化学の基礎 II(G) (20161220) M: 以下は宮本のコメント
15s2005: 
定圧条件下では $ \Delta H = \Delta Q$ なので, $ \DS \Delta S = \frac{\Delta Q}{T} = \frac{\Delta H}{T}$ となる. さて, 発熱反応は $ \DS \frac{\Delta H}{T} < 0$ であり $ \Delta S < 0$ となりエントロピーは減少する向きに進んでいる. これは, エントロピーが減少する, すなわち, 起こりにくい方へ, 反応が起きることになるが, どうして発熱反応は起こるのか? M: いわゆる ``エントロピー増大則'' は, 閉鎖系に対しての法則である. 開放系であれば, 局所的にエントロピーが減少してもよい. // 系と熱浴の全体を考えれは, エントロピーは減少していないハズ.

15s3006: 
エンタルピーの定義が $ H = U + PV$ ならば, 定圧でない条件でもエンタルピーを求めることは可能ですか. M: 定義どおりに考えればいいのでは? // 定圧条件下では $ \Delta H = Q$ なので.

15s3007: 
(8.13) の証明で, 気体が原子や分子から構成されていることを一切考慮しないとあるが それはなぜか. M: 理由は不要. 単に事実として考慮していないと述べているだけ. // はっ! 国語力が低い?

15s3014: 
p.103 の中ほどに標準反応エンタルピーを間接的に見積もることが可能とありますが 見積もるということは実際とは違うということですか. 違いは何が原因なのでしょうか. M: あなたの辞書では, ``見積もる'' とは, 事実とは異なることを述べるという意味なのか?

15s3022: 
秩序だった方向へ変化することを言っている, 自己組織化や散逸構造論といったものを見つけたのですが, これらはエントロピー増大則に対してどのような位置づけなのでしょうか. 単純に矛盾したものなんですか? M: 熱力学の基本法則は, 例外が見つからないほど強力な法則なのでは?

15s3028: 
ヘスの法則で, 初めの状態と状態変化後を何度か繰り返した後にある状態にしたとしても, 初めの状態からある状態にしたとしても成り立つのか? M: ``状態関数の値は, 経路に依存しない'' の意味が理解できないのでしょうか?

15s3030: 
なぜ, 全ての安定な単体でのみ標準生成エンタルピーはゼロになるのか. M: 論理を全く理解していない予感. 講義での説明を理解してもらえなくて残念. // エンタルピーの絶対値を求める方法はない. 状態変化に伴うエンタルピー変化が観測されるだけ. したがって, エンタルピーの原点を任意に設定 (定義) しても不都合は生じない.

15s3033: 
全ての安定な単体の標準生成エンタルピーはゼロである, とありますが これはどのくらいの種類の物質を含んでいますか. 多くの物質の標準生成エンタルピーを同一にゼロに近似しても, 真値との大きな誤差は出ないのですか. M: 近似ではない. // 原理的には全ての元素についてそれぞれ安定な単体を考えるので, 総数は最大で元素の種類の数. // 15s3030 参照

15s3038: 
エンタルピー $ H$ は「定圧条件において系に移動した熱」と定義されていますが, では熱 Q はどのような定義なのでしょうか. M: 教科書や参考書をよく読めばいいのでは?

15s3040: 
高校教育で習った, 標準状態 1 mol において, 気体の体積は 22.4 L である, ということは忘れてくださいと言ってましたが, 大学で化学を学ぶにあたって, 何が間違っている, もしくは不都合があるのですか? M: こんなに伝わらないものなのかと, ガックリ. // ``標準状態とは, 温度 0 , 気圧 1 atm のことである'' を忘れて, これからは ``標準状態とは, (別に指定が無い場合) 温度 298 K (= 25 ), 圧力 1 bar (= $ \DS 10^5$ Pa)'' とせよ. 温度と圧力が違うのだから, そのときの理想気体の体積も違う.

15s3041: 
エントロピーの「無秩序さ」とは, 具体的に何を表すのか? M: ``無秩序さ'' は, 何となくわかったような気にさせる言葉だが, よく考えると, これでは何を測定しているのか分からない. // 熱力学的定義や場合の数を用いた説明とか, 教科書や参考書をよく読めばいいのでは?

15s3042: 
海外の高校化学ではエンタルピーやエントロピーなどの概念を高校で学ぶのでしょうか. そうであればなぜ日本の高校では学ばないのでしょうか. M: 学習指導要領 は, 日本の初等・中等教育に適用されている.

15s3045: 
孤立系を考えるとき, 熱や仕事のエネルギーの出入りは考えるが, それ以外の光や音などのエネルギーについては考えないのか? M: 熱力学では, 個別具体的なエネルギーの形態をいちいち扱わずに, もっと抽象化されたものをあつかっている. そのため, もしも新たなエネルギーの形態が発見されても, 理論を考え直す必要はない.

15s3046: 
温度 $ \DS T_1$ におけるエンタルピーが $ \DS H(T_1)$ であるとき $ \DS T_2$ におけるエンタルピー $ \DS H(T_2)$ $ \DS H(T_2) = H(T_1) + \int_{T_1}^{T_2} C_p \,\d T$ と表されるが, 傾きが $ \DS C_p$ だとなぜわかるのか? M: 講義で説明したのに, 伝わっていなくて残念. // 定義を確認すれば分かるのでは?

14s3008: 
ある量が状態量か状態量でないかは どうしたら見抜けるのですか? M: ``状態量'' の定義を確認すれば分かるのでは?

14s3021: 
「氷の結晶は強い水素結合のために, 電気双極子が回転できないので, マイクロ波で加熱されない」と教科書に書いてありますが, 以前家で電子レンジを使って加熱したとき溶けたのですが これは教科書が間違っているということなのでしょうか? M: おそらく, あなたが前提条件を忘れているのでしょう.

14s3040: 
なぜ高校と大学の熱化学方程式ででるエネルギー (エンタルピー) の定義を変えなければいけないのでしょうか? また標準状態の体積を 22.4 L と学んだのは意味があったのでしょうか? すべて統一したほうが, ややこしくなることはないと思ったのですがどうしてなのでしょうか? 先生的にはどう思われますか? M: 世界標準に合わせるため. // 標準状態については 15s3040 参照 // ある年から変更したら, 高校教育が混乱すると予想できませんか? (高1は新方式で高2高3は旧方式? or 今年から新方式なので高2高3は去年までの知識を忘れて学びなおし?)

13s3012: 
熱化学方程式について, 日本の高等教育云々の件で 世界的には本日の講義でやった形式で習うとのことでしたが それは高校の時点でエンタルピーの概念を学習しているっていうことでしょうか. M: ``高等教育'' は, 大学での教育を指します. // 化学オリンピックの出題内容を見てみればいいのでは?

12s3029: 
標準状態の記号は $ \DS H^\circ$ $ \DS H^\plimsoll$ があるということでしたが, 何が使い分けをすることはありますか? M: 一貫して一方を使うべき. 両者を併用・混用しない.



rmiya, 2017-01-16