月刊ホームページ2002年2月号

Topへ 1.はじめに 2.どうすれば光るの 3.特徴は 4.もっと明るく 5.何ができるの 6.日本の施設 7.おわりに

1.はじめに
放射光は放射能とは違うよ
「放射光」という言葉を初めて耳にした人も多いかと思います。放射という単語から 放射能と関係があるの?とか、原発で使われているの?とか思われる人もいるかも知れません。いえいえ、放射能みたいなそんな危険なものではありません。原発とも関係ありません。確かにガンマ線やX線を出すという点では放射能と同じで、放射光の施設内は十分管理されているものではありますが、放射能みたいに体内に入っていったり、どっかに飛んでいったりすることはありません。人間が自在にコントロールできる人工光なのです。

光のいろいろ
「光」と一口に言ってもその定義を電磁波(電界と磁界が相互作用をして真空中を伝播する波)とすれば、波長(または周波数)の違いによっていろいろな種類の光に分けられます。波長が0.1mm以上の電磁波は電波と呼ばれテレビやラジオの放送、携帯電話などの通信に広く使われていますね。人間の目で見える可視光は500nm(ナノメートル:10−6m)くらい、前述のX線やガンマ線は1nm以下の電磁波を指します。

電磁波引用文献[1]より

未来の光、放射光
これまで人間が作った光源は上にあげた波長の一部の光を発するものがほとんどですが、放射光はすべての波長の光を含んでいるのです(厳密には波長の下限があります)。しかも とてつもなく明るい のです。茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構にある放射光施設PF(Photon Factory)の全放射エネルギー率は120KW、これは、燃えたぎるあの太陽表面の1cm四方から放出されるエネルギーに比べ実に20倍もの大きさがあり、放射光の照射により金属などは簡単に溶かすことができるほどです。また特定の波長の光だけを取り出すことも可能です。このような性質を利用して放射光は、物の性質やしくみを調べたり、新しい物理現象を発見したり、自然界にはない人間に有用な物質を作ったりなど、理学、工学、農学、医学すべての自然科学分野において、多くの研究者に利用されています。


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驚異の光:放射光
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