構造物理化学演習 (20160711)
M: 以下は宮本のコメント
- 14s3001:
- 結合次数を求める際に, (9.33) 式以外で使える公式はありますか? M: え? 物理化学実験の課題のために, 調べなかったんですか?
- 14s3002:
- ボルン・オッペンハイマー近似を用いれる際に, シュレーディンガー方程式はどの程度厳密に解けるものなのでしょうか. M: ``厳密 (exact)'' という言葉に, 程度問題は存在しない.
- 14s3003:
- 結合次数が多くなると, 安定になる根拠って何ですか? 結合次数が大きくなったとしても, 結局分子に電子の過不足が生じた場合, 分子は, 安定になろうと, 電子を放出したり, 補うと思います. M: 物理的世界観が変. // ``安定'' という言葉を, どういう意味で使っているのか? // ``分子の結合次数'' という概念の意味は? // 分子に ``安定になろう'' などという意思はない.
- 14s3005:
- F
から電子を 1 つ取り除くには, どんな操作をすればよいのでしょうか. 標的とする分子に電子を与えたり, 逆にうばったりした後, それを保持する技術はありますか. // 結合次数について, 分子オービタル間のエネルギー差は分子によって異なるので, 結合の強さの指標としては不便だと感じました. もっとよい指標はありますか. M: 正気ですか? イオン化とか, 酸化とか, 化学では普通に行うでしょ? で, 溶液中でも質量分析器の分子の飛行経路にしても, イオンは存在していますが? // 分子によって異なるからこそ, それぞれの分子の性質を反映した指標といえるのではないでしょうか? ただ, 指標は一つではありませんので, 探してみればいいのでは?
- 14s3006:
- ボルン・オッペンハイマー近似を用いて解いたシュレーディンガー方程式の解は扱いやすいものではないのに, わざわざ使うのはなぜですか. M: ``ボルン・オッペンハイマー近似を用いて得られた解は扱いやすいものではない'' と, どこに書いてありましたか? それとも国語力不足か? // ボルン・オッペンハイマー近似を用いないで, シュレーディンガー方程式を解いてみればわかるのでは?
- 14s3007:
- 結合の性質は結合長以外にはないのですか? M: 14s3041 参照
- 14s3008:
- スピン軌道結合というのはスピン軌道相互作用によって生じた結合という解釈でよいのでしょうか? M: 自分で判断できないのはなぜか? 言葉の意味が分からなければ辞書を見ればいいのでは?
- 14s3009:
- 講義の問題にもあったのですが, 「考察せよ」という問題が腑に落ちません. 「考察」は辞書で調べると, よく考え調べることという意味でした. 知っている知識だけで書いたものは考察したものになるのでしょうか. M: 英文の ``discuss'' の和訳ですね. 科学的な議論をするときに, 過去の成果・知識を全く利用しないことは, ありえないと思いますが?
- 14s3010:
- F
がある意味で安定とおっしゃっていたのですが どういう条件下で F
が F
よりも安定になるのですか. それは数学的にまたは物理的にどのように証明できますか. M: F
の何が安定なのか, 具体的な物理量を想定して ``安定'' という言葉の意味を, よくよく考えればいいのでは?
- 14s3011*:
- 不対電子を持ち, 常磁性であるものがキュリー点という温度を境に強磁性となるという話をフロンティアでしたのですが, キュリー点は何によって決まるのですか. M: 常磁性と強磁性 (反強磁性) との違いは, 磁気モーメントが隣同士で揃わずランダムであるかまたは揃って同じ方向を向くか (平行なら強磁性, 反平行なら反強磁性やフェリ磁性). 磁気モーメント間には磁気的な相互作用があるが, 隣同士で平行な状態と反平行な状態とでエネルギーが異なる (この相互作用は交換相互作用
と呼ばれる. そして個々の物質によって相互作用
の大きさや符号が異なる).
が熱エネルギー
B
に比べて十分に大きければ, 熱分布は試料中の多数の磁気モーメントが揃う状態に偏る. そして温度が上昇して熱運動が十分に激しくなると磁気モーメントの方向は乱雑になる. (相転移を考慮していない不十分な説明. より詳しくは固体物性の本を参照)
- 14s3012:
- ハートリー・フォック計算で副殻のエネルギーの順番が 2s, 2p オービタルのエネルギーと異なるのはなぜですか? 他の軌道については一致するという例外を示しているのですか? M: 意味不明. どこの何の話か? 国語力不足か? // 例えば表8.3 では, 期待通りの順なのでは?
- 14s3013:
- ゲラーデ, ウンゲラーデともにドイツ語であるが, なぜドイツ語を用いているのか. M: 習慣. 英語帝国主義はやめましょう. // 世界史・科学史を学べば, 20 世紀初頭までの科学の先進国はヨーロッパであったことがわかるでしょう.
- 14s3015:
- ふんとの規則は経験則ですが, どのようにしてこの規則ができたのでしょうか. M: 経験則は経験の蓄積により出来るのでは? // 今では (8.55) 式参照
- 14s3016:
- 発光スペクトルの強度を求める方法はあるのでしょうか. M: 発光の量子収率は, 励起状態からの種々の緩和・失活過程が関与している. 原理的には, 失活過程の遷移確率や速度定数を見積もればよい.
- 14s3017:
- 微細構造とはなんでしょうか. M: 分野によって意味が違う. 言葉の意味が分からなければ辞書や専門書を見ればいいのでは?
- 14s3018:
- 9-13 で F
よりも F
の方が結合次数は大きくなりましたが, エネルギー的に安定なのでしょうか? ただ不安定な反結合性分子軌道から電子が抜けただけでしょうか? M: ``反結合性軌道から電子が抜けた'' のは, 文字通りにその通り. (ただし, 反結合性軌道が不安定かどうかは置いとく.) 定義にしたがって計算して結合次数が大きくなったことも, 何ら間違いではない. // で, 何を聞きたいのか? ``エネルギー的に安定'' とは, 何のどういうエネルギーの話をしているのか?
- 14s3020:
- 問8-45 において
,
がどのような演算子で, どのように作用するのかが, よくわかりませんでした. M: そうですか. 提出物が, 質問になっていません. 理解するために, どれだけ努力したのか? // 教科書 p.129, p.308 と関連ページ, 複数の参考書をよく読めばいいのでは?
- 14s3021:
- 分子の項の記号はなぜ分子波動関数の対称性を表すのですか? M: その様に項記号の書き方を決めたから.
- 14s3022+:
- 8-53 で計算した結果は物理化学的にどんな意味をもつのですか. M: 物理化学的な意味は, 数式で表現されている. // 発光スペクトルの蛍光やりん光とは切っても切れない関係. また化学反応の初期過程で単結合が切れた瞬間の溶媒のケージに囲まれたラジカル対が再結合して元に戻るか解離して溶媒ケージから出て先の反応に進むかとも密接な関係がある.
- 14s3023:
- 問題8-53 でスピン演算子について演習を行いましたが, これらの結果から どのようなことが考察できるのでしょうか. M: 14s3022 参照
- 14s3024:
- 問題9-9 において問題文においては
波動関数を用いてとあるのに別冊の解答を見ると
波動関数を用いていたのですが これはなぜですか. M: 著者に聞けばいいのでは? :-p
// てゆーか, その Cox 本の解答の正誤を自分で判断できないのはなぜか?
- 14s3025:
- 電子配置のときに,
,
などと g と u で区別したのは何故ですか? 細かく区分する必要性があったのか. M: 教科書 p.388 や参考書をよく読めばいいのでは? // 必要があるからでしょ. 14s3021 も参照
- 14s3026:
- 実験値のみが分かっているが厳密解が分からないとき 実験値はどのような評価がされるのか. M: ``実験値'' について, 何を評価したいのか?
- 14s3027:
- H
の結合性オービタルと反結合性オービタルを知ることは, 自然界に最も多く存在する形である H
のことを知ることになりますが, H
の結合性オービタル・反結合性オービタルを知ることはどんなことを得るのにつながっているのでしょうか. M: 正気ですか. 化学結合に関する全て. 教科書 p.353 や参考書をよく読めばいいのでは?
- 14s3028:
- p.369 の図9.13 において,
が O
, F
において
,
を下回っていますが, それには何か理由があるのでしょうか? また,
オービタルのエネルギーは Li
から F
では横並びですが
オービタルは徐々に下がっています.
と
で このような違いが見られるのはなぜですか? M: まず, 図のキャプションを見ると ``相対的エネルギー (任意尺度)'' なので, 雰囲気を示していると見るのがいいのでしょう. それでも, エネルギーが徐々に低下しているとか, 相対的な上下関係とか, 定性的な様子は正しいと期待されます. // 分子オービタルのエネルギーが原子番号が増加するにしたがって徐々に低下している傾向は, 元になる原子について, イオン化エネルギーが図8.1 のように Li から F へと増加していくことに対応し, 核の電荷の増加にともなうクーロンポテンシャルの増加のためと考えられます. 2s と 2p とで動径分布が違うので, この効果の効き目も異なるでしょう. また
と
の違いはオービタルのローブの方向の違い, 言い換えれば
か
かの違いです. ここで
の場合には 2s による
と混合する可能性があり (対称性が同じ, オービタルの記号を見れば一目瞭然(!)), その結果オービタルエネルギーが変化します.
- 14s3029+:
- 8-53 で最後に示した
total
ですが, スピン角運動量演算子の二乗を [ ] 内のスピン関数に作用させるとゼロになるというのは何を意味しているのでしょうか. ただこの問題ではそうなるというだけでしょうか. M:
total の固有値がゼロで, すなわち全スピン角運動量はゼロである. トータルでは磁気モーメントを持たない.
- 14s3030:
- p.380 にある「つじつまの合う場の方法で係数を決定すると, SCF-LCAO-MO 波動関数が得られる」とありますが, つじつまの合う場の方法とは何ですか. M: 教科書 p.306 や参考書をよく読めばいいのでは?
- 14s3031:
- 交換積分の項に古典的に対応するものがないとなぜ量子力学的本質を浮きぼりにしているといえるのか? M: 科学史を勉強すればわかるのでは? または, 国語力不足か? // 古い科学理論の限界を明確にして, 新しい理論はそれを超えて拡張するように発展してきた. 言い換えれば, 新しい科学理論は古い科学理論を内包するようにして発展してきた. したがって, (内包している) 古典力学では理解できない所こそが, 量子力学の本質であるのは自明の理.
- 14s3032:
- 問題9-3 における, 楕円体座標は 3 つの変数
,
,
があり,
は極座標と同じ考えだと思うのですが, 図を見ると
はとびとびにあるように見えるのですが, これはなぜですか. M: よく知られているデカルト座標でも, 空間を矩形の格子に区切って表現することがありますが?
- 14s3033:
- 問題9-13 について先生がおっしゃっていた F
の方が ``ある意味'' 安定とは, どの部分が F
分子よりも安定なのでしょうか. M: 発表者の解答例を見ていなかったのでしょうか?
- 14s3034:
- なぜ
結合と
結合で下付きの u, g の意味が異なるのですか. M: 誤解しているから. // 反転対称操作 i に対して g は gerade (偶, even), u は ungerade (奇, odd).
- 14s3035:
- 問題9-9 のヒントというところに「重なり積分が, 互いに完全に消し合う二つの部分に分けられることを示せばよい」とありますが, こればただ重なり積分が 0 となることが示されることよりも, 二つの部分に分けてオービタルの重なりが計算から打ち消し合うという結果の方が好ましいということでしょうか. M: 好ましい好ましくないなど, 一言も言っていません. ヒントはヒントです. 使うも使わないも, 好きにすればいいのでは?
- 14s3036:
- 表9.1 を見ると H
と He
の結合次数が等しく, 結合長と結合エネルギーが似た値になっていますが, 他の分子で結合次数が 1/2 になるものも同じような値になるのでしょうか. また, そうであった場合, 例外の分子はありますか. M: どんな分子の結合次数が 1/2 になるだろうか? 自分で考えてみればいいのでは?
- 14s3037:
- 同じ項記号をもつ電子配置は同じエネルギーをもっているのでしょうか. M: 表8.4 を見てよく考えればわかるのでは?
- 14s3038:
- 核の運動を無視するボルン・オッペンハイマー近似には, 適応する際の条件は何もないのでしょうか? // また, この近似の補正は質量比の程度であってかなりよい近似と記述されているのですが, 核運動を無視しているにもかかわらず なぜよい近似なのですか?
M: 教科書や参考書をよく読めばいいのでは? // 条件について何と書いてあるか? 補正がどの程度と見積もられているのか? それとも著しい国語力不足か?
- 14s3039:
- He
の結合次数は 0 であることから教科書 p.370 には「安定なヘリウムの二原子分子が存在しない」と記されているが, 逆に安定ではないヘリウムの二原子分子は存在し得るのでしょうか. M: 教科書の表9.1 とその下の本文をよく読めばいいのでは?
- 14s3040:
- 今回の問題の 9-13 のように考察せよというようなものが出たとき, 今日は結合の性質について考察しなければならなかったのですが, 具体的にどのように答えると他人がみてもわかる答えになるのでしょうか? M: 結合次数は具体的で他人が見てわかる答えじゃなかったのでしょうか? // それ以上の一般論に対して, どうやって具体的に答えればいいのだろうか?
- 14s3041:
- 9-13 で, 分子軌道法により結合の性質とはそもそもどのようなことですか. 結合次数を求めることによってわかる結合の強さや結合長, 結合エネルギーを示せばよいのでしょうか. M: どうして自由な発想が求められている場面で, マニュアルを欲するのか?
- 14s3042:
- 項記号で表すときの全角運動量量子数を 9 章で出てくるクーロン積分が同じ J という記号であらわされるのは なぜですか? M: 習慣. // クーロン積分
とひとことで言っても, p.337 と p.359 では計算式が異なり, 別物です. また, NMR (14 章) では スピン-スピン結合定数 を
で表します. すなわち
の高スピン系では, スピン交換相互作用を
で表します.
- 14s3043:
- 9-9 の問題の予習の際に
オービタルと
オービタルの重なり積分の計算の他に,
オービタルと
オービタルの重なり積分を計算したら 0 になったんですけど, なぜ 0 になるのでしょうか? (計算間違いはしていないと思います.) [図は省略] M: 質問カードには図でゼロにならないと考える理由がなんとなく書いてあるが, 計算式が図を正しく反映していないのでは?
- 14s3044:
- 問題8-37 でスピン軌道結合を考慮に入れた結果どう変わるのですか? また, 解答だと項記号が 3P2, 3P1, 3P0, 1P1 の 4 つしか書かれていなかったのですが, 自分で解いた時には他にもいくつか書けていました. なぜ上記の 4 つのみなのでしょうか? M: スピン軌道結合で何を聞きたいのか, よくわからない問題ですね. // 項記号については, 勘違いでしょう.
- 14s3045:
- 8-45 の問題で「答え」では を用いて
であることを証明しましたが, 何故 を用いたのでしょうか. と を用いても大丈夫でしょうか? M: おかしいですね. 8-45 を発表した人もいないし, 巻末の答えにも記載ありませんでしたが? 一体何のことでしょうか?? // 大丈夫かどうか, 自分でやってみればわかるのでは?
- 14s3046:
- 今回の議論では ``安定'' について話されていましたが, 9 章で出てくる H
は分光学的に安定であるとなっているのですが この場合の ``安定'' とは どういった意味なのでしょうか. M: ``分光学的に安定'' だと自分で書いていますが? 一体何が分からないのでしょうか??
- 13s3025:
- 量子力学的なシミュレーションによってウィルスのきょ動は再現できるのか. M: ウイルスといえども, 基本的には分子でできていますから, 原理的には可能でしょう. しかし原子数はいくつくらいになるでしょうね?
- 13s3027:
- p.361 上段の「化学結合の量子力学的本質」とは 具体的には? M: 交換積分 // 14s3031 参照
- 13s3030:
- 問題9-3 に楕円体座標が出てきますが, 直交座標や極座標の他にどのような座標が使われていますか. M: 数学 (物理数学?) の本を調べてみればいいのでは?
- 13s3042:
- 反結合性軌道は結合軸を横切る節面があるため, 軌道が相互作用できず, 反結合性となるのですか. M: ``軌道が相互作用できず'' とは, どういうつもりか? // 二原子分子の反結合性オービタルは, 各原子の原子オービタルが相互作用して生じたものなのだが (同時に結合性オービタルも生じている).
- 12s3011:
- 十分なだけ多くの項を含むとハートリーフォック極限に達するが, 十分な多くの項に基準はあるのか. M: 教科書 p.307 や参考書をよく読めばいいのでは?
- 12s3022:
- 結合次数は大きくなると結合がより強固になるということでよいのでしょうか. 結合次数が大きいと不安定になる場合はないのでしょうか? M: 本気ですか? いまさら多重結合に関して化学の基礎を復習する必要があるとは信じられませんが.
- 12s3024:
- He
に弱い結合が予想されるとありますが 他の希ガスでも予想されているのですか? M: 私は知りません調べてわかったら教えてくださいね.
rmiya, 2016-07-26