前嶽雪崩に関する積雪断面調査
2007年2月14日、青森県青森市にある八甲田山系前嶽で雪崩が発生。
お二人の方が亡くなられ、8人が重軽傷となる大惨事となった。
翌15日に雪氷防災研究センター新庄支所の方が、
現場付近で積雪断面調査を行うということで、
研究室の力石教授とともに同行した。
調査報告は雪氷防災研究センターの方が行っている。
銅像茶屋
10:00-11:00頃、気温約-5℃。
当日は吹雪で視界が悪く、残念ながら雪崩発生地点には近づけず、
山麓側の銅像茶屋付近でまず断面調査が行われた。
- 断面調査 その1
- まず、まわりの事物や人為的な影響がないきれいな積雪断面を作る。
- そして、総積雪深、ざらめ雪や霜ざらめ雪の層を確認し、
各層の厚さや土壌面からの高さ(深さ)を測定する。
- さらに、温度計で各層の代表的な温度を測る。
もうこの時点で、はっきりと不連続面A,B,C層がわかる。
A層は雪崩発生日に降っていたと思われる湿雪で、
かなり厚い層を形成している。
- 断面調査 ハケ処理
- 断面調査 ハケ処理後
- この不連続面が不明瞭な場合は、
スプレーなどで着色し見分けることもあるが、
今回はハケで軽く断面をなぞり、
弱層(脆い層)がどこにあるのか見分けをつけた。
- 弱層は非常に脆いためにハケで軽く擦るだけで雪が崩れる。
この写真では、A-B層間が脆いことがわかる。
- B層周辺は温度勾配も大きく、霜ざらめ雪が形成され、
非常に破断しやすい状況にあることがわかった。
この層から上部が崩れたものと思われる。
この後、各層の密度と剪断強度が測定されたが、
その結果からもB層直上が最も弱いことが確認された。
低温がたたりデジカメのバッテリ切れで撮影中止。
酸ヶ湯
14:00-15:00頃、気温約-8℃。
最寄りのAMeDAS観測点は酸ヶ湯である。
前嶽から見ると北八甲田山系をはさんで南側に位置する。
気象データは酸ヶ湯に頼らざるを得ないので、
酸ヶ湯と銅像茶屋の断面の違いを調査した。
- 断面調査
やはり同じような層構造が見える。
- AMeDAS 酸ヶ湯観測点
東側建物脇からの写真。
国立公園内にあるためか、
ある程度開かれてはいるが、
周囲は樹林帯が囲み風は弱めに測定されているものと思われる。
左隅に見えるのは青森県の観測点。
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