いきあたりばったり読書日記 (仮題) (2004 年版)

ジャンルは著しく偏っています。主として以下のように分類できそうです。 There are counter hits, thank you. (scince 2000-Feb-07)
Venus of Milos

今日も元気に魔法三昧 ! : ロバート・アスプリン & ジョディ・リン・ナイ : ハヤカワ文庫FT

例のシリーズなわけだが, 今回は共著者を得ての試し書きか。 豪華三本だての短編集とか用語事典付きとか言うじゃな〜い。 それはそれで良いんだけど, でも, 今後の活躍を待てって所かな。

2004-12-29


マインドスター・ライジング : ピーター・F・ハミルトン : 創元SF文庫

SF ネタ満載のハードボイルドかと思いきや, 只では転ばない (?)。 最初の方はイマイチ乗れてない感じで, どこに焦点があるのかハッキリしない。 後半になって徐々にスピードアップして, クライマックスになだれ込む。 そんな感じ。

2004-12-29


工学部・水柿助教授の逡巡 : 森博嗣 : 幻冬社

例によって M&S シリーズな訳だが, 小説であるとコトワリ書きが必要なくらい, 内容はメタメタである。 まるで 水柿&須摩子 なんじゃなくって, 森&すばる なんじゃないかと思われる くらいだけど, 作者が小説だと主張しているので, フィクションなのでしょう。

2004-12-26


少年名探偵虹北恭助のハイスクール☆アドベンチャー : はやみねかおる : 講談社ノベルス

何となく読んだことのあるストーリーだな〜と思ったら, 漫画版の原作なのね。 そのせいか, 普通の小説というよりは, シナリオっぽい紋切り型の表現が目立つ。 また漫画っぽい表現 (突然のプラカード表示とかね) は, ご愛敬 ??

2004-12-11


[魔法使いハウル] 不思議な扉の開き方 : 藤城真澄 : 青春出版社

宮崎映画の原作本の小説の解読本。 本編よりも先にこれを読んでしまいました。これはいけませんね。 まず小説を読むべきでしょう。

2004-12-10


龍のすむ家II 氷の伝説 : クリス・ダレーシー : 竹書房

デービットが龍の力を信じなくなってしまったので, 物語の展開としてはちょっと欲求不満的。 また, 龍と人の名前として同じようなものがいっぱい出てくるので, ちょっと混乱気味。

2004-12-05


科学技術はなぜ失敗するのか : 中野不二男 : 中公新書ラクレ

ちょっと卑怯なタイトルだね。 技術は必ず失敗する可能性を含んでいるのがアタリマエ。 本書でも最終章でそのことに触れている。 その技術のアタリマエが当り前でないところが, わが国の愚かさかな。

2004-11-28


万物理論 : グレッグ・イーガン : 創元SF文庫

例によってアイデア満載の Theory of Everything をめぐる物語。 人間原理宇宙論や量子力学の観測問題などをも髣髴とさせる TOE。 無知カルト批判や無政府主義など, 扱ってる話題も広い。

2004-11-23


ベクフットの虜 : 野尻抱介 : 早川文庫SF

クレギオン 7。人知を越えた存在か ! あまりの異質さに, 我々はただその可能性を推定するばかり。 親が来たパニックはいまいちでした。

2004-11-15


大人のための文章教室 : 清水義範 : 講談社現代新書

さすが ! 国語入試問題必勝法 の著者のものする文章教室だけあって, _オ_モ_シ_ロ_イ_!_ 独自に名付けた文体は, 自転車こぎ出し文体にはじまって, してして文, してからので文, しゃべくり文に, おふざけ甘え書き。 注意すべきは用語の訛り, それに加えて書き方の裏技表技, 魔法の言葉の「まだわからない」, そして出だしは実体験にもとづいて書く。 一流のユーモアが効いている上に, ちゃんと文章の書き方教室になっている。 まさに「あとは書くだけ」, ただし書き上げることが大事とのことだ。 なるほどねぇ。

2004-10-23


「ファインマン物理学」を読む : 竹内薫 : 講談社

今回は「電磁気学を中心として」。(前の)
マクスウェルの電磁気学の基本方程式が, ちょっとはわかったような気になれた (まともに勉強した記憶がないんです ...)。 さて今回は電磁気学 (岩波版第三巻) の分野を主としてあつかっているが, 著者は電磁気学の理解よりもファインマンの思想, 物理についての考え方, の 紹介に熱心だ。 はたしてその狙いは成功したのかな ?

2004-10-27


大人のための文章教室 : 清水義範 : 講談社現代新書

さすが ! 国語入試問題必勝法 の著者のものする文章教室だけあって, _オ_モ_シ_ロ_イ_!_ 独自に名付けた文体は, 自転車こぎ出し文体にはじまって, してして文, してからので文, しゃべくり文に, おふざけ甘え書き。 注意すべきは用語の訛り, それに加えて書き方の裏技表技, 魔法の言葉の「まだわからない」, そして出だしは実体験にもとづいて書く。 一流のユーモアが効いている上に, ちゃんと文章の書き方教室になっている。 まさに「あとは書くだけ」, ただし書き上げることが大事とのことだ。 なるほどねぇ。

2004-10-23


魔法の眼鏡 : ジェイムズ・P・ブレイロック : 早川文庫FT

むむむ。面白さが伝わりにくいのは, 私が子供だからかなぁ ?

2004-10-21


世界が変わる現代物理学 : 竹内薫 : ちくま新書

良質な科学読み物の訳者として注目していたので読んでみた。 相対論と量子論を現代物理学の端緒とし, これらによってわれわれの世界観は 大転換を引き起こされた (引き起こされつつある) との立場で, 主として 文化系の人にむけてのエッセイである。 その内容を要約すると (著者も言ってるけど) 「モノからコトへ」 「物理学の SF 化」。 いかにも哲学っぽい文系が好みそうな, 意味があるようでないような, 独自のキャッチフレーズではある。
しかし, 化学を専攻し, その中でも物理化学 (量子化学) という分野を 主戦場としていると, 「化学はモノを対象とし, 物理はコトを対象とする」など 当たり前のように日々感じているのだけどね。 ということで「モノからコトへ」は, 現代物理に限ったことではなくって 最初からだろうに。 一方「物理学の SF 化」については, 著者独自の表現なので, 普通に意味を 取ろうとしてもわけわかんないね。 よくよく本書を読めば, いわんとすることは理解できる。
相対論が「時空の相対化」をもたらしたのだから, 量子論による「観測の相対化」があっても良いとずっと思っていた のだからね。

2004-10-15


レックス・ムンディ : 荒俣宏 : 集英社文庫

「Da Vinci Code」の興奮を超える !! との帯があるが, 例の本にあやかった 最近のものでしょう。もっとも, 例の本の和訳に荒俣の解説があって自著をも 指していたから, この本の入手を手配したのだけれどね。
内容については, 南仏のレンヌ=ル=シャトーにあったという 聖遺物の謎をめぐるミステリ・アドベンチャー。 荒俣の著作だから触れずにはおけない蘊蓄については, 例の本や帝都に比べるとさすがに劣るのはしかたない。 でもそこは生物学の知識をまぶして うまく仕上げている。

2004-10-10


キング・アーサー : フランク・トンプソン : 竹書房文庫

伝説のアーサー王の元になった史実としてのアーサーの活躍を描いた 映画のノベライゼーション。ああ, ややこしい (笑)。 でも史実があったとは, 驚きだね。

2004-10-01


小説探偵 GEDO : 桐生祐狩 : ハヤカワ SF シリーズ J コレクション

「小説探偵」には「ノベル・アイ」のルビあり。 主人公の 三神げど は, ちょっとハードボイルドだが, その持てる能力で物語世界に入っていってしまうというのが実にユニーク。 物語の中の物語の中での活躍というメタな入れ子関係が自体を複雑にしている。 げど の正体に謎を残しつつ, とりあえずこの巻はおしまい。

2004-09-30


夢見る猫は、宇宙に眠る : 八杉将司 : 徳間書店

「ナノテクと量子力学」と帯にあったので, つい手に取ってしまった。 量子力学は, ある登場人物の意思で世界が変るという, 多世界解釈的な話でした。 なーんだ。

2004-09-30


トンデモ科学の見破り方 : ロバート・アーリック : 草思社

副題の「もしかしたら本当かもしれない 9 つの奇説」の方が原題。 いわゆる「と学会」の言うトンデモの意味が誤用されているような気がするので, ここにそれを連想させる言葉を用いた邦題にするのはどうかなと思う。 さて内容だけども, 著者が奇説・珍説に対してこれこれの理由で信憑性を 五段階で判定している (0--4)。 至極まっとうな論理で, 各説を吟味している。 まあ, 著者の好みが多少反映されているとしても, それは当然だが。 あと訳者の名誉のために, 巻末の文献リストを省略しなかったのは, ページ数の節約に走りがちな一般向け翻訳書籍にあって特筆すべきことである。

本書の第 1 章は本書での議論をはじめるにあたって, そして第 11 章では全体のまとめとして, トンデモ科学の見破り方に触れてはいる。 そして訳者あとがきでは, 疑似科学に対しての批判を展開している。 そのこと自体には賛同するが, 本書の主題とは微妙にずれてるんじゃないかな。 そういう意味でも, 邦題は少し変だ。

2004-09-19


海外ミステリ誤訳の事情 : 直井明 : 原書房

翻訳は言葉の置き換えではなくって, 文化の説明であると言うことだ。 ミステリの翻訳にこのような誤訳が紛れ込むということは, SF の翻訳においてもそうなのだろうか ? 空想の科学・未来の社会・異星人の世界についての説明だからな。

2004-09-17


ありゃりゃ, 記載ミスを修正。よって欠番。

ミニチュア庭園鉄道 2 : 森博嗣 : 中公新書ラクレ

「欠伸軽便鉄道弁天が丘線の大躍進」 あいかわらず, 楽しそうだなぁ。

2004-09-01


人間は考える F になる : 土屋賢二×森博嗣 : 講談社

絶妙「文理」対談, なのだそうだ。 対談している二人の話が, 噛合ってるんだかそうでないんだか, 微妙。 土屋の発言と森の発言と, どっちが個人的に分かりやすいかと言えば, 後者だ。 こんなちょっとした対談でも, そんな違いがはっきりと出てくるなんて, ある意味面白い。
末尾の書き下し短編には, キッチリと引っ掛かりました。 ところで, ここの F って何だろう ?

2004-09-13


アフナスの貴石 : 野尻抱介 : 早川文庫JA

クレギオンのシリーズ第六弾。今回の主役は ... だれだ ? 話の中心はロイドだけど, 本人はほとんど登場しない。 これじゃあ主役って言えないよね。 さてさて「貴石」は奇蹟とか軌跡でもあるのかな, と思ったりしたけど, まああんまり深刻にならなくってお気楽なのがこのシリーズの特徴でもある。

2004-09-11


奇術師 : クリストファー=プリースト : 早川文庫FT

十九世紀末から二十世紀初頭, 倫敦に奇術師がいた。 ひとりは ``ル・プロフェッスール・ド・ラ・マジ'' と, もうひとりは ``偉大なるデントン''。 いずれも瞬間移動のイリュージョンを得意の演目とした二人は, ライバルだった。 それぞれの手記, 従ってそれは一方の視点による, あるいは奇術師に特有の 仕掛けが施されているかもしれない, によって物語は構成されている。 そして, その手記に関与する彼らの子孫たちの幕間劇という, 典型的な枠物語の形式になっている。 それだけならただの歴史小説的なものだが, 後半になってニコラ・テスラによる 特殊な装置が登場するにおよんで, 事は突然に非現実の世界に移る。

彼らのイリュージョンにおいて, 観客が見たと思い込まされていることは 奇術師本人の瞬間移動である。 しかし実際におこっていたことは何なのか ? 衝撃の結末。

2004-09-08


エルサレムへの道 : ローリー=キング : 集英社文庫

サセックスに引退した養蜂家とオックスフォードの学生との物語の第五弾。 一作目の途中で触れられている, 敵の目を逃れてのパレスチナ紀行の詳細が ここに明らかにされる。 養蜂家は傷付き年老いている (と言っても 55-60 歳) 以外はまだまだ万能選手だ。 第一次世界大戦後の混乱しつつもなんとか平和を維持していた英占領下の パレスチナの土地で, さらなる揉め事をおこそうと暗躍するグループに対抗して, それを阻止すべく働く。 具体的な敵側との接触等よりも, パレスチナの土地での生活・風習の記述に 重点がおかれているようだ。でも主役の一人のオックスフォードの学生は, じつはユダヤ教徒で神学・宗教学専攻だ。

2004-09-01


ヴァン・ヘルシング : ケヴィン・ライアン : 竹書房文庫

映画のノベライズ本らしい。 アクションに次ぐアクションで, B 級テイストいっぱいの怪物のオンパレード。 結局モンスター・ハンターの正体は謎のまま。続編はあるのか ?

2004-08-27


シャーロック・ホームズ 東洋の冒険 : テッド・リカーディ : 光文社文庫

ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と対決した後, 死んだと見せかけて, 実はホームズはチベットで活躍していた。 その時の冒険の記録。

2004-08-27


ダーティペアの大復活 : 高千穂遥 : 早川書房

冷凍睡眠状態になっていた「ラブリーエンゼル」が, 目覚めた ! そこはとんでもない世界だった, かに見えたが, その驚愕の実体は ...

2004-08-23


天国と地獄 : ダン・ブラウン : 角川書店

こっちのほうが先。 ガリレオが創設したという科学を信奉する秘密結社イルミナティと, バチカン (ローマ・カトリック教会) との戦いを匂わせつつ, SF チックな反物質時限爆弾の刻限が迫る。 しかしこの小説で最も特筆すべきものは, やっぱり earth, air, fire, water の 四大元素からできているというイルミナティ・ダイアモンドでしょう。

2004-08-18


ダ・ヴィンチ・コード : ダン・ブラウン : 角川書店

何と言ったら良いのか, 宗教象徴学的蘊蓄満載のミステリかつサスペンス小説。 殺されたルーブル美術館館長の残したものは何か ? 謎の秘密結社 (?) シオン修道会とかテンプル騎士団とか, それが守るマグダラのマリアをめぐるキリストの秘密は何かとか, いかにもというネタがいっぱい。 ちなみにこっちがパート 2 らしい。

2004-08-18


未来少女アリス : ジェフ・ヌーン : 早川文庫 FT

ナンセンス&サイケな話ではあるが, ちょっとイマイチだ。 それとも原文で読めば, 引用やモジリの嵐だったのかしら。 もっともオリジナルだってナンセンスものではあるが。

2004-08-18


数学はインドのロープ魔術を解く : デイヴィッド・アチソン : 早川文庫 NF

これもまた<数理を愉しむ>シリーズだそうだ。 数学を楽しむお話がイロイロ。

2004-08-18


物理学者はマルがお好き : ローレンス・M・クラウス : 早川文庫 NF

<数理を愉しむ>シリーズだそうだ, いつの間にできたんだろ ? さて冒頭の「生産の思わしくない酪農場にコンサルタントとして招かれた物理学者」の 言い分が, 物理学者の思考パターンの典型を表わしているようで, オモシロオカシイ (工学者や心理学者と合わせて三人が招かれていて, それぞれがひとこと言うという ジョークなのだが)。 曰く「まず, 牛を球と仮定します ......」。

2004-07-17


タリファの子守歌 : 野尻抱介 : 早川文庫JA

こんどはパイロットのマージが主役な, クレギオン・シリーズの第五弾。 著者あとがきにもありますが, パイロットが腕を見せるところとして, 大気圏内の飛行を設定しています。ま, それは良いでしょう。 でもね, ホセがどうしてタリファに来たかとか, 吸水樹脂の無機塩に対する挙動と それにより放出された水の話とか, ちょっと不満だね。

2004-07-15


「言論の自由」vs.「●●●」 : 立花隆 : 文藝春秋

例の週刊文春出版禁止事件に際して, 緊急に出版された。 「言論の自由」に対する概念として「プライバシーの保護」がある。 前者について「公共の利害」があるならば, プライバシーを侵害することも ありうるとしているわけだが, この (日本語で)「公共の利害」って元の英語では public interest なのだそうだ。訳語にだまされてたな。

2004-07-04


ローダン・ハンドブック2 : 早川書房編集部編 : 早川文庫SF

まるぺファン必携 ! これからのファンも必携。 第2000話「 ``それ''」が掲載されているのもオトク。 でも, 第2000話もこれからのストーリー紹介でも, 訳のわからない固有名詞を 羅列されるのは, ちょっと戸惑った。 そうかこれから (日本語版 300 巻) から参入しようとすると, こんな感じなのかな。 ところで現在の翻訳者チームに池田香代子氏がみえないが, 抜けたのかな。

2004-07-04


窓際OL トホホな朝 ウフフの夜 : 斎藤由香 : 新潮社

えーっと, 可笑しいです。さすがです・おみごとです。 著者の素姓を知ったら (帯に書いてあるけど), なおブッ飛びます。

2004-06-21


だから、ウインドウズにするからじゃん : あおたけ : 翔泳社

いえ, あの, 本の題名そのまんまなんですけど (笑)。 某 Windows じゃなければ何かというと, もちろん free な PC-Unix !
出版社に注文が一つ。 「Windows にも良いところはあります。それは ...」という帯のコピーは, 本書の内容を正しく反映してない :-(

2004-06-12


レッド・ドラゴン [決定版] : トマス・ハリス : 早川文庫NV

レクター博士のシリーズ (?) の一作目。でも当人の登場場面は少ない。 犯人の背景描写としての幼少期の場面は, まあなんというか, 娯楽性やテンポには欠けるかな。 え ? サイコ・サスペンスとしての出来具合ですかぁ ??

2004-06-12


「ファインマン物理学」を読む : 竹内薫 : 講談社

副題「量子力学と相対性理論を中心として」
こんな本を読んでる暇があったら「ファインマン物理学」読みなよ (笑), ってきっと著者も言うに違いない。 しかし今時のカルチャーセンターは, こんな話題も取り上げるんだ, オソルベシ。 それに比べて, イマドキの大学生は ... (以下自粛)。

2004-06-12


ハンニバル : トマス・ハリス : 新潮文庫

クラリスに意地悪する役人とか気持悪い大金持ちとか, そんな登場人物のせいもあってかレクター博士が何とも魅力的であることか。 しかし遂にはクラリスまで人食いに傾くとは, 衝撃的だ !

2004-06-02


怪盗クイーンと魔窟王の対決 : はやみねかおる : 講談社青い鳥文庫

やっぱこーゆー C 調があってるみたい。そうか夢水*名探偵*も, そうだっけ。 でも「勤労意欲のかたまり」ってあたりの種明かしは, ちょっと時系列の点で首をかしげるのだけど。

2004-05-21


永遠の森 博物館惑星 : 菅浩江 : 早川文庫JA

「○○惑星」という SF といえば, ハイウェイ惑星などを思い浮かべるのだけど, これは全然違う。そもそも惑星ですらなくて, 地球の衛星だ。 などというアゲアシ鳥がくだらなく思えるほど, 素敵な作品だった。 解説に曰く「知的で, 軽やかで, ロマンチック」 「世界は SF, 題材はアート, 手法はミステリ」。 全くその通りだ。

2004-05-20


日本語力と英語力 : 齋藤孝+齋藤兆史 : 中公新書ラクレ

上達の法則とは「右手に素読, 左手に文法 !」だそうだ。

2004-05-20


クレギオン 4 サリバン家のお引越し : 野尻抱介 : 早川文庫JA

これも巻末の特別解説が, 本作 (シリーズ, あるいは作家) のすばらしさを うまく語っているので, 付け加えることは (今のところ) ない。

2004-05-12


羊たちの沈黙 : トマス・ハリス : 新潮文庫

クラリス・スターリング, ハニバル・レクター博士などが登場して活躍する 迫真のサスペンス/スリラー。 巻末の解説が等を得ているので, ここで繰り返すことは省略。

2004-05-11


第六大陸 (1), (2) : 小川一水 : 早川文庫JA

久々に一気読みしてしまいました。 で, ただ一言, 「月へ」

2004-05-07


日本人の壁 : 中山治 : 洋泉社新書

敢えて「壁」にしなくてもいいと思うのだが, とりあえず「○○の壁」っていうのが流行りのようだ。 これはまぁ複数のモノサシによる日本人論だ。 定量的な話ではなくて, 印象批評のようなものだが。

2004-05-06


おちおち死んでられまへん : 福本清三 (聞き書き/小田豊二) : 創美社・集英社

日本一の斬られ役, 代表作「なし」! の大部屋役者がトムさんの映画に出演。 その時のことや他のことをいろいろ語る。

2004-04-27


塵クジラの海 : ブルース・スターリング : 早川文庫 FT

へーっ, あのスターリングがこんな作品を書いていたんだぁ, って 言うような, ちょっと幻想的な雰囲気のあるデビュー作。 でもドラッグと人体改造などの要素は, しっかりと盛り込まれている。

2004-04-21


凹村戦争 : 西島大介 : ハヤカワSFシリーズ Jコレクション

著者や作品のイワレも知らないし, 思い入れも何も全くなかったのだが, タイトルと帯の言葉が気になって手にとってしまった, だだそれだけの漫画です。 内容もどーってコトなかった (失礼しました)。
帯には東浩紀による 「きみとぼくの非日常に隠されたメタとネタと萌え/SFはここから変わる」 とあった。 SFネタとしてみれば「凹村戦争(おうそんせんそう)」は, ただちに H. G. ウエルズの「宇宙戦争」をオーソン・ウエルズがラジオ放送して パニックを誘ったエピソードを想起させる。 事実この作品は, 真っ先に「二人のウエルズ氏」に捧げられている。 そして目次を見ると, SFファンにとってはニヤリとさせられるネタのオンパレードだ。 「1.遊星から(より)」 「2.ツァラトゥストラはかく語りき」 「3.スペースインベーダー」 「4.No.6」 「5.怒りの脱出」 「6.宇宙は見えるところまでしかない」 「7.スーパーフラット」 「8.受験≒戦争」 「9.エスケープ・フロム・L.A.」 「10.すべてがあるべきところにある」 「11.ウォー・フィーバー」 「12.凹村戦争」 「13.都市と★」 いくつわかるかな ?

2004-03-29


やぶにらみ科学論 : 池田清彦 : ちくま新書

ちっともヤブニラミじゃない。快刀乱麻, バッサリとやってくれる。 錦の御旗を立てた原理主義者にモノ申すところが痛快で新鮮だ。

2004-03-25


クレギオン 3 アンクスの海賊 : 野尻抱介 : 早川文庫JA

ミリガン運送のトリオが粋な海賊さんたちと仲よくなって, って何か違うゾ !

2004-03-25


タクラマカン : ブルース・スターリング : 早川文庫SF

サイバー・パンクの旗手として登場したスターリングも, 今では SF 界のメインストリーム。 巧みな想像力でつづられる近未来の世界・社会が, ここに在る。

2004-03-18


日本の衛星はなぜ落ちるのか : 中冨信夫 : 光文社 ペーパーバック

最近, H2A ロケット打ち上げ失敗や種々の観測衛星の機能不全による 失敗とやらを, よく見る気がする。 構造的な原因があるのではないかと言うところで (ここは私の解釈), 著者は「設計思想ゼロ」と云う。
「国産化率 100 %」との物言いに潜む嘘には唖然とさせられたが, セクショナリズムなお役所体質が, これまた極端に「失敗」を嫌うのだろうな。 科学とか技術ってものをわかってないんだね。 「研究開発」と「実用」の違いについては, まさに著者の言う通りで, 「実用段階のロケット」で確立されていない新技術を使うのは, リスクが高すぎるね。 科学者・技術者が先端技術に挑戦したいのは理解できるが, 「実用段階のロケット」でそれをやるのはおかしいということだ。 別な言い方をすれば, 研究をきっちりやる環境が整えられていないわけだ。 私としては, 研究に対する敬意とか研究支援体制がなってないのだと言いたい。
そうかと言って, アメリカやソ連などの成功した実績のある国々の「設計思想」が 全て正しいかのような言い方をされると, これもまたちょっと待てよという気になる。 まぁ戦闘証明済 combat proven ではあるのだが。

光文社ペーパーバックというシリーズをはじめて知った。 過剰包装を排してのペーパーバックというのは良いのだけど, 文体が特殊すぎて 読みにくい。 例えば ``「大気圏再突入 (Reentry)」をする'' であれば, 特殊な用語について 和文に英文を添えたと見ることができる。 しかし ``宇宙開発先進国が結集 get together して, ...'' っていう書き方は, いくらなんでも ヤリスギ でしょう。

2004-03-01


ハッブル望遠鏡で見る 驚異の宇宙 : 伊中明 : 技術評論社

HST による息を呑むような美しい天体写真は, 3D となって目の前に広がる ! 映画 ST 1 (ボイジャー) で, エンタープライズ号が星雲の中を静々と進む 場面があったと記憶している。 本書では, そういった感じの散光星雲やら何やらまでもが 3D で浮かび 上がるんだな, これが。
前作の「星が飛び出す星座写真」と比べても, 背景にある多数の星々がノッペリとした平板にならずに, ちゃんと奥行きを持って配置されているのが嬉しい。

2004-02-28


シャーロック・ホームズ対切り裂きジャック : M・ディブディン : 河出文庫

世紀のヒーロの対決を, なぜワトソンが記述しなかったのか。 またジャックが逮捕されなかったのはなぜか。 それらの謎を一挙に解決する秘められた「ワトソン文書」が, 明らかになる。 またワトソンと A. C. D. との関係も明かされる。
ってか (?)

2004-02-28


魔法探偵社よ、永遠に ! : ロバート・アスプリン : 早川文庫FT

マジカルランド 第12弾。とりあえず一区切り。 いろいろと回りに気を使いすぎていっぱいいっぱいだったスキーヴくんも, これで一人前になったね, っていうのを裏から見たお話なのだ。 前作 (ってどれだ ?) は, そんな内容だったっけ ?? すっかり忘れとるよ。 正編の後始末的大団円とおまけの短編なわけだが, これでシリーズ終了かと 思わせておいて, まだ続編があるそうだ。

2004-02-22


叫ぶ ! C プログラマ : 藤本裕之 : ソーテック社

「プロが説く C のカラクリと落とし穴」という事になっているが, 主題はちょっと違うような気がする。 まあ, そういうことをネタにしたエッセイ集ではあるのだけど, いろいろと脱線が多くて, そっちの方が楽しめます。

2004-02-22


クレギオン 2 フェイダーリンクの鯨 : 野尻抱介 : 早川文庫JA

クレギオン 1 ヴェイスの盲点 : 野尻抱介 : 早川文庫JA

作者の弁によれば, もともとが RPG を母胎としてるのだそうだ, もちろん テーブルトークね。ま, トラベラー系かな。 確かに, 少人数のチームで違法すれすれの運び屋ってのが, いかにもな所ではある。 しかし世界の設定はなかなかにしっかりと科学考証されていて, 良くできている。 そしてその設定に溺れることなく, それなりに面白いキャラが飛び回ってる。 続編に期待するか, それとも富士見書房版を探すか ?

2004-02-20


僕と先輩のマジカル・ライフ : はやみねかおる : 角川書店

大学生活ってこんな感じ, ただし何十年前だ ?? ってなもんだ。 登場人物のそういう性格付けなのだが ...... 深く掘り下げて考えるとか, 内面の成長とか, はたまた事件の社会性とか, そういった面があまり感じられない。 ジュブナイルなら大人にとっては他愛のない事件であっても, 子供にとっては重大事件 ! と微笑ましいのだが, 大学生でこれをやってもなぁ。 ところでこの本って, 著者が想定している読者層はどこにあるんだろう ? と思ってしまったのでした。

2004-02-02


ファインマンさん最後の授業 : レナード・ムロディナウ : メディアファクトリー

博士の学位を取得して, さあこれから研究の世界に踏み出そうという若き研究員と 晩年のファインマンとの交流。心の交流と言ってもいいかもしれない。 これもまた研究とはどういうものかを教えてくれる好書, すんなり読めた。

2004-02-02


光速より速い光 : ジョアオ・マゲイジョ : NHK 出版

アインシュタインの相対性理論は間違っていたとキワモノ理論を主張する人が 絶えないが, 初めはこれもそのひとつかと思ってしまった。 しかし個人的に注目している訳者が翻訳しているので, 手にとってみた。 訳者あとがきも上記の感想から始まっている。 しかし ...... というわけだ。
ということで, この本をまじめに取り上げる価値は, その訳者あとがきに 記載されているのであった。 それじゃあ感想文にならないので, もう少し言葉をならべてみることにする。
まずこの本は, 従来の宇宙論の良い解説になっている。 その後に VSL 理論の着想から発展が, 著者の個人的な研究生活の話として, 科学研究の現場の息吹とともに語られるのだ。 ここには, 本当の研究とはどういうものか, 研究者の心構え・価値観, 科学とはこういうものだとの科学観, 本当の研究室・研究所の雰囲気, ......, そういったものが感じ取られる。 現場にいる者として「かくありたい」とも思う。
「研究」ということがどういう事なのか, 乏しい経験と貧困な想像に基づいて 決めつける。 そして狭い視野で研究室を選択する。 何を為すのかを考えず・為すことの意味を考えずに, どこかに答えが書いてないものかと右往左往して探すだけ。 すなわち ``見つからない=解決できない'' というわけだ。 そんなことに労力だけは費やすので, 疲労感は得られ, 何事かを成し遂げたと錯覚する。 そんな「大誤解クン」がいないことを願う。
そして最後に VSL 理論の今後の発展についても触れられているのだが, このへんは漠然とした話だけなので, ふーんとしか言えない。 だいたいそんな感じ, 変な感想文だな。

2004-02-01


龍のすむ家 : クリス・ダレーシー : 竹書房

こんなすてきな龍なら, 欲しくなっちゃうね。 自分の龍がどんなものになるだろうかと, 考えるだけでもほのぼのとした 気持になれる。 しかしリスに(おっとハイイロリスだ)拘るルーシーがちょっと五月蝿すぎだなぁ。

2004-01-25


ねじとねじ回し : ヴィトルト・リプチンスキ : 早川書房

「この千年で発明された最高の道具とは ?」という問いに答えようとしたエッセイ。 つい数年前のミレニアム記念の時期に依頼されたショートエッセイがきっかけだが, 技術史的に ``この千年'' に意味はないと思うが, 結果は非常に興味深い ものであった。 ただし, 旋盤関連 (ねじの溝を掘る機械) の記述はややわかりにくくて, また唐突な感じでねじの父の話題で終わっている。 このエッセイだけで一冊の書籍とするのにはやや物足りない感じで, 他の数編とあわせて (もしあれば, なのだが) 短編集にするのが良かったかと思う。

2004-01-18


量子の宇宙のアリス : ウィリアム・シェインリー 編 : 徳間書店

副題は「現代科学が開いた新しい世界像を体験する」。 期待していたよりも, つまらなかった。 前半は量子論のいろいろな解釈論を順に紹介するような形なのだが, いくつかの考え方を知っている人にとっては「ああ, あの事か」と わかるものの, そうでない人にはどうなんでしょうね。 そして後半は相対論的宇宙論の様なものも一部に出てくるが, おおむね思弁的な話で, 単にコトバをいじり回しているだけのようで, 「それがどうした ?」とか「結局何が言いたいのか ?」という感じ。 題材としては面白そうなのに, どうしてこんなにつまらなく読みにくくするかなぁ。 などと考えつつ, もしかして翻訳のノリが悪いのかなぁとも思っていたら, 巻末の用語解説で ガッカリ。 不確定性原理の説明で量子的に相補的なペアとして「インパルスと場所」だそうだ。 あぁぁ, こんな基本的なこともちゃんと翻訳できないなんて, 本文内容でもかなり 怪しかったりするのじゃないかなと思わせる。

2004-01-10


さまよえる脳髄 : 逢坂剛 : 集英社文庫

(「逢」の字のしんにょうは点二つ)
機能の発現としての人の精神・意識と, 基質としての脳の障害とを うまく絡ませて織りなす心理サスペンス。 よくできてる, という一言につきる。 ゴチックの活字で組まれている誰かのモノローグ部分を誰が述べているのか, そして本文中の出来事の展開との関係に気付いてページをめくり返して 確認したときには, 仕掛けの巧妙さにぞくぞくした。

2004-01-09


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