銀薄膜上のペンタカルボニル鉄の加熱時のアルゴン雰囲気での反応をラマン分光法を用いて研究した。123Kにおけるペンタカルボニル鉄のC-O伸縮振動のピークは254nmの紫外線を5分間照射することにより著しく減少した。このとき新たなピークは出現しなかった。しかし、さらに紫外線を照射しても顕著な強度現象はみられなかった。これは最初の紫外線照射によりペンタカルボニル鉄の単分子膜が生成したことを示している。紫外線を照射せずに、基板温度を204〜213Kまで上昇させると、新たなラマンバンドがC-O伸縮振動の領域に観測される。270Kまで昇温するとさらにスペクトルは変化する。存在可能な分子とその構造を議論した。