学科案内(このページは受験生向けに作られています。)
学科について 研究内容
研究分野
放射光・X線
高エネルギー加速器研究機構(つくば市)の放射光施設(PF)

電子を加速器でグルグル回すと遠赤外線からX線までの光が連続的に放射されます。 これが放射光です。 放射光の明るさは太陽の1億倍、研究室のX線装置の1000億倍もある21世紀を拓く驚異の光です。 物性を解明し制御するために,この放射光を使って,物質の電子構造や原子配列を調べる研究をしています。

角度分解光電子分光
光電子分光実験装置

光電子分光とは,アインシュタインの光電効果を利用して,固体内電子のエネルギー構造を探る実験手法のことです。 照射光のエネルギーをhν,仕事関数をWとします。 固体内で束縛エネルギーεの電子が飛び出して,運動エネルギーKの光電子になったとすると,K=hν−W−εが成り立ちますから,Kを測定すれば,εを求めることができます。 電子は粒子性とともに波動性をもつので,波数kをk=2π/λ(λは波長)で定義すると,固体内電子のエネルギーはk依存性をもちます(真空中の自由電子のエネルギーが,ε=mv2/2=p2/2mのように,運動量pの依存性をもつことに対応しています)。 固体内電子のエネルギーεと波数kの関係[ε(k)]を電子エネルギー分散関係またはバンド構造と呼んでいますが,光電子の放出角度を制限しながら光電子スペクトルを測定することによって求めることができます(これが角度分解光電子分光です)。

私たちは角度分解光電子分光の実験をつくば市の高エネ研や岡崎市の分子研にある放射光施設で行っています(具体的なことは「磁性と超伝導」「表面・界面」「ナノサイエンス」の項で)。

加藤 博雄、任 皓駿
軟X線発光・逆光電子分光
軟X線発光分光器(KEK・PF)

放射光などの高いエネルギーの光を物質に当てると、内部の電子が放出(光電子)されますが、放出された電子の後にはあな(正孔)が残ります。 その孔に外側の電子が落ち込むときに発生する光(軟X線発光)を測定すると、外側の電子構造を知ることができます。 実験は、つくば市の高エ研PFや兵庫県のSPring-8などで行います。

電子ビームを物質に当てた場合も光を発生します。 光電子過程と逆の過程なので逆光電子過程と言います。 この実験では電子が存在しない部分の構造を知ることができます。

手塚 泰久、任 皓駿
表面反応

放射光という非常に明るいX線や紫外線を使って、固体表面で生ずる様々な化学反応の様子を、原子サイズレベルで観測することができます。 右の図は水分子(H2O)が表面で分解し、固体表面が酸化されていく様子を示しています。

遠田 義晴
X線構造解析

高エネルギー加速器研究機構(放射光研究施設)において、物質構造のダイナミクス解析のためのX線吸収微細構造(XAFS)を測定している様子。

宮永 崇史、鈴木 裕史、小豆畑 敬
FIG.1 実験ハッチ内でセットアップ中
FIG.2 コンピュータで測定を制御中