いきあたりばったり読書日記 (仮題) (2001 年版)

旧「最近読んだ本で面白かったもの」を改題してみました。 ジャンルは著しく偏っています。主として以下のように分類できそうです。 There are counter hits, thank you. (scince 2000-Feb-07)
Venus of Milos

大学サバイバル : 吉沢由紀子 : 集英社新書

一般論としてはそうなのかなーと思うところが無きにしもあらずだが, また逆に, 一括りにして言えるほど大ざっぱな話でもないのになー, と。 昨今の大学改革論を見ていると, 大学とは本来何をする所なのかということと, 一般社会 (マスコミや行政 ? を含む) が大学に要求していることに 大きな解離があるように, 特に理系学部にいる自分には見えてもどかしい。

2001-12-22


なっとくする量子化学 : 中田宗隆 : 講談社

読書というわけではないが ... 気楽に読めてそこそこ面白かった。 「なっとく」シリーズは中途半端で物足りないものもあったが, これは違うね。

2001-12-05


フェルマーの最終定理 : サイモン=シン : 新潮社

暗号解読 に, この著者の前作として興味深いものとの 紹介があった。*そのとおり* だった。 数学の問題がこんなに面白いドラマになるなんて ...
物理・化学の問題をもっと面白くしなくちゃ

2001-12-04


野望としての教養 : 浅羽通明 : 時事通信社

講義の録音を元にしただけあって, 語り口調で比較的読みやすい。 教養とは何か ? こんな講義だったら確かに面白いかも。

2001-12-01


理系のための英語ライディング上達法 : 倉橋保美 : 講談社ブルーバックス

英語に限らないんだけど, 「テクニカル・ライティング」の重要性や威力がわかった。 もちろん本書もその技術をフルに生かして作成されていると見た。

2001-11-23


不思議宇宙のトムキンス : ジョージ=ガモフ/ラッセル=スタナード : 白揚社

ガモフの「不思議の国」や「原子の国」のトムキンスの現代的アップデートだそうだ。 そー言えば昔読んだことがある気がする。 内容について言えば, 平凡なトムキンスが主人公に設定されているので, ちまたの多くの読み物に比べてちょっと驚き度が低いかな。 あと, さいごの素粒子物理学の部分は説明的になってしまって 空想の国が無かったのが残念。 (この辺は ルディ=ラッカー の SF におもしろいのがあったけどなんだったっけ) さいごに, イラストのトムキンス氏に共感を覚える人は少ないのではないかな。

2001-11-23


暗号解読 : サイモン=シン : 新潮社

最近の研究成果をふまえて, エニグマの解読譚・公開鍵暗号・量子暗号まで 取り上げられていて, おもしろく読めた。

2001-11-14, (またまたまとめて記載)


陰陽師 瘤取り清明: 夢枕貘 : 文藝春秋

なんか, 流行ってるらしい。 瘤取り爺さんの昔話を清明に絡めたアイデアなのね。

2001-11-14, (またまたまとめて記載)


東大生はバカになったか : 立花隆 : 文藝春秋

知的亡国論+現代教養論
前者に関して: 身の回りの大学生さんを見ていると, 知識の有無よりも, むしろ「考える力」が無くなってきていると思う。
後者に関して: college と graduate *school* との歴史的関係は, 知らなかった。 そういうわけで医学部は school of medicine と称しているのか。

2001-11-14, (またまたまとめて記載)


安部清明・怪 : 谷恒生 : 光文社

書店で見つけたときは, まだやるの ? って感じだったけど, 短編集で, 道長の時代ではあっても また違う雰囲気のものに仕上がってる。
こちらも参照

2001-11-06 (貯まってたのを一度に記載)


聖竜師の誓い (上・下) : 久美沙織 :

ドラゴンファームは大団円ってことです。
はじめに戻る

2001-11-06 (貯まってたのを一度に記載)


日本の科学者最前線 : 読売新聞科学部 : 中央公論新社 (中公新書)

野依先生 ノーベル賞とっちゃいましたねー。

2001-11-06 (貯まってたのを一度に記載)


マグル式 ハリー・ポッター 魔法の読み解き方 : 藤城真澄 & ホグワーツ魔術研究所 : 日本文芸社

今後の展開予想というか, ハリーとヴォルデモートとの関係の推理が鋭い ! ハリーの世界を楽しむ一冊。

2001-11-06 (貯まってたのを一度に記載)


巨大望遠鏡時代 : 野本陽代 : 岩波書店

over 8 m 級の天体望遠鏡の製作にまつわるエピソード。なかなか楽しめた。 ハイテク技術の内容にもう少し踏み込んで, また技術開発の苦労にまつわる エピソードももっと。 あとがきにある当初の計画の技術者の本ができるのに期待しよう。 2001-10-22


鞭打たれる星 : フランク=ハーバート : 創元SF文庫

ドサディ実験星 : フランク=ハーバート : 創元SF文庫

ジャンプドアとシリーズ名がうたれた二冊。 日常的な感覚から掛け離れたメンタリティや日常の外挿から掛け離れた状況は, 久々に重厚な SF を読んだなって感じ。 そういえば最近の SF って, 道具立ては空想科学だけど登場人物たちの 行動パターンは現代のわれわれのそれをなぞっているので, なじみやすくて違和感がなかったんだね。
重厚なのはハーバートの作風のせいもあるのかもしれないが, その感じを日本語で出している翻訳もエライ。 だって一巻のカレバンの論理/発言なんて何度読んでも分かりにくく, きっとこれは原文でもそういう雰囲気を出しているのだろうが, それって翻訳者泣かせだろうに。 などというコミュニケーション問題もテーマになってる。 そうは言っても, そもそもの *サボ局* という設定がそこはかとなく ユーモアを漂わせているぞ。

2001-10-18


NAKATA --- 中田英寿 イタリア戦記 : ステーファノ=ボルドリーニ : 朝日新聞社

冒頭に引用されている中田の言葉が, 彼の行動原理をすべて物語っている。 そしてその通りに実行し成果を上げていることに敬意を表する。

2001-10-13


ぎりぎり合格への論文マニュアル : 山内志朗 : 平凡社新書

なかなかに愉快な指南書。「論文とは何か」とか「書く段取り」などは これまであまり明示的には言われてこなかったことじゃないかな。

2001-10-13


FOCUS (フォーカス) スクープの裏側 : フォーカス編集部 編 : 新潮社

先頃休刊となってしまった写真週刊紙の ``フォーカス''。 取材の苦労から, 今だから言える話から, 取材方法などについて時代の先駆者となった記事から, その取材現場からの裏話をつづる。

2001-10-09


竜の挑戦 : アン=マキャフリイ : 早川文庫SF

パーンの竜騎士 (8)。邦訳ではずいぶんと間が空いてしまったかな。 さて今回は, 竜騎士たちや竪琴師の師補たちやらのオールスター総出演。 宇宙を越えてパーンに植民して来た時代の科学技術は復活するのか ? パーンの糸月包問題に究極の解決は訪れるのか ? 主要な登場人物の命運はいかに ?? といったところで事態は急転回。 ストーリーは大きな展開を見せるのだが登場人物はこれまで通りの人たちなので, パーンの暮らしぶりを生き生きと伝える人間描写 ... というわけにはいかない。 ちょっとマンネリかな (続編はあるのか ??)。

2001-09-xx


「2001 年宇宙の旅」講義 : 巽孝之 : 平凡社新書

ロボット 21 世紀 : 瀬名秀明 : 文春新書

ロボットだって恋をする : 築地達郎+京都経済新聞社取材班 : 中公新書ラクレ

21 世紀は遥か未来と思えた 1968 年に公開された *あの映画* を, その後の科学技術の発展をふまえた今日の視点から読み解く。 そーか, モノリスはコンピュータだったのかぁ。 このように, 今後もまだまだ何度も何度も読み解かれ直すと 予想されるとは, ``2001: Space Odessay'' がいかに人々の想像力を かきたてる傑作であるかの証明でもある。

後者二つは, ホンダの P2, P3, ASIMO や SONY の AIBO などに端を発し, その他いろいろな最近の (研究) 動向を報告し, 今後を展望する。 曰く「アトム誕生まであと 2 年」!!
(注: アトム誕生は April 7, 2003 の予定)

2001-09-02


こたつ 1 こたつとともだち : あまのよしたか : 講談社

こたつ 2 こたつの1しゅうかん : あまのよしたか : 講談社

キャラがかわいくていろあざやかなのと, *絵本* としての出来がいいこととは 必ずしも一致しないということか。残念。 (あ, もちろん標準以上のレベルには達しています, 念のため。)

2001-09-02


幻の動物とその生息地 : ニュート=スキャマンダー : 静山社

クィディッチ今昔 : ケニルワージー=ウィスプ : 静山社

ホグワーツ校指定教科書がマグル向けにも発売されました !

2001-09-02


冷たい密室と博士たち : 森博嗣 : 講談社ノベルス

解説によると, 登場人物の信条・メンタリティ・世界観が理解できずに, 作品をけなす人もいるらしい。 しかしボクにとっては非常になじみのある, わかりやすい, むしろ型通りのステレオタイプであって, 面白い。 なおここで ``型通り'' という意味は, 予想を越えた斬新で奇抜な考えが出てくるが, 良く考えるとちゃんと論理が通っているような, そういう発想である。 ワクにはまらないという分類にきっちりと属している。

そういう意味で, 動機は一般に受け入れられやすいモノに 堕ちてしまったのが惜しまれる。 (内容についてのコメントに戻れてよかった)

2001-09-02


すべてが F になる : 森博嗣 : 講談社ノベルス

世間では「理系」とか「本格」とか言われているようだが, そんなこと全然関係なく, 楽しめましたね。 他に例を見ない登場人物とは言えるかもしれないけど, でもこのへん (と, 自分の回りを指す) では普通の感覚で, かえっておもしろかったけど。 ええと, トリックについては, 「あり得ないものを取り除けば, 残りが いかに奇妙であっても, それが真実である (by S.H. (たぶん))」との言葉を贈ろう。

2001-08-17


物性の話 : 小出昭一郎 : 東京図書

物質による光の吸収と分散の話のところで, いきなり積分計算が 出てきたのにはとまどった。それほど難しい式をほとんど用いないで 話を進めてきたのに。 超伝導とマイスナー効果のところも, 説明が少し込み入っている感じ。 でも総じてほどほどに良くまとまっていますね。

2001-08-17


復讐の女艦長 : デイヴィッド=ウェーバー : 早川文庫SF

<紅の勇者オナー・ハリントン 4> ふむふむ, (以前書いたと思うが) 確に宇宙のホーンブロワーものの雰囲気が強い。

2001-08-17


封印サイトは詩的私的手記: 森博嗣 : 幻冬舎

1999 年分の日記からうかがえる考え方や発想法がおもしろい。

2001-08-06


陰陽宮安倍晴明 (9): 谷恒生 : 小学館文庫

天皇も代替わりし, 道長も引退して次の世代に道を譲ったし, 一応完結ということで触れておく。 清明の活躍といっても伝奇譚としてはネタが限られているし, 道長らとからむにしても敵はすぐにネタ切れするし ... けっきょくこれって, 同じパターンの話の繰り返しだったような気がする。

2001-08-06


妖怪小説 百鬼夜行 -- 陰 : 京極夏彦 : 講談社ノベルス

探偵小説 百器徒然袋 -- 雨 : 京極夏彦 : 講談社ノベルス

前者は, これまでの京極堂シリーズの外伝的・インターミッション的な掌編集。 主要登場人物の感情的・妖怪的な背景を描写している。 本編の途中にカットバック的に挿入されていても良かったかもしれない。 しかし コワーい 小説である。

後者は, 勧善懲悪・痛快無敵 な榎木津探偵の大活躍する娯楽小説。 京極堂による妖怪の蘊蓄や解説はあまりない。

2001-07-29


竜飼いの紋章 (ドラゴンファーム 1): 久美沙織 : 早川文庫

表紙絵が水玉雪之丞のイラストで, 裏表紙のストーリー紹介や解説の出だしの 感覚から, いわゆるアスプリンのノリかなと思って つい手に取ってしまった。

2001-07-26


塗仏の宴 宴の支度 : 京極夏彦 : 講談社ノベルス

塗仏の宴 宴の始末 : 京極夏彦 : 講談社ノベルス

こんどは新興宗教か ? (次は何だ ?) この話では, いろいろな妖怪が次々と現われ, 複数の話が錯綜している。 別の話だと思われたものが実は関連していることが, しだいに解ってくる。 しかし全容はなかなか明らかにならない。 どうなることかとついつい読み進んでしまう。興味を持って臨める宴だった。

2001-07-20


『ハリー・ポッター』の秘密の教科書 : 林雪絵 : データハウス

ファン必携 ! いや, ファンならこんなこと全部わかってるって ?

2001-07-12


宇宙からの贈りもの : 毛利衛 : 岩波新書

訓練や宇宙で体験したことを伝えてくれる貴重な著述。 個人的には, 科学実験の成果についての成果の紹介がもっと欲しい。 で, 結局のところ「ユニバソロジ」ってなに ? いわゆる東洋思想 [*] とどこがどう違うの ?? というか, やっぱり日本人 (東洋人) であって西洋人とは思想的な背景が違うんだね。 宇宙飛行士が神秘体験をする/ものの見方が変わった気がするという話を 聞いたことがあるけど, 西洋人の (キリスト教に基づいた) 感じ方と 東洋人の感じ方って違うのかもしれない。

[*] 個人は宇宙の中にあり同時に個人の中に宇宙がある, といった道教的 (?) 考え方。

2001-07-12


陰陽宮安倍晴明 (7)(8): 谷恒生 : 小学館文庫

総集編 なんか出ちゃったから完結したものだと 思っていたら, こんなの見つけた。まだ続ける気なのね。

2001-07-02


相対論の正しい間違え方 : 松田卓也・木下篤哉 : 丸善 (parity books)

世の中に広く流布している相対論 (特に特殊相対論) に関する 誤解を正すことで, 相対論をより深く理解していく。 目から鱗がたくさん落ちた。

2001-06-28


ノービットの冒険 : パット=マーフィー : 早川文庫SF

副題 (というか, 本来の原題) は,「ゆきて帰りし物語」。 楽しい楽しい SF 版のホビットの冒険。 細かな細工も行き届いていてうれしい。

例えばワームホールを通る毎に物質構成分子のキラリティが反転するので, 対応した食物をとらなくちゃいけない, とか。本当は食物だけじゃなくて, 医薬品も該当するはずだし, キラリティの違いにより薬が毒になったりするので, 実は間違えるととっても危険でもある。その意味で, 万人向けに混合物で料理を 作るのはちょっと怖いかも。 さらに, より根元的には, 素粒子レベルでパリティが反転することに しなくちゃいけなかったりして。でもそれじゃあ楽しいガジェットにならないね。

2001-06-23


ウイルス伝染るんです : 中村正三郎 : 廣済堂出版

インターネット時代のパソコンの危なさを警告する。ホットコーナーはこちら
http://www.asahi-net.or.jp/~ki4s-nkmr/

2001-06-15


駿台式 ! 本当の勉強法 : 大島・霜・小林・野島・鎌田 : 講談社現代新書

英国数社理の各教科の勉強法なのだが, ガッコーでやるのだけが勉強じゃなくて, いろんな方法があるってこと。 国語の文脈の構造を捕らえての論理的な解き方は, ちょっと興味深かった。 巻末の座談会での「笑いと勉強の結び付き」も, なるほどねと面白い。

2001-06-15


天才アラーキー写真ノ方法 : 荒木経惟 : 集英社新書

ワイドショーのネタでときどき見かけるけど, 作品自体はちゃんと見たことが無かった。 インタビュー (一方的なしゃべり ?) を雑誌連載していて, それを本にまとめたもの。 一見してなかなかに斬新な発想というか, ものの見方だけど, 極めてマトモ。 マスコミなどでスキャンダラスに取り上げられるイメージとは大違い。 機会があったらちゃんと写真を見てみたい, なんて言うと怒られそう。 「面と向かって, 眉間にしわ寄せて見るモンじゃぁない」って。

2001-06-15


それがぼくには楽しかったから : リーナス=トーバルズ・デイビッド=ダイヤモンド : 小学館プロダクション

Linux 開発秘話あるいはリーナスによる人生の意味論。
縦組の活字で失敗している点 / 表記上誤解しやすい点 / 誤りなど: ネットBSD (Net BSD), フリーBSD (Free BSD), オープンBSD (Open BSD) --- あいかわらずダメダメ。 [日本語版用語集で] XFree86 (86がまとめて縦向で並び, Xと同じ一文字分) --- 386 (THREE eight six の語呂合わせが台無し)。 X86 (86が縦向で並び, Xと同じ一文字分) --- 86, 186, 286, 386, 486 という型番の 百の位を x と総称した感覚が台無し。 Xターミナル --- この言い方では X 端末の意味になってしまう。xterm プログラムのことなのに。 モノシリック --- モノリシック (monolithic) の誤り。

2001-06-01


マンボウ夢草紙 : 北杜夫 : 実業之日本社

最近立て続けに刊行されたものの, もとが週刊紙に連載されたもので, 継続性・枚数制限があるためか, 冗長性が切り詰められていてシャープだ。

2001-05-20


QED ベイカー街の問題 : 高田崇史 : 講談社ノベルス

QED シリーズのようだけど, この一冊だけ読んだ。 ``ホームズ=モリアーティ説'' および ``ホームズ二人説'' など 面白かった。まぁそれだけかな。 あ, 一つだけ特筆すべきことは, 登場人物 (主役級) が薬剤師で, すなわち *理系人間* !!

2001-05-15


絡新婦の理 : 京極夏彦 : 講談社ノベルス

(じょろうぐものことわり) 禅宗の次は基督教 (ユダヤ・カバラ) か (?) というか, 京極堂が出てくるまでが長い長い。常連のキャラが出てくるのだが, そのうちの誰かが (主要な) 語り手だったり主人公というわけでもなく, それぞれの登場人物の物語が複雑に絡み合って織り成すタぺストリー。

2001-05-13


いやでも物理が面白くなる : 志村史夫 : 講談社ブルーバックス

いやでもって, いやだなぁ。説明がビミョーに嘘っぽかったり, こんなので良いのか (?)

2001-05-06


新・ SF ハンドブック : 早川書房編集部編 : ハヤカワ文庫SF

SF 大好きっ子の必携。入門書としての年代史や講座も。

2001-05-04


日本の軍事システム : 江畑謙介 : 講談社現代新書

SDF の実力やいかに ? 考えるための Base に適。

2001-05-01


森助教授 VS 理系大学生 臨機応答・変問自在 : 森博嗣 : 集英社新書

授業において小テストをやるのではなく, 質問を出させるという 一見逆転な発想が面白い。 「重要なことは答えることではない, 問うことである」というのは 一面の真理である。そして「何を問うかで評価される」。
複数の講義で全て, 毎週, 森の答えをプリントにして配布しているのもすごい。 もちろん森の答え方・内容も面白い。

2001-04-21


「教育の崩壊」という嘘 : 村上龍 : NHK 出版

世間一般で話題として取り上げられているのは 初等・中等教育 についてだが, 大学でも講義が成り立たなくなってきつつあるような気がする。 * 基礎知識が足りない * 論理性がない * 好奇心に欠る * 頑張らない * すぐくじける。 高い授業料を払ってまでしてイヤなことしなくていいのに。 または, 大学進学という自分で選んだ人生に責任持てよな。

2001-04-20


希望の国のエクソダス : 村上龍 : 文藝春秋

なんか面白くてぐいぐい引き付けられるものがあって, 一気に読了してしまった。 キーワードは「明快さ」なのかもしれない。 以前に ``沈黙の艦隊'' がブームになった時のように。 現代の日本の社会に対するモヤモヤとした不満感を, スッとさせてくれるものがある。 ポンちゃんたちの思惑が見事にキマって, 成功へとなだれ込んでいくところは, デキすぎだぁと感じるところまで同じ。

2001-04-14


マンボウ哀愁のヨーロッパ再訪記 : 北杜夫 : 青春出版社

かなり期待して読み始めたんだけど, それなりにユーモアも発揮しているんだけど, ちょっとできが悪いんじゃないの ? 点もある。 特に気になったのは, 同内容のことが繰り返し出てくるということ。

2001-04-11


マンボウ愛妻記 : 北杜夫 : 講談社

自己の人生の総括に入ったのかな, ともとれるが, マンボウ流のノロケ話のようでもある。

2001-04-08


月をめざした二人の科学者 アポロとスプートニクの軌跡 : 的川泰宣 : 中公新書

アポロが月に行ったのは 30 年も前のことだし, この三月にはとうとう ロシアのミールも堕ちた。 ロシア側の月をめざす科学者については, これまでほとんど表に出ることが なかったが, これからはいろいろと紹介されるようになるだろう。 あとがきに, 二人は「夢と強い意志」のお手本であると述べている。 しかしそれ以上に, 二人の軌跡を重ねると, 社会 (国家) 体制と独裁者/政治家に 翻弄されたコロリョフと晩年のフォン=ブラウンには, 同情さえおぼえる。

2001-04-08


立花隆・サイエンスレポート なになにそれは ? : : 朝日新聞社

(1) 緊急取材・立花隆、「旧石器発掘ねつ造」事件を追う; (2) 特別対談・立花隆 vs. 白川英樹.
当時はちゃんとフォローしていなかったので, 「旧石器発掘ねつ造」事件がどんな 重大事件だったのかちゃんと認識できていなかったが, これを読むとその重大さと その後の研究者の真剣さが伝わってくる。 白川さんの話はいくつか読んでいたが (例えばここ), 立花隆がせまるとどうなるかということ。 普段なら立花ペースなんだけど, 白川さんはやっぱり御本人のペースである。 セレンディップについての寄稿集も興味深い。

2001-04-03


大魔術師、故郷に帰る! : ロバート=アスプリン : 早川文庫FT

一気読みしてしまいました。楽しさの理由については, 解説の通り !
でも最後の場面でギャオンに刺さる矢は ? 矢ガモじゃなくて矢ドラゴンに なにがあったのか !! 次巻を待つのはつらい...

2001-03-30


マンボウ遺言状 : 北杜夫 : 新潮社

あいかわらず, いい味出しています。可笑しいです (^_^)。

2001-03-30


大好き! ハリー・ポッター そのわけを教えてあげる : シャロン=ムーア : 角川書店

内容的には, 読者のファンレターをまとめたようなものなんだけど, 和訳が未刊行のものも含めて 1-4 巻のあらすじが紹介されているところが ポイントかな (ちょっとズルい (?))。 もう一つのポイントは, 角川の本だということ。 日本語版の版権獲得の布石か? とは下衆の勘ぐり。

2001-03-22


王様の勉強法 : 荒俣宏&中谷彰宏 : メディアワークス

勉強中毒による勉強の楽しさのお話。

2001-03-17


旅に出ても古書店めぐり : ローレンス=ゴールドストーン&ナンシー=ゴールドストーン : ハヤカワ文庫

楽しい古書熱。

2001-03-17


ハンマー・オブ・エデン : ケン=フォレット : 小学館

面白いですぅ。さすがですぅ。最近のだと思われる本人の全身写真が カバー見返しにあるけど, けっこうカッコイイおじさんなのね (む, ただのミーハーなファンだな)。

2001-03-11


テキストファイルとは何か ? : 鐸木能光 : 地人書館

こんなの見つけた。前半は
昔 PC-PAGE なるシリーズの本が SE 編集部 (翔泳社) から 出ていたことを覚えている人は, どのくらいいるだろうか。 1980 年代後半から1990 年代前半ごろに刊行されていて, いわゆる MS-DOS3.3・一太郎4 から MS-Windows3.1 などが出ていたころ。 パソコン通信が流行り, フリーソフトが市民権を主張しだしたころだ。 そのシリーズの一つに「MS-DOS テキストデータ料理学 (sed, awk のある UNIX 流 パソコン環境)」というものがあった。 私はこの頃から本格的に, 自分のコンピュータ環境を, Vz Editor・WX-II・LSI-C 試食版・awk・ASCII 日本語 LaTeX・dviout にした。 単体で五万円十万円もする高価なソフトにはビンボー学生は手が出せないし, また市販ソフトをコピーしていわゆるマニュアル本を買ってきて使っている人を見て, とっても違和感があった。 「料理学」を読んで ``アプリケーションソフトに依存しないデータ'' という 考え方に眼から鱗が落ちる思いで, 前述の理由もあわせて Text 派になって 現在に至るのが, 私のパーソナルなコンピュータ歴だ。
ということを思い出しながら読みはじめた。 しかし現在流通している具体的なソフトウェアの話になると, (時代を越えた) 普遍的な内容からはちょっと堕ちた内容だなと思った。 日本語文字セットと日本語文字コードの話で持ち直したと思いきや, 最後に出版と著作権についての話になってしまった。 はて ? 著者の意図はどこにあったのかな ? ``アプリケーションソフトに依存しないデータ'' の重要性を主張したいのなら, 著作権うんぬんは不要だし, デジタル時代の著作権についての論陣を張ろうと いうのなら, 一冊の本として重点の置き方と話の展開に一考の余地ありで, これではその主張を読み取りにくい。

著者: 鐸木能光のサイト

2001-03-10


化学に魅せられて : 白川英樹 : 岩波新書

ノーベル化学賞受賞記念出版と言うところかな。 あちこちに書いていたものから, 研究と人生について語っているものを セレクトし, 受賞記念講演と合わせたもの。 テレビなどで見掛けた人柄がうかがわれる。
小さい頃は理科少年だったことや, 研究の進め方についてなど, 一介の研究者ならみんなそうだよなぁといったところかな。 まぁセレンディピティには恵まれていたようだが, それを逃さない眼を養うことが肝要かと。

2001-03-07


陰陽師 安倍晴明 : 谷恒生 : 祥伝社

陰陽師 安倍晴明 2 呪の章 : 谷恒生 : 祥伝社

陰陽師 安倍晴明 3 終の章 : 谷恒生 : 祥伝社

今度は成明親王が, 白身から東宮そして帝 (村上帝) に即位するまで。 時代的には, こっち の藤原道長よりも 40 年ほど 前の話。 ストーリー展開としては道長編と全く同じといってもいいかも。 サイドストーリーまで似ていたりして。

しかし成明編源平編道長編の三シリーズは いずれも書き下ろしであって, 発行日も重なっている。 もしかして三つを平行して書いていたのかな ? たとえ一時に一つだったとしても, これだけの短期間に集中して清明譚を 書き上げるとは, 谷恒生オソルベシ。

2001-03-06


陰陽道☆転生 安倍晴明 《義経起つ》 : 谷恒生 : 徳間文庫

陰陽道☆転生 安倍晴明 《源平騒乱》 : 谷恒生 : 徳間文庫

陰陽道☆転生 安倍晴明 《義経伝説》 : 谷恒生 : 徳間文庫

源平合戦の時代に現われ, 源氏に味方して時代の転換をねらう, 晴明。 義経を主人公 (だと思う) にすえて物語は進むが, 晴明は源氏方につき, 宿敵の蘆屋道満は後鳥羽上皇にとりついている。 晴明-源氏, 道満-平氏 による対決ではない。 義経を導くかに見える晴明だが, 実はそうでもないらしいところが 判官びいきの読者からするとイヤラシイ。 頼朝の後ろにも晴明がつき, 結局のところ義経は手駒として使われただけ。 晴明の方も道満に劣らず策士なのね。 まぁ, 奥州に追われる前に義経を海外に連れ出すような結末になってるけど。

2001-02-26


祈りの海 : グレッグ=イーガン : ハヤカワ文庫SF

日本独自の短編集。久しぶりに, 物凄いアイデア・ストーリーに出会った。 ある状況が設定されたとき, それはいったいどんな社会になるか, 個人はどんな社会的心理的行動をとるかという物語。 そしてその状況は SF ならではの外挿 (extrapolation) された世界。

2001-02-25


そうだったのか! 現代史 : 池上彰 : 集英社

まさしく「そうだったのか!」と。日々のニュース報道などで出てくる 世界の動きはこういうことだったのかと, 平易に要約し解説してくれている。 現代社会ウォッチャー必携の書。

2001-02-18


陰陽宮総集編安倍晴明読本 : 谷恒生 : 小学館文庫

本編(1)-(5), (6) に対する総集編。文庫本 6 冊のダイジェストとコラムを少々。 晴明人気に乗じて小学館もアコギな商売するなぁというのがすなおな感想。 もっとも, 個人的には冒頭の谷氏の, 本編を書くに至った経緯や今後の展開などに 興味が持たれたが。 同作家の安倍晴明ものの別バージョンとして, 祥伝社ノンノヴェルス版が あることには今年の 1 月初めに気付いていたが, 徳間文庫版もあるとは 知らなかった。チェックせねば。

2001-02-15


美青年アルマンの遍歴 : アン=ライス : 扶桑社

バンパイヤ・クロニクルの新展開として, レスタトの凍結事件に続いて アルマンがその出自を語る。 特にベネチアでのマリウスとの生き生きとした生活の描写が光る。 しかしてそれに対して, そういう出自のアルマンが 如何にしてパリの暗黒のカヴンの支配者になったかに興味が持たれた。 しかし話の展開は省略されていて説得力に欠け, 少し弱い気がした。
でもあの表紙絵のいかにも少女漫画した風は, 狙いはわからんでもないが もうちょっと絵柄を工夫してほしかった。あとタイトルの「美青年」もね。

2001-02-12


ヴィジュアル時代の発想法 : 手塚眞 : 集英社新書

表題が内容を表わしているかどうかはともかく, 副題の通り 「直感を生かしましょう」ということ。 技術やテクニック論ではないので, 帯の文句などもちょっと意味が違う。 単なる事例報告かな。
サイエンスの研究現場では, 直感的にひらめいた仮説をいかにして 論理づけするかということを, 日常的にやっているとも言えよう。 この面から見れば, 手塚氏は当たり前のことしか言っていないと思うゾ。 でも手塚氏にここまで直感直感直感と言わせるという事は, 逆にみると, 現代人ってそんなに直感力に乏しいまたは直感を嫌った論理ガチガチ人間タチ なんだろうか ? と, つい疑ってしまう。 要はアタマの使い方説明書が必要な人が多いのかしらん ?

2001-02-06


すべてが E になる : 森博嗣 : 幻冬社

毎日は笑わない工学博士たち : 森博嗣 : 幻冬社

森ミステリのファンのためのサービス Web 日記ページの書籍化だけど, ボクはそのミステリを読んだことない。 森氏のアクティビティには, あきれ・感心・羨望。発想には共感するところもあり。 ミステリも読んでみたくなった。

2001-02-03


リサイクル幻想 : 武田邦彦 : 文春新書

(現在言われているところの) 「リサイクル」は原理的に矛盾を含んでいると, 論理的に展開。これは「社会システムの問題」や「国民の意識の問題」などではなく 分離工学の原理であると。なるほど, 説得力がある。
世の中の流れと反対のことを言うと, 感情的になってヒステリックになり, 議論ができなくなってしまうのが日本の欠点。(下を参照) 冷静で論理的な, そして抜本的な議論が必要だ。

2001-01-07


原発事故はなぜくりかえすのか : 高木仁三郎 : 岩波新書

日本の原子力政策に内包されてきた重大な欠陥を鋭く指摘している。 しかしこれは原子力だけでなく, 日本において科学・技術が社会と かかわろうとするとき, 避けて通れない問題を含んでいる。

2001-01-06


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