21世紀教育 (基礎教育科目), 化学の基礎 II(A) <6>

担当: 宮本量 (理工学部物質創成化学科), 後期, 金曜日, 9-10時限
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教科書・参考書

教科書は次のものです. 参考書は, 随時追加されるかもしれません.

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日程と内容(予定)

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評価について

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質問について

質問は, 講義時間中に随時受け付けます. 私の説明を遮って質問しても構いません. 次の単元に進んでしまう前に, 現在の単元で理解があやふやな所がないようにして おきましょう. もちろん, 授業時間以外でも質問しにくることは歓迎します. オフィスアワーを活用してもいいですね (あたりまえなんですけど).

それだけでなく, 質問すること, 疑問を持つことは, それ自体で価値があります. 大学以上のレベルでは, 問うことと答えることとは非常に近い関係にあると知りましょう. 初等・中等教育では, 与えられた問いに正しく答えることが求められてきたといっても 過言ではないでしょう. しかし, 研究の先端や実社会で出会うであろう問題は, あらかじめ解答が あるものではありません. そもそも問題点が何であるかすら明確でない問題を解決しなければいけない場合も 多くあります. そこで正しく問うことが出来れば, 答えはそのすぐ先にありますが, 問い方が悪いとなかなか答えにたどり着けないばかりか, 誤ったゴールに到達してしまうかもしれません. また良い問いとは, 単にその答えが得られるだけでなく, その問いをきっかけにして 新たな視野が開けたり, 新たなより深い問いを生んだりするものです. そうであるならば, 問いに答えるということも, 単に暗記しておいた既存の知識を 思い出すコトではありません. それで終わらせてはいけません. このような知の営みを身につけることこそが, 大学で勉強することの価値だと思います.

そこで本講義では, 質問を発する訓練をしましょう. 毎回の講義の出欠調べとミニレポートを兼ねて, 紙片に質問を記入して授業時間のおわりに 提出してください. 受け取った質問は, すべてサポート Web ページ (ここ) に掲載します. 出席とカウントされているかどうかの確認だけでなく, 他人の質問を見て, 良い質問のしかたを考えてみましょう.

以下の日付をクリックすると, その回の「質問とコメント」に飛びます.

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読書感想文について

学生のみなさんには, 化学/科学に関する興味を養ってもらいたいと思います.

科学・技術が十分に発達してしまった現代では, まるで魔法のようなことが 当り前のようにできてしまいます. しかしそれを当り前と思ってしまい, ブラックボックスをブラックボックスのまま 鵜呑みにして済ませてしまうという態度は, ある種の思考停止であり, 高等教育を受けよう (大学で勉強しよう) という志とは相容れない態度と 言えるのではないでしょうか. そして日常的にも, 拙速な「結果」を求めるあまり, 「メカニズムとプロセスに 対する関心」を失ってしまっているのではないでしょうか. 自然のメカニズムとプロセスを解明することが, 本来の自然科学の在りよう だったと思われます. 大学で勉強し, その後に社会に出て活躍することを欲する学生のみなさんには, そしてそのことが期待されているみなさんには, ぜひとも「メカニズムとプロセスに 対する関心」を育んでいただきたいと思います.

そこでこの講義では, 読書感想文の課題を課します; 物質科学・物理学・化学など (関連分野や派生事項を含む) に関する 一般向け解説・啓蒙書を一冊以上読み, その読書感想・評論・調査報告などを まとめてレポートとして提出してください. レポートは A4 版の用紙 2 枚以上の分量であることとします. 「おもしろかった」などというヒトコトしか書かないようなものはダメです. この課題の提出期限は, 12月 07日の授業時間終了時とします.

対象とする書籍は例をあげると, 講談社のブルーバックス・岩波新書・岩波文庫・ 岩波同時代ライブラリ・中公新書などの物理・化学・科学に関するものや, 科学者の伝記的なものが考えられます. また単行本でももちろん良くて, たとえば、``ハインズ博士「超科学」をきる''とか, みすず書房のハイゼンベルク・シュレディンガー・プリゴジン・朝永らの著作など でも結構です.

しかし残念ながら, 避けることが望ましい書籍をあげざるをえません. それはまず, 見開き二ページないし数ページである一つの事柄を説明したものの 集積になっている, いわゆる「豆知識本」です. 具体的な書名をあげて 著者・編者には申し訳ありませんが, 「図解雑学 〜」に類するものです. 系統的に専門的な学問の体系を身につけようという大学生に, ふさわしい書物とは思えません. また内容のレベルについても, 小中学生レベルの本では, ハッキリ言って 恥ずかしいですよ. みなさんは大学生なのですから. さらにオカルト本・ニセ科学本を, そうとはわからずに本物の科学と 信じてしまった論評は, イタイです。論理的科学的思考力が疑われます. しかし取り上げ方によっては, これらの本でもいいかもしれません. あくまでも内容で評価しますから.

なお文芸評論の手法に関しては,

「文学部唯野教授」, 筒井康隆, 岩波同時代ライブラリー
が, 評論の (感覚的評論から構造主義までの) 歴史的発展も踏まえていて面白い。 また論文やレポートの書き方については, をはじめとして多くのものが出ているので参考にするとよいでしょう。

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この授業の目的

化学結合の概念や物質の構造を理解でき, 気体, 液体, 固体の性質を説明できるようになること. また, 化学反応をエネルギーの出入りと関連付けて理解できるようになることを目標とします. (シラバスより)

現代では, 学問の進歩により, 専門分野の知識は膨大なものとなっています. そして初学者は, その膨大さの前に, どうやって覚えようか覚えきれるだろうか ? と 頭を悩ませることでしょう. しかしこれに輪をかけて, 多くの研究者たちにより, 専門分野の知識の最前線は日々 広げられています. そのことからしても, たとえその範囲を何らかの専門分野に限ったとしても, 全ての 知識を覚えるということは, 原理的に不可能です.

もちろん, 基本となる知識を覚え, 身に付ける必要はあるでしょう. しかし大学生に必要とされる教養は, 知識の多いことだけではないと考えられます. もしも知識の量を増やしたいのであれば, 大学で学ぶ必要は無いでしょう. 図書館に籠って, 書架の本を片っ端から読破して, 暗記してみてください. これで教養が身についたと言えるでしょうか ?

学問とは, 単なる個別の知識の集大成ではないのです. こちらの知識とあちらの知識は, 全く独立して存在しているわけではありません. そのような個別の事項の海の中にある知識の構造を身に付けることこそが, 大学で学ぶべきことだと考えられます.

そこで(高校化学の既修者を対象とする)この授業では,

(1) 論理的に考える; (2) 考えたことを他人にわかりやすく説明する; (3) 化学の理解を深める
を目標とします.

そこで (3) のために, シラバスに記載され冒頭でも示したように, 物質を構成している「分子」や, その変化に伴う「エネルギー」に注目して, これまでの化学の知識を整理します.

前述したように知識の構造を身に付けるために, (科学/化学)全体の地図を覚える という戦略は, 役にはたつかもしれません. しかし普通の地図と同じく, 必要なときに参照して指針を得ることができなければ 意味がありません. そうです, 使いかたが重要なのです. 使い方を身に付けるための手法は, 結局は個人の訓練に帰着します. そこで (1), (2) を意識した考えることの訓練をします.

勉強法について (オマケ)

勉強法がわからない人には, こんなものはどうでしょうか。

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期末レポート

期末試験は行いません. レポートを課します.

レポートの課題は, 次の通りです. (詳細について追加の可能性あり)

本講義で学んだことが, 確かに身についていることを確認する試験の問題を 作成しなさい. さらに模範回答も付けなさい.

蛇足: まあ簡単に言うと, 期末試験の問題を自分で作って自分で答えるというのが, 課題なわけです. 野暮を承知でひとこというと, 自分が(または誰でもが)楽に百点取れるような 問題を作って, 満点の答案を作成して, というので本当にイイの ? すなわち「本講義で学んだこと」っていうのが曲者. どの事項を選んで設問にするかということは, この授業で身につけるべき事は何か ? この授業で学んだ重要なことは何か ? という問いに対する, あなたの答えなのですヨ.

蛇足 2: 教科書や問題集の問題を写したり, 独自のつもりが似た物になったりというのは, 当然ですが想定の範囲内です. 問題集の問題を写すにしても, どの問題を選んだか/選ばれた問題がどんなものかという点で, 前項で述べた事に対するあなたの考えが反映されていますので. あぁ, もしも問題集の問題を写したのなら, 出典は書くべきですね. これもレポートの基本.

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標語

この授業で重要な方針等を端的に示した標語

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最後に

最後に, 「大学の教養科目として化学を学ぶことの意味は何でしょうか?」と, 問いかけてみます.

この講義で扱うレベルの化学は, 高校で化学を学んできた者 (化学既修者) にとって, あまり新鮮味は無いかもしれません. (巻末の ``主な参考書'' に, 高等学校の化学の教科書が列記されています (!)) それをあえて学ぶ (学びなおす?) 意義は何でしょうか? そういったことも, 考えてみてください.

ということで, 授業中にみなさんに問いかけた質問を, 備忘録として以下に列記してみます.

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随時作成中.

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