「分子の気持ちになって考えよう」
研究室・卒業研究紹介 --- 物質創成化学科 宮本量

理工学部 2 号館 4F
授業関係はここ または こっち (学内 Only)
犯罪事件というものは, たえずこの点にひっかかって悩んでいるのです。犯罪のあった のち, そう, 数ヵ月にしてひとりの男に嫌疑がかかったとする。そのシャツなり ハンカチなり, あるいは服なりを調べてみると, 褐色がかった汚点がついている。その 汚点がはたして血痕であるか, それとも泥か錆かあるいは果物のしみであるかを決定 しなければならない。ここに至って従来は幾多の専門家が悩まされていた --- という のは何故か ? 信頼すべき試験法がなかったからです。けれどもここにシャーロック・ ホームズ法が発見された以上, 今後はもはやなんらの困難もなくなったというものです。
----- 緋色の研究, コナン・ドイル, 延原謙訳, 新潮文庫
そうさ。僕は観察にも推理にも素質がある。そこ(雑誌記事)に述べてある理論を, 君は 妄想だと思っているらしいが, ほんとうにきわめて実用的なんだ。いま現に僕は, それ のおかげで毎日のパンを得ているくらいだからね。 ...中略... そう, 僕には独自の職業がある。この職業をもっているのは, おそらく世界中で僕 ひとりだろうが, じつは諮問探偵なんだ。といっても君にはわかるかどうか。いまこの ロンドンには国家の探偵や私立探偵がたくさんいる。これらの連中が失敗すると, みんな僕のところへやってくるので, 僕はどうにかして, ほんとの手掛りを得させて やるのだ。依頼者がすべての証拠を僕のまえに提出するので, 僕は犯罪史の知識を利用 して, たいてい正しい方向を指摘してやることができる。
----- 緋色の研究, コナン・ドイル, 延原謙訳, 新潮文庫

分子の気持ちになって考えよう

物質は分子から出来ています。 その分子はどんなをして, どんな性質を持っているのでしょうか ? 目に見えないほど小さい分子の姿を, どうやったらとらえる事ができるでしょうか ?

金属錯体の分光学・磁気共鳴

おもに電子常磁性共鳴法 (EPR) を用いた, 遷移金属錯体の構造と電子状態 (スピン状態) や物性に関する 実験的および理論的な研究しています。 希土類金属錯体についても研究しています。
研究論文リストなど

研究に関するキーワード

もう少し詳しい解説

電子常磁性共鳴法 (EPR)

希土類金属錯体 (遷移金属錯体) の有機化合物と比較しての最大の特徴は, f-電子 (または d-電子) を持つということです。 そしてこれらの電子が, 方向性を持ちそしてほとんど縮重した f- および d-軌道に 詰まっているために, 金属イオンを含む化合物は有機化合物とは異なった種々の特異な性質 (物性) を 発揮することができると言えるでしょう。 なおここでいう「金属イオンを含む化合物」とは, 以下のように実に幅広いものが あります。 われわれはこれらの物質・化合物の性質 (物性) とその発現のメカニズムを, その構成要素である 分子 に基づいて理解することをめざしています。 そしてこれらの性質を, 微視的な世界を支配する量子力学の原理に基づいて記述する ことをめざしています。

実際には, これらのモデル系となりうる金属錯体を研究対象として, 分光学的な手段により分子の性質を調べています。 特に機能の主役である f-, d-電子を直接的に観測可能な 電子常磁性共鳴法 (EPR) を 主要な測定手段としています。

さらにこの EPR 分光法は, とても多くの情報を含んでいる 非常に強力な手法であるにもかかわらず, よそではあまり用いられていません。 (このことは同じ磁気共鳴法である 核磁気共鳴法 (NMR) の高度な発展と比べて 残念なことです。) そこでわれわれは, EPR スペクトルから錯体の構造に関する知見などの 有用な情報を *簡便に* 得る方法などについても研究しています。 すなわち, スペクトルから読み取られる値を, 化学的に興味のある分子の物性への翻訳方法を考えています。

分子軌道法

分子の性質はその電子状態によって決まり, これを記述するマスター方程式は ``シュレディンガー (Schroedinger) 方程式'' です。 有機化合物に対しての分子軌道法に基づく研究には莫大なものがあり, 多くの成功を 納めてきました。しかし金属錯体に対しては種々の困難さが伴うことから, いくらか 遅れていると言えるかもしれません。困難さの理由として以下のことが考えられます。 そこでわれわれは, 最近になって普及してきた密度汎関数法 (DFT) なども用いて, 金属錯体の電子状態/スピン状態を分子軌道論的に理解し, 解明していくことを試みて います。

--- 結局, 何やるの ?

ありていに言えば, 面白そうな構造の金属錯体を合成して, そのスペクトルを測定します。 そして, 得られたスペクトルの特徴と, 分子の構造の特徴との関係について考えます。

卒業研究の指導にあたって


2014 年


2013 年


2012 年


2011 年


2010 年


2009 年


2008 年


2007 年


2006 年


2005 年


2004 年


2003 年


2002 年


2001 年


2000 年


これまで (1999-1994)


[物質創成化学科 (Frontier Materials Chemistry)] [理工学部 (Science and Technology)] [弘前大学 (Hirosaki Univ.)]
[設計分子工学講座 (Molecular Design Engneering)] [物質理工学科 (Materials Science and Technology)] [理工学部 (Science and Technology)] [弘前大学 (Hirosaki Univ.)]
rmiya@cc.hirosaki-u.ac.jp