超高真空中において基板温度296Kのゲルマニウム上に蒸着した質量膜厚0.540 nmの銀上へ物理吸着させたメタノールのC-O伸縮振動の赤外吸収強度を透過法によって測定した。メタノール導入量の関数として測定された吸収強度は、対応する銀の存在しない場合の吸収強度を用いて、銀の存在による吸収増大率として評価した。全ての厚さの銀薄膜において、導入量が0.5L以下で吸収増大が最大となった。1および2 nmの銀薄膜においては、銀の存在しない場合と比較して、約20倍以上の吸収増大が観測された。銀薄膜が3および4 nmの場合にはやや異なり、10倍程度の吸収増大率にとどまった。銀薄膜の形状を基に、観測された吸収増大がcollective electron resonance (電子の集団共鳴) によるとすることに矛盾が無いことを示す。