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現代の化学においては, 物質の化学的な性質・化学的な変化を,
その構成要素である ``分子'' に基づいて考える。
すなわち, 物質の化学反応は分子を構成している原子の配列が組み変わる
ことと考え, 化学結合が切断されたりあるいは生成されるのは,
電子の運動状態が変化したものと考える。
そして物質の性質は, これらの電子の振る舞いによって発現するものと理解される。
さらにこれら物質の性質を調べる方法としては, 物質と光 (電磁波) との
相互作用に基づく分光学的手法を用いているのが一般的である。
これはまさしく ``量子力学の世界'' であり,
化学は物理の応用問題であると言われるゆえんである。
われわれのグループでは遷移金属錯体および希土類金属錯体を研究対象とし,
有機化合物では達成することができない磁気的・光学的な機能に注目し,
それらの機能の発現するメカニズムの解明を進めている。
ここでは金属元素の d 電子・ f 電子が主役である。
そのため, 電子の状態を記述するマスター方程式である ``Schroedinger 方程式'' を
解いて, これらの電子の挙動を調べることが重要となる。
ここでは,
化学の研究のなかでも特に計算化学および分子分光学・量子化学といった
コンピュータを研究のための主要な設備/装備としている分野の一端で,
実際にわれわれがどの様にコンピュータを利用しているのかを紹介する。
そして最後に将来への展望を述べる。
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Ryo MIYAMOTO
平成13年8月28日