猿倉岳における強風倒木調査 -2002年版-


現在までの経緯は、 こちらにあります。
こちらにあるデータを研究に使用したい方は是非ご連絡下さい。


背景と調査目的

2000年4月に南八甲田山系猿倉岳の中腹において、 強風(突風)による局所的な倒木被害の報告を受け現地調査を行った。 倒木の重量とその飛距離から、当時の推定風速が50m/sであることがわかった。 発見の時期から考えて寒冷前線通過直後の突風である可能性が強かったが、 被害の発生時刻の特定ができなかったため、 その原因の特定まではできなかった。 過去に複数回同様の倒木が発見されているため、 これだけの風が再度登山道付近で吹く可能性があり、 原因の究明の必要性を感じ、今回の連続風況調査を行うこととなった。

調査目的は、突風がどのような気象条件で起こるかを知ることである。 山岳域においては非常に困難な課題であるが、 手始めとして数は少ないが被害域付近に2地点風向風速計を設置し、 連続観測を行っている。


調査地点

猿倉岳は青森県南八甲田山系の東寄りに位置する。 風向風速計は猿倉岳山頂と東斜面山腹(矢櫃)に設置している。

Map of Mt.Sarukura

国土地理院の数値地図50mメッシュ(日本II)を使用


観測データ

現在まで取得したデータは次のようになっている。

Mean and max wind speed at top and Yabitsu
上図:矢櫃地点と山頂地点の10分間平均風速、下図:同地点の3秒間最大瞬間風速
両図とも黒が矢櫃、赤が山頂

現在まで注目するほどの強風は吹いていない。 このデータよりわかったことは次の通り。


Wind direction at top and Yabitsu
矢櫃地点と山頂地点の10分間平均風向

矢櫃においては南西寄り、山頂においては北西寄りのが卓越風向であり、 特に矢櫃においては風向が安定している。 現在までの強風時においてもその風向の特性は変わらない。

11月24日風向風速計を撤去。


謝辞

現地に風向風速計を設置するにあたり、 倒木発見者である久末正明氏、他南八甲田山登山愛好家の方、 研究室の蓬田安弘君、稲垣一穂君、小野一俊君、安成哲平君、 岡部晋也君に手伝っていただいた。

現地は十和田八幡平国立公園・特別保護地区(国有保安林)であったが、 環境省自然環境局東北地区自然保護事務所、三八上北森林管理署、上北農林水産事務所 より快く観測の許可をいただいている。


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最終更新日:2004.08.16