大学生活とパソコン : 弘前大学消費生活共同組合パンフレット (1997.3)

結論から言うと 理学部化学科 宮本量


世間では「パソコン」や「インターネット」の話題で持ちきりで、 あたかもこれらを知らないと、 現代社会で生き残れないかのようである。

結論から言うと、全くそのとおりである。

新入生にとって、大学を卒業する4年後はそういう社会になっているはずだ。 コンピュータを使って情報を集め、それを整理・分析し、 その結果を文書にまとめて提示し、議論し、説得する。 これはすべての分野で必要とされる技能で、 むかしの「読み書きソロバン」に相当する基本的な能力といえる。 この能力に欠ける人間が社会に貢献できないのは明らかだ。

さっそく始めないといけないと考えたあなた、あなたは正しい。

ではどうしたらよいか? すぐにでもパソコンを購入してしまうことである。 ここでワープロ専用機を購入しようと考えているあなたは間違っている。 人間は学習する生き物である。 学習してあなたの能力が向上する余地が、ワープロ専用機にはほとんどない。

さて、ではどんなパソコンを購入すればいいのだろうか? ずばり最新型のひとつかふたつくらい旧式の機種にメモリーを増設したもので 性能は充分だし、なおかつ値引きされていて安い。 また Windows がいいのか Mac にすべきかも、 現在はほとんど差が無いので、どちらでもよい。 個人的には Windows 系 (AT互換機) の方がアクティブで面白そうだと思う。 それからソフトも必要だが、ワープロと表計算があれば用が足りる。 基本的な機能はどれでも同じなので、評判のよいものを学割で購入すればよい。

ここまでそろえたら、投資をムダにしないためにも、徹底的に使うだけである。 授業のレポートやゼミの資料などから、家計簿、手紙、 ちょっと思い付いたアイデアのメモに至るまで。 ひとこと断っておくと、決して清書マシンにしないように。 また最初から、豊富な機能の全てを理解し使用する必要は無い。 「うまい手はないか」と向上心を持ち、常に新しい情報を仕入れ、 自分で使い方を開発すればよい。 意図されてはいなかったが、すばらしい使い方があるはずだ。 道具とはそういうものだ。 パソコンは耐久消費財ではない。パソコンは消耗品だ。 この機械の処理能力に不満を感じるようになったら、 あなたはもう一人前だ。 そのときにすべきことは、もうわかっているはずだ。

さてここまで、独断と偏見に満ち、財布に負担をかける話を述べてきたが、 この考えに納得できない人もいるかもしれない。 しかしちょっと待ってほしい。 そういう人に、「あなたは何をやりたいのですか?」と、問いたい。 大学に進学したからには、ある種の専門家を目指しているはずだ。 専門家とは自己の考えに基づいて組織に指針を与える者だ。 その組織とは、小は 2-3人のグループから、大は国家や人類全てでもありうる。 これは情報の input/output の問題であり、 すなわち、「何を」読み、「何を」書き、「何を」計算するのかが、最も重要である。 このときに「読み書きソロバン」ができなくては、話にならない。

一刻も早く始めるべきである。 あなたの将来への投資なのだから。