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どうしてなのか考えてみよう

測定されたスペクトルから、色素が何色の光を吸収するのかがわかります。 色素の水溶液の色と、吸収する光の色との関係はどうなっているでしょうか。

水溶液の写真と紫外可視吸収スペクトルを, 図 14, 15, 16, 17, 18, 19 に示しました。 たとえばフェノールフタレインについては (図 19), 酸性では可視部に全く吸収はありません。 したがってすべての色の光が透過して目に入るため, 着色していない (無色) ように見えます。 一方アルカリ性の場合には, 波長が 560 nm 付近の光, すなわち緑色から黄色の光を吸収していることがわかります。 このため, その補色として水溶液は赤色に見えることになります。

また水溶液の pH がかわった時には、 たとえばフェノールフタレインの分子構造は 図20 に立体的に表示した様に変化します。 中心の炭素まわりに注目すると、左は四面体型になっているのに対し、 右の場合には五角形の環を作っていた結合が切れて無くなり、平面型になっています。


  
Figure 20: フェノールフタレインの分子構造。左) 低 pH, 無色; 右) 高 pH, 赤。

\scalebox{0.4}{\includegraphics{psfiles/pp01c.ps}} \scalebox{0.4}{\includegraphics{psfiles/pp02c.ps}}

このように分子構造が変化することによって, その物質が吸収する光のエネルギー (波長) が変化します。 そのために色が変わって見えるのです。

なお, 水溶液の酸性度が変わると色を変える物質を``指示薬''といいます。 紅茶の色もレモンの汁の酸により色が変わる指示薬になります。 試してみましょう。



Ryo MIYAMOTO
1999-10-28