学科案内

学科概要

 産業革命以来、機械工学は科学技術を進展させ、国の経済を支える中心的な役割を担ってきました。20世紀の後半には電子回路と融合して知能化(メカトロニクス)し、21世紀はさらに情報工学と強く結合した「メカノインフォマティクス」の時代です。知能をもった機械自身が情報を発信すると共にネットワークを介して人と機械、あるいは機械同士が情報を交換しながら従来にない機能を創出することが期待されています。

 機械科学科は、21世紀のこのような夢に挑戦できる陣容を備え、この方面の研究にも積極的に取り組んでいます。しかし、益々高度化する社会の技術者はうわべだけの綺麗さに惑わされたり、模倣に終始したりするのではなく、幅広い知識と柔軟な思考力を備え、創造性に富む人材でなければなりません。また、科学技術が周囲の環境にもたらす影響を常に意識し、人類の福祉に寄与するという高い倫理性も必要です。当学科では、新しい社会のニーズを視野に入れながら、社会や産業界の要請に応えられる、大地にしっかり根を張った白神山地のブナの大木のような卒業生を社会に送り出したいと考えています。このため、先端的な知能システム、医用システムを設計・開発することによって、社会に貢献することができる人材の育成を目指しています。以上の希望を取り入れた、機械科学科の教育理念は、

「学部教育においては、社会の変革に柔軟に対応できるよう、理学の基礎にもとづいて機械工学の基礎をしっかり身につけ、かつ、ものづくりに対して機械科学のセンスを有した、技術革新や国際競争に柔軟に対応できる技術者としての素養を身につける。大学院教育においては、学部教育を基礎として、未来型機械システムを創造・開発する能力を修得させ、併せて、新たな価値創出や技術革新を生み出し得る基礎能力を涵養し、多様な価値変化や国際競争に柔軟に対応できる思考力と判断力もつ技術者・研究者を育成する。」

ことにあります。


学科コースと教育・研究分野

 機械科学科は機械工学の基礎の上に、関連する教育・研究を、2コース、6分野に分けて行っています。2年次後期以降は知能システムコース、医用システムコースの各専門コースに分かれて学習します。 

コース分けコースと研究分野

 

知能システムコース

 2年次前期までに機械工学の基礎を修得、2年次後期からはコースに分かれ、知能化機械技術者として国際的に活躍できる多様で柔軟な思考力と創造性を育みます。

[機械材料機能学分野]

 機械・構造材料、機能材料、生体材料などの幅広い分野で使用できる新素材、インテリジェント材料の設計と評価に関する研究を、ミクロ領域にまで踏み込んで行っています。新しい材料の開発・評価と利用を推し進め、自動車、航空宇宙機器、産業機械、電子機器などの身の回りの機械・装置の信頼性向上と高性能化を通して、工業技術のみならず医療・福祉の向上や環境など生活の安全に寄与するとともに、人類の夢の実現に貢献することを目指しています。

[多様系熱流体工学分野]

 物質の流れのみならず熱・エネルギーの流れを明らかにする新しい学問領域の確立と、将来のエネルギー問題に対する工学的究明を行っています。また、地球環境破壊の解決、社会の発展を維持するための基盤となる科学技術である熱・流体工学の研究を行い、国民生活の安全や医療・福祉の向上、産業の活性化などに貢献することを目指しています。

[機械情報工学分野]

 生産現場、医療の診療検査、人間環境認識などにおける計測や自動化技術に貢献すべく、センシング技術の研究と教育に取り組んでいます。直接利用できない性質の信号・画像をコンピュータによって支援された処理によって目的に合うよう加工する技術の開発をはじめ、バーチャルリアリティ(VR)/拡張現実(AR)などの可視化技術を利用して、実感的な理解と迅速な意思決定に役立ち、「データと人」をつなぐ技術の開発を行います。

[機械知能工学分野]

 計算機工学、機械工学、電子工学の著しい発展は、ロボット工学、制御工学の発達を促し、人間社会のみならず、深海や宇宙空間あるいは災害現場等の極限環境で活躍する知能ロボットの実現を可能にしつつあります。これらのロボット技術、制御技術を中心に、未来の機械システムを実現するための研究・開発に精力的に取り組んでいます。 

医用システムコース

 2年次前期までに機械工学の基礎を修得、2年次後期からはコースに分かれ、新産業分野として期待される医用システム産業に対応できる専門性の高い人材を目指します。

[医用生体機器分野]

 機械工学と医療を融合した医用工学は、21世紀の新しい学問領域であり、医用生体機器分野では、ヒトや動物から細胞に至るまでの新しい治療・検査技術を実現する医療デバイス開発を行っています。病変組織の早期発見や再生医療技術は、日本の次世代産業でもあり、ナノテクノロジーを駆使した細胞ナノ手術や高度医療デバイス開発により、医療技術の発展はもとより産業の活性化にも貢献することを目指しています

[医用生体計測分野]

 医療・福祉分野での検査・診断・治療や、日常生活での動作行動の評価など、人に関わる様々な情報を、目に見える形で提供する技術を開発するための研究を行っています。機械工学に加えセンサ技術、シミュレーション、メカトロニクス、人間工学など幅広い領域の知識を融合することで、医療従事者や患者への負担の少ない医療や、高齢者の転倒予防やスポーツ選手の身体能力評価など、生体に関する様々な情報の計測技術を開発することで、安全で豊かな生活の実現に貢献することを目指しています。


学習・教育目標

「基本に戻って考え、自ら創意をもって実行する技術者を目指して成長しよう」

  1. (A)技術者としての人格形成と倫理観の養成(頭と心を兼ね備える)
  2. (B)工学基礎と専門知識の修得(基礎と専門をしっかり身につける)
  3. (C)実践的応用能力と計画遂行能力の養成 (自分で工夫する)
  4. (D)表現力と国際性の養成(人にわからせる)
  5. (E)複合領域の理解と知的探究心の養成(好奇心と探求心を備える)

取得できる免許・資格

  • 高等学校教諭一種免許状(工業)

学生出身地

 2020~2023年度の全入学者数324名においては、青森県出身者が142名(44%)、北海道出身者が85名(26%)でした。


オープンキャンパス

 毎年8月に開催されるオープンキャンパスでは、弘前大学の教育・研究内容を体験することができます。模擬講義で大学の授業内容を体験したり、各研究室で最新の研究成果に触れることができます。令和3年度はWEBオープンキャンパスが開催されました。令和4年度は8/8にオープンキャンパスを開催予定です。詳細は下記リンク先をご覧ください。

オープンキャンパス 1オープンキャンパス 3オープンキャンパス 2


小中高生向けイベント

 楽しい科学・サイエンスへの招待では、小・中・高校生や近隣住民の皆様等に対して、機械工学の基礎から応用まで様々な企画を体験いただけます。例えば、ロボットの組み立て、空気砲による風の力の体験、医用や福祉に応用されている装置を使った実験など、様々な企画が準備されています。

サイエンスへの招待 1サイエンスへの招待 2

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