1998-12-2x
奪われし未来 : シーア=コルボーン、ダイアン=ダマノスキ、ジョン=ピーターソン=マイヤーズ : 翔泳社
合成化学物質の予期せぬ危険性を警告する、現代社会人の必読書。
だからといって、科学否定に陥ってはいけない。
問題点をあきらかにし、
種々の困難を乗り越える力を人類にもたらすのもまた科学なのだから。
1998-11-23
ブラック・ローズ : ナンシー=A=コリンズ : ハヤカワ文庫FT
ミッドナイト・ブルー外伝。
パート(3)
パート(2)
パート(1)
ソーニャ・ブルーが、《ザ・ワールド・オブ・ダークネス》の世界で
バンパイア・ハンターとして活躍する。
1998-10-26
量子宇宙干渉機 : ジェイムズ=P=ホーガン : 創元SF文庫
話題の(?)量子力学の多世界解釈を題材にしているので、
ガジェットについての理論武装はされているつもりなのかもしれないが、
本文中でその理論が展開されているわけではない。
科学者グループが実験室/その他で研究を進めていく生態の描写には、
個人的には親近感がもてたし、
政治家は分からず屋だとの視点もあいかわらずの(よくある)パターンであった。
しかし、ストーリー展開としては通常のパラレルワールド物とどこが違うの ?
解説では菊池誠氏が``ホーガンがハードSFに帰ってきた''と書いているが、
うーん、これがハードSFとは ...
石原藤夫氏の定義するハードSFとは違うね。(正確にはどんな定義だったっけ ?)
1998-10-26
化学の新世界 : R=Breslow、日本化学会訳編 : 丸善
``Chemistry Today and Tomorrow --- The central, useful, and creative science''
というオリジナルタイトル通り、
化学という学問のすばらしさを紹介している。
1998-10-17
教皇の手文庫 : 中村正のり(|車几|これで一文字) : 文藝春秋
ただひとこと、おもしろい。
この著者もワタシのお気に入りですが、「元首の謀叛」「貧者の核爆弾」など、
興味のつきない *国際* サスペンスが得意だが、今回もその健筆を発揮している。
1998-10-06
マイクロソフト・シンドローム : 外崎則夫&梅津信幸 : オーエス出版
WWW ページで人気/話題の連載コラムが書籍化された。
タイトルはあと一歩かなと思うが、まあいいか。
もともとのページはこちら:
がんばれゲイツ君 と
窓ト林檎ノ物語
1998-10-05
平成講釈 安部清明伝 : 夢枕獏 : 中央公論社
講談口調の安部清明物語。道摩法師との痛快呪術合戦。
同じ作者の清明・博雅コンビものとは違った面白さ。
七人の安部清明 : 夢枕獏 編 (高橋克彦&田辺聖子&荒俣宏&岡野玲子&加門七海&小松和彦&内藤正敏&夢枕獏 著) : 桜桃書房
それぞれの作家による陰陽師の物語、アンソロジー。
解説にもあるけど、わたしも荒俣帝都物語で清明にハマッタくちです。
1998-10-05
パソコンを鍛える : 岩谷宏 : 講談社現代新書
「自分のコンピュータに対して持っている``全権''を自覚して、
自主的主体的なパソコンユーザになろう」
は、こんどは
「 OS もたかがいちソフトだ、あてがいぶちの Windows 以外にも選択肢はある」
まできた。
1998-10-02
宇宙と踊る : アラン=クライトン : 早川書房
エレガントで詩的なエッセイがオシャレだ。
1998-09-30
仮面の男、仮面の男とその背景 : アレクサンドル=デュマ、コンスタンス=ジョリ&エレツ=レビ : 竹書房文庫
デュマの作品に``仮面の男''というものがあるわけではない。
三銃士のシリーズに仮面の男にまつわるエピソードがあって、
それを抜き出したものが本書。
もちろん本書は映画とのタイアップ企画と思われる。
映画の仮面の男はタイタニックよりもすごくいいし、 ディカプリオよりも、ダルタニャンと三銃士の活躍の方がカッコよかった。 ストーリー(脚本)のでき/解釈はすばらしく面白いし、 役者もすてきだった。
1998-09-30
ダーティペア - 独裁者の遺産 : 高千穂遙 : 早川書房
こっちのおまちかねは、期待にたがわず、痛快無比。
MSN の連載の単行本化だが、著者も言う通り CD-ROM 化が望まれる。
1998-09-14
リングワールドの玉座 : ラリイ=ニーヴン : 早川書房
おまちかねのリングワールド物の続編、のハズなんだけど、
いまいちパッとしない感じだった。
過去の経緯(リングワールドふたたび)をすっかり忘れていたけど、
そんなことは支障のない作りになってはいる。
「熾烈な異種族間抗争」と帯にはうたっているが、
なんか違うようで、どうもすっきりしなかった。
バンパイア・キラーのグループの話と、ルイス=ウーたちの話が、
カットバックにより交錯しても、最終的に話がまとまるのなら良いのだが、
どうもそうでもなさそうだし...
1998-09-01
疾風魔法大戦 : トム=ホルト : ハヤカワ文庫FT
ユーモア・ファンタジーであるが、それほどテンションが高いわけではない。
北欧神話を題材にしたユーモア・ファンタジーとくれば、
ハロルド=シェイのシリーズを思い出すが、
ここでは神ではなくバイキングたちが現代にあらわれる。
ひねりの効いた小道具がでてきたりハチャメチャ大暴れするわけではなし、
落ち着いたものになっている。
1998-08-29
宇宙のからくり : 山田克哉 : ブルーバックス
原爆に関する前作よりもできは良いと思う。
章のタイトルが、一見世間話のようでいて、実はちゃんと物理していて面白い。
「世の中思いどおりにいかなくても物理法則どおりにいく」
「世の中どうしてこうなのか?」などがある。
で、自然科学にたずさわっているので一番いいなと思ったのは、
「人間は数学を使わない限り宇宙を理解できないのか」
こたえはもちろん YES。
1998-08-24
図像学入門 : 荒俣宏 : 集英社
荒俣流図像観賞法。図像の裏読みは面白い。
1998-08-07
科学のすすめ : 岩波書店編集部編 : 岩波ジュニア新書 301
わたしは化学が専門なので、その項目について一言。
竹内先生の「化学という学問は、アプローチが長い学問だ。」には、
なるほどうまいことを言うと思った。
1998-08-04
続続 星降る夜のパソコン情話 : 中村正三郎 : ビレッジセンター
著者のホームページ。
前の情話はこちら。
岩波ジュニア新書はこちら。
1998-08-04
ブレードランナー3 レプリカントの夜 : K=W=ジーター : 早川書房
人間/レプリカントの区別があいまいになり、また、
現実のロサンゼルス/映画のセット/映像の中/想像・妄想の世界の
区別があいまいになったような世界で、
何かの事件が起こったようで何があったのかよくわからない。
そんなものでした。賛否が分れるんだろうなぁ。
1998-08-04
環境ホルモン入門 : 立花隆 : 新潮社
東京大学教養学部立花隆ゼミから、
環境ホルモンについて大学生がまとめた解説レポート。
1998-07-28
重力から逃れて : ダン=シモンズ : 早川書房
立花隆の「宇宙からの帰還」によると、宇宙飛行士たちは宇宙での作業の合間に
それぞれに何らかの神秘体験をするらしい。
この小説の主人公は元アポロ宇宙飛行士で、月へ足を下ろした一人という設定だ。
この主人公が神憑り的になるわけではないが、
ふとそんなことを思い出しながら読んだ。
1998-07-15
DNAの冒険 : トランスナショナルカレッジオブレックス編 : ヒッポファミリークラブ
以前の「フーリエの冒険」や「量子力学の冒険」に比べて、
本の作り方がうまくなったな、というのが第一印象。
(「フーリエ」を見たときの、個人的な感想は、
``訓練を受けていない一般の人でも専門的なことをわかることができるんだ''と
``一般の人でもこうやって(ワープロなどを使って)本が作れるんだぁ''だった)
題材が前2者にくらべて記述的な分野なので、 分子生物学の個々の問題についてそれぞれが何を感じたかの物語や、 多言語活動での体験談が述べられている。 でも、数学や物理学(の理論)と違い分子生物学のトラカレでの勉強は、 記述の内容を理解するためにテキストを読解することでしかないのが、 「なんかなぁ」という気がした。 (例えば光の干渉については、それなりに道具をそろえれば干渉縞を だれでも観察できるし、定式化された法則は計算によって導出できる。 でも、例えばクエン酸回路については、何らかの化学反応実験を体験しても 原料も生成物も見えないし、計測器で何らかの値が出たって ブラックボックスじゃあねぇ... あ、もちろんこれはトラカレが悪いわけじゃないです、誤解の無いように。)
で、中身については、やっぱり面白かった。
「科学は自然を記述する言葉だ」
1998-07-01
宮廷魔術師は大忙し! : ロバート=アスプリン : ハヤカワ文庫FT
マジカルランド・シリーズ(4)
スキーヴくんも、なかなかやるねぇ。
1998-06-29
踏みはずす美術史 : 森村泰昌 : 講談社現代新書
独自の self portrait 作品を発表し続けているモリムラ氏の
美術の *着こなし方* が、おもしろい。
ちなみに、わたしの contemporary art の観賞法は、「おもしろがる」ことである。
1998-06-29
材料化学の最前線 : 東京都立大学工業化学科分子応用科学研究会 : ブルーバックス
題名の通りなんだけど、最新のトピックスを紹介。
ただし、優しく書こうとする余りか、
記述に不正確な部分があるのが気になった。
厳密に書いても難しくならないのに。
1998-06-25
ピンカートン探偵社の謎 : 久田俊夫 : 中公文庫
話の筋がはっきりしないので、内容をつかみにくい。
また「伝説」や「謎」についての基本的な説明が無いので、
ピンカートンが「謎」をどう作っていって、
それをどう利用したのか、わかりにくい。
1998-06-24
ニュースの裏には「科学」がいっぱい : 中野不二男 : 文藝春秋
科学技術と社会との関わりについての著者の意見には、聞くべきものがある。
(以下、本文より)
若者の理科ばなれが深刻だというが、もともと日本人が科学技術から
離れていたのではないか。
基礎研究に力点をおかず、目先の利益を生むことばかりに熱心だった...
モト若者の蒔いた種がいま芽をふいている...
1998-06-08
遺伝子・大疑問 : : 別冊宝島341
1998-06-02
タイム・シップ : スティーヴン=バクスター : ハヤカワ文庫
SFの古典「タイム・マシン」に、現代の科学知識を盛り込んだ、 活劇かつ思弁的SF小説。 続編の名に恥じない傑作。
1998-05-30
伝説の船 : アン=マキャフリー原案、ジョディ=リン=ナイ : 創元SF文庫
BB 船のキャリエル & ケフの CK-963 が活躍する。
`歌う船' のシリーズ。いいですねぇ。
1998-05-25
悪魔メムノック : アン=ライス : 扶桑社ミステリー
ヴァンパイア・クロニクルの第5作。
レスタトがターゲットとして選んだロジャーを愛するくだり、
ロジャーの霊と対話するくだりは良かった。
しかしメムノックにつれられて、天地創造から天国/地獄巡りをするくだりは、
神学論争のようになってしまって、
レスタト・ファンのわたしには退屈だった。
結局、神 vs. メムノックの戦いはどう決着がついたのか、
レスタトにとってはどうでもいいことになったのかな。
1998-04-06
シャーロック・ホームズのチェスミステリー : レイモンド=スマリヤン : 毎日コミュニケーションズ
ホームズの推理方法``逆向き解析''を、チェスのパズルに遺憾なく発揮している !!
チェスには、いわゆる詰め将棋の問題のほかにも、
こんなにおもしろい問題設定が可能だったのかという驚きとうれしさ。
(注) 論理構造として、「原因・規則・結果」があったときに、 原因・規則から結果を予測するのが演繹法、 原因・結果から規則を推定するのが帰納法、 これに対してホームズの``逆向き解析''は、規則・結果から原因を解明するもので、 アブダクションと呼ばれる。
1998-04-29
茂吉晩年 : 北杜夫 : 岩波書店
歌人斎藤茂吉の最後の輝き。四部作完結。
1998-04-24
肉体泥棒の罠 : アン=ライス : 扶桑社ミステリー
ヴァンパイア・クロニクルの第4作。
肉体交換に及ぶまでの引きに比べて、奪還時の泥棒さんが弱かった。
タルボット氏は美味しい役回りだ。
1998-04-06
こちら異星人対策局 : ゴードン=R=ディクソン : ハヤカワ文庫SF
``地球よりもはるかに進んだ文明を持つ異性種族との接触を果たした人類は、
異星人対策局を設置し、地球文明が銀河評議会に議席を獲得できるように
外交努力を重ねていた。
しかし異星人たちはあまりに地球人と文化やメンタリティが異なっており、
評議会には地球に好意的な異星人ばかりがいるわけではなかった......
かくして局員のトムとルーシーの夫妻は、愛犬のレックスを従え、
次から次へと生じる難題の解決に奔走するのだった。''
というおはなし。
1998-04-01
呪われし者の女王 : アン=ライス : 扶桑社ミステリー
ヴァンパイア・クロニクルの第3作。物語はいよいよ佳境に。
伝説・予言・女王の復活...
1998-03-31
ヴァンパイア・レスタト : アン=ライス : 扶桑社ミステリー
活動的で、繊細で、ルイの語るレスタトと何と違うことか!
レスタトこそがヴァンパイア族の秘密を受け継ぐ王子に選ばれたのだった!!
1998-03-10
夜明けのヴァンパイア : アン=ライス : ハヤカワ文庫
ちなみにトム=クルーズの映画は見ていない。
アン=ライスのヴァンパイア・クロニクルの開幕だそうだが、
これを読むだけでは、ルイの視点からのレスタトは、
以後のシリーズのヒーローとはとても思えない。
カヴァーに映画の写真が使われているが、
これを見ながら想像力をかき立てられながら読む分には、
美術指向の高い映画としては成功したのだろうと予想できる。
(どこが読書感想だ?)
しかしストーリーとしては、東欧を遍歴する部分が不十分に思われたし、 ヴァンパイア劇場の崩壊に至る部分以降の後半は、記述力に不足を感じた。 もっと壮麗に、もっと荘厳に、もっと戦慄的に、もっと、もっと... そのためパリを離れて以降の展開は取り繕っているだけに思われた。 絶望で終わるルイの語りにインタヴュアー氏が納得できないでいることには 共感できる。
1998-03-01
ゲージ場をみる : 外村彰 : 講談社ブルーバックス
`ゲージ場'なんて言うとムズカシそうで敬遠しがちだが、
電子線ホログラフィーを用いて量子力学的な現象を次々と`見る'。
百聞は一見に如かず、とはこのことか。
前著よりも専門的な分だけ、凄さ・迫力が増した。
リンクを張ろうと思ったら、前著はこのリストに無かったのね。 `量子力学を見る'、外村彰、岩波科学ライブラリー28。
1998-02-??
量子論の宿題は解けるか : 尾関章 : 講談社ブルーバックス
多世界解釈、量子コンピュータ、量子暗号、...、などの最先端の話題について、
著者が研究者をインタビューしてまわる取材記録・遍歴・紀行。
それぞれの事項の掘り下げた、しかしわかりやすい解説、ではなくて、
そういう問題点があるという紹介のようなもの。
1998-02-05
団塊世代はなぜインターネットが苦手か : 三木光範 : 講談社ブルーバックス
別に自分が団塊世代というわけではないし、
いまさら``インターネット入門''の必要は無いと思うのだが、
『「猫にもわかる入門書」は猫用であり、
「小学生にもわかる入門書」は小学生用であるだけ』
とのことで、世代限定の、新しいものに取り組む場合の発想法というか、
指導原理の組立て方が面白かった。
ところで、はたと気付いたのだが、 学生にコレコレこうやって(量子化学を)勉強しなさいという指導をしていたが、 これはこの著者のいうところの左脳的な発想であり、 学生の世代の特徴である右脳的な発想法とは相入れない。 そうかぁ、だから学生は勉強に興味も示さず無関心なのかぁ。 少なくともイントロダクションは、右脳的なものを提示して興味を引けばいいのかな。
1998-02-05
日本23時 : 筑紫哲也 : 小沢書店
「週刊金曜日」連載コラム。
折々の事件に触れての論を展開している。
恥ずかしながら、そういえばこんな事件もあったなと思い出した。
自分達の社会なのだから、無自覚では済まされない。
では何をやったらいいか?...難しい。
1998-02-01
インターネットはグローバル・ブレイン : 立花隆 : 講談社
立花隆のインターネットに関する本の二冊目(一冊目はこちら)。
はじめに、立花隆の考えるインターネットが人類/文明へ与えるインパクトについて。
次に、前作でも示した立花流インターネット・サーフィンの紹介(雑誌連載記事はこちら)。
そしてインタビュー。
1998-01-25
複雑系の選択 : 田中三彦+坪井賢一 : ダイアモンド社
著者の一人の田中はワールドロップの本の訳者。
彼らがサンタフェ研究所へ直接取材に赴き、研究者たちに話を聞いた。
また日本の科学者・経済学者にもインタビューした。
著者らは``複雑系''の経済学への応用に興味があるようで、
後半1/3がそれにあてられている。
1998-01-14
理系のための独創的発想法/理系のための知的好奇心/理系のための知的発想法/理系のための美を求めて : ア=ベ=ミグダル : 東京図書
良い本たちではある。
しかし、``いかにも''な How-to 本のようで、タイトルの付け方が悪い。
1998-01-12