化学の基礎 II(G)

21世紀教育 (基礎教育科目),
対象: 理工学部物質創成化学科 (必修),
担当: 宮本量 (理工学研究科, 理工部物質創成化学科)
後期, 火曜日, 9--10 時限

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もくじ

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授業の概要

この講義は, 物理化学のなかで特に量子化学分野の入門として開講されます. 理工学部物質創成化学科の学生を対象とする必修科目です. しかしもちろん, 他学部・学科の学生の受講を妨げるものではありません.

この講義では, 分子を構成する原子の原子核と電子の振る舞いを, ミクロな視点から 記述する方法を学びます. 量子論を用いることにより, 物質を構成している分子の構造や性質を, 定性的にも 定量的にも理論的に精密に議論することが可能になります.

本講義は, 専門科目の「物理化学 AI」, 「物理化学 AII」, 「物理化学演習 A」へ つながります. また, 数学の基礎や物理学の基礎を履修し, その知識を使えるようになっていることが 望まれます.

物理化学分野の理解のためには, ある程度の数学的な素養が必要ですが, もしもこの点に不安があっても, 教科書には数学に関する補足があるので 補うことができます.

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授業の目的・目標

本講義の具体的な到達目標は, 以下の通りです.

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教科書・参考書

教科書は次のものです. 問題の解答だけであれば, 教科書の巻末に略解がありますが, もう少し詳しい解説が欲しければ, 次の書籍に解法が解説されています. それだけでも 900 ページ以上あります. しかし個人的には, 掲載されている答案だけでは不充分だなぁと思うところもあるというのが, パラパラっと眺めた感想です. もともと問題数が多いのでしょうがないですね. あ, ちなみに英書であって, 和訳はありません.

以下に参考書を示しますが, このリストは随時追加されるかもしれません.

量子力学・量子化学に関するもの (入門編)

量子力学・量子化学 (中上級編・古典的名著など)

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日程と内容(予定)

教科書の 1-4 章を学びます. 仮に割り当てると, 以下の通りです.

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評価について

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質問について

質問は, 講義時間中に随時受け付けます. 私の説明を遮って質問しても構いません. 次の単元に進んでしまう前に, 現在の単元で理解があやふやな所がないようにして おきましょう. もちろん, 授業時間以外でも質問しにくることは歓迎します. オフィスアワーを活用してもいいですね (あたりまえなんですけど).

それだけでなく, 質問すること, 疑問を持つことは, それ自体で価値があります. 大学以上のレベルでは, 問うことと答えることとは非常に近い関係にあると知りましょう. みなさんはこれまで, 初等・中等教育に於いて, 与えられた問いに正しく答えることが 求められてきたといっても過言ではないでしょう. しかし, 研究の先端や実社会で出会うであろう問題は, あらかじめ解答があるものでは ありません. そもそも問題点が何であるかすら明確でない問題を解決しなければいけない場合も 多くあります. そこで正しく問うことが出来れば, 答えはそのすぐ先にありますが, 問い方が悪いとなかなか答えにたどり着けないばかりか, 誤ったゴールに到達してしまうかもしれません. また良い問いとは, 単にその答えが得られるだけでなく, その問いをきっかけにして 新たな視野が開けたり, 新たなより深い問いを生んだりするものです. そうであるならば, 問いに答えるということも, 単に暗記しておいた既存の知識を 思い出すコトではありません. それで終わらせてはいけません. このような知の営みを身につけることこそが, 大学で勉強することの価値だと思います.

そこで本講義では, 質問を発する訓練をしましょう. 毎回の講義の出欠調べとミニレポートを兼ねて, 紙片に質問を記入して授業時間の おわりに提出してください (紙片は, A4 の 1/8 程度が適当です (A7 ?)). 受け取った質問は, すべてサポート Web ページ (ここ) に掲載します. 出席とカウントされているかどうかの確認だけでなく, 他人の質問を見て, 良い質問のしかたを考えてみましょう.

以下の日付をクリックすると, その回の「質問とコメント」に飛びます.

コメントは, 期待されている答えとは, おそらく異なるでしょう. そのために, 質問者(学生)をバカにしていると感じる人も, 一定数いることが予想されます. しかしむしろ積極的に, 心の襞に何も跡を残さずに過ぎてしまうことのないように, あえてそういうコメントをつけているつもりです. 質問について, より深く考えてみることや, 思考を深めるための方向性を, コメントとして示唆するようにしています. そうすることによって, 知識に関する新たな視点が開けてくることを期待します. 繰り返しますが, 安易に解答(と思われるもの)を暗記することは大学での勉強ではないと. 毎回質問を書いてもらうことは, そういった豆知識を覚えてもらうためではありません.

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読書感想文について

学生のみなさんには, 化学/科学に関する興味を養ってもらいたいと思います.

科学・技術が十分に発達してしまった現代では, まるで魔法のようなことが 当り前のようにできてしまいます. しかしそれを当り前と思ってしまい, ブラックボックスをブラックボックスのまま 鵜呑みにして済ませてしまうという態度は, ある種の思考停止であり, 高等教育を受けよう (大学で勉強しよう) という志とは相容れない態度と 言えるのではないでしょうか. そして日常的にも, 拙速な「結果」を求めるあまり, 「メカニズムとプロセスに 対する関心」を失ってしまっているのではないでしょうか. 自然のメカニズムとプロセスを解明することが, 本来の自然科学の在りよう だったと思われます. 大学で勉強し, その後に社会に出て活躍することを欲する学生のみなさんには, そしてそのことが期待されているみなさんには, ぜひとも「メカニズムとプロセスに 対する関心」を育んでいただきたいと思います.

そこでこの講義では, 読書感想文の課題を課します; 物質科学・物理学・化学など (関連分野や派生事項を含む) に関する 一般向け解説・啓蒙書を一冊以上読み, その読書感想・評論・調査報告などを まとめてレポートとして提出してください. レポートは A4 版の用紙 2 枚以上の分量であることとします. 「おもしろかった」などというヒトコトしか書かないようなものはダメです. この課題の提出期限は, 11月 25日の授業時間終了時とします.

対象とする書籍は例をあげると, 講談社のブルーバックス・岩波新書・岩波文庫・ 岩波同時代ライブラリ・中公新書などの物理・化学・科学に関するものや, 科学者の伝記的なものが考えられます. また単行本でももちろん良くて, たとえば、``ハインズ博士「超科学」をきる''とか, みすず書房のハイゼンベルク・シュレディンガー・プリゴジン・朝永らの著作など でも結構です.

しかし残念ながら, 避けることが望ましい書籍をあげざるをえません. それはまず, 見開き二ページないし数ページである一つの事柄を説明したものの 集積になっている, いわゆる「豆知識本」です. 具体的な書名をあげて 著者・編者には申し訳ありませんが, 「図解雑学 〜」に類するものです. 系統的に専門的な学問の体系を身につけようという大学生に, ふさわしい書物とは思えません. また内容のレベルについても, 小中学生レベルの本では, ハッキリ言って 恥ずかしいですよ. みなさんは大学生なのですから. さらにオカルト本・ニセ科学本を, そうとはわからずに本物の科学と 信じてしまった論評は, イタイです。論理的科学的思考力が疑われます. しかし取り上げ方によっては, これらの本でもいいかもしれません. あくまでも内容で評価しますから.

なお文芸評論の手法に関しては,

「文学部唯野教授」, 筒井康隆, 岩波同時代ライブラリー
が, 評論の (感覚的評論から構造主義までの) 歴史的発展も踏まえていて面白い。 また論文やレポートの書き方については, をはじめとして多くのものが出ているので参考にするとよいでしょう。

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期末評価について

レポートまたは試験. どうするかは未定です. (20081209 修正)
レポートにします. 課題は最後の方の授業時間で発表予定. しめきりは 02/10 (火) の 14:00 を予定. 提出場所は, 理工学部二号館 4F の宮本の研究室.
02/03 の授業終了時に課題を配布, しめきりと提出場所は予定どおり. (20090204 追記)

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最後に, または始めに

最後に, 「学生にとって, 大学とは, 何をするところなのでしょうか ?」と, 問いかけておきます.

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rmiya@cc.hirosaki-u.ac.jp