数理科学談話会一覧
数理科学談話会は,数学・数理科学における最先端の研究や,学部での授業科目が研究にどのように関係するのかを紹介します。
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数理科学談話会担当: 立谷洋平
e-mail: tachiya(アット)hirosaki-u(ドット)ac(ドット)jp
2024年度
第4回
日時:2024年12月13日(金)17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 1010演習室B
講演者:吉川 和宏 氏(弘前大学 教育学部)
題目:ゼータ分布の無限分解可能性について
概要:確率論において,リーマンゼータ分布は, 正規化されたリーマンゼータ関数を特性関数としてもつ無限分解可能分布として知られている。2000年代には, この分布がフルビッツゼータ分布に拡張され, ゼータ関数の無限積表現と無限分解可能性の関係が議論されるようになった。さらに, 2013年には青山崇洋氏と中村隆氏によって多次元新谷ゼータ関数が導入され, それまで一次元離散分布であったゼータ分布が多次元離散分布へと拡張された。
本講演では,いくつかのゼータ分布を紹介し,それらの分布が無限分解可能であるための必要十分条件について述べる。
第3回
日時:2024年10月8日(火) 16:30~17:30
場所:理工学部1号館 第8講義室
講演者:Jaroslav Hančl氏 (Department of Mathematics, University of Ostrava)
題目:Expresion of real numbers with the help of infinite series
(講演は英語で行われます)
概要:The talk deals with the infinite series of positive real numbers. It will be presented some possibilities how to express the real numbers by infinite series. The criteria for the irrationality, transcendence, linear and algebraic idependence are presented also.
こちらもご覧ください
第2回
日時:2024年6月12日(水)16:30~17:30
場所:理工学部2号館10階 1010 演習室B
講演者:近藤 天良 氏(弘前大学大学院博士前期課程2年)
題目:例外的自己同型をもつcyclic orbifold VOAの全自己同型群の決定について
概要:頂点作用素代数 (Vertex Operator Algebra, VOA)とは二次元共形場理論における数学的構造を定式化した, 無限個の積を備える代数系である。$V$をVOAとし, $g$を$V$の有限位数自己同型とする。$g$による$V$の固定点全体を$V^{g}$とすると, $V^{g}$はVOAになる。このようなVOAはcyclic orbifoldと呼ばれる。このとき, $V$の全自己同型群$\Aut(V)$と$V^{g}$の全自己同型群$\Aut(V^{g})$の間の関係が問題になる。$\Aut(V^{g})$の元で, $\Aut(V)$から自然に得られない$\Aut(V^{g})$の元を例外的自己同型と呼ぶ。
格子VOAと呼ばれるクラスにおいて, 例外的自己同型の存在・非存在問題はC.H.Lam-H.Shimakura(2024)によって分類が与えられ, 解決された。講演者は最近, この分類に現れるcyclic orbifoldの全自己同型群の研究を行い, 未解決である場合について群構造を決定した(arXiv:2405.07643)。
本講演では, VOAの概略から始めて, 講演者による結果を紹介する。
概要のpdfはこちらをご覧ください。
第1回
日時:2024年5月15日(水)16:30~17:30
場所:理工学部2号館9階 共通演習室(0905室)
講演者:工藤 慎矢 氏(弘前大学大学院博士前期課程2年)
題目:多項式指数を持つべき級数の値の一次独立性
概要:$q\ge 2$を自然数とし, $f_k(x)(k=1,2,\dots)$を最高次の係数が正である
次数2以上の整数係数多項式とする。
本講演では, 級数$\sum_{n\ge1} a_k(n)/q^{f_k(n)}(k=1,2,\dots)$に対する
$\mathbb{Q}$上の一次独立性に関する結果について述べる。
ここで, $\{a_k(n)\}_{n\geq1}$はある条件をみたす整数列である。
多項式$f_k(x)$らが特別な単項式からなる場合については, V. Kumar (2018)による
先行研究がある。また, 最近では, 村上ー立谷(2023)がKumarの結果の拡張に成功している。
今回の講演では, 一般の多項式$f_k(x)$に付随する無限級数を考察し,
それらの一次独立性に関する結果を紹介する。
本結果は上述した先行結果の一部を包括するものである。
主定理の主張や証明については, 具体例を述べながら詳しく解説したい。
概要のpdfはこちらをご覧ください。
2023年度
第3回
日時:2023年10月6日(金) 17:40~18:40
場所:理工学部2号館 第11講義室
講演者:徐 貺哲 氏 (弘前大学 教育推進機構)
題目:顔の印象形成における意識的な眼球運動の影響
概要:人が顔を観察する際には,自分が意識的に行う眼球運動と無意識の眼球運動が複雑に絡み合い,印象形成や意思決定に影響を与えるとされている。このことは,観察者の観察行動を意図的に操作することで無意識の眼球運動を制御し,印象や意思決定に影響を与えることができることを示唆する。しかし,意識的・無意識的な眼球運動とそれぞれの印象形成・意思決定での役割を明確にするための研究はまだ存在しない。
本研究では,可視範囲を制御することで観察者の意識的な眼球運動の影響を明らかにする実験を行った。データ分析を行い,意識的な眼球運動の効果とそれに伴う意思決定への影響を検証した。同時に,一般的な観察行動での眼球運動との違いを比較を行いながら,意識的な眼球運動と性格特性の関係性,印象形成及び意思決定への影響についても検討した。
第2回
日時:2023年10月3日(火) 16:30~17:30
場所:理工学部1号館 第8講義室
講演者:Michael Coons 氏 (California State University, USA)
題目:Transcendence: Numbers versus Functions
(講演は英語で行われます)
概要はこちらをご覧ください
第1回
日時:2023年4月19日(水) 13:00〜14:00
場所:理工学部2号館2階 第11講義室
講演者:Ching Hung Lam 氏
(Institute of Mathematics, Academia Sinica, 台湾)
題目:Automorphism groups of cyclic orbifolds of lattice VOA
(講演は英語で行われます)
概要はこちらをご覧ください
2022年度
第2回
日時:2022年11月29日(火) 17:40〜18:40
場所:理工学部1号館4階 第8講義室
講演者:川﨑 菜穂 氏(弘前大学)
題目:多重ゼータ値と2色半順序集合上の積分表示
概要:リーマンゼータ関数の正整数点での値を多重化したものを多重ゼータ値という。多重ゼータ値は級数表示だけでなく,積分表示ももつことが知られている。2018年に山本修司氏によって、多重ゼータ値を含む広範な対象の積分表示を与える2色半順序集合上の積分表示が導入された。今回は,この2色半順序集合上の積分表示を用いて,2つの多重ゼータ値の積の計算や,多重ゼータ値の類似に対する計算を紹介したい。
第1回
日時:2022年6月17日(金) 17:40〜18:40
場所:理工学部2号館2階 第11講義室
講演者:三浦 達彦 氏 (弘前大学)
題目:薄膜領域上の偏微分方程式について
概要:薄膜領域とは空間内のある方向への幅が非常に小さい領域です。薄い鉄板を熱したときの温度変化や地球上の大気や海洋の流れなど,自然界には様々な種類やスケールの薄膜領域における偏微分方程式で記述される現象があります。薄膜領域上の偏微分方程式の研究における主要な問題のひとつとして,「膜の厚さがゼロに近づくときに何が起きるのか?」という薄膜極限の問題があります。本講演ではこの薄膜極限の問題の例として物体の温度変化を記述する熱方程式を薄い長方形上で考え,長方形がまっすぐな場合とちょっと曲がっている場合にそれぞれ薄膜極限の結果がどうなるかを紹介し,薄膜極限の問題の解析手法を簡単に説明します。その後,私のこれまでの研究の結果として,曲面に少し厚みを付けた曲がった薄膜領域上で熱方程式や流体運動を記述するナヴィエ・ストークス方程式を考えたときに薄膜極限の結果がどうなるかを紹介します。
2021年度
第2回(学科内のみで実施)
日時:2021年12月24日(金)16:00~17:00
場所:理工学部2号館9階 共通演習室(0905室)
講演者:村上 慎太郎 氏 (弘前大学大学院博士後期課程2年)
題目:級数の無理性に関する諸定理の紹介と研究の進捗状況について
概要:P. Erdős(1981)は, 狭義単調増加な有理整数列 $\{a_n\}_{n=1}^\infty$が
$\lim_{n\to\infty}(a_{n+1}-a_n)=\infty$をみたすとき, 級数
$\sum_{n=1}^\infty{a_n}/{2^{a_n}}$
は無理数であることを示した。以降, このような級数の無理性に関する研究が盛んに進んでいる。
例えば, 1999年, Y. G. Chen, Z. Ruzsaは, 上述したErdősの定理の拡張を含む4つの結果を示した。
本講演ではこれらの諸定理について紹介するとともに, 未解決の問題について触れる。具体的には, $\sum_{n=1}^\infty{b_n}/{2^{a_n}}$
という形の級数について, 無理性が示されている$(a_n, b_n)$と数論的性質が判明されていない級数の一例を紹介する。
そこで, 本講演者が現在取り組んでいる研究について述べる。
第1回(学科内のみで実施)
日時:2021年11月5日(金)16:00~17:00
場所:理工学部2号館10階 演習室B(1010室)
講演者:立谷 洋平 氏 (弘前大学)
題目:フィボナッチ数列を含む無限級数や無限積について
概要:1989年, R. Andr'e-Jeanninはフィボナッチ数列の逆数和
Σ_{n=1}^{\infty}1/F_n=3.35988566・・・・・・
が無理数であることを示した。 一方, その部分和に対しては無理数性や超越性などの数論的性質を決定することは容易でなく現在も未知な部分が多い。本講演では,フィボナッチ数列やルカ数列といった古典的な二項回帰数列に関連する無限級数や無限積を対象として,それらの数論的性質に関する先行結果や最近の研究結果について述べる。
2020年度
第2回(学科内のみで実施)
日時:2021年2月8日(月)16:00~17:00
場所:理工学部1号館第1講義室
講演者:丹原 大介 氏 (弘前大学)
題目:Saunders Mac Laneの数学
概要:ソーンダースマクレーンはカテゴリー論生みの親の一人であり、初期のホモロジー代数の形成にも寄与したアメリカの数学者です。自伝には方向の定まらなかった学生時代から戦前のドイツ数学体験を経て、やがてホモロジー論、カテゴリー論に向かっていく道のりが描かれます。代数の初学者向けにカテゴリーの発想のきっかけとなった「自然性」、後の展開を導いた「普遍性」について解説したいと思います。
第1回(学科内のみで実施)
日時:2020年12月25日(金)16:00~17:00
場所:理工学部1号館第8講義室
講演者:別宮 耕一 氏 (弘前大学)
題目:Monstrous Moonshine
概要:タイトルにあるMonstrous Moonshine とは,Monster単純群と呼ばれる群と楕円保型関数 $j(¥tau)$とを結び付ける不思議な関係をいいます。
日本語に訳すと「モンスターに関するたわごと」という意味になります。
一見何の関連もなさそうな2つの数理構造に素朴な関連が見出されたのは
1978年のことでした。その後,この両者を結び付けたのが量子場の理論から
生まれた頂点作用素代数でした。こうした登場するキャラクターたちの派手さもあり,多くの人の関心を引きつけ続け,研究が進められた結果,数学と物理にまたがる様々な興味深い成果が生み出され続けています。
今回はMonstrous Monnshine と単純群の分類について,
2016年に開催されたMonster単純群の発見者のひとりである R. Griess 氏の
誕生日を記念した研究集会に参加した顔ぶれを紹介しつつ,写真を見ながら
楽しく語ってみたいと思います。
2019年度
第9回
日時:2020年2月6日(木) 16:00~17:30
場所:理工学部2号館10階 演習室B(1010室)
講演者:黒田 耕嗣 氏 (日本大学)
題目:マルチフラクタル ランダムウォークとカスケードモデル
概要:株価変動過程の特徴的な性質のいくつかはマルチフラクタル性と深く結びついている。
マルチフラクタル性とは次のように定義される。株価変動過程をS(t)で表すときタイムラグ
Δtの変動をΔS(y)=S(u+Δt)-S(u)で定め,E[ΔS(u)^q]=C(Δt)^ζ(q)と表したときのζ(q)がqの関数と見て
非線形となるときS(t)はマルチフラクタル性を満たすと言い,マルチフラクタル性を満たす確
率過程をマルチフラクタルランダムウォークと呼ぶ。マルチフラクタル性は言葉を変えれば
複数のスケール不変性を持つことに対応する。ブラウン運動はタイムスケールtに対して空間スケールtの1/2乗の不変性しか持たず, モノフラクタルと呼ばれる。マルチフラクタルランダムウォークの構成はBacry Muzy の研究に始まる。彼らは独立な確率場を用いてボラティリティを定める確率過程を定め, これをブラウン運動で確率積分することによってマルチフラクタルランダムウォークを構成した。我々はべきの相互作用をもつ離散時間確率過程を用いて, さまざまな投資
時間をもつトレーダー間の株取引を表現し, さらにそのスケール極限として連続時間ボラティリティ過程を定め,マルチフラクタルランダムウォークを構成した。
第8回
日時:2019年11月25日(月) 17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 共通演習室
講演者:新屋 良磨 氏 (秋田大学)
題目:形式言語理論入門:組合せ論的視点から
概要:形式言語理論において「ある言語 (語の集合) が文脈自由ではない」
という類の否定問題は重要かつ難問の多いトピックである。
本講演では,形式言語理論の初歩的なおさらいから始め,
否定問題を解くためにしばしば使われる手法を組合せ論的な視点から整理し,
現在も未解決である否定問題への(話者なりの)アプローチについても紹介する。
第7回
日時:2019年11月18日(月) 17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 共通演習室
講演者:伊藤 公智 氏 (前橋工科大学)
題目:平均と不等式 ~作用素の視点から~
概要:古田不等式の話を含め,作用素幾何平均や久保-安藤理論に基づく
作用素平均に関する最近の話題などについてお話します。
若干の解説: 複素ヒルベルト空間 H 上のエルミット(線形)作用素
[連続な自己共役な線形作用素] の A, B の間の順序につき,弘前大学の名誉教授の
古田孝之氏(故人)は,弘前大学在職当時,今日古田不等式と呼ばれている
作用素不等式を発見し,作用素の構造論に大きく貢献しました。今日では,その不等式は作用素の平均理論と結びつき,安藤毅,日合文雄氏らが提示した不等式と本質的に等価であることも解明されました。作用素の成す世界の測地線の理論など幾何学的な性質も解明されるなど理論は今日も大きく発展し続けています。
第6回
日時:2019年8月8日(木) 17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 共通演習室
講演者:鈴木 雄太 氏 (名古屋大学)
題目: 友愛数の分布について
概要:古代ギリシャのピタゴラスは
「自分自身を除く約数の総和を取ると
互いに移り合うような自然数の組」は
友人関係の象徴だとみなしました。
これを今日では友愛数と呼びます。
友愛数については多くの未解決問題があります。
例えば友愛数が無限に存在するか否かはわかっていません。
この講演では友愛数の個数の上からの評価に着目して
これまでの友愛数の研究の歴史や手法について紹介します。
時間がゆるせば講演者の最近の研究についても紹介します。
第5回
日時:2019年7月12日(金) 17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 計算機室
講演者:榊 真 氏 (弘前大学)
題目:一般ミンコフスキー空間 (非対称ノルム空間) の幾何学
概要:2つの現象間の“距離”をどう測るかによって,物事の見方が違ってき
ます。本講演では,“距離”の考え方に関連する空間として,距離空間,内積
空間,ノルム空間,ミンコフスキー空間(線形フィンスラー空間),一般ミン
コフスキー空間の順にお話していきます。微分幾何学(53)と凸・離散幾何学
(52)の境界領域の話で,ドイツとブラジルの研究者との共同研究が始まった
ところです。
注.アメリカ数学会のコード番号で,微分幾何学が53で,凸・離散幾何学が52です。
第4回
日時:2019年6月25日(火) 16:00~17:00
場所:理工学部2号館11階 共通演習室(1105室)
講演者:津留 智浩 氏 (野村證券)
題目:資産運用と数学の交流点
概要:ブラック・ショールズのオプション評価モデルなど資産運用の分野でも幅広く数学が活用されております。プロプライアタリー・トレーダーや外部委託運用のポートフォリオ・マネジャーとしての経験なども踏まえて,資産運用
業界における技術としての数学および思考としての数学の活用事例について紹介させていただき,それを踏まえて今後の展望や資産運用業界で求められる人材像についてお話させていただきます。
第3回
日時:2019年6月21日(金) 17:40~18:40
場所:理工学部2号館第11講義室
講演者:成塚 拓真 氏 (中央大学)
題目:対戦型集団スポーツの数理〜サッカー・バスケットボールを題材に〜
概要:対戦型スポーツに統計科学の観点からアプローチする試みは,主に野球
を中心に発展してきた。実際,1970年台に提唱されたセイバーメトリクスの枠
組みは,現在,MLBを中心に急速に実用化されつつある。一方,最近では,個別
の選手の位置を追跡する技術が発達し,トラッキングデータと呼ばれる座標デー
タの取得が行われるようになった。これにより,野球だけでなくサッカーやバ
スケットボールなどの競技に対して,詳細な解析が可能となっている。こうし
た競技では,フィールド上で選手同士が直接的にコンタクトすることから,そ
の解析には新たな枠組みが必要である。本講演では,サッカーとバスケットボー
ルを題材に,これまでの研究動向,および,我々が取り組んできた解析事例の
紹介を行う。
サッカーやバスケットボールを解析する際に重要なことは,D. Sumpterによる
次の言葉に集約される:「野球が統計のスポーツだとすれば,サッカーはパター
ンのスポーツだ」[1].実際,我々の解析でも,パス回しのネットワークやフォー
メーションの形成など,パターンの特徴づけを意識してきた。本講演では,そ
の中から,ドロネー分割に基づくフォーメーションの解析手法を解説し,Jリー
グとNBAのトラッキングデータに適用した結果を紹介する。
[1] D. Sumpter, サッカーマティクスー数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」,光文社,2017.
第2回
日時:2019年6月20日(木) 16:15~17:15
場所:理工学部1号館5階第10講義室
講演者:Carsten Elsner 氏 (FHDW-University of Applied Sciences, ドイツ)
題目:Diophantine approximation of real and complex numbers restricted by arithmetical conditions
(講演は英語で行われます)
概要はこちらをご覧ください.
第1回
日時:2019年5月31日(金)17:40~18:40
場所:理工学部2号館第11講義室
講演者:宮永 崇史 氏 (弘前大学)
題目:金平糖に潜む数理
概要:皆さんは金平糖というお菓子をご存知でしょうか。金平糖の角の数の分布を見ると17個前後にピークがあります。なぜこの数に収束するのかは不思議です。角が成長するプロセスとは別に,その数を考えるには周囲の金平糖や鍋との相互作用が重要となります。球体が接触する点の数を接吻数と言います。3次元でそれは12であり, 12個より少ない数の金平糖は存在しないようです。私たちは独自の装置でさまざまな条件の下,金平糖を作成し,成長のメカニズム解明を試みています。何やら金平糖の形状とその成長過程には数理的な現象が隠れていそうです。また,金平糖の角形状と雪道の凸凹模様との類似性にも着目しています。
2018年度
第6回
日時:2018年12月21日(金)17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 共通演習室
講演者:津田谷 公利 氏 (弘前大学)
題目:非線形偏微分方程式の解について
概要:偏微分方程式は, 数学だけでなく自然科学や工学などの幅広い分野で登場し,
現象の解明をはじめとして重要な役割を果たしています。
この講演では, 非線形偏微分方程式の解を構成する方法について紹介するとともに,
熱方程式や波動方程式を取り上げて解の性質にも触れます。
また, 最近の研究動向についてもお話します。
第5回
日時:2018年11月22日(木)16:30~17:40
場所:理工学部2号館2階 第12講義室
講演者:新谷 誠 氏(静岡大学)
題目:組合せデザインのグラフ表現について
概要:与えられた問題(例えば,あるパズルや旅行時に効率よく周遊する経路を求める)を,点とそれらの関係をあらわす図(グラフという)へとモデル化しその問題を解いた経験があると思います。組合せデザインをグラフで表現して,そのグラフの同型を用いて同型判定を行う方法などについてお話します。
第4回
日時:2018年7月20日(金)17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 共通演習室
講演者:岡部 考宏 氏(弘前大学)
題目:ナビエ・ストークス方程式の初期値問題への取り組みについて
概要:クレイ数学研究所が発表したミレニアム懸賞問題の1つに
ナビエ・ストークス方程式の解の存在と滑らかさについてというものが
あります。ナビエ・ストークス方程式は水や空気などの流体の運動を
記述する物理上,工学上重要な方程式ですが,その(エネルギー有限な)
滑らかな解の時間大域的存在や一意性といった基本的な問題が未だ完全に解決されていません。
本講演では,半群理論を用いた同方程式の可解性のアプローチと,弱ルベーグ空間における最新の取り組みについて紹介します。
第3回
日時:2018年6月15日(金)17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 計算機室
講演者:榊 真 氏 (弘前大学)
題目:極小曲面と調和曲面
概要:総合文化祭の「楽しい科学」で「せっけん膜の部屋」というコーナーを
毎年設けています。子供向けの水遊びの部屋と化していますが,せっけん膜の
数理モデルは極小曲面(共形調和曲面)という曲面積の最小化解であり,
最適形状問題のひな型として研究され続けています。
極小曲面の単位法ベクトル場(ガウス写像)が球面への複素正則写像を
与えることは,19世紀半ば頃から知られている教科書レベルの古典的定理ですが,
講演者は最近,この定理を,ディリクレ型エネルギーの最小化解である
非共形調和曲面の場合に拡張し,非共形調和曲面に対する表現公式を得ました。
本講演では,極小曲面,複素関数論との関連,非共形調和曲面,応用の可能性などについてお話しします。
第2回
日時:2018年5月25日(金)17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 共通演習室
講演者:中里 博 氏 (弘前大学)
題目:ケプラーの惑星軌道モデルと世界観
概要:17世紀の初頭にドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが惑星の運動モデルとして考えた軌道曲線を曲線論的な観点から見るとどんなことがわかるかという数学的問題ならびに地動説と天動説が相克した時代の彼の独特な信条について考えます。
第1回
日時:2018年4月27日(金)17:40~18:40
場所:理工学部2号館10階 共通演習室
講演者:西岡 斉治 氏 (山形大学)
題目:関数の超越性
概要:指数関数, 対数関数, 三角関数などを初等超越関数と呼ぶことがあります。
これは初等的かつ超越的な関数という意味です。初等的な関数は, 他にも
有理関数 (1次関数, 2次関数, 分数関数等)や平方根, 立方根等により書かれる関数が
ありますが, これらは超越関数ではありません。この違いについてお話しします。
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