化学の基礎 II(G) (20161129) M: 以下は宮本のコメント
15s2005*: 
並進運動のエネルギーの求め方について, 分子は位置空間において, 波束状態になっているにもかかわらず, 波数が確定した状態のエネルギーを用いて考えることは適切ではないように思えます. なぜ, 教科書のように考えようと, 考えられるのでしょうか. M: 教科書が常に完璧であるとは思いません. 著者の意図は著者本人に聞かなければわかりませんが, ここでは ``エネルギー間隔因子'' という他ではあまり見たことのないものを用いています. ``エネルギー間隔因子'' は, その運動についてのエネルギーの尺度と直結はしていません. // 講義で一時的に少し混乱した説明をしてしまいましたが, 熱エネルギーが並進の自由度に配分されたときの値は $ \DS \frac{3}{2}k_$B$ T$ であり, これは並進運動についてのエネルギー間隔因子に比べて非常に大きいものです. このため並進運動については, エネルギーはほとんど連続と見なしてよいという説明がされています. すなわち並進運動のエネルギーとして, ほとんど任意の値をとることができることを意味しています. そういう説明のための因子です. こういう状況下では, 並進運動のエネルギーの尺度としては, エネルギー間隔因子ではなく $ \DS \frac{3}{2}k_$B$ T$ を考えた方が良いように思われます. // 一方, 回転・振動・電子エネルギーについては, その量子化されたエネルギーが熱エネルギーに比べて有意な大きさであると見られますので, この ``エネルギー間隔因子'' がこれらのエネルギーの尺度として用いられています. (同じものを別な意味で使うのはキモチ悪いですが...)

15s3006: 
分子の振動エネルギーは どのような式から求めることができるのですか. M: 教科書 p.78 をよく読むと (量子力学的) 調和振動子のシュレーディンガー方程式が記載されている. これは, 今年度前期開講の構造物理化学I でも学んだはずでは?

15s3014: 
教科書 p.77 に「典型的な分子の大きさである 100 pm」とあるが, どういったものを想定しているのか. M: 適当な分子を具体的にいくつか思い浮かべて, その大きさを考えてみればいいのでは?

15s3022: 
衝突直径が大きい CO$ _2$ において, 衝突直径の小さな H$ _2$ よりも衝突数が少ないのは何故ですか. M: 講義でも導出した衝突頻度は, 衝突直径だけに依存していたか? よくよく復習しておく必要がある予感.

15s3028: 
なぜ CO$ _2$ 分子の分子内振動は 4 つになるのか? 直線形なので回転すれば同じではないのか? [図は省略] M: 全くその通りで, 二つの変角振動は同じ振動数を持った縮重振動である. しかし, 分子軸で回して振動方向を変化させることによって初めて重ねることができるという事は, 既存の振動の線形結合では作り出すことのできない, まさしく別種の独立した振動であることを示している.

15s3030: 
今回, 3 つの原子からなる直線分子を考えたが, 直線分子は多くの原子からなることができるのか. 折れ曲がってしまわないか. M: 本気か? 折れ曲がったら, それはもはや直線分子とは言わない. // 例えば簡単な所では, アセチレンは 4 原子の直線分子.

15s3033: 
ある物質の沸点前後での気体, 液体中の分子の衝突数は, 急増, あるいは急減するのですか. M: 本気か? どういう (暗黙の) 前提のもとに今日の議論が組み立てられていたのか, よくよく考えてみればいいのでは?

15s3037: 
回転エネルギーと並進エネルギーは自由度ごとに違いはないのですか. M: 何の違いの話か? // ポテンシャルが無ければ, 並進運動について, 進行方向による差異は無いのでは? 回転運動については, 回転軸によって慣性モーメントが異なれば, 回転エネルギーの準位は異なる.

15s3038: 
剛体球として分子を仮定せずに正確に分子の運動を考えた場合と剛体球と仮定した場合の誤差はそれほど大きくないのでしょうか. M: 自分で考えてみればいいのでは?

15s3040: 
分子にバネのモデルが使われていますが, 実際のばねにはバネ定数があります. このバネ定数のようなものが分子の間にも何かあったりするのですか? M: 15s3006 参照

15s3041: 
分子の形状をなぜバネのように表せるのか. M: 変な誤解をしているのでは? 分子の形がらせん状のバネの形になっていると考えているわけではない.

15s3042: 
分子は様々に振動しますが, 分子によって特定の振動のしかたが多いなどの性質はみられますか. M: エネルギー等分配の法則によれば, 振動の自由度のひとつあたりに配分されるエネルギーはどれも同じで優劣は無い.

15s3045: 
分子が運動するときの並進や回転などは状態が気体以外のときにも適応されるのでしょうか? M: 分子運動が制限されるような環境であれば, 気体と同様には考えられないのは自明だと思いますが? 自分で考えて分からないのはナゼか?

15s3046: 
分子の形状を表すのに「ボールとバネのモデル」が使われているのはなぜか? M: 有用で便利で優れているから. 他にもっと良いものがあれば, そっちを使うにきまってるのでは?

15s3047: 
自由度とギブズの自由エネルギーは関係しているのでしょうか? M: 自分で考えて分からないのはナゼか? // どういう関係がありそうだと考えているのか?

14s3008: 
並進, 回転, 振動エネルギーの種類によって, エネルギーの大きさに差が生まれるのはなぜですか? M: まったく異なる現象なのだから, まったく異なる原因によるエネルギーなのだから, 同じである方が不思議, 違って当たり前なのでは?

14s3021: 
振動による〓の変化が回転に影響をおよぼすので, 回転と振動は, 厳密には分離できないのではないでしょうか? [一文字判読不能] M: そうですね. だから, 分離できるという近似, 影響は充分に小さいという近似を用いていて, 実際にその近似は充分に良い. 厳密な測定や計算では, 影響が認められると思うが.

14s3040: 
表 6.1 の気体の衝突でのっていた分子は, 衝突直径, 平均自由行程, 衝突頻度, 衝突数に規則性はなかったと思うのですが, 周期表の族や周期ごとに比べてみると規則性はあるのでしょうか? もしないとしたら, 原因はどんなものですか? M: 規則は, 講義で導出して示した式では?

13s3012: 
分子の単位時間あたりの衝突数が, 注目した分子A 以外の分子が止まっている仮定から, 実際は動いていることを考慮して $ \DS Z_$A$ = \sigma \BRAKET1{v} N^*$ から $ \DS Z_$A$ = \sqrt{2} \BRAKET1{v} \sigma N^*$ になるのは理解しました. しました, が, 同じ $ \DS Z_$A という記号に対して異なる式を並べられると混乱することもあると思うのです. 少なくとも式だけ見たらそうなると思います. 仮定や前提条件が変わる際に, 同じ記号を区別するような慣例や取り決めというのは何かないものですか. M: 私は知りません. 調べてあったら, 教えてくださいネ. // たいして難しい話ではないので, 説明文と合わせて読めばいいのでは? お手軽に, チラ見でわかったつもりになる勉強法は, やめましょう.

12s3029: 
分子どうしの衝突について, 2 つの原子の衝突についての説明でしたが, 3 つ同時, 4 つ同時… n 個同時に衝突の時もあると思いますが, それを計算に入れることは可能ですか? M: そりゃ可能でしょうね. 自分で考えてみればいいのでは? でもその確率は, いったいどれほどでしょうか? それぞれが固有の形を持つ分子を剛体球で近似した影響と, どちらが重要でしょうかネ?



rmiya, 2017-01-16