地球温暖化の問題:
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告書によれば、
気候システムの温暖化には疑う余地はなく
(出典: 気象庁翻訳/IPCC AR5)またその原因は
人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性がかなり高い
(出典: 同上)そうです。
地球の気候が平衡状態にあれば、熱の出入りがバランスしているために
年々の気温変動にトレンドは見られないはずですが、
現在はそのバランスが取れず気温上昇トレンドになっているということです。
ではこのような状態になると、どのようなことが起こるでしょう?
・雪氷圏のフィードバック: 気温上昇→雪氷面積の減少→アルベド(太陽光の反射率)低下→気温上昇
・植生圏のフィードバック: 急激な気温上昇・乾燥化→
自然火災や植生の環境不適応による植生面積の減少→CO2吸収量の減少・土壌保水性の減少→乾燥・高温化
これらは考えられる事例の一端です。
CO2の増加は、ここ最近の地球温暖化の主因の一つではありますが、
それが全てではありません。
私個人としては、温暖化のメカニズムについて
十分にわかっていないことはまだ多いと感じています。
特に、炭素循環(極端に言えばCO2を吸収・発生するメカニズム)について、
観測的研究に力を入れているところです。
局地気象研究の重要性:
気象観測データの蓄積と数値モデルの改良により、
地球全体の気候予測の精度は上がってきています。
ただ、局地的な気象の予測(結局我々の住む町はどうなるのか)
はまだ発展途上で研究が必要です。
温暖化に伴い熱帯低気圧・台風の強度が増すとの予測があり、
局地的な豪雨の頻度も高まるものと思われます。
郊外に比べて都市域で気温が高い現象をヒートアイランド現象と呼びますが、
その気温差は首都圏など大都市では10℃程度にも達し、
我々の住む弘前市程の街でも最大5℃程度になります
[卒論: 貞森(2002), 森川(2003), 田中(2004), 押野(2005)]。
その原因は市街地の特徴、すなわち密集した建造物、保水性のない地表面、
そして人工排熱にあります。
局地的な気象予測をより正確に行うためにも、
その土地固有の特徴が気象に与える影響を研究する必要があります。
⇒ 地表面が大気・気象に与える影響を調べよう !!
上記で共通して言えるのは、地表面が大気に与える影響が大きいということです。
そこで...
★ リンゴ園、白神山地などで熱・水・CO2の収支を観測しています。
(右の写真は上部から見たリンゴ園の赤外画像です。)
風は熱や水を運び気象変化をもたらす重要な役割を果たします。 地形は風をはばんだり、収束させて強風をもたらす場合もあります。 地形や地表面、気象条件の違いにより風の吹き方はどう変わるのでしょう。
★ 主に八甲田山周辺で気象観測を行ったり、数値モデル計算を行っています。
(右の写真は南八甲田猿倉岳で起こった突風による倒木被害調査時のものです。
2002年の調査はこちら)
津軽地方は日本でも有数の豪雪地帯です。 2004, 2005年には記録的な積雪による家屋の破損や その雪下ろし中の人的被害が多く発生しました。 ボイラーなどを使って屋根の雪を融かすことはできそうですが、 原油高なので燃料代がかさみます。
★ 自然エネルギー(太陽光)を利用した融雪装置の開発を行っています。
最近ではこのような研究を行っています。 興味のある人はぜひ一緒に研究しましょう。
日本気象学会, 日本雪氷学会 東北支部, 水文・水資源学会, AmericanMeteorological Society
最終更新日: 2017.03.21
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