分子分光学 (20250602) M: 以下は宮本のコメント

22S2014: 
分子内振動について、具体的にどのような振動をするかはどう調べるのでしょうか。 M: まずは射影演算子を用いて考えます. // GF 行列法を用いると, 振動数と振動の形を求めることもできます. 今では Gaussian などの分子軌道計算プログラムパッケージで振動数と振動の形を求めることができますが, 内部でどんな計算を行っているかまでは調べたことがないので分かりません.

23S2021: 
振動運動の具体的な動き方は、どのようにして見つけるのですか?また、振動運動として紹介された動きとは違う動き方は考えられないのでしょうか? M: 22S2014 参照 // もちろん室温付近の実際の分子の振動運動は, 純粋な基準振動として示した形の運動ではないでしょう. しかし一般の振動運動は, 基準振動の線形結合で表すことができます. (一般のベクトルが基底ベクトル (単位ベクトル) の線形結合で表すことができることと同じ.)

23S2049: 
二酸化炭素分子の並進や回転に対応する既約表現は、指標表の右側に書かれている基底をもとに考えましたが、基底が書かれていない既約表現は、どのような場面で役に立ちますか? M: 既約表現は, 分子の運動 (並進・回転・振動) に利用されるだけではありません. 講義でも, 分子オービタルを考えるときに利用されるという例を示しました. // もちろん他にも利用されるでしょう. 何に利用できるかを暗記する (利用する場面を限定する) のではなく, あらゆる場面で工夫して利用すればいいのでは?

23S2050: 
遷移モーメント積分に含まれる遷移を引き起こす作用を引き起こす作用を表す演算子はどのように決められますか。 M: 光と分子の相互作用の場合, 振動する電場または磁場が遷移の原因ですから, 普通は電気双極子モーメント $ \DS e\vec{r}$ が遷移を引き起こす演算子になります. また磁気共鳴では, 磁気モーメント, より本質的にはスピン角運動量演算子が該当します.

23S2053: 
今回の講義の最後に、被積分関数が遇・奇関数で積分結果が0かそうでないかを判定するというものがありましたが、偶関数でも積分範囲や種類によって積分結果が0になるものがあります。そのようなものはどのようにして、0にならないものと分別するのでしょうか。 M: 被積分関数が偶関数であっても積分がゼロになることはありますが, 対称性からはそこまでわかりません. 具体的に積分の計算をする必要があります. しかし, われわれがあつかう分子などの系は多粒子系なので, 厳密な波動関数を得ることはほとんど無理です. そこで, 被積分関数が偶関数の場合には, 積分がゼロにならない可能性があるということで, (たとえ遷移確率が非常に小さくても) 許容遷移と考えます.



rmiya, 2025-06-13