実際に作った量子ドット


 ここでは、実際に作られた量子ドットの写真をお見せして、簡単な説明をします。


 物質の中には、比較的自由に動くことのできる電子が詰まっているものがあります。この物質の寸法を非常に小さくすると(たとえば、原子100個程度つなげた大きさ)、電子は自由に動けなくなり、電子のエネルギーは物質の寸法に応じた飛び飛びの大きさしか持てなくなります。これを量子効果といいます。量子効果を生じる構造を量子構造といい、この構造を半導体のレーザーやトランジスタに用いるとレーザー発光に必要な電流を少なくしたり、電子の速度を大きくする効果によって半導体装置の特性を向上させることができます。図に示した構造は分子線エピタキシーという方法で作った柱状の量子構造で、断面は量子効果の生じる寸法の半導体のGaAsAlGaAsとの交互層(超格子といいます)になっています。柱の直径は約1ミクロン(10の6乗分の一メートル)です。この柱や超格子の寸法は作るときの条件によって自由に変えられます。この図にあるような量子構造は、現在の半導体装置の特性をさらに良くすることが期待されます。

実際に作成した量子ドット。

円柱状のもの一つ一つが量子ドットです。
分子線エピタキシーという方法で作られました。

上記写真の断面模式図。

円柱一つ一つが図のように層状構造をしています。
この円柱の中に閉じこめられた電子によって新しい物性が発現します。

 

(真下正夫)