国立大学法人 弘前大学 川上 淳(KAWAKAMI Jun)研究室 ホームページ
<光化学・有機蛍光色素・蛍光性化学センサー・トリプタンスリン誘導体>
since May 13, 2010
川上研究室は,理学部化学科有機化学講座,理工学部物質理工学科物質化学講座の流れをくむ研究室です。平成19年4月の理工学部の大学院部局化により,理工学研究科では講座制が廃止され,講座名はなくなりましたが,大学院理工学研究科及び理工学部物質創成化学科の有機化学系の研究室の一つとして運営されています。新規蛍光物質や蛍光性化学センサーの合成等,有機化学,光化学,超分子化学(ホスト-ゲスト化学・分子認識化学・分析化学)に関する研究を行っています。また,本学医学研究科との共同研究として,抗菌剤や細胞分化促進剤,細胞石灰化抑制剤などに関する研究も行ってきました。
現在は,蛍光性トリプタンスリン誘導体の合成と応用に関する研究を中心に進めています。蛍光性トリプタンスリン誘導体による凝集誘起発光(AIE),蛍光共鳴エネルギー移動(FRET),メカノクロミック発光(MCL)に関する研究に注力し,更なる発展を目指しています。
新着情報 メンバー紹介 研究テーマ 論文発表 学会発表 研究助成金 産学官連携
研究室配属(3年後期) 卒業研究(卒業論文の作成に関して) 修士論文研究(修士論文の作成に関して)
研究室所属者の就職及び進学先 (キャリアセンターHP) 研究室OB・OG 入試情報 研究室保有機器等
研究室紹介(「学園だより」, Vol. 170, 19-21, 2011.) 雑誌会紹介論文(2012年度以降) リンク集
オープンキャンパス模擬講義 化学への招待(2021年8月7日,FMアップルウェーブで実験の様子が生中継されました)
[受賞] 川上研M1の小成 颯太君が,令和6年度化学系学協会東北大会(秋田大学)でポスター賞を受賞しました(受賞日:2024年9月15日)
[受賞] 2023 JSCM Most Accessed Paper Award を受賞しました(受賞日:2024年2月26日)
〇川上 淳,リレーエッセイ「予期せぬこと」,ぶんせき(日本分析化学会機関誌),2022年2月号, p. 89.
〇川上 淳,光る物質を創る-光化学の研究-,弘前大学創立70周年記念出版『弘前大学レクチャーコレクション-学びの世界へようこそ-』,第一章 Lecture 5, 弘前大学出版会 (2020), pp. 31-38.
〇平成29年度化学系学協会東北大会有機化学セッションにおいて有機合成化学協会 東北支部推薦依頼講演 として発表しました。
Jun Kawakami, Synthesis and application of fluorescent tryptanthrin derivatives,平成29年度化学系学協会東北大会 依頼講演17C2,岩手大学(盛岡),2017年9月17日. 予稿原稿 発表スライド *画像・文書の転載を一切禁じます。
〇イノベーション・ジャパン 2016-大学見本市 & ビジネスマッチング (H28 8/25~26, 東京ビッグサイト)に採択され出展しました。
「トリプタンスリン誘導体による新規近赤外蛍光色素の開発」(出展分野:ライフサイエンス, 出展ゾーン:JST大学見本市ゾーン L-19 ) 展示ポスター 配布チラシ
弘前大学理工学部紹介動画
トリプタンスリン
特許証
「トリプタンスリン誘導体」
特許第5448046号
2-アミノトリプタンスリンの
各種溶媒中での蛍光スペクトル
J-STAGEに登録されている下記の査読付学術論文誌等でトリプタンスリン誘導体の論文が読めます。
トリプタンスリンの実用化研究
(弘前大学発ベンチャー第2号)
弘前大学・サンスター共同開発
藍潤エキス(トリプタンスリン)
含有スキンケアシリーズQiana
北原晴男先生監修「日英対訳 津軽の藍」
弘前大学の(日本の)トリプタンスリン研究は,2000年代に入って始まった弘前大学教育学部教授でおられた北原晴男先生の研究が契機となり発展してきました。
Googleで「蛍光性トリプタンスリン」と検索すると川上研究室HPが最初に出ます。
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○ 科研費による研究 (これ迄の科研費による研究課題はこちら)
・基盤研究C 「凝集誘起発光を基軸とした分子・イオン及び圧力応答性新規蛍光分析試薬の創製」
(2022~2024年度)
○ 注目の物質 ”トリプタンスリン” 誘導体に関する研究 (抗菌剤 や 蛍光試薬 としての応用等)
藍から抽出されるトリプタンスリンが,アトピー性皮膚炎の原因菌であるマラセチア・フルフル菌に対して高い抗菌性を示すことを,2002年に弘前大学教育学部北原晴男教授(現株式会社北原研究所)らの研究によって明らかにされました。その後,2003年に同医学研究科花田勝美教授(当時)らが,マラセチア菌が関与する皮膚疾患のある患者に対し臨床試験を行ったところ,マラセチア毛包炎が消え,皮膚に対する刺激反応やアレルギー反応についても問題ないことがわかりました。更に,同医学研究科中根明夫教授(当時)らの研究により,接触性皮膚炎に対して抑止効果があることもわかりました。理工学研究科の川上研究室では,2006年から北原教授らとの共同研究を開始し,種々のトリプタンスリン誘導体を合成し,抗菌性に対する構造活性相関を調べてきました。その過程でこれ迄報告のなかったトリプタンスリン誘導体の優れた吸収・発光特性(蛍光ソルバトクロミズム,近赤外蛍光 etc.)を見出し,現在に至っています。また,弘前大学医学研究科瀨谷和彦助教らとの共同研究で,8-メチルトリプタンスリンによる胚性癌腫細胞(未分化細胞P19.CL6)の心筋様細胞への分化促進能が明らかになりました。
・川上 淳, トリプタンスリン誘導体,特許第5448046号
(登録日:平成26年1月10日,権利期間:令和25年1月10日まで)
・当研究室で合成したトリプタンスリン誘導体のX線結晶構造解析データ(CCDC)
・川上 淳,東北からはじまる色材研究のフロンティア 「藍からはじまる蛍光性トリプタンスリン研究」,
色材協会誌, 97 (3), 86-90, 2024年3月号(小特集号).
・トリプタンスリン誘導体の凝集誘起発光と固体発光及びメカノクロミック発光を示唆する結果の報告
J. Kawakami, H. Harada, Y. Akagi, M. Takahashi et al, J. Jpn. Soc. Colour Mater, 96 (10), 333-337 (2023).
・トリプタンスリン誘導体による初めての励起状態分子内プロトン移動(ESIPT)の報告
J. Kawakami, M. Takahashi et al, J. Jpn. Soc. Colour Mater, 95 (7), 185-188 (2022).
*本論文は色材協会 2023 JSCM Most Accessed Paper Award 受賞論文です(2024年2月26日受賞)。
・トリプタンスリン類縁体の固体発光についてX線結晶構造解析による考察
J. Kawakami, C. Osanai et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 46 (1), 45-48 (2021).
*結晶構造:T, T2F, DCM-T and DCM-T2F
・生体の窓 (650~900 nm)内に吸収・発光極大を有するトリプタンスリン類縁体の分光学的性質
J. Kawakami, C. Osanai et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 45 (1), 19-22 (2020).
・トリプタンスリン誘導体による初めての凝集誘起発光(AIE)の報告
J. Kawakami, M. Harada et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 44 (4), 153-156 (2019) .
・トリプタンスリンのエネルギードナー又はアクセプターと成るBODIPY誘導体の金属イオンの蛍光センシング
J. Kawakami, Y. Sasaki, K. Yanase et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 44 (2), 69-73 (2019).
・3種類のジメチルアミノトリプタンスリンの発光メカニズムに関するDFT計算による考察
J. Kawakami, C. Osanai et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 43 (5), 319-323 (2018).
・ピリジニルヒドラゾノメチル基をもつ2-ヒドロキシトリプタンスリン誘導体による金属イオンの蛍光センシング
J. Kawakami, M. Sasagawa et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 43 (3), 209-212 (2018).
・2-ヒドロキシトリプタンスリンと1-ホルミル-2-ヒドロキシトリプタンスリンによる金属イオンの蛍光センシング
J. Kawakami, Y. Kinami et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 43 (2), 109-112 (2018).
・2-ヒドロキシトリプタンスリン及びそのナトリウム塩の吸収・発光特性
J. Kawakami, M. Takahashi et al., Anal. Sci., 32 (2), 251-253 (2016).
・2-(N,N-ジメチルアミノ)トリプタンスリンの吸収・発光特性
J. Kawakami, T. Kadowaki et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 41 (2), 143-146 (2016).
・環拡張型2-アミノトリプタンスリン誘導体による金属イオンの蛍光センシング
J. Kawakami, A. Tsuiki et al., Trans. Mat. Res Soc. Japan, 41 (1), 131-133 (2016).
・ピレン-トリプタンスリン誘導体によるFRET型金属イオン用蛍光性化学センサー
J. Kawakami, A. Soma et al., Anal. Sci., 30(10), 949-954 (2014).
*本論文は日本分析化学会の欧文誌 Analytical Sciences の "Hot Article Award" 受賞論文であり Graphical Index
が同誌2014年30巻10号の表紙を飾りました。
J. Kawakami, K. Kikuchi et al., Anal. Sci., 25, 1385-1386 (2009).
・2-アミノトリプタンスリン(T2NH2)の蛍光ソルバトクロミズム
J. Kawakami, H. Kawaguchi et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 38(1), 123-125 (2013).
T2NH2は、溶媒極性(周囲の環境)により異なる色の蛍光を発する蛍光ソルバトクロミズム挙動に
より生体内の情報を調べる蛍光プローブ等への応用が期待されています。
・抗菌活性のメカニズムに関する理論計算による考察
J. Kawakami, H. Kakinami et al., J. Comput. Chem. Jpn., 12(2), 109-112 (2013).
・アトピー性皮膚炎の原因菌である M. furfur に対する抗真菌活性試験結果
J. Kawakami, N. Matsushima et al., Trans. Mat. Res. Soc. Japan, 36(4), 603-606 (2011).
あおもり藍に含まれるトリプタンスリンがインフルエンザや新型コロナウイルスの予防効果があるとの報道がなされて注目されていますが,トリプタンスリンにハロゲン基(-F, -Cl, -Br)を導入することで,トリプタンスリンよりも更に抗菌活性が高まることを,マラセチア・フルフル菌とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する抗菌活性試験結果から2011年に報告しています。以下の表の T がトリプタンスリンで,それ以外がトリプタンスリンに1つ又は2つの置換基を導入したトリプタンスリン誘導体です。表の最小発育阻止濃度(MIC)の値が低いものほど抗菌活性が高いことになります。(関連情報:東奥日報Web版2004年4月24日の記事)
・8-メチルトリプタンスリンによる胚性癌腫細胞 (未分化細胞P19.CL6) の心筋様細胞への分化促進能
K. Seya, A. Yamaya, S. Kamachi, M. Murakami, H. Kitahara, J. Kawakami et al., J. Nat. Prod., 77, 1413-1419 (2014).
・アズレン環を含むトリプタンスリン類縁体の分光学的性質
C. Kogawa, A. Fujiwara, R. Sekiguchi, T. Shoji, J. Kawakami, M. Okazaki,
S. Ito, Tetrahedron, 74, 7018-7029 (2018).
*本論文の化合物の一つ(3h)の結晶構造
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*川上研の論文12報(文献番号[14]~[15], [32]~[38], [49]~[51])が引用されているトリプタンスリンに関する2021年に発表された論文
Daniela Pinheiro, Marta Pineiro, J. Sérgio Seixas de Melo, Tryptanthrin
derivatives as efcient singlet oxygen sensitizers, November 2021Photochemical
and Photobiological Sciences
DOI: 10.1007/s43630-021-00117-8
*川上研の論文10報(文献番号[21], [30]~[38])が引用されているトリプタンスリンに関する2020年に発表された論文
Daniela Pinheiro, Marta Pineiro, João Pina, Pedro Brandão, Adelino M. Galvão,
J. Sérgio Seixas de Melo, Tryptanthrin from indigo: Synthesis, excited
state deactivation routes and efficient singlet oxygen sensitization, Dyes
and Pigments, Volume 175, April 2020, 108125.
DOI: 10.1016/j.dyepig.2019.108125
(論文本文より抜粋)
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