むつ燧岳

むつ燧岳火山を,山頂の東約15km(北緯41°26′05″東経141°14′40″),
高度4000mの位置から見た鳥瞰図。
山頂から東側に開く崩壊カルデラ,山体の南〜東側斜面を形成する火砕流堆積面,
海岸に発達する段丘面が観察できる。
国土地理院発行数値地図50mメッシュ(標高)のデータに基づき「カシミール3D」により作成。
むつ燧岳火山は恐火山の北東に隣接し,
燧岳(783.1m)をピークとするなだらかな山体を持つ比較的小規模な成層火山です。
山体は北西−南東方向に伸びた楕円形で,北東に開いた崩壊カルデラを持っています。
火砕流を主体とした活動を行ったことが特徴で,特に山体の東〜南東斜面には平坦な台地状の地形をよく残しています。
山体形成史
むつ燧岳火山の活動は旧期と新期に分けられ,それぞれの山体は侵食の程度が異なっています。
旧期の噴出物はおもに山体北部を形成しており,著しい浸食を受け放射状谷が発達しています。
新期の噴出物に比べるとやや溶岩の割合が多くなっています。
海岸に沿って発達する段丘の年代から,旧期の活動は少なくとも70万年前にはじまり10万年前頃まで続いたと考えられます。
新期の活動は,8〜10万年前以降と考えられ,更に第1期から第3期に分けられます。
第1期の噴出物は珪長質の降下火山灰および火砕流堆積物からなり,
南東部から東部におもに分布し,一部西部でも認められます。
第2期の噴出物は安山岩質の火砕流堆積物を主体とし,南部を広くおおい北西部にも分布が認められます。
火砕流堆積物には溶結組織が発達することが特徴です。
第3期の噴出物は安山岩質の溶岩流ないし溶岩円頂丘からなり,山頂部の三箇所に分布します。
有史の活動
むつ燧岳には噴火の記録はなく,歴史時代に噴火があったことを示す地質学的な証拠も知られていません。
参考リンク
「日本の第四紀火山カタログ」むつ燧岳
火山データベースWEB版
[青森県の火山]
[月刊ホームページ 2000/01]
Minoru SASAKI
minoru@cc.hirosaki-u.ac.jp