化学の基礎 II(G) (20161213) M: 以下は宮本のコメント
15s2005: 
今回の授業でやった, 外の気圧を一気に変えるという話の所では, 気圧を一気に変えたときに, 温度が変わるので, 無限個の熱浴が必要だと思いました. M: そうですか, しかし提出物が質問になっていません. // 系に対する熱浴とは, すなわち外界のことだし. そして熱浴とは, 系に対していくらでも熱を供給したり, 系の熱をいくらでも吸収できるものと考えられる. すなわち熱浴の外側にさらに熱浴を, などと多重構造にする必要はない. // 外の気圧を一気に変化させる件は, 現実には色々な事が起こるだろうが, ここは仮想的な思考実験とでも考えてもらえばいいので, 温度を変えずに気圧を変えることにすればいい. 実際にそれに近いことをやろうとすれば, たとえばピストンをストッパーで固定しておいて, 外界の圧力を設定値に変化させた後にストッパーを外すなどすればよいのでは?

15s3006: 
外圧をゆっくり $ \DS \frac{1}{4}$ にする場合とゆっくり 4 倍にする場合では $ W$ の値が等号を逆向き[原文ママ]にしたものになるのに, 一気に変化させた場合では全く違った値になるのが計算上では理解できましたが 感覚的にはどのように考えればいいのかわかりません. M: そうですか, しかし提出物が質問になっていません. // 熱や仕事は状態量ではないので, その経路によって値が異なる. もしも往復で系に出入りするエネルギーの絶対値が同じならば, 熱機関 (エンジン) を動かして, 熱から仕事 (または仕事からエネルギー) を得ることができませんが?

15s3007: 
圧力一定条件下で起こる状態変化で系へ移動した熱 $ Q$ を論じるときは, $ \Delta U$ ではなく $ \Delta H$ を用いなければならないとあるが, ではなぜ式に $ \Delta U$ を含むのか? M: 意味不明. どの式の話か? その式は, どういう条件で何を表しているのか?

15s3014: 
p.97 にあるジュールによる実験装置は水の温度変化に関係ない所で摩擦熱が発生しそうに見えるのですが, この実験の結果は正しいといえるのですか. M: もちろん出来る限り余計な摩擦の内容に装置を作成したことでしょう. // しかし一方で, ``正しい結果'' とは何か?

15s3022: 
教科書 p.94 の 10 行目にある系全体の運動エネルギーと位置エネルギーの言葉の意味がいまひとつ分かりません. 内部エネルギーはこれらを含めないとされますが, 系内の分子の振動 (熱) がその運動エネルギーに含まれてしまいませんか? M: 勘違いでは? 熱力学では, 例えば容器に閉じ込められた気体の系を考える場合に, 気体が分子からできているとか, 容器も原子からできている等, 物体の内部構造は問題としません. したがって ``系全体の運動エネルギー'' と言えば, 文字通りに, 考えている系をひとつの物体として, その重心の運動を考えます. // 気体分子の並進運動エネルギーや分子内振動運動エネルギーは, 気体の内部エネルギーということになります.

15s3028: 
なぜ $ \DS C_P - C_V = n R$ となるのか? M: 教科書や参考書をよく読んで, 自分の手を動かして計算すれば (シラバスに記載の復習方法!!) 分かるのでは?

15s3030: 
ジュールによる実験装置の図では, 滑車などにより, 摩擦がおこって, 水の温度変化から仕事が 100% 熱に変換されていると言えないと考えられるが, なぜ 100% 熱に変換されて言えるのか. M: 滑車の摩擦 ``熱'' に変換されているのでは?

15s3038: 
「エネルギー (仕事や熱) の移動はないが, 物質は移動できる」という系は考えうるのでしょうか. あるとすれば近似できるものはあるのでしょうか. M: 自分で考えてみればいいのでは? たとえば系の物質量が増加したら, 体積はどうなる? たとえば系に加わった物質の温度はいくらだったのか? 物質をその温度にするために必要な熱は? 等々

15s3041: 
断熱系であれば, 熱→仕事のエネルギー効率は 100% に近い数値になりますか? M: 断熱系なら $ \Delta U = W$ では?

15s3042: 
地球上で完全な孤立系を再現することは可能ですか. M: どうやって系と外界を遮断すればいいか, 自分で考えてみれば分かるのでは?

15s3045: 
なぜ理想気体では, $ \DS C_P - C_V = n R$ の関係が成り立つのですか? M: 15s3028 参照

15s3046: 
$ U$, $ H$ は状態量で偏微分できるが, $ W$, $ Q$ は状態量ではないが, 偏微分することはできないのか? M: まず $ W$$ Q$ の定義をしっかり把握する必要がある? // 系を, 二つの状態間で, ある経路を通って変化させたとき, 出入りする仕事や熱が $ W$$ Q$ なので, それを微分するとはどういうことか?

14s3008: 
温度一定で ($ P_1$, $ V_1$) の状態から外圧を一気に $ \DS \frac{1}{4}$ にしたときに系に加えた仕事, 熱と, その状態から外圧を一気に 4 倍にしたときに系に加えた仕事, 熱とで, 絶対値がここまで違うのはなぜですか? M: 定義に従って計算すればそうなる. 15s3006 も参照

14s3021: 
なぜ安定な単体の標準生成エンタルピーは, ゼロとなるのですか? M: エンタルピーは, その絶対値をあつかうというよりは, 状態の変化に伴うエンタルピー変化の方が重要. したがってエンタルピーの原点は任意でよい. 教科書 p.103 や参考書をよく読めば分かるのでは?

14s3040: 
なぜ圧力一定の条件で起こる状態変化で系に移動した熱 $ Q$ を論じるときに, $ \Delta U$ ではなく $ \Delta H$ を用いなければいけないのですか? $ Q = \Delta U + P \,\Delta V$ $ \Delta H = \Delta U + P \,\Delta V$ を比較しても左辺が異なるだけで右辺は一緒だと思うのですが, そこまで厳密に分けなければいけないのですか? M: 議論が混線している. 前半は $ \Delta U$$ \Delta H$ の比較なのに, 後半は $ Q$$ \Delta H$ の比較になっている. // $ \Delta H$ の代わりに $ \Delta U$ を用いたいのであれば, つかえばいいのでは? // 低圧の条件下では $ Q = \Delta H$ であるが, 他の条件の下では等しくならない.

13s3012: 
閉鎖系と対になる系, すなわち 物質の移動はおこるが熱の移動はおこらない, ような系は有り得るのでしょうか. M: 15s3038 参照

12s3029: 
p.97 の 4) にある 質量とエネルギーの相互変換とは, 具体的にはどんな現象がありますか? M: 相対性理論を勉強すればわかるのでは?



rmiya, 2017-01-16