今月は物理科学科小豆畑研究室が担当しています。

 「発光ダイオード」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 電流を流すと発光する素子のことです。 光の三原色()で光る発光ダイオードがあれば、ほとんど全ての光の色を作り出すことができるのです。 色、色の発光ダイオードは以前から製品化されていたのですが、明るい色発光ダイオードは作るのが難しく、 実用化されるのは21世紀になるだろうと言われていました。そんな中、とても明るい(従来の製品の100倍!) 色発光ダイオードを開発して世界中をアッと驚かせたのが徳島県阿南市の蛍光体メーカー日亜化学工業株式会社でした。1993年のことです。 その後も同社は開発を重ね、より明るい色発光ダイオードや、従来の製品よりも60倍も明るい色発光ダイオード なども製品化し、この分野では世界一有名な企業になりました。さらに、CDDVDといった光記録装置の記憶容量を 増大させることができる青紫レーザーダイオードの開発にも世界で初めて成功し、世界中の研究機関をリードしてトップを 独走し続けています。これらの技術は世界に誇るべきものです。

  

高光度色・色発光ダイオード(写真:日亜化学工業(株)様ご提供)

 このような発光ダイオードが利用されている例を二つご紹介しましょう。
 一つは大型フルカラーディスプレイです。明るい色発光ダイオードが無かったころは、色と色 ダイオードを組み合わせたのカラーディスプレイしか作れなかったのですが、高光度色ダイオードが 市販されて光の三原色が揃うことによってフルカラーが実現したのです。発光ダイオードを使った大型フルカラー ディスプレイは東京の渋谷駅前や千葉の松戸駅前などに設置されています。
 もう一つの利用例は交通信号機です。現在使われているほとんどの信号機はランプを用いていますが、 青緑色、色、色の発光ダイオードを用いた信号機が試験的に導入されてきています。従来の信号機に比べ、発光 ダイオードを用いた信号機には、

といった長所があります。その反面、 設置コストが若干高いという短所もあります。
 発光ダイオード信号機は青森県内にも試験的に一台導入されています。場所は、青森市の国道4号線と県道120号線の交差点、「青森市、本町交差点」です。日中は交通の流れを良くするためにと直進・左折・右折の矢印で運用されているので残念ながらが点灯するのを見ることができませんが、夜間(22時以降)は通常ので運用されているので見物するならば夜がおすすめです。

日中の点灯パターンを見てみる

夜間の点灯パターンを見てみる

 もしかしたらみなさんの町にも設置されているかもしれません。日本が世界に誇る技術を自分の目で確かめてみてはいかがでしょうか。

発光ダイオード交通信号機(写真:日亜化学工業(株)様ご提供)


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