方面では, 最近新しい発見があったような気もするが ... あと, 著者のよって立つ立場「構造主義生物学」について, 主流ではないとのことでその記述は控え目になっているが, 端緒に現れるその考え方はとても興味深かった。

2006-02-01


大学授業の病理 FD批判 : 宇佐美寛 : 東信堂


大学の授業 : 宇佐美寛 : 東信堂

歯切れ良く軽快で明快な語り口もあって, ぐいぐいと引き付けられた。 また具体的な実行例を伴って展開されている主張には, おおいに共感を覚えた。 引用・具体例・代案をきっちりやると, 文系でも論理的な話ができるんだと, 失礼ながら感激したという面もある。 というわけで, たとえ文系と理系の違いがあっても, というか違いなんて無く, 少しでも本書の要素を自分の場面に取り入れたいと, 強く思えてきた。 などと印象批評なんかしていたら, 宇佐美先生に叱られちゃうね。

2006-02-19 記


博士の愛した数式 : 小川洋子 : 新潮文庫

新春に映画公開されたので, 書店でも予告編とか特報のビデオが流れてたし, 帯に写真もついてる。 (今となってはなかなか良い役者の) 寺尾あきらと深津絵里が出演してるらしい。 読んでいてもそのイメージが頭から離れずにいた。よかった。 巷ではセカチューとかリットルナミダとかが流行ってるらしいが, 絶対的な不幸・難病の登場人物を前に泣けるのが良いらしい。 その意味では, アイドル路線じゃないけど短期記憶に障碍のある数学の博士は悲しい。 でも家政婦の一人称で語られる物語は, それを補ってあまりある愛情と 優しさがあふれていて, 映画の配役のイメージも重なってくる。 あなた, タダの家政婦じゃないね。

2006-02-19 記


大魔術師対 10 人の女怪 ! : ロバート・アスプリン&ジョディ・リン・ナイ : ハヤカワ文庫FT

日本ではポツリポツリと翻訳が出てるので気付きにくいが, シリーズの仕切り直しスタート編らしい。 ストーリーとしては, やたらと腰の低いヒツジさんたちがでてくるのだが, それよりもなによりも, 偏った情報というか乏しい情報を元に どんどん道を踏み外していくスキーヴくんたちが, 読んでて歯痒くて イライラさせられた。残念。

2006-02-19 記


畑村式「わかる」技術 : 畑村洋太郎 : 講談社現代新書

まずタイトルからして, 「わかる」ということに, 技術として他人に伝えることが できる技術的なことがあるとは思えなかったので, 出版されたときにはスルーしてた。 だって「わかる」って, 人の心のある状態でしょ。どうしたらその状態に 至ることができるかっていうのは, 人により場合により千差万別だと思っていた。 基本的な知識を積み上げ, 問題となっている新しく身につけた事項との 関連性を考え, 全体の中に論理的に位置づけ, 後の使用に供する, ということ。 どこに着目して他との関連性をつけるかという方法に, 一般則がないのは自明だね。 でもそういう事って, これまでに色々なことを学んできたときに, その知識を 自分のものとして身につけるために, だれでもがやっている自然な過程だと思ってた。 しかし最近, モノゴトを全く理解しない・理解できない・理解しようとしない人種が 存在することに, そこはかとなく気付いてしまったので (なおこの場合の「理解」とは, 頑固で説得に応じないというときに用いられる 「理解してもらえない」などの意味ではない), そういう向きにはこんな本も良いのかもしれない。 でも末尾の, 分かるための記録と, 手帳日記は蛇足の感があった。

2006-02-01


夜更けのエントロピー : ダン・シモンズ : 河出書房新社

短編集なんだけど, 何と言うか, 乾いたホラーっていうのかな, そんな感じ。

2006-01-29


吾輩はシャーロック・ホームズである : 柳広司 : 小学館

K. ナツメと倫敦塔が, ポイントのひとつなんだけど, 何かそういう題名の 作品があったような気がする。 そして, あの女に関する人物とか, 語りのワトソンが, 本当はドイルなんじゃ ないかと思わせたり, マニア向けの色々なネタも登場。

2006-01-29


パディントンのクリスマス : マイケル・ボンド : 福音館

あいかわらずのハチャメチャぶりです。それは良いんだけど, 成長がないなぁ。

2006-01-21 記


竜とイルカたち : アン・マキャフリイ : 早川文庫SF

パーンの竜騎士 (9)。 糸胞の根元である, 赤の星の軌道を変えてしまうという大胆な計画の, 前作の時期のサイドストーリーとも言える。 知性を持つイルカもまた, 入植されていたのだと。 イルカたちと人間との交流の復活が語られる。で, 子離れしない母親ってやーね。

2006-01-21 記


物理定数と SI 単位 : 佐藤文隆 : 岩波書店

岩波講座, 物理の世界, ものを見るとらえる。 ちょっと期待ハズレだったかも。 電磁気の単位系を系数の取り方で整理してみせたのは, なるほどと思ったけど, あいにく電磁気学の素養に不足があって ...

2006-01-21 記


ストリンガーの沈黙 : 林譲治 : 早川書房

SF シリーズ, J コレクション。「ウロボロスの波動」の続編に相当。 前作でマイクロブラックホールをとりまくリングだった構造物は, 今回はダイソン球に発展して, 太陽系にエネルギーを供給している。 その AADD と地球艦隊との武力衝突 (!) かと物語が盛り上がる一方で, 太陽系辺境の観測施設では未知の知性体とファーストコンタクト (?!)。 話題盛りだくさんで楽しめた。もちろん科学考証もしっかりできている風にみえるし。

2006-01-21 記


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