いきあたりばったり読書日記 (仮題) (2003 年版)

ジャンルは著しく偏っています。主として以下のように分類できそうです。 There are counter hits, thank you. (scince 2000-Feb-07)
Venus of Milos

ハイド氏の奇妙な犯罪 : ジャンピエール=ノーグレット : 創元推理文庫

ストーリーとしてはハイド側から見たスチーブンソンの ジキル&ハイド なのだが, ホームズもちょびっとだけ登場する (四つの署名事件)。 テムズ川においての船での追いかけっこの場面で, 逃げる側の吹き矢の名人(トンガ ?) がハイド氏におきかわっている。 ホームズもののパスティーシュとしては, ただそれだけ。 むしろ著者は研究論文の方が書きたかったのではないかと思われる。 エンターテイメントの短編小説としては, 残念ながらややマイナス点。

2003-12-29


魔法使いになる 14 の方法 : ピーター=ヘイニング 編 : 創元推理文庫

ホノボノしたものから, くらーい闇って感じのものまで, 色々取りそろえてあります。

2003-12-29


オトナ語の謎声。 : 糸井重里 監修 : ほぼ日刊イトイ新聞

ほぼ日刊イトイ新聞 (http://www.1101.com) で話題沸騰なのだそうだ。 しーーばらく, 見てなかったけど。 んで, アルアル って感じの言葉がいっぱい。 解説してもらわなくちゃわかんないっていう感覚がわからないのは, 自分がオトナ語に毒されている証拠かな。ヤダヤダ。

2003-12-29


声に出して読めないネット掲示板 : 荷宮和子 : 中公新書ラクレ

別件が滞っているうちに, こっちを一気読みしてしまった。 2ch での「折り鶴オフ」関連の掲示板への書き込みを通して, 現代の若者論を説く, ってかんじかな。 いや, この著者は, 2ch に書き込む世代の中心はいわゆる若者よりちょっと上の 年齢層と見ているのだが。 普段見ている大学生の行動パターンの謎と対比して, いろいろと思い当たる フシがある。

2003-12-21


毒味役 : ピーター=エルブリング : ハヤカワ・ノヴェルズ

ちょっとソフトカバーで小降りなサイズの本。 そういう装丁でもちょっとおしゃれ。 まず形式なんだけど, 古典的なフレーミングストーリーの手法を取り, 古文書「ウーゴ・ディフォンテの手記」を翻訳出版したとの体裁で, その古文書の入手過程などを始めに述べている。 リアリティを持たせる手法だとの解説も述べられているが, そんなことは全くなく, 単に古典的な物語の物語り方の手法を踏襲しているだけ。 余計な理屈付けはイラナイ。
主人公は田舎領主の宮廷の毒味役に引っ立てられてしまうのだが, 食や毒に関する知識などまるでないただの農民出身。 領主様にしてみれば, 毒を食らって死んでしまえば, 次の人を引っ張ってくるだけの消耗品なので, 知識などはいらないということか。 でもウーゴは, それなりに知恵を巡らせ, 廷臣や料理人たちとの 駆け引きをこなし, 領主様のご機嫌をとりと, いろいろやるわけだ。 ダメダメな農民だったのが, そういう右往左往をしているふうが, 良く書けていておもしろい。

2003-12-08


ふわふわの泉 : 野尻抱介 : ファミ通文庫

とうとう GET して読みましたっ ! マッドサイエンティストによる架空の物質やら, 突然のファーストコンタクトやら, SF ネタのてんこ盛りでありながら, 「ふわふわ」とまるで緊張感のカケラもない。 ストーリー展開もある種ご都合主義的だし。 でも考証はしっかりしていて, ゆえに楽しめる一品。

2003-12-05


安楽椅子探偵 アーチー : 松尾由美 : 東京創元社

もう本当に 100 % 文字通りの「安楽椅子探偵」です (微笑)。 第四話は, 主人公は小学生なのにストーリーがどう転んでしまうのかと 読んでいて心配になりましたが, とりあえず軟着陸してホッとしました。 ミステリとジュブナイルとのミックス的な色合いで, ほのぼの感のあるエンターテイメントと言えるでしょうか。

2003-11-24


われらの有人宇宙船 : 松浦晋也 : 裳華房

ポピュラーサイエンスシリーズの 258 番。 いいないいな, これはずごいね。 良く考えてあって, かなりの確度で実現可能かと思ってしまう。 まずは, 歴史的な流れをおっての宇宙輸送システムの検証, そして現行のシステムの検証をしっかりふまえている。 そしてその上に, 現代の技術レベルを基礎に置いて, 実現可能な案を提案している。とってもワクワクする。 最後はこの様な技術といえども, 現実の社会と掛け離れては *本当の* 実現は かなわないところから, お金や政治向きの話にまでふれている。 しかし政治が関わるとウツになるな。

2003-11-22


ぼくと未来屋の夏 : はやみねかおる : 講談社

ちょっとどうかな。申し訳ないが, だんだんネタ切れというか, 同工異曲かな。 未来屋さんはまるで夢水名探偵さんだしね。

2003-11-22


攻殻機動隊 1.5 Human-Error Processer : 士郎正宗 : 講談社

ついでにこれもマンガだ。CD-ROM + Booklet ということらしい。 内容は, まあ, その後の 9 課というか, 9 課の毎日というか。 9 課はトグサが主力になっていて, バトーらはちょっと異動してるっぽい。 そうそう, バーコードっぽいセリフが新しいね。 マシンに何かコマンドを発しているという設定なのでしょうが。
あいかわらずの書き込みだが, 某テレビ番組で士郎正宗を取り上げているのを 目撃した。その「初級入門講座」とか「中級編」などが可笑しかった。 その目でこの作品を読むと ......
まあ CD-ROM は無くてもイイな。というか, ありがちだけど, スクリーンセーバーや壁紙などもっと盛り込みようがあるでしょうにね。

2003-11-18


少年名探偵 虹北恭助の冒険 高校編 : やまさきもへじ&はやみねかおる : 講談社

マンガだけど, だって, はやみねの原作なんだもん。 コマの隅っこに描かれた手がかりはあるのか ?

2003-11-18


神聖ローマ帝国 : 菊池良生 : 講談社現代新書

中近世ヨーロッパの中心に古代ローマ帝国の復興を目指して建てられた国の 実体・実像はあったのか。

2003-11-18


都会 (まち) のトム & ソーヤ (1) : はやみねかおる : 講談社

新シリーズ開幕, どんなもんでしょうか, まだ模様眺めですかねぇ。 創也のソーヤはいいんだけど内人のどこがトム ? (何かあるのかな ?) 平凡なはずの内人が, 最強のサバイバル能力を発揮するところがイトヲカシ。 挿絵入りのそっちの方が, 創也ホームズの推理よりもメインだったりして。

2003-11-10


呪われた天使、ヴィットーリオ : アン=ライス : 扶桑社ミステリー

ノヴェラ第二作目。 これまでのクロニクル登場人物(登場バンパイヤ)のレスタト達は 全く出てこなくて, 全く独立な血の系列か。 マリウスあたりとの絡みはあるのか ? などということとは全く無関係に, 単独で鑑賞する作品。

2003-11-08


閉じた本 : ギルバート=アデア : 東京創元社

装丁というか, ソフトカバーっぽい表紙がいい感じ。 ミステリとしてはどうかな, 帯や書評や解説やらでわりと誉められているようですが。 叙述方法については, 一人称の会話と独り言のみというのは, 確かに珍しいが, でも過去に例がないわけじゃない。 ストーリーというか叙述内容については, 書き込みがわりとあっさりしている感じ。 ラストがちょっとバタバタってなってしまったように思われた。 メタ・フィクション的にはやや難ありでは ?

2003-11-08


アホでマヌケなプログラミング : Lepton : 翔泳社

Web 上の週間コラム 「闘わないプログラマ」の書籍化。

2003-10-27


生涯最高の失敗 : 田中耕一 : 朝日選書

いちおうお約束ということで。 しかし「生涯最高の失敗」と言ってしまっては, 今後のエンジニア生活でのセレンディピティーは ... ? とか思ってしまう。

2003-10-23


陰陽師 首 : 夢枕獏・村上豊 : 文藝春秋

陰陽師シリーズ, フルカラー絵物語第二弾。 せわしなき日常をしばし離れて, あやかしの世界でゆったりと過ごす。 絵や本の装丁もまた良し。

2003-10-19


「頭がよい」って何だろう : 植島啓司 : 集英社新書

何なんでしょうね ? 不思議を不思議として楽しみ, そしてその謎を解いてまた楽しむ。 そんな好奇心と, 心のゆとりと, 発想の自由かな。 こういう時に対比して取り上げられがちな「知識」は, そりゃあ無いよりも豊富な方がいい。 詰め込んだ後に死蔵するから悪いのだ, 活用すべし。

2003-10-19


しあわせの理由 : グレッグ=イーガン : ハヤカワ文庫SF

そうかぁ, しあわせなのには物理的・化学的な理由があったのかぁ, って。 なかなかにソリッド感のある短編がそろっている。 「ハード」というのとはまた少し語感が違うんだな。 何て言うか読んでいるときに, こうクッと来るわけだ。

2003-10-01


あやかし修学旅行 : はやみねかおる : 講談社 青い鳥文庫

名探偵夢水清志郎事件ノートなわけだけど, まぁ名探偵はどうでもいいや。 最近あんまり冴えないし ...... それよりか, 学園生徒の修学旅行に賭ける^H^H^Hかける想いと, 垣間見られる学園の各種のサークル活動の様子が, とっても可笑しくて楽しい。 あ, しおりの出来映えもナカナカなもんです, と誉めてみるテスト。

2003-09-08


星がとびだす星座写真 : 伊中明 : 技術評論社

フルカラー 3D・立体視 の星座の写真。 面白い, 面白い !!
星座っていうのは, 地球から見て天球に貼り付いているように見える星の並びだ。 しかし実際の星は, 広大な宇宙空間に三次元的に分布しているわけだ。 すなわち星座としては隣の星でも, 本当の空間配置では奥行きが 異なっていて全然隣じゃない。それを立体視で表現しようと言うわけだ。
まるで星々の世界に旅立ったような気持ちにさせられる。ステキです。 惜しいのは, 用いた星のデータが限られているために, 背景としての天球に 小さく暗い星が貼り付いているように見えるところ。 ぜひ解説でも言及しているヒッパルコスの約 12 万個のデータで, 星を描いて欲しい。 どんなにすてきな星の海が目の前に現われることだろう ! 想像するだけでもウットリ。

2003-09-07


陰陽師鬼談 安倍清明物語 : 荒俣宏 : 角川文庫

しまった, これ「夢々 陰陽師鬼談」の文庫化 だったのかぁ。ずいぶん昔だ。 さて, それぞれの作家が同じ題材で書いてるわけだけど, 面白さ・出来映えは人それぞれってことだね。 荒俣氏は知識は膨大なんだろうけど, なまじ伝説や講談にのっとるから, 物語の独自の彩りに欠けるってことかな。 帝都の前半のような面白さはないな。 まぁ, 厩戸皇子が出てくる (それもやや悪っぽく) のが, 陰陽師の系列 (方士か) としては特異だ。

2003-09-07


八妖伝 (はちようでん) : バリー=ヒューガート : ハヤカワ文庫FT

霊玉伝 (れいぎょくでん) : バリー=ヒューガート : ハヤカワ文庫FT

三部作になっちゃった, その二 (下) とその三 (上)。その一はこちら
その三の解説にある「マジカル・ファンタジック・チャイナ」というのがピッタリ。 ついでに「ミステリ」とか「伝奇」とか「冒険」とか, このワクワク感には いろんな言葉が出てくる。 ワクワク感については, その二の解説で言ってたけど, ... (以下略)
しまった, 訳者に敬意を表して, それなりの漢語じゃなくっちゃだめじゃん。

2003-09-05


サイレジア偽装作戦 : デイヴィッド=ウェーバー : ハヤカワ文庫SF

オナー=ハリントンその6。 解説にもあるように, とうとう古典のホーンブロワーが出てくる。
今回の物語では, 幅を持たせようとする効果というか著者の意図は認めるが, 少し視点が分散しすぎのような気がした。 やろうと思えばそれぞれをもっと深く書き込めるであろうに。

2003-08-26


ミニチュア庭園鉄道 : 森博嗣 : 中公新書ラクレ

副題は「欠伸軽便鉄道弁天が丘線の昼下がり」。楽しそうでいいですね。

2003-08-23 記


数学をなぜ学ぶのか : 四方義啓 : 中公新書

題名から予想される内容は,「こんなに役に立つから, 数学をぜひ勉強しましょう」 というものだったが, そうじゃなかった。やっぱり数学は哲学だ, という話だった。 それが悪いワケじゃなくて, 数学の背景にある思想・発想の話は, それなりに 興味深い。ただし 安寿と厨子王 や かぐや姫 の例え話が良いかどうかや, そもそもの文面というか話し方が良いかどうかは別だ, というかややマイナス。

2003-08-05


アンチ・ハウス : 森博嗣+阿竹克人 : 中央公論新社

例によって心地よいくらいに森氏の個人的な思想がハッキリと出た ガレージづくりレポートだ。ま, 著者に言わせれば当たり前のことだが。 施主・設計者・施工者・お役所などの関係も, 実体験したことのない 普通の人には分かりにくくいまいちピンと来ないところだが, これで疑似体験できる。 ガレージ制作部の解説も, 建築学科の人だけあって, 本人がわかって説明している から読む人にもわかりやすい。

2003-07-07


陰陽師 ---安倍清明の末裔たち : 荒俣宏 : 集英社新書

最近「陰陽師」のブームだそうで, その中心は夢枕獏の清明&博雅コンビの小説と そのマンガ・映画・テレビドラマだと思われるが, そのルーツというか前史は荒俣の小説「帝都物語」とその映画だと 個人的に勝手に思っている。 その荒俣が現実の実在の陰陽師に会いにいくという話。

2003-07-06


質問力 : 齋藤孝 : 筑摩書房

うんうんって感じだったし, 読みやすかった。 売れてるらしいことにある種のオドロキかな ?
着眼点について言えば「何がわからないのかがわかれば, ほとんど解けたも同じ」と かのアインシュタインが言った (もちろん日本語じゃないけど) ことにつきる。 われわれ研究者にとっては, ある種あたりまえのことだ。
ただし一般向けに座標軸を導入して質問の良し悪しを評価する方法は わかりやすくて良いね。 その軸の取り方が面白いから「大人ゾーン」「子供レベル」など愉快だし。
でもこの「質問力」は, もっぱら対人コミュニケーションを念頭に置いたものだ。 理科的な勉強・学問においては, 「子供の質問」すなわち 聞き手は聞きたいが話し手は言いたくないという分野の質問が良い質問だと思う。 もっともこの場合の ``話し手は言いたくない'' の理由は違うけどね。
ところで, 対談 (インタビュー) の実例にそっての解説で紹介されていた 33 の質問にとっても興味があるなぁ。

2003-06-26


ダイオキシン 神話の終焉(おわり) : 渡辺正+林俊郎 : 日本評論社

「地球と人間の環境を考える」っていうシリーズの (2)。 これもまた, あるところで取り上げられていたもので, 興味を持ったから。
さて, この本の主張は かなーり説得力あるよなぁ。 冷静に論理的に話を進めている所も好感を持てるし。 特にこの国は, 理科っぽい話題のくせにミョーに感情的になって, わからないものはワカランと言うことが誠実で公正なのに, むりやりにでも白黒を決めつけたがって極端に走る。 今現在環境中にあるダイオキシンの出どころはどこと考えれば良いのか, どのくらい危険だと考えればいいのか, 落ち着いてこれまでのフィーバーを振り返って検証する必要あり。

2003-06-26


キャッチャー・イン・ザ・ライ : J=D=サリンジャー : 白水社

村上春樹による訳。 すうっと入ってくる, わりと現代っぽい口調で, 主人公のホールデンが, 何があったか・どう感じたかをえんえんと語りまくる形。 ところで, 学校を退学させられて, 寮を飛び出してうろつき回ったり, 不良ぶったりしているけれど, けっこうイイトコのお坊っちゃまか ? そもそも, 何度やめても親には学校に入れてもらってるし, コロンビア大学に行ってる友人がいたりするし, どうやら父親はオフィスを持ってるホワイトカラーらしいし ...... で, 結局のところ「ライ麦」って何だ ?

2003-06-05


教育を経済学で考える : 小塩隆士 : 日本評論社

ある人があるところで取り上げていたのを見て, 読んでみたくなった。 で, 感想なんだけど, なるほどねって感じ。 著者もあとがきに書いてるけど, 本書では具体的なデータに基づいた 議論をしていない。 でも, こんなアプローチがあるんだと思わせる点で, 最近の「教育論」とは 一線を画していて興味が持たれる。

2003-06-05


なにも見ていない : ダニエル=アラス : 白水社

副題「名画をめぐる六つの冒険」
えっと, 私は読書の他に美術鑑賞も趣味としているのだけど, その ``おもしろがる'' っていうか, ``気分次第'' というか, あるいは ``蘊蓄を傾ける'' というスタンスにピッタリ。

2003-05-28


ウロボロスの波動 : 林譲治 : 早川書房 (ハヤカワ SF シリーズ J コレクション)

林版のノウンスペース/宇宙(太陽系)開拓史というところかな。 人間関係やコンピュータネットなどの扱いは, わりと現代的だね。 今後の太陽系外への拡張やファーストコンタクトへの展開に期待。
短編間に挟まれているツナギの文章について, 初めは開拓史を俯瞰して 客観的な立場から (例えば後世の歴史家が) 書いた風だなと思っていたら, 最後のオチにやられたって感じ。

2003-05-28


科学の大発見はなぜ生まれたか : ヨセフ=アガシ : ブルーバックス

科学という哲学の流れを優しく紹介している。 原著は以外に古く 1968 年だから, 現代科学の最先端すなわち量子論には ほとんど踏み込んでいない。おしい。

2003-05-28


検疫官 : 小林照幸 : 角川書店

時節柄, 「検疫・感染症」についてあらためて見直すとともに, その現場での戦いの迫真の描写にひきこまれた。

2003-05-25


バイバイ スクール : はやみねかおる : 青い鳥文庫

ほーむず と わとそん の活躍 (謎)。 吾妻ひでお による挿絵つき !! なるほど, はやみねの原型はここにある。

2003-05-11


怪盗クイーンの優雅な休暇(バカンス) : はやみねかおる : 青い鳥文庫

あいかわたず楽しくてカッコイイ怪盗の, 豪華客船クルージング休暇。 敵味方入り乱れての大活躍 ! 「怪盗の美学」も必読 !! (笑)
かくして「ローマの休日」は幕を下ろす ...... (謎, 微笑)

はやみねかおるの他の作品たち: 夢水清志朗, クイーン, 虹北恭助

2003-04-26


少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険 : はやみねかおる : 講談社ノベルス

少年名探偵 虹北恭助の新冒険 : はやみねかおる : 講談社ノベルス

少年名探偵 虹北恭助の冒険 : はやみねかおる : 講談社ノベルス

いや, その, なんというか, あれですね。 あいかわらずの, ほのぼのとした味を出している。
とても漢字で書くと勇嶺薫なんていさましげな画数の多い名前とは思えない (クスッ)。

2003-04-22


陰陽師 太極の巻 : 夢枕獏 : 文藝春秋

このシリーズも息が長い。ゆるりとした空気感がステキですね。
龍笛, 瘤取り, ...

2003-04-17


暗号の秘密とウソ : ブルース=シュナイアー : 翔泳社

コンピュータセキュリティに関する最も実践的で現実的な本のひとつと 言っていいのではないかな。 結局, 技術だけですべて解決できないってコトだ。 ちょっと誤植というか誤変換 (?) が気になったけど。

2003-04-16


きみの血を : シオドア=スタージョン : 早川文庫NV

モダンホラーにしてニュータイプヴァンパイあものの鼻祖だそうだ。 歴史的な価値は置いとくとして, 凝った小説であることは確かだ。 物語が語られる形式は。 いやむしろ逆に, ある意味では伝統的な形式と言えるかもしれない。 以上は形式についての論である。
じゃあ内容についてはというと ...... 乾いた, そして冷めた空気をまとって語られる物語は, その表面とは裏腹に, 幾重にも奥がありそうで, 空気感とあいまって不思議な感覚が呼び起こされる。
決して好感の持てる小説ではないが, 妙に心のひだに残る。不思議な作品。

2003-04-15


2次元より平らな世界 : イアン=スチュアート : 早川書房

A=スクエアのフラットランドの続編っぽく書きはじめられているが, なかなかどうして, 現代の幾何学・物理学の最先端までの旅を届けてくれる。 そしてまたユーモアにあふれていて, 訳も秀逸だ。

2003-04-12


量子力学とはなんだろう : 長岡洋介 : 岩波ジュニア新書

今時のジュニアに「量子力学と私」って言っても, わっかんないだろうなぁ。 この本は, なんだろうに答える書物ではなくて, なんだろうかと思った著者が こんなことを順に勉強して理解してきた, という遍歴の書なのかも。 ジュニアには適さないと激怒する先生もいたが, 深く考え込まずにさらっと読み流す程度ならいいのかも。

伝導電子の *波* が真っ直ぐ進むの説明には, なるほどと思ったね。 また運動量空間についてのイメージが何となく分かってきた気がする。 しかしフェルミ球と関連しての, エネルギー差がほとんど無いところに 電子が移れる空いた順位がたくさんあるとの説明の意味はわからないなぁ (p. 153)。

2003-04-11


ハリー・ポッターをばっちり読み解く 7 つの鍵 : 小谷真理 : 平凡社

種々あった関連本・深読み本・ファンブックの類いの中では, かなりましな方。 もっともレベルは「 9 歳から 108 歳まで」の前の方に寄っているけど。

2003-04-03


立花隆秘書日記 : 佐々木千賀子 : ポプラ社

秘書選びの顛末を立花隆の著作で読んだ覚えがあるが, これはその当事者からの告発。 立花隆の日常スケッチもあって興味深いが, いろんな事件があった時期・先端研に関わった時期の 奮闘ぶりも興味深い。 最後はちょっと哀しく終わるが, その後の著者の経歴を見もすれば, この人をして秘書たりえたのかと納得もする。

2003-03-29


シャーロック・ホームズ ベイカー街の殺人 : エドワード=D=ホック 他 : 原書房

例のアンソロジー第三弾 (第一弾, 第二弾)。 今回はクリスマスに限らないし, ドイルのエッセイもある。

2003-03-29 記す


頭はよくならない : 小浜逸郎 : 洋泉社 (新書)

なかなかに挑戦的なタイトルだ。 まあ著者の論はわからんでもないが, そもそもの答えは「定義に依る」では ? ``頭がよい'' の定義と ``比較の対象'' の問題でしょう。 で, 著者の言うところの *限界* は, 幼少期の訓練しだいで 伸ばすことにも潰すことにもなるように思われます。
ついでに, 悪い頭を使って商売している言論人の例については, その方面に明るくないのでつまらなかった。 しかし著者にとってはこここそが書きたかったことなのではないかとも 邪推してしまった。

2003-03-29 記す


化学者のための多変量解析 : 尾崎・宇田・赤井 : 講談社サイエンティフィク

えっと, 読書ってわけじゃないけど, ちょっと気になったので目を通した。 うまく使えるかな ? 備忘録がわりにここにメモしておこう。

2003-03-04


科学を読む愉しみ : 池内了 : 洋泉社

どれもこれも面白そうだなぁ。読んでみたい本が増えてしまうではないか。

2003-03-02


量子力学の考え方 : J=C=ポーキングホーン : 講談社ブルーバックス

``相対性理論よりおもしろい'' との副題がついている。 ぼく自身もそう思うけど, こんな副題は原書にはついてないし, 本書の内容でもこんな比較をいろいろやってる訳じゃない。 さて本書の内容は, この手の本にしては珍しく歴史的経緯に沿った説明を *していない* のが特徴的だ。 不確定性原理と観測問題に注目している。

2003-02-28


ミステリィは誘う : 春日直樹 : 講談社現代新書

コンセプトは面白そうだと思ったのだけど, イマイチ内容がついてきていないのでは ? まあ「手がかり」の章が オリジナルとコピー の問題を提起していて 最も興味深かったが, その他はちょっとね。

2003-02-28


証拠は語る FBI 犯罪科学研究所のすべて : デイヴィッド=フィッシャー : ヴィレッジブックス (ソニー=マガジンズ)

それなりに興味を引かれる話題なんだけど, 内容の構成は細かなエピソードや 捜査官の証言 (例えば短いものは半ページ) の積み重ねであって, 物語として 集中して読めるようなものじゃない。 証拠物件の調査/検査/鑑定の過程を, 測定手段の原理の詳細から実際の物件に 当たっての苦労や結果とその評価というように順を追っていけば, 物語としても おもしろいと思うんだけどなぁ。 残念でした。

2003-02-22


Octave を用いた数値計算入門 : 北本卓也 : ピアソン・エデュケーション

Mathematica による量子物理学 : 松本紳 : 東京電機大学出版局

``読書''ってわけじゃないけど, ちょっと興味深かった。 そのうちパクってみよう ...... とここにメモしておく。

2003-02-08記


パンドラ、真紅の夢 : アン=ライス : 扶桑社ミステリー

バンパイアクロニクルの外伝的ノヴェラ。 こんどはパンドラがその出自を語る。 世界の記述にまたひとつ新たな視点と深みが加わった。

2003-01-22記


錬金術師の魔砲 : J=グレゴリイ=キイズ : ハヤカワ文庫FT

科学と錬金術と魔術とが織りなす狂気の^H^H^Hステキな 17 世紀か, はたまた歴史改変 SF か。 かつてのスチームパンクじゃ時代が違うし, ...そうか ! 「錬金術パンク」 (なんだそりゃ)。 ベン=フランクリンやニュートンやその他の冒険活劇 !
解説によると続編があるらしいので, 刮目して待て !!

2003-01-11


コナン・ドイル殺人事件 : ロジャー=ギャリック-スティール : 南雲堂

解説によると, 衝撃の告発なのだそうだ。 それはさておき, このタイトルはどうにかならんのか ? これではドイルが被害者みたいだ。オリジナルタイトルだって ``The House of the Baskervilles'' なのだから ... 内容については, ホームズの復活とダートムアの描写の豊かさなどから, 一つ目についてはありうるかと思わせる。 二つ目については, ここでの描写はあまりにも簡単に過ぎるので何とも言えない。 なによりも著者が幽霊によるこの告発へと導かれたとするのは, 英国人でない身にとってはイタダケナイなぁ。

2003-01-07


[1996] [1997] [1998] [1999] [2000] [2001] [2002]