理学部化学科2年生以上対象 : コンピュータ演習

1998年度のテーマと担当は、以下のとおり(の予定)です。
  1. 化学とコンピュータ ... 須藤
  2. ワープロと電子メール ... 宮本
  3. プログラムの作成 ... 喜多
  4. 表計算ソフトの化学への応用 ... 糠塚
  5. 化学構造式の描画と立体モデリング ... 川上


プログラムの作成 (喜多)

コンピュータは電子的に情報を処理したり、情報を蓄えたりするハードウェアと 情報処理の手続きを記録したソフトウェアから成り立っています。 コンピュータは電子計算機と言われるように、 かつては大規模な数値計算をすることが主な目的でした。 この時代には利用者の必要とするソフトウェアが必ずしも揃っていませんでしたから、 利用者はコンピュータを利用するにはソフトウェアを自ら作成しなければならず、 先ずこれをつくるためのプログラム言語を習得しなければなりませんでした。

現在ではコンピュータの利用もワープロや画像処理、プレゼンテーション、通信など 様々な用途に利用されており、 このためのソフトウェアも様々なものが用意されています。 ですから、必ずしもプログラム言語を習得していなくても、 十分コンピュータを使いこなすことは可能です。 しかし、これらのソフトウェアもプログラム言語を使って つくられていることに変りなく、 ``ブラックボックス''の中がどの様になっているか ちょっとのぞいてみるのも悪くないと思います。 また、Word や Exel などの処理を拡張するために ここで習う Visual Basic を利用することもできます。

プログラム言語としては FORTRAN や BASIC、C、Pascal など様々な言語があり、 それぞれ長所と短所があります。 ここでは、情報処理センターのパソコン末端で利用できて、 初心者に習得しやすく、楽しいものとして Visual Basic を利用します。

演習の目的としてはプログラムの成り立ちを理解し、 簡単なデータ処理の計算プログラムが作れることを目指します。


表計算ソフトの化学への応用 (糠塚)、 (1997年度内容)

A computer spreadsheet is a simple but powerful tool for manipulating quantitative information. In this book, spreadsheets will help you explore phenomena such as the shapes of titration curves and the concentrations of species at equilibrium, which depend on otherwise repugnant doses of arithmetic. Spreadsheets readily allow you to contact ``what if'' experiments in which you investigate the effect of a stronger acid, a higher temperature, a different ionic strength, and so on. Spreadsheets allow you to plot your results or to transfer the numbers to a graphing program. Examining graphs is critical to understanding quantitative relationships.
...... D. C. Harris, ``Quantitative Chemical Analysis'', 4-th ed., Freeman.

((訳)) コンピュータの表計算ソフトはとても単純なものですが、 定量的な情報を取り扱うのにはたいへん有用な道具です。 本書において、表計算ソフトはあなたがいろいろな現象を探求する 助けになるでしょう。 これが無ければたくさんの計算に後込みしてしまいそうな、 滴定曲線の形を求めたり、平衡状態でのそれぞれの化学種の濃度を 調べるのに役立ちます。 また表計算ソフトは``もしも''の実験を行うことができます。 この仮想的な実験では、より強い酸の場合、より高温の場合、 異なるイオン強度の場合や、そのほかさまざまな条件を調べることが可能です。 表計算ソフトはあなたの実験結果をグラフ化したり、 また他の作図プログラムのために数値データを整えたりすることもできます。 実験結果をグラフ化することは、種々のパラメータ間の定量的な関係を 把握するのに極めて重要な要素です。


化学構造式の描画と立体モデリング (川上)

ChemDraw で化学構造式を描く

構造式は化学における世界共通の``言語''であり、 汚い字を書くとなかなか他人に理解してもらえないと同様に、 構造式が雑然と書かれていると優れた研究成果もなかなか人に伝わりません。 今回使用する ChemDraw は、高品質の化学構造式を作図するためのソフトです。 ChemDraw は、広く化学系の研究室で利用されています。

Chem3D で分子モデルを組む

化学を理解する上で重要な概念の一つに、``立体化学''があげられます。 今まで化学者は、紙の上に描かれた構造式に``くさび''や``点線''を書いて、 立体構造を表してきました。 しかし、化学を始めたばかりの人たちにとって、 この構造式から分子の三次元構造を思いめぐらすのはやさしいことではありません。 従来は、分子の立体構造を理解するために、分子模型が利用されてきました。 分子模型は、分子の性質、反応の立体選択性等を理解するための強力な武器となり、 現在でも広く利用されています。 これをコンピュータ上で実現したのが Chem3D です。


文責: 宮本