川上 淳研究室は、伊東 俊司研究室関口 龍太研究室と共に有機化学系の研究室として、”合成化学的手法を用いた機能性有機化合物の創出およびその機能開発に関する研究” を、行っています。
 卒業研究の実験、研究報告会(卒業研究の進捗状況の報告)、雑誌会(英語論文の紹介)等の指導は3名の教員が協力して行います。

 川上研究室所属学生の実験は、有機合成実験や紫外・可視吸収及び蛍光スペクトル測定等の分光学的測定実験がメインとなります。また、理論計算化学(コンピューターケミストリー)も積極的に取り入れています。
 新規機能性有機化合物、特に新規有機蛍光色素及び蛍光分析試薬(蛍光性化学センサー,蛍光プローブ)の合成に興味のある人に適した研究室です。

 大学院博士前期課程への進学について:将来企業等で研究職や技術開発職を目指す人は大学院博士前期課程へ進学して修士の学位を取得することが必須と考えられますので
大学院への進学を勧めます。また、最近県内の高校の化学の先生が社会人入学で修士(理工学)の学位を取得しに来ることがありますが、近年スーパーサイエンスハイスクール(SSH)等の関係で、高校教員においても理工系の修士号を持った人材の重要性が増しています。よって、高校(及び中学)の教員志望の人にも大学院進学を勧めます。先端的な高度な研究経験は、高校(及び中学)の教員になった時にきっと役立ちます。
 特に弘前大学大学院理工学研究科博士前期課程へ進学する場合は、卒業研究で行った研究を更に発展させることができるため、大変満足のいくものになると思います。また、研究室にとっても所属4年生の本学大学院への進学は研究の継続性やアクティビィティーを維持する上で大変重要な事だと考えています。勿論、理工系のセンスを持って学部卒で社会の様々な分野で活躍を目指す人も応援します。
 これまで川上研に所属した学部4年生は
85名(令和4年度前期時点)で、その内48名〔本学大学院進学者36名(理学研究科1名,理工学研究科34名〜令和5年4月入学予定の3名を含む,教育学研究科1名),他大学大学院進学者12名〕の半分以上の人が大学院(博士前期課程又は修士課程)に進学しています
 川上研所属4年生の卒業後の進路については、以下のページで確認して下さい。
     [川上淳 研究室 修了生・卒業生 の 進路(平成7年度以降現在迄 / 内定を含む)]


*注意事項
1)研究には、光化学の基礎知識が必要となります。できるだけ3年前期で「光化学」を履修しておくようにお願いします。尚、
3年前期に「光化学」を履修しなかった場合ですが、2019年度から学部時代に大学院の講義が履修可能となりましたので、大学院に進学するする人は、大学院の講義「有機光化学特論」を履修して下さい(弘前大学大学院理工学研究科に進学した場合、大学院の単位になります)。大学院に進学しない人は、研究室配属後の4年前期に学部の講義の「光化学」を履修して下さい。
2)3年前期で「光化学」を履修済みで、大学院に進学予定で時間的に余裕がある人は、大学院の講義「有機光化学特論」を履修して下さい。学部時代に大学院の単位を取得しておくと、弘前大学大学院理工学研究科に進学した場合は、実験をする時間を確保し易いというメリットがあります。

3)卒業論文の作成に関しても参照して下さい。
 平日の午前8時半〜9時に研空室に出て来て、午後5時半〜6時に家に帰るのが一般的な4年生の過ごし方です。朝が苦手な人が多いように思いますが、お昼過ぎから大学に出て来たり、昼と夜が逆転したような生活にならないように注意して下さい。午前中に一仕事する!」という気持ちでお願いします。
 指導教員は、講義や会議、出張等により、残念ながら四六時中研究室に居て皆さんを指導することはできません。各自与えられた研究テーマの内容を十分理解し、自分の研究として自分自身で一日の実験計画を立てて研究を進めて下さい。教員の指示に従うことは大切ですが、教員の指示がないと何もできない ”指示待ち君(さん)” にならないようにお願いします。自分自身でよく考えれば、何を今すべきかが見えてくるはずです。また、指導教員と積極的にディスカッションを心掛け、日頃から研究に関連した論文や専門書を読むことで知識を深めて下さい。

 川上研究室では、毎週月曜日に週間研究報告書(週報)を教員に提出することになっています。週末に1週間の自分の行った実験を振り返り、次週に行う実験の計画を考えながら週報を作成して下さい。週報は、教員にとっても学生の実験状況を的確に把握できる資料となるので、可能な限り詳細に記載して下さい。

 学内で行われる講演会や「化学への招待」のような各種イベントには、積極的に参加して下さい。講演会では、第一線の研究者から直接話を聴けるよい機会なので研究分野を問わず参加して、研究内容だけではなくスライドの作り方や話しの展開の仕方などについてもよく観察してみて下さい。

 大学4年生は社会に出る一歩手前の段階です。研究室での生活を通して社会における一般常識やマナー、協調性を身に付けて下さい。セミナー室などの共通スペースは他者の迷惑にならないように綺麗に使用し、挨拶のきちんとできる人になって欲しいと思っています。学科内の先生方に対しては当然ですが、誰に対しても自然と会釈ができるような人になって下さい。


 研究室での生活を充実したものにできるかどうかは自分自身の心がけ次第です。是非、研究室での生活が充実したものになるように努力して下さい。頑張って努力している人へのサポートは惜しみません。
 川上 淳研究室では、主に有機蛍光色素の合成と応用に関する研究を進めています。
 光機能性物質の一つである蛍光性化学センサーは、ある特定の金属イオンや有機分子を、蛍光を用いて選択的に検出できる蛍光性配位子のことで(図1)、 環境中の有害物質や金属イオンの検出・回収に役立つとともに、生体内で用いた場合には、生理活性物質の動的挙動を直接観察できる蛍光プローブとしても有用です。本研究では、蛍光性化学センサーとしての機能を発揮するすることが期待できる有機化合物を合成し、その性質(溶液中での励起状態における分子内・分子間相互作用 etc.)について詳しく調べた後、各種金属イオンや有機化合物を加えた際の光応答性(蛍光スペクトルの波長や強度の変化)を調べます。
 また、医学部等の先生方との共同研究として、抗菌活性物質の合成構造活性相関を調べる研究も行ってきました(図2)。
 
更に詳しい研究内容については、ここ を、クリックして下さい。



図1 川上淳研究室で合成した亜鉛イオン用蛍光性化学センサー
亜鉛イオンが存在しないと無蛍光ですが、亜鉛イオンを加えると蛍光を示します。




図2 8-ヒドロキシキノリン-ベンゾチアゾール誘導体のMRSAに対する抗菌活性試験
8-ヒドロキシキノリン-ベンゾチアゾール誘導体がないとMRSAは増殖しますが(左写真)、
8-ヒドロキシキノリン-ベンゾチアゾール誘導体存在下では、菌の発育が阻止されます(右写真)。
 

4月 7月〜9月
10月
12月
1月 2月
3月

             

     

     

   


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