質問/要望/意見と答(前半)
口頭,メール,出席表での質問のうちの,
いくつかに対する答です。
また,意見・要望で回答が必要と思ったものも
含みます。
実際のやりとりそのままとは限りません。
架空の質問もあるかもしれません。
答えにくいものは多少回答が遅くなることもありますので,
少し待ってみてください。
全体について
- [質問]
- 教科書以外のおすすめの参考書はありますか。
- [答]
- とりあえず,以下の本はお勧めできます。
- 杵島正洋・松本直記・左巻健男[編著],「新しい地学の教科書」,講談社ブルーバックス.
- 深尾良夫,「地震・プレート・陸と海」,岩波ジュニア新書.
- 鎌田浩毅,「地球は火山がつくった」,岩波ジュニア新書.
- 横山一己[監修]・宮下敦[著],「ゼミナール地球科学入門」,日本評論社.
- 岡村・池内・海部・佐藤・永原[編],シリーズ現代の天文学1,「人類の住む宇宙」,日本評論社.
授業について
- [要望]
- スライドで重要な語句に色を付けてほしい[強調してほしい]。
- [答]
- スライドに示しているのは教科書を要約したもので,基本的には全て重要な部分です。
従って,説明する上で特に必要な場合を除き,特定の語句を強調したりはしません。
全体が見づらくなるからです。
キーワードとなるような専門用語はテキストに太ゴシックで示されていますので,それを参照して下さい。
[要望]○○についてもっと詳しく知りたいです。
[答]時間的制約が厳しく,教科書に載っている範囲をカバーする必要があるため,
それぞれの分野の詳しい話は,各専門の講義で聞いてもらうことになります。授業の内容に関連して
質問してもらえれば,私のわかる範囲で答えたり,参考書などを紹介することはできます。
[初回アンケートの要望と答を一般化]
初回アンケートから
- [質問]質問がウェブページに載るときは,質問した人の名前も載りますか。
-
- [答]
- 質問者の名前は載りません。質問の文章も多少変更される場合があります。
- [要望]
- 教室が暑いです。
- [要望]
- 講義室が暑すぎて具合が悪くなります。暖房を下げてください。
- [要望]
- 教室が暑かったです。
- [答]
- 確かに。私も暑かったです。暖房が入っているわけではないのですが,
あれだけの人数が集まるとどうしても暑くなります。普段は窓を開けるのですが,
ガイダンスの日は風が非常に強かったのであえて閉めたままにしていました。
細く開けておけばよかったですね。
- [要望]
- 楽しく学びたい。
- [要望]
- わかりやすい解説・説明をおねがいします。
- [要望]
- 地学は全然わからないので,分りやすい授業をしてほしいです。
- [答]
- この種の要望については,人によって受け取り方に違いがあるので,
全ての受講者に満足してもらうのはなかなか難しいです。
具体的な要望を出してもらえれば,できることについては
実現したいと思いますが,種々の理由,考えから必ずしも要望に添えないことも
あることはご承知おき下さい。
- [要望]
- ガイダンスのプリントに書いてあることを,長々と説明しなくてもいいと思います。
- [答]
- 全ての人がプリントを配布しただけで理解してくれれば私も楽で助かるのですが,
決してそうではない事は経験上明らかですので,多少くどくとも時間をかけて説明しています。
- [要望]
- 地学の授業の予習・復習はどのようにやればよいですか。
- [答]
- まずガイダンスでの説明に従って
やってみて下さい。
- [要望]
- 視力が悪いので,できるだけ大きめの文字にしていただけると嬉しいです。
- [要望]
- スライドの文字を大きくして下さい。小さくて見えないのと,目がちかちかしてくるので。
- [要望]
- 字の大きさは今回の一番小さな物より小さくしないで欲しい。
- [答]
- スライドはおおむね32〜24ポイント程度の文字で作成しています。ガイダンスのスライドには
一部それを下回る部分がありましたが,できるだけ上記の範囲内になるようにします。
なお,どうしても見難い方は前のほうの席にどうぞ。たいていいくつか空いています。
- [要望]
- マイクの音が小さいです。
- [要望]
- マイクの音量を今日よりは上げて下さい。
- [要望]
- ピンマイクより手で持つマイクじゃないと後が聞こえにくい気がします。1番前のスピーカーからしか声が出ていないので。ピンマイクで聞こえないわけではありません。
- [答]
- 授業の間は気づかなかったのですが,終了後に後のスピーカーに入っていないことを
確認しました。事務の担当の方にお願いしておきましたので,次回からは大丈夫なはず,です。
→(追加)結局後のスピーカーを使用するためには工事が必要で,今学期中は難しいそうです。
- [要望]
- 宇宙についてもっとやりたいです。
- [要望]
- 天気や気候の分野に興味があるのでそこを詳しくやって欲しいです。
- [答]
- 時間的制約が厳しく,教科書に載っている範囲をカバーする必要があるため,
それぞれの分野の詳しい話は,各専門の講義で聞いてもらうことになります。授業の内容に関連して
質問してもらえれば,私のわかる範囲で答えたり,参考書などを紹介することはできます。
- [要望]
- 後でウェブページで見る機会があるとはいえ,ある程度はその場でノートに書ける内容のスライドが望ましいです。わかりやすい分類図などがほしいです。
- [答]
- その場でそのまま全部を写す必要はない,と言っているのであって,ノートをとることは必要です。
自分で必要と判断した範囲でノートをとって下さい。
4月22日の授業から
- [質問]
- 外核が液体の鉄とニッケルで、内核は固体の鉄とニッケルからなるとされていますが、
これは内核のほうが温度が低いということですか。
- [答]
- 地球の内部は平均的には深くなるほど温度が高くなっています。
教科書13ページの図10にあるように,外核と内核の境界である
深さ5100km付近でも,その関係は変わりません。つまり
内核は外核よりも温度が高いと考えられています。
一般に物質は温度が高くなると液体に,温度が低くなると
固体になりますから,これは一見矛盾しているように見えます。
それではなぜ内核は温度が高いにもかかわらず固体なのか。
これは物質のもつ次の2つの性質から説明できます。
ひとつは,液体から固体に,あるいは固体から液体に変わる温度(融点)は,
圧力が変わると変化するということです。多くの場合,融点は
圧力が高くなると高くなります(ただし例外もあり,水の例が有名)。
深くなると圧力が高くなり,それによって融点が浅いところに比べて
上昇するため,その上昇の程度が温度の上昇より大きければ,
浅いところでは融点より高温で液体,深いところでは(その深さでの)
融点よりは低温なので固体,となることがありえます。
もうひとつは,内核と外核とでは化学組成にわずかに違いがあると
考えられるということです。液体である外核は,固体の内核よりも,
鉄・ニッケル以外の成分をより多く含んでいる可能性があります。
その場合,同じ温度圧力であっても一方が液体,他方が固体の状態で
共存することができます。
以上のような性質から,内核は外核よりも高温でありながら
固体になっていると考えられます。
参照(5月6日スライド)
- [質問]
- 極と赤道では,赤道の方が体重が軽くなるのですか。
- [答]
- 質量としての体重はもちろん変わりませんが,バネばかりなどで
計った「重さ」は,赤道のほうが重力が小さいため軽くなります。
- [要望]
-
重力について説明したスライドで,一見すると「重力が赤道で最大,極で最小」と読めて紛らわしいと思います。
- [答]
- 確かに,その後に,その結果として「重力は赤道で最小,極で最大となる」ことを書いたほうがよかったですね。
- [質問]
- 花こう岩には,主にどんな放射性元素が含まれているのですか。
- [答]
- カリウム(K),ウラン(U),トリウム(Th)が,主な放射性元素(正確には放射性同位体を含む元素)です。
- [質問]
- 「P波の影」の部分には,P波の直接波は伝わりませんが,P波の反射波は伝わるのですか。
[質問は6月3日出席表に書かれたものですが,関連する授業の場所に載せました]
- [答]
- 授業では説明していませんが,地震波は最短経路を伝わるものの他に,マントルと核の境界や地表で反射して
伝わるものもあります。また,そのような境界でP波からS波に,あるいはS波からP波に変換されて伝わるものもあります。
そのような波はP波(やS波)の影の部分にも伝わります。
<参考>
日本地震学会「なゐふる」vol.1「地震学最前線」
に,教科書の18ページ図18に対応する,実際の観測結果の図が示されています。P波,S波の他にも
さまざまな走時曲線が見られるのがわかります。
5月6日の授業から
- [質問]
- 出席表の1問目で,問は「何回分か」と聞いているのに,スライドの答は
「何倍」とだけ答えていて,対応しないように見えるのですが。
- [答]
- 確かに説明が不完全でした。エネルギーは足し算ができるので,同じエネルギーの
地震がn回発生すれば,発生したエネルギーの合計はn倍になります。従って,
エネルギーが100万倍であれば,その地震100万回分ということになります。
- [要望]
- 後のほうで私語をしている人がいるので,注意してほしい。
- [答]
- 気がついたときはできるだけ注意するようにします。
- [質問]
- 活動的大陸縁と衝突帯の違いを教えて下さい。
- [答]
- 両者はいずれもプレートの収束境界に形成されますが,
収束する(互いに近づく)プレートの種類が異なります。
活動的大陸縁の場合は一方が海洋プレート(地殻が海洋地殻からなるプレート),
他方が大陸プレート(地殻が大陸地殻からなるプレート)です。
この場合は海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいきます。
衝突帯では2つのプレートはいずれも大陸プレートです。この場合は,
大陸地殻の密度が小さいためマントル内に沈み込んでいくことができず,
プレートが近づくにつれてぶつかった大陸地殻が重なり合って山脈が形成されます。
- [質問]
- 海の浅いところと深いところで起きた地震では,どちらが津波がおきやすいですか。
震源の深さについてはどうですか。
- [答]
- いずれも浅い場所のほうが津波がおきやすいはずです。
- [質問]
- プレートが動く原動力は,地球の何のエネルギーなのでしょう。
- [答]
- 最終的には地球内部から放出される熱エネルギーが変換されたものと考えることができます。
- [質問]
- 「リフト帯」とは何ですか。
- [答]
- リソスフェアが引き伸ばされて割れて,割れ目の両側が陥没して
溝のような地形ができた場所です。地溝帯とも呼ばれます。
「rift: n.割れ目,裂け目; v.割る,割れる,裂く,裂ける」です("lift"ではないことに注意)。
- [質問]
- 収束する境界ではプレートが沈み込んでいくということですが,
沈むだけでは厳密には無くならないので,プレートが沈み込み続けると,
いつかは限界が来るのではないですか。
- [答]
- 沈み込んだプレートは,マントル内に一度溜まった後,
最終的にはマントルと核の境界まで沈んでいくと考えられています。
教科書20ページの「参考:マントルの運動」の図には,日本列島の下から核にまでいたる地震波の
速度が速い部分(青色で示された部分)が示されています。これが
沈み込んだプレートの行方と考えられています。
5月13日の授業から
- [質問]
- 教科書52ページの図で,平野部は水平方向に縮んでいるにもかかわらず
上下方向に隆起しているのはなぜですか。
- [答]
- 今使用している教科書を閉じた状態で両手で持ち,両側から押し付けるように
力を加えると,上または下にたわみます。場合によっては一部は上に,一部は下にたわむでしょう。
上にたわんだところが隆起している場所,下にたわんだところが沈降している場所と考えれば
理解できるのではないでしょうか。
- [質問]
- なぜ水が加わると岩石の融点が下がるのでしょうか。
- [答]
- 地殻やマントルを形成する岩石は,ほとんどがケイ酸塩鉱物からできています。
ケイ酸塩鉱物はSiO4四面体(教科書46ページ)が様々な形に結合した構造を骨組みにしていますが,
水(H2O)は,その結合を切断する働きがあります。そのため水が加わると鉱物の構造が
ばらばらになりやすくなり,とけやすくなります(かなりおおざっぱな説明です)。
- [質問]
- 気成鉱床と熱水鉱床の違いを教えて下さい。
- [答]
- 教科書49ページの「マグマと鉱床」の内容ですね。
歴史的な経緯があり細かく説明すると面倒なのですが,
熱水(H2O(水)を主成分として他の元素を溶かし込んだ高温の流体)から沈殿して,
あるいは熱水と周りの岩石が反応して形成された鉱床のうちで,
比較的高温(300〜400℃以上)の条件で形成されたものが,そこで書かれている「気成鉱床」
です。そこでの「熱水鉱床」は,より低温(おおむね300℃以下)で形成されたものを指します。
- [質問]
- 「火山」とは,活動している山のことですか。「火山」とそうでない「山」とは,
どのように違うのですか。
- [答]
- 「火山」は,マグマが地表に噴出することにより形成された地形です。
普通は噴出物が積み重なって高まり(=山)になっているものを言いますが,
マグマが噴出したことによりできた凹地形(カルデラなど)も含める場合もあります。
「火山」でない「山」は,一般に地殻変動により(断層や褶曲が形成され)地盤が隆起することにより
形成されます。
- [質問]
- 最近のテレビや新聞などで,10年以内に関東(特に東京)で大地震が起きると騒いでいるのを見ます。
このことは本当なのでしょうか。本当でしたら何が根拠なのでしょう。
- [答]
- 首都圏の大地震については,「いつかは起こるに違いないが具体的にいつかを予測するのは困難」というのが
安全な答でしょうか。「10年以内」というのには,過去の実績による確率的な根拠はあるかもしれませんが,
あくまで確率なので,「必ず起こる」と言えるようなものではありません。
- [質問]
- 北海道の有珠山は活火山ですか。
- [答]
- そうです。
<参考>日本の活火山分布
- [質問]
- 岩木山の火山活動はどのようになっているのか知りたいです
(現在の状態や,今後の予測など)。
- [答]
- 岩木山は活火山ですが,現在は明らかな活動は認められていません
(詳しくは後日機会があれば)。
- [質問]
- 鉱物の自形や他形に注目すれば,マグマの中での鉱物ができた順序を
ある程度推定できるとの事ですが,自形の鉱物がまずできてから他形の鉱物ができるという順序でいいですか。
- [答]
- はい,その通りです。自形の鉱物は,まだまわりに他の鉱物が存在しない状態でできたので,
「のびのびと」自分の好きな形を取ることができました。その後からできた鉱物は,すでに周りの空間を
別の鉱物で占められているので,「きゅうくつな」隙間を埋めるようにしか成長することができず,
自分の取りたい形ではなく周りの隙間の形に合わせた形になっている,と考えれば理解できると思います。
- [質問]
- 地面が動いているということは,数百年経ったらアスファルトが割れるのでしょうか。
- [答]
- 地面は平均的には教科書52ページの図のようにゆっくりと動いているわけですが,
その動きが全ての場所で均等であるかといえば,おそらくはそうではなく,大きく動く場所とほとんど動かない
場所があると思われます(大きく動く場所の代表が断層)。従って,仮に地面を全てアスファルトで覆ったとすると,
時間が経つにつれて大きく割れる場所と,ほとんど割れない場所ができるのではないかと思います
(まあ,数百年経てば植物が生えたり,その他の原因で割れるでしょうが)。
5月20日の授業から
- [質問]
- なかなか立体視がうまくいきません。なにかコツがあるのですか。
- [答]
- 河岸段丘立体視の
ページに簡単な説明を付けておきました。ただ,どうしてもできないという人もいますので,そのときは残念ながら
あきらめていただくより仕方ありません。
- [質問]
- 正断層と逆断層を見分けるとき,どちらが上盤か下盤かどうやってわかるんですか。
- [答]
- 斜めに傾いた断層面の上側が上盤,下側が下盤ですから,断層面が観察できれば
どちらが上盤か下盤かは単純に判断できます。
正断層か逆断層かは,
断層の両側で共通する地層があれば,どちら向きに動いたかがわかり,判断できます。
ただ,実際には上下方向だけでなく水平方向にも移動する場合が多く,断面でしか観察できない場合は,
見かけ上の動きと実際の動きが異なる場合もあり,複雑です。
- [質問]
- 河川による侵食や風化などで,数億年ぐらいすれば地表は平らになったりするのですか。
- [答]
- 地殻変動による隆起や沈降がなければ,かぎりなく平らに近づいていくはずです。
- [質問]
- マグマによる接触変成作用がおきるのは,マグマの周囲どれぐらいの範囲ですか。
- [答]
- 貫入岩体の規模やマグマの性質によって変化し,数cmから数kmまでいろいろな場合があります。
- [質問]
- ダイヤモンドはマントル内で生成されるのに,なぜ地表で見られるのでしょうか。
- [答]
- ダイヤモンドは主にキンバーライト(キンバレー岩)とよばれる岩石から産出しますが,
この岩石はマントル内で形成されたマグマが急速に(時速100km以上で)上昇して地表に噴出することで
形成されたと考えられています。急上昇するマグマによってマントル内のダイアモンドが地表まで
(石墨に変わる前に)運び上げられたという訳です。
5月27日の授業から
- [質問]
- 地層の写真などにスケールとして写っているピッケル(?)の大きさはどのぐらいですか。
また,すべて大きさは同じですか。
- [答]
- あの「ピッケル」は,ピックハンマーと呼ばれる地質調査用のハンマーで,
Estwing(エスティング)社のものが最も広く使用されています。
一般的なのは「E3-22P」で全長330mmですが,やや小ぶりの「E3-14P」(全長279mm)というのもあります。
大まかな目安と考えて下さい。
- [質問]
- 示準化石であり,かつ示相化石であるという化石はないのですか。
- [答]
- 両者の条件を厳密に考えると難しいのですが,
どんな生物でも生息する環境は無制限ではないので,ある程度は
示相化石としての性質を持っています。そういう意味では示準化石の一部は
示相化石としても役に立ちます(古生代のサンゴの一部など)。
- [質問]
- 斜交葉理,ソールマークなどで地層の上下関係を見分ける方法がよくわからなかったので,もう1度説明して下さい。
- [答]
-
スライド6に示したように,
(1)斜交葉理の場合は,流れによって下流側に順次堆積することによってできる構造なので,
層理面と急角度で交差するほうが上になります。
(2)ソールマークは上からの押圧で下にくぼむので,丸くくぼんだほうが下向きです。
(3)漣痕は波により水底にできる模様で,とがっているほうが上向きになります。
- [質問]
- 放射性同位体はすべての岩石や地層に含まれるのですか。
- [答]
- 量の多少を問わなければ,「すべての岩石や地層」に含まれていると言えます。
しかしそれで放射性年代を測定できるかどうかは別で,
(1)同位体の含まれる量,(2)同位体の半減期と地層の年代の関係,(3)地層の形成年代とその同位体が
岩石中に固定された年代が一致するか,などの条件があり,実際に放射性年代を測定できる
岩石や地層は一部に限られます。
6月3日の授業から
- [質問]
- 放射性同位体は半減期ごとに半分に減っていくとのことですが,
ということはもとの原子は限りなく減るとはいえ決して無くならないのでしょうか。
- [答]
- 「原子が0.5個存在する」というようなことはありえないので,
無限の時間を考えればいつかは無くなります。実際問題としては分析の精度が
限られているので,もっと早い段階で事実上無くなったと見なされる(測定不可能になる)でしょう。
- [質問]
- ストロマトライトは石にしか見えないのですが,
いったいどのような生物なのでしょうか。光合成を行なうということは,植物なのですか。
- [答]
- ストロマトライトは,教科書105ページの記述の通り,
藍(らん)細菌あるいはシアノバクテリアとよばれる生物の分泌物によって作られた
もので,縞状あるいは同心円状の構造が見られます。ストロマトライト自身が
生物体というわけではなく,微生物の集合体によって作られた構造です。
藍細菌は植物よりも前に出現した原核動物に属します。
- [質問]
- 106ページの問5の答は,
「海水中にできた石灰岩の成分に二酸化炭素の一部が含まれているため」で,よいですか。
- [答]
- 「の一部」は不要です。あるいは
「二酸化炭素の一部」「大気中の二酸化炭素の一部」ならば意味は通じます。
「石灰岩は主に炭酸カルシウム(CaCO3)からなり,二酸化炭素を固体として固定したため,
大気中の二酸化炭素がその分減少した」ぐらいでしょうか。
- [質問]
- テレビでハワイが日本に近づいてきていると聞いたのですが,事実ですか。
事実ならいつ頃日本の近くにハワイが来ますか。
- [答]
- 太平洋プレートが日本海溝で沈み込んでいるために,太平洋プレートに乗っているハワイ島は
プレートの動きによって日本に近づいています。
教科書75ページに関連した「探求活動」が載っています。そこにあるように,現在のミッドウェー島は
現在のハワイ島の場所で形成され,2770万年かけて現在の場所まで移動して来たと考えられています。
この年代と,地図上でのハワイ島―ミッドウェー島―日本列島の位置関係を見て,
考えてみて下さい。
- [質問]
- 伊豆半島は元はフィリピンのほうにあり,移動してきて日本にぶつかったと聞いたことがありますが,
本当ですか。
- [答]
- 伊豆半島はフィリピン海プレートに乗って南から移動してきて,
約100万年前に本州に衝突したと考えられています。
<参考>
「伊豆半島の火山とテクトニクス」
- [質問]
- なぜ46億年前の地球の物質などを発見することができないのですか。
- [答]
- 初期にマグマオーシャンが形成されたため,それが固結するまでは地表に
岩石が形成されなかったと考えられます。それ以降でも形成された岩石の多くは
侵食されて失われたり,後の時代に変成作用を受けて他の岩石に変わってしまったりしたため,
残っているもので現在見つかっているものは約40億年以降の岩石ということになります
(将来,地球上のどこかでもう少し古い岩石が発見される可能性は残されています)。
- [質問]
- 昔の生物はどのように命名されているのでしょうか。
- [答]
- 基本的には現在の生物と同様に,二名法によるラテン語の学名(属名+種小名)がつけられています。
- [質問]
- 貫入岩体とは何ですか。
- [答]
- マグマが地下で固結してできた,岩石の連続的な分布範囲(岩体)です。
教科書41,42ページを参照。
- [質問]
- 間氷期とは何ですか。
- [答]
- 氷期(中緯度の非山岳地域まで氷河が分布するような寒冷な時期)と氷期との間の,
比較的(現在と同程度に)温暖な時期のことです。教科書116ページを参照。
- [質問]
- 複数の人類が共存していたということに驚いた。複数の人類間での交配などはあったのでしょうか。
- [答]
- いろいろと説があり,決着はついていないようです。
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