Si(100)プリズムの酸化あるいは水素終端表面上に蒸着した銀島状膜を用いたKretschmann配置によりパラシアノ安息香酸(PCBA)の赤外吸収スペクトルを測定した。Si(100)酸化表面に5nmの銀を蒸着した場合、銀を用いないノーマルATR法に比べPCBAのCN三重結合の伸縮振動による吸収帯の吸収強度がほぼ十倍になった。また、水素終端表面を用いた場合にはさらにその1.7倍の吸収強度が得られた。吸収強度の違いは同様に用意された試料のFE-SEM写真から説明されうる。より詳細な分析によりイオン化したPCBAのみならずイオン化していないPCBAも銀酸化膜上に存在していることがわかるが、水素結合したPCBAはPCBAイオンの上に存在していることが示される。この現象は金属島状膜における電磁場の増大で説明される。