最近読んだ本で面白かったもの (1997 年版)

ジャンルは著しく偏っています。主として以下のように分類できそうです。 Venus of Milos

陰陽師(付喪神ノ巻) : 夢枕 ばく : 文藝春秋

安倍清明と源博雅のコンビが平安の都に現れる魑魅魍魎に挑む、第3段。

1997-12-10


真紅の呪縛(ヴァンパイア奇譚) : トム=ホランド : ハヤカワ文庫NV

美麗しくも恐ろしく、繊細にして神秘的な、ルスヴン卿の語り。 セピア色のカヴァー写真に深紫の帯と、文庫の装丁も秀。

1997-11-18


火星転移 : グレッグ=ベア : ハヤカワ文庫SF

これはおもしろい。時代は火星だ。
本筋から少し外れるが、主人公の火星人が初めて (母なる)地球に降りたった時の感慨(の記述)もすてきだ。 また、古代火星の生物の化石の壮大さ、 それらが休眠から醒める時の様子もすばらしい。
もちろん SF 的小道具/大道具もよくできている。

1997-11-08


火星夜想曲 : イアン=マクドナルド : ハヤカワ文庫SF

うーん、なんかなぁ。こういう作品があってもいいとは思うけど、 中盤から後半の話の進み具合はアレアレ(?)って感じだし、 ``火星年代記''と並べての売らんかなの広告はやめて欲しい。 Martian Chronicle の雰囲気を期待してしまったので、読んでいて馴染めなかった。 ストーリーの概略だけ聞けば、詩情と哀愁に満ちていそうなんだが、 文体や個々の話の展開は全然違う。

1997-10-14


軌道エレベーター : 石原藤夫・金子隆一 : 裳華房(ポピュラーサイエンス)

宇宙へ架ける橋に関する、網羅的な解説。参考文献つき!

1997-09-07


パソコンを疑う : 岩谷宏 : 講談社現代文庫

著者の「他人まかせにしないコンピュータ利用」という主張は、 以前から一貫しているし、うなずける面もある。 しかしこの本の記述はねむくなる。 Microsoft 全勢のこの時制に、ちょっと待ったと言う事は重要だが、 この著作で賛同者を増やせるとは思えず、残念。

1997-09-02


フォーリング・エンジェル : ナンシー=A=コリンズ : 早川文庫FT

ソーニャ=ブルーが現代の街をハードボイルドに行く三部作完結。 パート(1) パート(2)
ダークファンタジーと思ったら、実は結構まともなファンタジーだったりする。 (まだ明かされていない)この世の成立ちやあるいは真世界との関連や、 この世の悪しきモノたちと、その浄化・癒しなどのテーマが見えてきた。 新シリーズが期待される。

1997-09-02


「感謝」する人 : 斎藤美智子 : 講談社

斎藤茂太夫人から見た斎藤茂吉・輝子と斎藤家の人々。 文章を書き慣れていないせいか、 予告無く話の流れが飛躍したりして、読みにくい面がある。 また、自分と比較して他人を見ているような感じを強くうけた。 (北杜夫の書く家族とは違う見方ができるのでもちろんそれでいいのだが。)

1997-08-29


女王天使 : グレッグ=ベア : 早川文庫SF

アイデアてんこ盛り。ナノテクとサイコダイブとヴードゥーとAIと... 甲殻機動隊との類似を指摘する人もいたような。

1997-08-04


天使墜落 : ラリー=ニーヴン&ジェリー=パーネル&マイクル=フリン : 創元SF文庫

反科学技術社会での愉快なSF者達。天使を天に返そう!

1997-07-27


ホワイトチャペルの恐怖 : エドワード=B=ハナ : 扶桑社ミステリー

ウエストエンドの恐怖 : ニコラス=メイヤー : 扶桑社ミステリー

紀伊国屋書店に行ったら、見たこと無いのが並んでた。し、しまった。
前者は、残虐な連続娼婦殺人事件(何のことかおわかりですね;)の捜査を進めるにつれ、 大英帝国の存在を揺るがすスキャンダルが現れてくる。 連続娼婦殺人事件の犯人を追うあせりと、スキャンダルに苦悩するホームズ。 解決編(?)も衝撃的 !
後者は、バーナード=ショウの登場。 後の喜劇ピグマリオンに登場する言語学の教授 (喋る言葉・なまりを聞けば、ロンドンのどこで育ったかを言い当てられる) は、だれのことか ?

1997-07-22


オリンポスの雪 : アーサー=C=クラーク : 徳間書店

火星の惑星改造(テラフォーミング)の過程を記録映像で振り返る。

祝! マース=パスファインダーの火星着陸!!
マース=パスファインダーのページはこちら(NASDAのミラー)
毎日の状況報告や最新の画像はこちら(NASDAのミラー)

1997-07-17


敵は海賊・A級の敵 : 神林長平 : 早川文庫JA

問答無用の面白さ

1997-07-15


火星の歩き方 : 高柳雄一,矢島大輔 : NTT出版

21世紀の火星観光ガイド。

1997-07-08


シャーロック・ホームズの愛弟子 : ローリー=キング : 集英社文庫

養蜂家の前に現れた「ものを考えられる」弟子と、数学教授の忘れ形見との対決。

1997-07-07


お師匠さまは魔物! : ロバート=アスプリン : 早川文庫FT

こういう楽しいのっていいですねぇ。ユーモアファンタジーの痛快シリーズ開幕!

1997-07-03


シャーロック・ホームズの決闘 : 伊吹秀明 : 幻冬舎

日本の格闘技 ``バリツ'' を使って活躍するホームズ !!

1997-06-14


ゴースト・トラップ : ナンシー=A=コリンズ : 早川文庫FT

ソーニャ=ブルー再び。前作はこちら

1997-06-13


アンダーグラウンド : 村上春樹 : 講談社

1995年3月20日に東京の地下で何が起こったのか。 人々の心の奥底/日本の社会の根底に何があるのか。

1997-05-26


SF天文学入門(上)(下) : 福江純 : 裳華房(ポピュラーサイエンス)

著者のホームページは こちら

1997-05-18


ハッブル望遠鏡が見た宇宙 : 野本陽代 / R=ウイリアムズ : (カラー版)岩波新書

宇宙望遠鏡が見た驚異的な解像度の写真を満載。

1997-05-13


DOS/Vブルース : 鮎川誠 : 幻冬社

Sheena's wel-kome page は、こちら。

1997-04-24


建築探偵東奔西走 / 建築探偵雨天決行 / 建築探偵神出鬼没 / 建築探偵奇想天外 : 藤森照信 / 増田彰久 : 朝日文庫

日本の近代建築の名品を紹介。 弘前市内に残る明治大正期の洋風建築はこちら。

1997-03-08, 03-22, 06-28


インターネットを使いこなそう : 中村正三郎 : 岩波ジュニア新書

``コミュニケーション革命を起こす''と大ブームのインターネットの 基本的しくみや実際の使いこなし方を、社会的意味をふくめてわかりやすく解説。 役に立つ URL や高校生のユニークなホームページも紹介。
現在のコンピュータ社会に関するコラムはこちら。 著者のホームページはこちら

1997-03-08


ミッドナイト・ブルー : ナンシー=A=コリンズ : 早川文庫FT

吸血鬼ハンター、ソーニャ=ブルーが現代の街をハードボイルドに行く。

1997-02-27


孫ニモ負ケズ : 北杜夫 : 新潮社

このあいだのテレビ「知ってるつもり : 斉藤輝子」に、 兄の茂太さんは出演していたが、弟の宗吉さん(北杜夫)は出てこなかった。 体調がすぐれないのかなぁと、心配だったりする。

1997-02-11


ペーパー・マネー : ケン=フォレット : 新潮文庫

モジリアーニ・スキャンダル : ケン=フォレット : 新潮文庫

「針の目」を生み出す前に書いていた小説。巧妙なプロットが素敵。

1997-02-08


ピラスター銀行の清算 : ケン=フォレット : 新潮文庫

ビクトリア朝の銀行家一族をえがいた注目作。 じつはこの作家も僕のお気に入りなのだが、 代表作に「針の目」「大聖堂」「トリプル」「ペテルブルクから来た男」などがある。

1997-01-31


シャーロック・ホームズ 知られざる事件 : リチャード=L=グリーン編 : 勉誠社

亡父の原稿を整理していたエイドリアン=コナン=ドイルが「未発表作品」を発見したと 大騒ぎになったいわく付の物語を含む3編の贋作。

1997-01-31


ランダムな世界を究める : 立花隆 : 三田出版会

「物質と生命をつなぐ新物理学」と副題をつけた、アモルファスに関する対談。 1991年にでた本であるが、 現在「複雑系」が注目されていることを考えると、 筆者の先見性に驚く。

1997-01-31


呪いのデュマ倶楽部 : アルトゥーロ=ペレス=レベルテ : 集英社

上品なミステリの味がよい。最後に明らかになる隠し味も。 フランドルの呪い絵もおすすめ。

1997-01-07


宇宙人フライデー : レックス=ゴードン : 小学館, 地球人ライブラリー

少し前に fj で話題になったので、読んでみた。 火星に漂着した主人公が、人類の文明を考えつつ生き延びる方策を巡らすまではいいのだが、 フライデーに出会ってからと、人類に再開してからの書き込みが弱く、 尻すぼみに感じられた。

1997-01-07


[1996]