稲むらの火 H

 そのころ丘から見下ろしていた五兵衛は、村人の到着をいまかいまかと待っていました。やっと、二十人ほどの若い男たちが駆け上がってきました。

 「庄屋さま、早く火を消しましょう!」

男たちはいいました。ところが五兵衛は大声で、

 「ほっておけ! 一大事だ。村人みんなにここに来てもらうのだ!」

と火を消そうとする男たちをとめました。五兵衛のことばに若い男たちはとまどって、お互い顔を見合わせていました。

 そのうちぞくぞくと村人が集まってきました。五兵衛はかけあがってくる村人たちを一人一人数えました。集まった村人たちは燃えている稲むらと、五兵衛の顔を不思議そうに見比べました。

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