質問/要望/意見と答(前半)
口頭,メール,出席表での質問のうちの,
いくつかに対する答です。
また,意見・要望で回答が必要と思ったものも
含みます。
実際のやりとりそのままとは限りません。
昨年度以前の授業での質問も含まれます。
架空の質問もあるかもしれません。
答えにくいものは多少回答が遅くなることもありますので,
少し待ってみてください。
授業全体についてのよくある質問・要望と回答
- [質問]
- 教科書以外のおすすめの参考書はありますか。
- [答]
- 以下の本はお勧めできます。
- 地学の基礎IB(高等学校地学I)の内容とほぼ対応したもの
- 杵島正洋・松本直記・左巻健男[編著],「新しい地学の教科書」,講談社ブルーバックス.
- 在田・竹下・身延・渡部[編著],「地球惑星科学入門」,北海道大学出版会.
- 日本地質学会[監修]・地学読本刊行小委員会[編],「地学は何ができるか」,愛智出版.
- 一部の分野と関係するもの
- 深尾良夫,「地震・プレート・陸と海」,岩波ジュニア新書.
- 鎌田浩毅,「地球は火山がつくった」,岩波ジュニア新書.
- 横山一己[監修]・宮下敦[著],「ゼミナール地球科学入門」,日本評論社.
- 岡村・池内・海部・佐藤・永原[編],シリーズ現代の天文学1,「人類の住む宇宙」,日本評論社.
- [要望]
- スライドで重要な語句に色を付けてほしい[強調してほしい]。
- [答]
- スライドに示しているのは教科書を要約したもので,基本的には全て重要な部分です。
従って,説明する上で特に必要な場合を除き,特定の語句を強調したりはしません。
全体が見づらくなるからです。
キーワードとなるような専門用語はテキストに太ゴシックで示されていますので,それを参照して下さい。
[要望]○○についてもっと詳しく知りたいです。
[答]時間的制約が厳しく,教科書に載っている範囲をカバーする必要があるため,
それぞれの分野の詳しい話は,各専門の講義で聞いてもらうことになります。授業の内容に関連して
質問してもらえれば,私のわかる範囲で答えたり,参考書などを紹介することはできます。
[初回アンケートの要望と答を一般化]
- [質問]
- 具合が悪くなったときは途中退室していいですか。
- [答]
- かまいません。特に断る必要もありませんが,できるだけ周りの人に
迷惑にならないようお願いします。
- [質問]
- 授業内容をwebに掲載したのは,そのうち消すのですか。消すのならいつごろですか。
- [答]
- 特に掲載の期限はありません。
- [質問]
- 試験の答案は、解答例と同じように書かないと点数はもらえないのでしょうか。
- [答]
- 掲載しているのは「解答例」です。例の様に書いてあれば満点に
なりますが、例と異なっていても十分であれば満点になります。
また、記述された内容に応じてかなり細かく部分点をつけています。
初回アンケートから
- [要望]
- 楽しく学びたい。
- [要望]
- わかりやすい解説・説明をおねがいします。
- [要望]
- 地学は全然わからないので,分りやすい授業をしてほしいです。
- [答]
- この種の要望については,人によって受け取り方に違いがあるので,
全ての受講者に満足してもらうのはなかなか難しいです。
具体的な要望を出してもらえれば,できることについては
実現したいと思いますが,種々の理由,考えから必ずしも要望に添えないことも
あることはご承知おき下さい。
- [要望]
- ガイダンスのプリントに書いてあることを,長々と説明しなくてもいいと思います。
- [答]
- 全ての人がプリントを配布しただけで理解してくれれば私も楽で助かるのですが,
決してそうではない事は経験上明らかですので,多少くどくとも時間をかけて説明しています。
- [質問]
- 地学の授業の予習・復習はどのようにやればよいですか。
- [答]
- まずガイダンスでの説明に従って
やってみて下さい。
- [質問]
- 「地学の基礎II」のカリキュラムの中には、地学I(B)の第4部「宇宙の構成」に
関係した内容、またはそれを発展させた内容は含まれていますか。
- [答]
- 現在の「地学の基礎II」では、残念ながら宇宙関係の内容は扱われていません。
21世紀教育全体でも、
「地学の基礎I(A)」の葛西先生の授業だけと思います。
この授業の受講者は受講できませんが、時間が空いていれば聞きに行くのはかまわないでしょう(多分)。
- [要望]
- 授業前にスライドを公開してもらうことはできませんか。
- [答]
- テキストを読んで予習してもらうことを想定しているので、
今のところ事前の公開は考えていません。
4月19日の授業から
- [質問]
- 外核は液体なのに内核が固体なのはなぜですか。
- [答]
- 「なぜ」の意味が曖昧ですが、
「内核のほうが高温なのに固体なのはなぜか」という質問でしたら、
2010年度前期の質問と答
の4月22日分に回答が掲載されています。
- [質問]
- 問題集で先生のおすすめのものはありますか。
- [答]
- 「勉強」=「与えられた問題を解くこと」という考えからなるべく早く
「離陸」して欲しいと考えているので、主に受験用として出版されている問題集を薦めることは
あまりできません。むしろ、ガイダンスでの説明に従って
やってみた上で、配布した過去の出題を参考に、
「この教科書の内容について出題するとすればどんな問題になるか」を自分で考えてみて
欲しいと思います。
もちろん、問題集も使い方によっては勉強する上で有効であることは確かですので、
使うことを否定するわけではありませんが。
授業は高校の教科書に従って進めているので、「地学I」
(あるいは高校では本年度から始まる「地学基礎」でもほぼ代用可)
のものでしたらどれでも内容は適合しているはずです。
教科書に準拠したものでは、同じ出版社の
サンダイヤル
センサー
があります。
- [質問]
- なぜ横波は気体や液体を伝わらないのですか。
- [答]
- ごく感覚的に説明すると、気体や液体では構成する粒子(原子や分子)が「つながっていない」ので、
進行方向と直交する動きは隣の粒子に伝わらないからです。縦波は進行方向の動きなので、隣の粒子に
「ぶつかる」ことにより、「つながっていな」くても伝わることができます。
- [質問]
- エラトステネスが地球の大きさを推定した当時、
アレキサンドリアとシエネの距離はどうやって測ったのですか。
- [答]
- 基本的には人が歩いて行くのに掛かる時間に基づいていたようです
参照
Wikipedia「スタディオン」。
- [質問]
- エラトステネスは夏至の日の正午に900kmも移動をしたのですか。
- [答]
- もちろんそんな訳はありません。
「夏至の日の正午には毎年同じ高度に太陽があり、その高度は場所が同じであれば一定である
(場所が異なれば異なる)」ということが当時既に知られていたことを前提としています。
- [質問]
- 地球全体が冷え切ってしまうことはありますか。もしそうなれば地球はどのようになりますか。
- [答]
- 現在の月のように、火山活動や地震活動、地殻変動などがほとんど起こらなくなるでしょう。
- [質問]
- 地球の内核と外核の境界ではどのような反応が起こっているのですか。
- [答]
- 不純物を含む溶融金属鉄から不純物の少ない金属鉄が結晶化し、
徐々に内核が成長しつつあると考えられます。
- [質問]
- なぜ、磁場は地軸に対して約11°傾いているのでしょうか。
- [答]
- 磁極はゆっくりと移動しており、また反転する場合もあることが知られています。
むしろかなりの期間地軸に近いことの方が理由が必要ですが、地磁気が外核の流れ(対流)によって
発生すると考えられているので、それがなんらかの形で関係しているのでしょう。
- [質問]
- 自転の速度は今と昔でも同じなのですか。
- [答]
- 過去の方が自転速度が大きかった(1年の日数が多かった)ことが
知られています。
- [質問]
- 今話題になっているシェールガスが存在するシェール層は何kmの深さにあるのですか。
- [答]
- きちんと調べてはいませんが、シェール(頁岩)は堆積岩なので、基本的には地殻の浅いところ
(おそらく深さ10km未満)に分布していて、経済的に採掘できるのはさらい浅い数km未満にあるものでしょう。
- [感想]
- 家に帰ったら、方位磁針を探して穴があいているかどうか確かめようと思いました。
- [答]
- 必ずしも穴があいているとは限らず、太さを変えたり、
おもりをつけたりしているかもしれないので、注意して下さい。
- [質問]
- BC230頃に地球の大きさが求められたということですが、地球が丸いと認識されたのはいつ頃からでしょうか。また、地球が丸いと認識される以前は四角いものというのが一般的だったのでしょうか。
- [答]
- 詳しく調べる時間が無く、わかりませんでした。
- [質問]
- 毎回このくらいのペースで授業が進むのですが。
- [答]
- 基本的にはほぼ同じ程度です。平均すると教科書のページ数で20ページ程度,
スライド25枚程度になります。
過去の質問から
- [質問]
- 地球内部の温度の推定(教科書13ページ図10)で,途中で温度が
不連続に変化するのはどうしてですか。
- [答]
- 地下深部の温度は直接測定することができないので,さまざまな情報を元に
推定しているのですが,まだ不確実な点が多いのが実情です。図に示されている温度幅は
推定の不確実さを表しています。急変するのは上部マントル-下部マントル境界と,
マントル-核の境界ですが,そこでは構成している物質が変わるため,推定条件が変化して
見かけ上不連続になることになります。実際の温度分布は,この幅の中のどこかを通過する
連続な曲線になっているはずです。
- [質問]
- 火星とか金星も磁気を持っているんですか。地磁気の大きさはどこでも一定なんですか。
- [答]
- 火星と金星は,磁場を持たないか,持っていてもきわめて小さいと考えられています。
地磁気の大きさ(全磁力)は,場所ごとに異なり,2倍以上の差があります。変化の仕方は複雑ですが,
低緯度で小さく高緯度で大きい傾向があります。
4月26日の授業から
- [質問]
- 沈み込んでいったプレートは最終的にどうなるのですか。
- [質問]
- 「プルームテクトニクス」という言葉を聞いたことがあるのですが、
「プレートテクトニクス」となにか関係があるのですか。
- [答]
- 沈み込んだプレートは,マントル内に一度溜まった後,
最終的にはマントルと核の境界まで沈んでいくと考えられています。
教科書20ページの「参考:マントルの運動」の図には,日本列島の下から核にまでいたる地震波の
速度が速い部分(青色で示された部分)が示されています。これが
沈み込んだプレートの行方と考えられています。地球全体の様子は
テキストの本文前(3)(まる3)ページの「プレートとマントルの運動」に示されています。
ここでは沈み込んだプレートがマントル-核境界まで沈降する「冷たいプルーム」と、それに対応して
マントル-核境界付近から上昇する「熱いプルーム」が描かれています。近年、このようなプルームの動きが
プレート運動を含む地表に見られる様々な現象に影響を与えているという考えが提唱され、
「プルームテクトニクス」と呼ばれています。
- [質問]
- 青森県の活断層はありますか。
- [答]
- はい。例えば青森県の地震を参照して下さい。
- [質問]
- P.20の参考についてですが、“地震波の伝わる速さが遅い部分は温度が高い”とありますが、それはなぜですか(温度が高いと運動も盛んになって、地震波が速く伝わると思っていました)。
- [答]
- 温度が低いところは相対的に「硬く」温度が高くなると「柔らかく」なります
(あくまで相対的な話です)。「硬い」場所は「柔らかい」場所に比べて地震波の伝わる速さが速くなります。
これは感覚的に理解できるのではないでしょうか。
- [質問]
- ハワイが日本に近づいてきていると聞いたのですが,事実ですか。
事実ならいつ頃日本の近くにハワイが来ますか。最終的には日本列島かユーラシア大陸に衝突するのですか。
それとも海溝に沈んでしまうのですか。
- [答]
- 太平洋プレートが日本海溝で沈み込んでいるために,太平洋プレートに乗っているハワイ島は
プレートの動きによって日本に近づいています。
教科書75ページに関連した「探求活動」が載っています。そこにあるように,現在のミッドウェー島は
現在のハワイ島の場所で形成され,2770万年かけて現在の場所まで移動して来たと考えられています。
この年代と,地図上でのハワイ島―ミッドウェー島―日本列島の位置関係を見て,
考えてみて下さい。
衝突するか海溝に沈むかは、場合によってどちらもありうると思います。
- [質問]
- なぜ震度5と6だけ強弱がついているのですか。震度7以上の大きな地震は絶対おきないのですか。それとその理由も教えて下さい。
- [答]
- 1996年の改定で強弱に分けられました。同じ震度でも被害の程度に大きな差があることが
明らかになったためです。ある程度以上の大きさのゆれではすべて震度7になりますので、それよりも
大きな震度は定義上ありません。
- [質問]
- 押し波・引き波がわかりにくかったです。
- [答]
- 地震波を南北-東西-上下の3成分について測定すると,それを合成することによって3次元での動きを知ることができます。震源の位置がわかっていれば,震源から測定点に向かって波が進んでくる方向がわかるので,P波の場合は震源に向かう方向と震源の反対側の方向を往復するように振動することがわかります。震源から測定点に向かう動きを押し波,測定点から震源に向かう動きを引き波と言います。
- [質問]
- アイソスタシーは地殻がマントルの上に浮いていることで成り立っているといいますが、マントルは固体なので下に地殻が沈みこむのは不可能ではないのですか。
- [答]
- マントルは固体ですが長い時間かけると変形するので、時間スケールを長く取ると流体と見なすことが
できます。その点がアイソスタシーの基本的なアイディアになります。
- [質問]
- アセノスフェアとリソスフェアの境界線の部分はどうなっているんですか。
- [答]
- 両者の間は明瞭な境界ではなく、徐々に変化して(漸移して)います。
- [質問]
- 地震計は日本では何台ありますか。
- [質問]
- 高校の物理の時間のとき、モホロビチッチが乗っていた船の名前は「カス1号」だと聞いたのですが、本当ですか。
- [答]
- すぐには調べられませんでした。
5月10日の授業から
- [質問]
- なぜ海溝から100〜300km以上離れて火山が分布しているのですか(海溝のすぐ近くにないのは何故)。
- [答]
- いくつか説がありますが、プレートの沈み込みに伴って含水鉱物が分解し、
マントル内でH2Oに富んだ流体が上昇してくる(それによって部分融解が起こる)場所に対応している、
というのが一般的な説明です。
- [質問]
- なぜ石英は固溶体でないのか。
- [答]
- 説明のしかたは複数あると思いますが、石英の場合陽イオンの占める場所は1種類のみで
そこをSi4+が占めていますが、そこを置き換えうるようなサイズと電荷がSi4+と同じイオンが天然には
あまり存在していないから、というのが1つの説明になると思います。
- [質問]
- 活火山の定義を教えてください。
- [答]
- 「おおよそ過去1万年以内に噴火した火山、及び現在噴気活動が認められる火山」です。
- [質問]
- 富士山(岩木山、その他の火山…)は、将来噴火するのですか。
- [答]
- 活火山とされている火山は将来噴火する可能性があります。
したがって過去の活動から噴火の規模や様式を推定して、対応を考えておく必要があります。
ただ、火山の噴火の場合は、ある程度以上の規模のものであれは、
ほとんどの場合地震などの前兆現象が観測されるので、
明日突然噴火する、というようなことは心配しなくても大丈夫です。
- [質問]
- なぜ、すれ違う境界だけに火山が形成されないのか。
- [答]
- 授業で、拡大する境界、収束する境界、ホットスポットでそれぞれどのようにして
マグマが発生するかを説明しました。そのようなことがすれ違う境界の地下では起こらないと
考えられるからです。
- [質問]
- 火山の噴火でマグマが地表に出るとありましたが、どのようにしてマグマが噴きだすのか、
マグマが地下からどのようにして出るのかが知りたいです。
- [答]
- 詳しい説明は授業の範囲を超えますが、基本的にはマグマは周囲より密度が低いために
浮力によって上昇し、ある程度より浅いところでは圧力の減少により溶け込んでいた水などの成分が
気体になって発泡し、体積が急に増えるために爆発的に噴出すると考えられています。
- [質問]
- なぜ水が存在することで岩石の融解温度が低下するのでしょうか。
- [答]
- 感覚的には、鉱物の -O-Si-O-Si-O- の結合が水が含まれることにより
切断されるためと見なすことができます。
- [質問]
- 日本には楯状火山はないのですか。
- [答]
- 典型的なものはありませんが、一部の玄武岩溶岩を主な噴出物とする
成層火山が楯状火山とよばれることもあります。
5月17日の授業から
- [質問]
- なかなか立体視がうまくいきません。なにかコツがあるのですか。
- [答]
- 河岸段丘立体視の
ページに簡単な説明を付けておきました。ただ,どうしてもできないという人もいますので,そのときは残念ながら
あきらめていただくより仕方ありません。
- [質問]
- 昨日、昼と夜に地震がありましたが、何かの予兆だったりするのでしょうか。
- [答]
- 平常の範囲内の現象と思われます。
- [質問]
- アフリカ大陸は安定地塊ですが、それなりに高い山や火山、地震帯があるのはどうしてですか。
- [答]
- 大陸内部にもホットスポットの火山があります。また、アフリカ東部のリフト帯(地溝帯)は、
プレートの拡大する境界ができつつある場所で、地震や火山活動が起こっています。
- [質問]
- 部分溶融と部分融解は同じ意味ですか。
- [答]
- 同じ意味です。教科書では「部分溶融」を用いていますが、私は
普通は「部分融解」の方を用いています。
- [質問]
- 褶曲した場所は土砂崩れなど起きたりしないのですか。
- [答]
- 褶曲によって地表が隆起した場合などに起こることがあります。
- [質問]
- 横ずれ断層が生じると、地表に穴が開きそうな気がしますが、そういうことはおきないのですか。
- [答]
- 大体そのような感じで「プルアパートベーズン(pull-apart basin)」とよばれる凹地が形成される場合があります。
- [質問]
- P.52 図6 右下の図で、日本列島は縮んでいるが昔は今よりも日本列島は大きかったんですか。
- [答]
- 水平方向の伸縮と同時に上下方向の隆起と沈降も生じているので、一概には言えません。
- [質問]
- どのような場所で正断層や逆断層が起き、どのような場所で横ずれ断層が起こるんですか。
- [答]
- その場初に加わっている力(応力)の違いによってどの形式の断層が生じるのかが決まります。
正確な表現はこの講義の程度を超えますが、おおまかには教科書59ページ図16の説明のように理解して下さい。
- [質問]
- マグマと溶岩は何が違うのですか。
- [答]
- マグマは高温で融解した物質で、固まると岩石(火成岩)を形成するようなものです。
溶岩はマグマが地表に噴出したもので、高温で液体状態のものと、それが固結した岩石の両方に対して用いられる用語です。
- [質問]
- 断層は地震以外の原因でも生じるのですか。
- [答]
- 断層が形成されること(断層運動)によって地震が発生します。
すなわち断層運動が地震の原因(の1つ)です。地震は断層運動以外の原因(爆発など)でも
発生することがあります。断層の動きが非常にゆっくりであれば、事実上地震が発生しないことも
ありえます。
- [質問]
- 背斜の由来はわかりましたが、向斜の由来はなんですか。
- [答]
- 正確に説明した資料は見つかりませんでしたが、
「向背」(従うこととそむくこと、前向きと後ろ向き)という言葉あるように
両者は対になる意味を持っているので、「背」の反対で「向」としたのではないかと思います。
- [質問]
- 右横ずれ断層と左横ずれ断層の違いはなんですか。
- [答]
- 一方の側の土地の上に立って見たとき、断層をはさんで他方の土地が
向かって右向きに移動しているならば右横ずれ断層、向かって左向きに移動しているならば
左横ずれ断層になります。どちらに立ってみても同じ断層について同一の結果になることを
確認してみて下さい。
- [質問]
- 先生が今まで見られた中で、最も印象深かった地層の形を是非教えていただきたいです。
- [答]
- いくつかありますが、授業でも紹介した(ウェブページの表紙で写真を掲載している)
牡鹿半島の露頭はその1つです。他に個人的に印象深いのは(写真がすぐに出てこないのですが)
典型的な不整合を初めて見た、岩手県田野畑村の露頭です。
- [質問]
- こはくはどのような過程で作られるのですか。
- [答]
- こはくは松や杉などの針葉樹の樹脂が化石となったものです。
現在の森林で松や杉の幹の周りを観察すると、樹脂が染み出して塊を作っているのが
観察できます。こはくは主にそのような針葉樹の樹脂が地層に埋積されて
化石になったもので、たいてい樹木の化石(広義の石炭)に伴われています。
5月24日の授業から
- [質問]
- 示準化石であり,かつ示相化石であるという化石はないのですか。
- [答]
- 両者の条件を厳密に考えると難しいのですが,どんな生物でも生息する環境は無制限ではないので,
ある程度は示相化石としての性質を持っています。
そういう意味では示準化石の一部は示相化石としても役に立ちます(古生代のサンゴの一部など)。
- [質問]
- なんでクリノメーターという名前なのですか。
- [答]
- 英語の「clinometer」は傾斜計の意味で、「クリノメーター」に相当するものは
「compass and clinometer」または「geological compass」と呼ばれるそうです(新版 地学事典, 平凡社)。
前者が略されて「クリノメーター」になった可能性があります。
- [質問]
- 氷河が流れるとはどういうことですか。氷が流れるのはイメージできないのですが。
- [答]
- 氷は固体ですが、長時間力が加わるとゆっくりと変形して流れます。
- [質問]
- ホットスポットはどのようにして形成されたのですか。
- [答]
- 大規模なものはマントル深部から上昇する大規模な流れに相当すると考えられています。
- [質問]
- 青森県内で化石を発見しやすい場所はありますか。
- [答]
- 種類を問わなければ色々あります。
- [質問]
- 恐竜の化石に示相化石または示準化石として役立つものはありますか。
- [答]
- 狭義の恐竜は中生代の示準化石です。また、種類ごとの生息環境も
ある程度わかっているので、示準化石となる場合もあるかもしれません。
- [質問]
- (恐竜の)化石から皮膚の色とかはわかるものなのですか。
- [答]
- 原則として化石からは生きていたときの色はわかりません。
現生の近縁の生物から類推していることが多いようです。
5月31日の授業から
- [質問]
- どのようにして地層がひっくり返るのでしょうか。
- [答]
- たとえば教科書58ページの図14(b),(c)のように、褶曲の程度が著しくなると、
一部が逆転することになります。
- [質問]
- 「冥王代の物質の証拠が残っていない」とありましたが、それはどのようにして分かったのですか。
- [答]
- その時代の放射性年代を示す岩石が見つかっていない、という意味です。
- [質問]
- 化石になるものとならないものの違いはあるんですか。
- [答]
- まず、化石として残るのは存在した生物全体のごく1部です。
その中でも残りやすいかどうかに違いがあり、硬組織を持つかどうかが大きな要因であると
考えられます。ほかに生息環境なども影響するでしょう。
- [質問]
- 授業でやらない教科書の問題もテスト範囲ですか。
- [答]
- 中間テストの範囲は、教科書の第1部、第2部の内容です。
「問題」は理解を確認する手段であり、問題が範囲、という考え方は私は採っていません。
- [質問]
- 将来大量絶滅の可能性はあるのですか。
- [答]
- 可能性はありますし、十分長い時間を考えれば、ほぼ確実に起こるだろうと言えます。
- [質問]
- 超大陸ができるときに大陸どうしがぶつかって隆起したりしますか。
- [答]
- 一般に大陸同士が衝突すると、大陸地殻が沈み込みにくいため、隆起が起こります。
- [質問]
- 今後地球に隕石が落ちることはありますか。仮に大きな隕石が落ちて地球は崩壊しませんか。
- [答]
- 大きくないものはしょっちゅう落下しています。「地球の崩壊」が
どのようなものを想像しているのかわかりませんが、ある程度以上大きいものは事前に発見可能なので、
何らかの対処がおこなわれるでしょう。
- [質問]
- もし地球の周りにたくさんの小惑星があれば地球はもっと大きくなりますか。
- [答]
- 地球に衝突して合体すれば大きくはなりますが、…。
- [質問]
- 最初に酸素を生成するものが生まれてから人が住めるような環境になるまでどのくらいかかったのですか
- [答]
- 「人が住めるような環境」が、具体的にどの程度をさすのかが曖昧で、
また酸素濃度の変遷については現在でも色々な議論があり、はっきりしたことは言えませんが、
おおむね顕生代に入ってから(教科書では5億4千3百万年前以降)は、酸素分圧に関しては現在と大差なかったようです。
- [質問]
- 40億年前の地球も青空は広がっていたのでしょうか。
- [答]
- ちょっと考えてみましたが、よくわかりません。
- [質問]
- フデイシの化石はどの部分がフデイシなのかよくわかりませんでした。
- [答]
- 表面の白くて細長い模様のように見える部分がそうです。
- [感想]
- 寒いです。
- [答]
- そうですか。
6月3日の授業から
- [質問]
- ウェブページの一部が文字化けしていることがありますが、どうすればいいでしょうか。
- [答]
- 文字コードはEUC-JPで掲載していますが、たまに手違いでshift-JISになっている場合があり、
文字化けすることがあるようです。自動判別でうまくいかない場合はとりあえずどちらかを指定すれば
読めるはずです。また、そのような状態になっているのを見つけたら、メールで連絡して下さい。
- [質問]
- 教科書111ページの図22の(b)によると、約3億年前にCO2濃度が現在と同じ程度まで減少し、
その後CO2濃度が5倍程度まで増加していますが、なぜでしょうか。
- [答]
- 中生代にはプレート運動が活発で、海洋底の拡大速度が大きく、火山活動による
CO2の放出が増大したためと考えられています。
- [質問]
- ジュラ紀の恐竜は白亜紀まで生きていたんですか。
- [答]
- 詳しくは調べていませんが、ジュラ紀末に絶滅したものも、白亜紀まで
生存したものもあると考えられます。
- [質問]
- カンブリア紀型動物群で現代に残っているものはなんですか。またなぜ残れたのですか。
- [答]
- 腕足類(腕足動物)の一部がそれに相当すると考えられています。なぜ残っているのかは
よくわかりません。
- [質問]
- なぜ46億年前の地球の物質などを発見することができないのですか。
- [答]
- 初期にマグマオーシャンが形成されたため,それが固結するまでは地表に
岩石が形成されなかったと考えられます。それ以降でも形成された岩石の多くは
侵食されて失われたり,後の時代に変成作用を受けて他の岩石に変わってしまったりしたため,
残っているもので現在見つかっているものは約40億年以降の岩石ということになります
(将来,地球上のどこかでもう少し古い岩石が発見される可能性は残されています)。
[地学の基礎I(B) ホーム]
Minoru SASAKI
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