構造物理化学I (20161222) M: 以下は宮本のコメント
16s2001: 
仮説 3 にある, $ \DS \hat{A}$ の固有状態でない状態 $ \psi$ とは どういうことか. M: 固有値方程式 $ \DS \hat{A} \psi = a \psi$ が成り立たない. このようになる $ a$ が存在しない.

16s2002: 
なぜ, 一価でなければ, $ \DS \int \psi^* \psi \d\tau = 1$ は規格化できないのか? M: 誤解多数の予感. まず正気を疑うのは, そもそも一価関数でないなら $ \DS \int \psi^* \psi \d\tau$ を計算できないのは基本中の基本では? また, この積分が 1 であることを ``$ \psi$ は規格化されている'' という.

16s2003: 
(4) [四角囲み数字を丸括弧数字で記した]で平均値を出すときは規格化されていると仮定したから $ \DS \BRAKET1{a} = \int \psi^* \hat{A} \psi \d x$ としたのですか. M: 教科書をよく読めば分かるのでは?

16s2004: 
波動関数が, 行儀のよい関数であるための条件を満たさなかったら, どんな問題が起こりますか. M: シュレーディンガー方程式に当てはめたり, 波動関数の (二乗の) 意味を考えてみればいいのでは?

16s2005: 
ある物理量の平均値が重み付き平均で表されることを学んだが, 重みの程度はどのように決定されるのか. M: 平均値が平均値であるためには, 重みにどのような制限が必要か?

16s2006: 
二次元では, 異なる固有値に属する固有関数が 3 つ以上ある場合, 直交するといえるのか. M: 誤解の予感. 異なる固有値に属する固有関数は, 必ず互いに直交している. 教科書 p.138 や参考書をよく読めば分かるのでは? // 次元 (変数の数) と互いに独立な固有関数の数との間には, 直接の関係はない.

16s2007: 
規格化直交の条件は $ \DS \delta_{ij}$ が 0 か 1 にしかならないということですか. M: 規格化直交については, 教科書や参考書をよく読めば分かるのでは? // クロネッカーのデルタ $ \DS \delta_{ij}$ は, 0 または 1 の値を表す記号.

16s2008+: 
今回の構義[原文ママ]は, 公理的な仮説の説明であり, (数学的な質問は別だが) 量子力学を学ぶ上でここに質問をするのは違うのではないでしょうか. 疑問を持つ所ではなく, 理解しなければならない所ではないでしょうか. M: 必修科目の講義で学んでいる全ての事項は基本的であるので, 理解すべき所ではないでしょうか? // ところで, 疑問を持たずに理解するとは, どういうことか?

16s2009: 
時間に依存するシュレーディンガー方程式は, 例えば, 光を吸収して結合が解離するような化学反応を表す際に使われるのか. M: 使用例は講義でも示した. 教科書や参考書をよく読めば分かるのでは?

16s2010: 
$ \psi$ が規格化されていないときは, まず $ \psi$ を規格化してから $ \BRAKET1{a}$ を求めようとしなくても, $ \DS \frac{\int \psi^* \hat{A} \psi \d x}{\int \psi^* \psi \d x}$ を解けばいいということでしょうか. M: 自分で判断できないのはナゼか?

16s2011*: 
$ \DS \hat{A}$ の固有状態でない状態 $ \psi$ については登場する値は固有値に限られ, 平均値は決まった値 $ \BRAKET1{a}$ になりますが, どうして測定する度に物理量はランダムに決定されるのでしょうか. M: もしも次回の測定結果をあらかじめ予測できるなら, その物理量の代わりに, 不確定性関係にある別の物理量を厳密に測定することにより, 二つの物理量を同時に正確に決定できることになってしまう.

16s2012: 
自然を抽象化して線形に近似したことで線形代数へと適用したが, 自然現象に対して近似を行っていいのですか? 計算できるようにあるいは簡単にするために近似を行うことは実際の自然現象と異なると思うのですが? M: ``実際の自然現象'' とは何か? // 結局われわれは, 認識の範囲内でしか自然を把握することができない (同義反復). 必要ならば, 近似の精度を上げればいいのでは?

16s2013: 
$ \DS \sum_{i} \vert c_i\vert^2 a_i$ とありますが, $ i$ が 1 から $ \infty$ まで, つまり固有値が無限個存在することはあるのでしょうか. M: 教科書 3 章 (や 5 章以降も) や参考書をよく読めば分かるのでは?

16s2014: 
$ \DS \hat{H}$ が時間を含まない場合は変数分離可能とあるが, そもそもこの演算子が時間を含むことがあるのか. 第 3 章での式 (3.14) では, 時間が出てきそうにはないと思ったのですが. M: 教科書 p.563 や参考書をよく読めば分かるのでは? // 16s2009 も参照

16s2015: 
3 番目の仮説で, $ \DS \hat{A}$ の固有状態でない状態 $ \psi$ について物理量を測定すると ある決まった値に収束するということでしたが, このある決まった値と, 1 回目, 2 回目, 3 回目と繰り返し得られる値とは相関があるのですか. M: 教科書や参考書をよく読めば分かるのでは?

16s2016: 
定常状態のものは時間に依存しないということでしたが, 共鳴する分子の定常状態では電子が時間に依存しているように思いますがどうですか. M: ``共鳴する'' とは何がどうしていることか? // 何がどう時間に依存していると思うのか?

16s2017: 
公理的仮説を用意したのには, そのように考えることによって, 色々と都合が良いからだと思いましたが, 仮説 5 の「時間に依存するシュレーディンガー方程式」を打ち立てたのは, ただ単にそうすると, 計算の上で合うのか, または, その方程式を使って扱う現象がそもそも時間に依存するのでしょうか? M: 量子力学は, 最も成功している理論の一つであることは確か.

16s2018: 
Cu や Cr などに存在するフント則に従わない電子は, シュレーディンガー方程式によってもシュレーディンガー方程式に従わない存在確率になるのでしょうか. M: ``シュレーディンガー方程式によってシュレーディンガー方程式に従わない結果が得られる'' とは, 自己矛盾ですね.

16s2020: 
規格化不可能な関数でも仮説は成り立ちますか. M: 成り立つかどうか, 自分で確かめてみれば分かるのでは?

16s2021: 
固有値が実数になるためには演算子になんらかの条件を課さなければいけないのか. M: 仮説 2' 参照

16s2022: 
なぜ化学における量子力学では, 現象は時間で変化しているのに, 定常状態で扱うのか. 定常状態で考えるということはある時間を切り取って考えるということなのか. M: 化学じゃなくても時間に依存しないシュレーディンガー方程式は有用だと思われるが. // 化学反応の始状態 (反応系) や終状態 (生成系) のそれぞれは定常状態では? // 定常状態と, ある時間の一点とは異なるのでは?

16s2023: 
$ \DS \BRAKET1{a} = \sum_i \vert c_i\vert^2 a_i$ で, $ \DS \sum_i \vert c_i\vert^2 = 1$ なので, 平均値と期待値は同値というということになりますが, これはどういうことをあらわしているのですか. M: 平均値と期待値を区別する必要はないと思いますが?

16s2024: 
量子力学演算子の固有関数が直交することは, 固有値を実験結果と対応させて必ず実数とするための他に影響を与えるものはありますか. M:  $ \DS \BRAKET1{a} = \sum_i \vert c_i\vert^2 a_i$ となるのは, なぜか?

16s2026: 
光の強さや濃さ, 色などの性質は時間に依存しないと思うが それでも時間に依存したシュレーディンガー方程式が必要になる場面があるのか. M: 16s2014 参照

16s2027: 
シュレーディンガー方程式の難点は解釈があることですか? M: ``方程式'' には解釈などないのだが? また, 解釈があっても難点とは限らないが.

16s2028: 
補色というものは式や数値で規定されるのか. M: ``規定'' とは?

16s2029: 
この 6 つの仮説によって化学の分野のすべての系に対して対応できるということは, 実際の実験結果よりも理論が先行して結果を考えられるということか? M: 良い科学理論とは, 実際の現象を説明できるだけでなく, 新しい事実を予言できるものであること.

16s2030: 
板書で 2 と 2' をかいていましたが, 2 と 2' は何が違うのですか? M: 教科書の記述をよく読み比べれば分かるのでは?

16s2031: 
仮説 3 について, $ \DS \hat{A}$ の固有状態でない状態 $ \psi$ について測定した物理量は $ \psi$ に対応していない値であるが, この場合の値は式的には間違った値となるのですか? M: 対応していない値とか間違った値とは, どういうことか? // 教科書や参考書をよく読めば分かるのでは?

16s2032: 
関数 $ \psi(x)$ で この系に関して得られない情報は粒子の位置と運動量を同時に求めることだという話があったが, それ以外に得られない情報はあるのか? M: それは正確な表現ではない. ``同時に正確に求めること'' だと.

16s2033: 
固有関数の直交において, $ \DS \int \psi_m^* \psi_n \d x = 0$ という連続的な表現を内積という離散的表現で表せるのはどうしてか. M: 線形代数を勉強すればわかるのでは?

16s2034: 
行儀が良い関数があるとのことでしたが 逆の意味の悪い関数というのは存在するのでしょうか. それとも普通の関数と行儀が良い関数のみが存在すのでしょうか. あるとしたらどんな関数なのでしょうか. M: 病的な (pathological) 関数というものはある. ヘヴィサイド関数やデルタ関数などは特殊な関数だと思われるが, $ y(x) = 1/x$ などは普通の関数と言えるか?

16s2035: 
p.142 4.6 の任意の精度とは, どういうことか? M: 言葉の意味が分からなければ, 辞書を見ればいいのでは?

16s2036: 
$ \DS \hat{A}$ の固有状態でない状態 $ \psi$ について物理量を測定すると, 登場する値は, バラバラで, 固有値に限られるのはなぜですか. M: それが自然の法則だから.

16s2037: 
公理的仮説に疑問を思いつかないのですが, ...... いいことですか, 悪いことですか. M: 教科書や参考書をよく読んで理解を深めればいいのでは?

16s2038: 
「1 価の関数」がわかりませんでした. // $ \DS \hat{A}$ の固有状態でない状態 $ \psi$ のとき, $ \BRAKET1{a}$ は測定した平均をとるしかないのでしょうか? M: 数学の基礎を復習する必要があるのでは? // 微妙に勘違いでは? そもそも $ \BRAKET1{a}$ は平均値のことだが?

16s2039: 
線形結合をもたない演算子が存在する場合, 量子力学では説明できない変数を持つということであるのか. M: 質問文の論理が意味不明. // 演算子が線形結合を持つとか持たないとか, 量子力学では説明できない変数とか, 意味不明なのだが......

16s2040: 
重み付き平均とはどういうことですか. ただの平均とは違うのですか. M: 自分で判断できないのはナゼか? // ``ただの平均'' とは何か?

16s2041: 
シュレーディンガー方程式から求めた色と実際に物質を見た場合の色が一致しないことはありますか. M: 構造色は電子状態間の遷移に起因する色とは異なる.

16s2042: 
$ \psi$ が一価とはどういうことを言うのですか? M: 16s2038 の前半を参照

16s2043: 
$ \DS \hat{A}$ の固有状態ではない $ \psi$ の物理量を測定するときには毎回予測することができないのに対して平均値は求めることができるのはなぜか. M: 16s2036 参照

16s2044: 
エルミート演算子とはどのようなものか. M: 教科書や参考書をよく読めば分かるのでは?

16s2046: 
$ \psi(x)$ が物理的に許容される波動関数であるために, 1 価, 有限, 連続でなければならないが, それはなぜか. M: それらの条件を満足しない関数のとき, シュレーディンガー方程式は成り立つか? また波動関数の意味はどうなるか?

16s2048: 
公理は何かによって証明されたものではないとありましたが, ではどのようにしてスタート地点とも言える公理を決定できたのか. M: 別に. 好きに決めればいいのでは?

16s2049: 
量子力学は公理と仮説のもとに成り立っているのだと分かったが, 実験結果が式と合わず, 矛盾しているという例は存在するのか. M: 物理理論の成り立ちは常識では? // シュレーディンガー方程式は非相対論なので, 相対論的効果が表れる系については正しい結果を表さないと分かっている.

16s2050: 
行儀のよい関数が境界条件となりうるというのは量子力学の問題を解く時に問題文に書かれていなくても前提としてあるというような解釈でいいのでしょうか. M: 質問文が分かりにくいが, 自分で判断できないのはナゼか?

16s2051: 
(4.18) で黒板で $ \DS \frac{\d f(t)}{\d t} = - \frac{i}{\hbar} f(t)$ と書いており, が教科書では $ E$ が入っていたのですが $ E$ はしょうりゃくしてもよいものなのでしょうか. M: すみません, 書き落としていたのかもしれません. 自分で補完してください.

16s2052: 
授業を聞いていると, 量子力学はこの世界の様々なものを表すことができるように聞こえるのですが, なぜそのようになるのでしょうか. この世界の現象の元となるものを説明しているからですか? M: あなたは何を学んでいるのか?

15s3005: 
シュレーディンガー方程式で時間に依存するとは時間によって位置が変化するという認識でいいのか. // シュレーディンガー方程式を使って古典的な運動を説明できるのか. M: 教科書や参考書をよく読んで考えれば分かるのでは? // 自分でやってみれば分かるのでは?

15s3007: 
仮説 5 で時間に依存するシュレーディンガー方程式を述べているが, このとき (4.17) 式で一端, $ t$ を式から消したのはなぜか. M: どういう論理展開でその式に至ったのか, 教科書をよく読めば分かるのでは?

15s3014+: 
固有関数が条件を満足していれば波動関数が互いに直交するとのことですが, これは必要十分条件ですか? M: どの条件の話か? // 縮重のある系では, ある固有値に属する互いに異なる複数の (縮重度に応じた数だけ独立な) 固有関数がある. これらは互いに直交しているとは限らない (互いに直交するように選ぶことは可能). 重ね合わせの原理.

15s3025: 
$ x(t)$, $ y(t)$, $ z(t)$ で記述される三次元の道筋をその粒子の軌跡といい, それによって粒子の状態が完全に記述されるとあるが, それはどのような状態ですか? M: 物理学の基礎を復習する必要があるのでは? // どんな状態かは, $ x(t)$, $ y(t)$, $ z(t)$ の具体的な関数形に依存する. たとえば三つが全て定数 (それぞれ $ x_0$, $ y_0$, $ z_0$ とする) であれば, その位置 ( $ x_0,y_0,z_0$) に静止している状態.

15s3039: 
量子力学の仮説は, どの程度信頼をもてるものか. M: 量子力学の理論構成を全く理解していないようで残念. // あなたは公理をどの程度信頼するのか?

15s3041: 
時間に依存するシュレーディンガー方程式と, 依存しないシュレーディンガー方程式を比べて, 時間に比例する状態量は存在しますか? M: 時間に依存する状態量の有無を問うときに, 二つの方程式を比べる意味が分からない. // ``フェルミの黄金律 (golden rule)'' と言ってみるテスト

14s3007: 
ニュートン方程式では, 任意の時刻における 1 粒子の古典力学的な状態は, その時刻における三つの位置座標 $ (x,y,z)$ および三つの運動量 $ (p_x,p_y,p_z)$ あるいは速度 $ (v_x,v_y,v_z)$ で完全に指定されるとあるのですが, 不確定性原理では位置と運動量の 2 つを同時に正確に求めることはできないとあると思うのですが, ニュートン方程式では位置座標と運動量は正確に求まっているのですか? M: 古典力学に不確定性原理はあるのか?

14s3034: 
ある放射性同位体の計のシュレーディンガー方程式は時間に依存するのでしょうか. M: その系の何を表現したいのか?

14s3046: 
この 1〜6 の仮説は原理であるならこの仮説を用いれば量子力学が全て説明できるのでしょうか. M: 仮説は量子力学という学問を説明するためのものではないのだが?



rmiya, 2017-01-16