next up previous
Next: 2 研究紹介 Up: hi2001a Previous: hi2001a

1 はじめに

現代の化学においては, 物質の化学的な性質・化学的な変化を, その構成要素である ``分子'' に基づいて考える。 すなわち, 物質の化学反応は分子を構成している原子の配列が組み変わる ことと考え, 化学結合が切断されたりあるいは生成されるのは, 電子の運動状態が変化したものと考える。 そして物質の性質は, これらの電子の振る舞いによって発現するものと理解される。 さらにこれら物質の性質を調べる方法としては, 物質と光 (電磁波) との 相互作用に基づく分光学的手法を用いているのが一般的である。 これはまさしく ``量子力学の世界'' であり, 化学は物理の応用問題であると言われるゆえんである。

われわれのグループでは遷移金属錯体および希土類金属錯体を研究対象とし, 有機化合物では達成することができない磁気的・光学的な機能に注目し, それらの機能の発現するメカニズムの解明を進めている。 ここでは金属元素の d 電子・ f 電子が主役である。 そのため, 電子の状態を記述するマスター方程式である ``Schroedinger 方程式'' を 解いて, これらの電子の挙動を調べることが重要となる。

ここでは, 化学の研究のなかでも特に計算化学および分子分光学・量子化学といった コンピュータを研究のための主要な設備/装備としている分野の一端で, 実際にわれわれがどの様にコンピュータを利用しているのかを紹介する。 そして最後に将来への展望を述べる。


next up previous
Next: 2 研究紹介 Up: hi2001a Previous: hi2001a
Ryo MIYAMOTO
平成13年8月28日