ゼオライトとは結晶構造内に直径数Åの最高を持つ結晶性のアルミノケイ酸塩の総称である。骨格成分と非骨格成分で構成され、骨格成分はケイ素(Si)、ア ルミニウム(Al)、酸素(O)、非骨格成分は陽イオンなどである。この骨格成分と陽イオンの間に電場が生じるので、水分子や陰イオンに対して吸着特性を 持つ。それらを細孔に取り入れることができるので、脱臭や有害物質の除去などに広く用いられている。そのほかにもイオン交換、触媒機能などを持つので多方 面に利用されている。

今回実験で使用したゼオライトは銀型ゼオライトAg12−4Aである。これはゼオライトの骨格内にAgイオンが含まれているものなのだが、真 空中で加熱脱水すると強い着色やフォトルミネッセンス(PL)が起こることが知られている。また、大気中加熱脱水によっても同様の現象が起こることが明ら かとなっている。研究過程で、大気中加熱したAg12−4AによるPLは大気中500℃24時間加熱後に温度を80〜70℃にしたときにもっ とも強くなることがわかったのだが、その原因は明らかになっていない。しかし、その原因は加熱による骨格の変化や水の脱水ではないかと予測された。
そこで今回の実験では、大気中500℃24時間加熱後150℃からの温度下降に置ける赤外吸収スペクトルの測定を行うことでPLが強くなった原因を解明することが目的である。

赤外吸収スペクトル測定においてはSi基板静電吸着法を用いて測定した。

その結果、赤外吸収スペクトルは80〜70℃で急激に変化するのが測定された赤外吸収において現れたピークから、500℃24時間加熱において脱離した水 が80〜70℃で骨格中に大量に戻ることがわかった。この急激な変化が120〜20℃におけるPLの変化の様子と対応していることから、PLが80〜 70℃で強くなったのはその温度において骨格中に大量に水が戻るためであることが示された。