研究室概要

分析化学・分離科学の発展と応用を目指して

分析化学の目標は,複数成分を含む混合物を分離し,何がどれだけ存在するかを計ることにありますが,分離科学はこのなかの分離のプロセスについて研究するものです。この分離科学なくしては,合成した化合物を同定することもできませんし,生体内に含まれる未知の成分を明らかにすることもできないため,現代化学の発展に不可欠な学術分野と位置づけられます。この分離科学の一分野であるキャピラリー電気泳動 (CE) は,超微量・迅速分析が可能で,高い分離性能を持つ手法として注目されており,DNAの塩基配列解析などでは必要不可欠な技術となっています。また,このCEを数cm角の基板(マイクロチップ)上に刻んだ髪の毛ほどの太さの微細な溝の中で行うマイクロチップ電気泳動 (MCE) は,試料の前処理,混合,反応,分離,定量をひとつの基板上で行う微小総合化学分析システム (micro-TAS) における分離技術として重要な役割を果たすことを期待されています。当研究室では,このCEおよびMCEを基盤とした技術を高性能化・高感度化し,これまでは分離・検出が困難であった試料成分の解析技術を提供することで,社会貢献を目指します。

研究テーマ

CEによる高性能分析システムを構築するため,現在開発を進めている電気浸透流の制御に基づくオンライン試料濃縮法をさらに進展させることを目指します。この手法は,生体試料の分析に適した表面修飾を施した溶融シリカキャピラリーに対し,純水に溶かした試料を全量注入してから一定電圧を印加するだけで,キャピラリー内の試料成分が細いゾーンに濃縮された後,自動的に分離されるという特徴を有しており,高効率な分離と高感度な検出を両立できる優れた技術です。例えば,グルコース同士が結合したオリゴ糖の混合物を分析すると,単量体から二十量体までを完全に分離しながら,検出感度を5000倍以上まで高めることが可能となります。本手法では,イオン種であればどんな試料でも濃縮・分離が可能となるため,バイオ分析をはじめ,薬品・食品・環境分析などへの応用について検討を行っていきます。また,CEのみならずMCEにも本手法は適用できるため,糖鎖修飾の解析に有効なマイクロデバイスの開発や,ベッドサイド診断やオンサイト診断に利用可能なバイオ計測ツールの開発などについても研究を進めていく予定です。

研究室について

2011年4月に北川准教授が着任してスタートした研究室です。雑誌会やゼミは糠塚研究室と共同で行っており,雑誌会では最近の論文の紹介を行い,ゼミでは分離分析に関する章の輪読を行います。これに加えてCEに関する輪読や基礎実験を行いながら,各自の研究テーマを進めていきます。また,学生には分析化学会,クロマトグラフィー科学会,電気泳動分析研究懇談会など分析化学関連学会での積極的な研究発表を奨励します。