構造物理化学演習, 2012 年度

理工学部専門科目,
対象: 理工学部物質創成化学科 3 年 (必修),
担当: 宮本量 (理工学研究科, 理工部物質創成化学科)
前期, 月曜日, 5--6 時限

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もくじ

always under construction ;-)

授業の概要

化学の基礎 II(G), 構造物理化学 I, II 等で学習する量子化学分野の問題を解くことで, 基本事項の理解を深めるとともに, 知識の使い方の訓練を行ないます.

具体的には, 次のように進めます.

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重要な注意点

演習を行うと, いわゆる ``模範解答'' を欲する学生が少なからずいます. しかし, ``模範解答'' を示す用意は全くありません. なぜなら, 以下の理由があります.

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授業の目的・目標

本演習の具体的な達成目標は, 以下の通りです. または,

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準備学習 (予習・復習) 等の内容

予習: 教科書の例題を自分の手で解いて (記載されている解答を眺めて写すだけではなく), その内容をしっかりと理解しておく. 関連する章末問題を解いてみて, 疑問点や不明な点をあらかじめ明らかにしておく.

復習: 演習の時間に示された解答例や議論を元にして, もういちど自分の手で問題を解いてみる. 不明な点については, 教科書や参考書を見て確認する.

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教科書・参考書

教科書は次のものです. 問題の解答だけであれば, 教科書の巻末 (下巻の巻末) に略解がありますが, もう少し詳しい解説が欲しければ, 次の書籍に解法が解説されています. それだけでも 900 ページ以上あります. しかし個人的には, 掲載されている答案だけでは不充分だなぁと思うところも あるというのが, パラパラっと眺めた感想です. そして, よくよく吟味すると, 間違っている答案もあります. もともと問題数が多いのでしょうがないですね. あ, ちなみに英書であって, 和訳はありません. というわけで, 本演習では, 教科書末尾の答または Cox の本の解答解説を (和訳して [*]) 書いただけのものは, 著しく減点する可能性がありますヨ.
[*] 和訳のつもりが誤訳や勘違いになっている答案も, 過去には多数ありました.

以下に参考書を示しますが, このリストは随時追加されるかもしれません.

量子力学・量子化学に関するもの (入門編)

量子力学・量子化学 (中上級編・古典的名著など)

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日程と内容(予定)

日程は次の通りです. 演習の内容は, 教科書の以下の各章の章末問題の一部を解きます. 以下の物を総合して成績を評価します.

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質問について

質問は, 随時受け付けます. オフィスアワーを活用しても良いですね (まあ, あたりまえなんですけど).

というか, 毎回, どなたかの学生に演習問題の答案を黒板に出て発表してもらいます. これに対する質問を, その場で, 積極的に出してください. 演習の中心は, この討論にあります.

ということで,

``人はどう答えるかではなく, 何を問うかでもって評価される''.

または, もう少しわかりやすく言うと,

質問すること, 疑問を持つことは, それ自体で価値があります.
大学以上のレベルでは, 問うことと答えることとは非常に近い関係にあると知りましょう.

すなわち,

何が分からないかが分かれば, ほとんど解けたと同じ.

みなさんはこれまでの初等中等教育において, 与えられた問いに正しく答えることが 求められてきたといっても過言ではないでしょう. しかし, 研究の先端や実社会で出会うであろう問題は, あらかじめ解答があるものでは ありません. そもそも問題点が何であるかすら明確でない問題を解決しなければいけない場合も 多くあります. そこで正しく問うことが出来れば, 答えはそのすぐ先にありますが, 問い方が悪いとなかなか答えにたどり着けないばかりか, 誤ったゴールに到達してしまうかもしれません. また良い問いとは, 単にその答えが得られるだけでなく, その問いをきっかけにして 新たな視野が開けたり, 新たなより深い問いを生んだりするものです. そうであるならば, 問いに答えるということも, 単に暗記しておいた既存の知識を 思い出すコトではありませんし, ましてや誰かが既に解いている答えを探すことでもありません. それで終わらせてはいけません. 大学では, 問いと答えとの間を絶えず行き来し, 思索を深めていくような, そういう知の営みを身につけることこそが, 大学で勉強することの価値だと思います.

そこで本演習では, 質問を発する訓練をしましょう. 毎回の演習の出欠調べとミニレポートを兼ねて, 紙片に質問を記入して授業時間の おわりに提出してください (紙片は, A4 の 1/8 程度が適当です (A7 相当)). 受け取った質問は, すべてサポート Web ページ (ここ) に掲載します. 出席とカウントされているかどうかの確認だけでなく, 他人の質問を見て, 良い質問のしかたを考えてみましょう.
なお, 質問の内容は, 本演習に関連したことに限るという制限をつけてみます.

以下の日付をクリックすると, その回の「質問とコメント」に飛びます.

コメントは, 期待されている答えとは, おそらく異なるでしょう. そのために, 質問者(学生)をバカにしていると感じる人も, 一定数いることが予想されます. しかしむしろ積極的に, 心の襞に何も跡を残さずに過ぎてしまうことのないように, あえてそういうコメントをつけているつもりです. 質問について, より深く考えてみることや, 思考を深めるための方向性を, コメントとして示唆するようにしています. そうすることによって, 知識に関する新たな視点が開けてくることを期待します. 繰り返しますが, 安易に解答 (らしきもの) を暗記することは大学での勉強ではないと. 毎回質問を書いてもらうことは, そういった豆知識を覚えてもらうためではありません.

最近は受講学生数が多いので, 配布プリントではコメントの文字数を節約し, また上下の行のすき間を活用する等, 密に充填されています.

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読書感想文 (仮称) について

学生のみなさんには, 化学/科学に関する興味を養ってもらいたいと思います.

科学・技術が十分に発達してしまった現代では, まるで魔法のようなことが 当り前のようにできてしまいます. しかしそれを当り前と思ってしまい, ブラックボックスをブラックボックスのまま 鵜呑みにして済ませてしまうという態度は, ある種の思考停止であり, 高等教育を受けよう (大学で勉強しよう) という志とは相容れない態度と 言えるのではないでしょうか. そして日常的にも, 拙速な「結果」を求めるあまり, 「メカニズムとプロセスに 対する関心」を失ってしまっているのではないでしょうか. 自然のメカニズムとプロセスを解明することが, 本来の自然科学の在りよう だったと思われます. 大学で勉強し, その後に社会に出て活躍することを欲する学生のみなさんには, そしてそのことが期待されているみなさんには, ぜひとも「メカニズムとプロセスに 対する関心」を育んでいただきたいと思います.

そこでこの講義では, 読書感想文 (仮称) の課題を課します; 物質科学・物理学・化学など (関連分野や派生事項を含む) に関する 一般向け解説・啓蒙書を一冊以上読み, その読書感想・評論・調査報告などを まとめてレポートとして提出してください. レポートは A4 版の用紙 2 枚以上の分量であることとします. 「おもしろかった」などというヒトコトしか書かないようなものはダメです. この課題の提出期限は, 5月 2128日の授業時間終了時とします. (日付に誤りがあり, 訂正した)

対象とする書籍は例をあげると, 講談社のブルーバックス・岩波新書・岩波文庫・ 岩波同時代ライブラリ・中公新書などの物理・化学・科学に関するものや, 科学者の伝記的なものが考えられます. また単行本でももちろん良くて, たとえば、``ハインズ博士「超科学」をきる''とか, みすず書房のハイゼンベルク・シュレディンガー・プリゴジン・朝永らの著作など でも結構です.

しかし残念ながら, 避けることが望ましい書籍をあげざるをえません. それはまず, 見開き二ページないし数ページである一つの事柄を説明したものの 集積になっている, いわゆる「豆知識本」です. 具体的な書名をあげて 著者・編者には申し訳ありませんが, 「図解雑学 〜」に類するものです. 系統的に専門的な学問の体系を身につけようという大学生に, ふさわしい書物とは思えません. また内容のレベルについても, 小中学生レベルの本では, ハッキリ言って 恥ずかしいですよ. みなさんは大学生なのですから. さらにオカルト本・ニセ科学本を, そうとはわからずに本物の科学と 信じてしまった論評は, イタイです。論理的科学的思考力が疑われます. しかし取り上げ方によっては, これらの本でもいいかもしれません. あくまでも内容で評価しますから.

なお文芸評論の手法に関しては,

「文学部唯野教授」, 筒井康隆, 岩波同時代ライブラリー
が, 評論の (感覚的評論から構造主義までの) 歴史的発展も踏まえていて面白い。 また論文やレポートの書き方については, をはじめとして多くのものが出ているので参考にするとよいでしょう。

みんなが読んだ本のリスト

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期末評価について

レポートまたは試験. どうするかは, いちおう未定です (笑).
7/23 にレポートの課題を出題しました. 〆切は 8/06 の 15 時 JST です.
いつも通り, 通常課題と追加課題があります.

念のため:
あらかじめ追加の課題を出していますから, これ以上の救済措置は, ありません. 不可の評価に対して「単位をください」と願い出る学生がいることが予想されますが, 得点のチャンスは前述の通りに沢山あったはずです (しかもボーナス点を拾いまくるなどすれば 100 点越えも可能 !).
下記のポリシーにしたがいます.

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最後に, または始めに

最後に, 「大学で勉強するとは, どういうことなのでしょうか ?」と, 問いかけておきます.

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rmiya@cc.hirosaki-u.ac.jp