構造物理化学演習 (20160627) M: 以下は宮本のコメント

M: 構造物理化学II の時に見たことがあるような質問がいくつも繰り返し出てくるということは, 去年学習したはずの事項がちっとも身についていないということか, 残念. :-(

14s3001: 
摂動論についてですが, 7.41 式と 7.43 式の解は近くなるとありますが, この場合の大きい小さいはどのように判断するのですか? M: え? $ \DS E > E_0$ なら大きい, $ \DS E < E_0$ なら小さいに決まってるでしょ :-p

14s3002: 
式 (7.37) において, 永年方程式から得られる $ E$ の値のうち, 小さい方は変分法による近似的な基底状態エネルギーとしていますが, もう一方の解は物理的にどのような意味を持つ解なのでしょうか. M: 教科書 p.277 や参考書をよく読めばいいのでは?

14s3003: 
4 次の調和振動子とは何を表しているのですか? $ x$, $ y$, $ z$ 平面の他に何が考慮されているのですか? そもそもそういう考え事体違うのですか? M: $ \DS x^4$ に比例するポテンシャルエネルギーなのに, $ y$, $ z$ 平面が関係すると考えるのはナゼか? // そもそも ``4 次の調和振動子'' と言うあたりから, まったく理解していないことが推察される. // 14s3028 も参照

14s3005: 
変分法によって $ \DS E_0$ を求めるときの試行関数の選び方は, 発見的な手法ですよね. $ \DS E_0$ が分かっていない複雑な系に対して優れた試行関数を見つける際にはコンピュータの力が必要でしょうか. 発見的な手法をコンピュータに行わせるためにはどうしたらよいのでしょうか. 人間が数式の変形を面白く感じるのはなぜでしょうか. M: 発見的 (ヒューリスティック, heuristic) 手法を用いれば, 良い試行関数に到達することが期待できる. そのためには物理的直観も必要だろう. しかしこれがいつも成功するとは限らない. そこで (7.25) あるいは (7.40) ということになる. これならば発見的方法を用いずとも機械的に精度の向上が期待できるので, 私たちの現在の知見に基づいて従来のコンピュータを駆使すれば, 充分に正確な解を得ることができる. ただし得られた解 (波動関数) の式を見て, 人がその物理的意味を理解できるかどうかは別問題. // 発見的アルゴリズムをコンピュータに実装することは AI 研究の分野の課題といえる. シンギュラリティ (singularity) に期待?! といっても, 科学技術を進歩させる当事者は, 君たちだ.

14s3006: 
近似計算において, よい近似とされるのには, 誤差について, おおよその基準があるのでしょうか, それとも場合によってよい近似の基準が違い, 一概にはこれと言えないのでしょうか. M: そりゃもちろん ``近ければ良い'' という, おおよその基準があるでしょ. :-p

14s3007: 
7-9 でのハミルトン演算子へは p.84 の $ \DS \hat{H}$ へどう作用させていけばよいのですか? M: なぜ演習の時間に聞かないのでしょうか? // 意味不明, `` $ \DS \hat{H}$ へ作用させる'' とは?

14s3008: 
試行関数としてより妥当なものを見つけるコツのようなものはあるのでしょうか? M: 14s3005 参照

14s3009: 
非摂動ハミルトニアンの固有状態に縮退がある場合とない場合があるそうですが, 演算子の縮退とはどういうことでしょうか. M: 意味不明. ``演算子の縮退'' とは初耳です.

14s3010: 
摂動論の 1 次の補正を小さくするためには摂動ポテンシャルをどのように工夫していくべきですか. M: 工夫も何も当然のこと, 教科書 p.279 末尾や参考書をよく読めばいいのでは?

14s3012: 
有限の高さの壁の内側の粒子について, 変分パラメータの領域内外で試行関数が 0 の場合, $ E$ を求める時の積分区間 $ -\infty < x < \infty$ $ \vert l\vert \rightarrow \infty$ となり, $ x > \vert l\vert$ の時は粒子は存在できない, ということでしょうか. M: 意味不明. 何を聞きたいのか? 自分で判断できないのはなぜか? // 許容される波動関数のための 3 条件を思い出せばいいのでは?

14s3013: 
2 次の永年方程式から $ E$ の値が 2 つ得られ, 小さい方は変分法による近似的な基底状態エネルギーであるが, 大きい方は何であるのか. M: 14s3002 参照

14s3015: 
試行関数はどのように選べばよいのでしょうか. M: ``試行 (trial)'', ``試こころみ'' なので, 好きにすればいいのでは? 14s3005 も参照

14s3016: 
ある原子の基底状態のエネルギーを計算するときに用いる試行関数は, 多くのパラメータを含むほど厳密な結果に近づくとあるが, その試行関数の定め方に何か決まりはあるのか. M: 14s3015 参照

14s3017: 
(7.3) の分子を解く際, $ \DS \tau = 4 \pi r^3 / 3$ とおき, $ \DS \d\tau/\d r = 4 \pi r^2$, $ \DS \d\tau = 4 \pi r^2 \d r$ としていると思うのですが, 例えば調和振動子の場合はどのように変換すべきか. M: まるっきり誤解している予感. // その (7.3) 式の上に ``ここで $ \d\tau$ は適当な体積素片'' とある. したがって具体的表現は次元や採用した座標系に依存する. // 教科書 (4.2) 式ないし (4.11) 式, (4.29), (4.31) などや (7.2), (7.3) などのように, 個別の座標変数や座標系に依存しない話, 座標変数を明確に決めていない場合, だがしかし積分の式としては積分変数・微小体積 (体積素片) が必要になる場合, 適当な体積素片 (the appropriate volume element) を表すものとして $ \d\tau$ がよく使われる.

14s3018: 
近似法で得た基底状態エネルギー値と厳密な基底状態エネルギー値は異なるが, 何が原因で 2 つの値は異なるのか. また何を考慮すれば 2 つの値はより近づくのか. M: ``近似'' の意味を理解していないのだろうか? そして教科書 p.126 の仮説 1 の意味も.

14s3020: 
$ \DS \int \psi^* \hat{H} \psi \, \d\tau$ $ \DS \int_{-\infty}^\infty \psi^* \hat{H} \psi \, \d r$ の違いが明確に理解できず, 変換ができませんでした. $ \tau$ の定義がよく分かりません. M: 14s3017 参照

14s3021: 
試行関数は変分パラメータを含む関数の一次結合でもよいのでしょうか? M: 教科書 7.3 節や参考書をよく読めばいいのでは?

14s3022: 
式 7.3 で $ \DS E_\phi = \frac{\int \phi^* \hat{H} \phi \, \d\tau}{\int \phi^* \phi \, \d\tau}$ となっていて, 実際に計算するときに $ \DS$   分子部分$ = 4 \pi \int_0^\infty \phi^*(r) \hat{H} \phi(r) r^2 \d r$, $ \DS$   分母部分$ = 4 \pi \int_0^\infty \phi^*(r) \phi(r) r^2 \d r$ となっていました. なぜこの形になってのか分かりませんでした. $ 4 \pi$$ \DS r^2$ はどのように導出したのですか. M: 別に, 普通に計算するだけでしょ. 14s3017 のコメント参照

14s3023: 
問題7-13 では, なぜ区間が $ \DS -\pi/2\lambda < x < \pi/2\lambda$ であったのでしょうか (どの様な意図があったのでしょうか). M: 波動関数を作図してみれば自明では?

14s3024: 
教科書で水素原子の基底状態エネルギーを考えるとき $ \DS E_\phi = \frac{\int \phi^* \hat{H} \phi \, \d\tau}{\int \phi^* \phi \, \d\tau}$ の分母と分子にそれぞれ $ \DS 4 \pi r^2$ をかけて計算を行っているのですが, $ \DS 4 \pi r^2$ をかけているのはなぜですか. M: 14s3022 参照.

14s3025: 
7 章には永年行列式が載ってあり, 分子軌道計算において用いりました[原文ママ]が 他にはどのように使われているのですか? M: 分子軌道計算だけでも十分すぎるほどの需要だと思うが?

14s3026: 
式 (7.37) のもう一つの解は第一励起エネルギーの上限に相当しているがかなり粗いものであるとかいているが もっとよい値をとるための別の方法があるのでしょうか. M: 一例を, 去年の構造物理化学II で宿題に出した.

14s3027: 
厳密解のわからないヘリウム原子の基底状態のエネルギーを求めるのに, 様々な試行関数から様々な値が導かれると思いますが, 実験結果と比較したとき, 優先されるのは事実としてあらわれた実験結果の方なのでしょうか. それとも, 実験値と計算値の差が大きくても少なくても, 本人が満足したかどうかで判断されることなのでしょうか. M: 何を判断するのでしょうか? 何をやりたいのでしょうか??

14s3028: 
問題7-9 で 4 次の振動子を考えたのはなぜですか? 何か意図があるのでしょうか? M: 著者に聞けばいいのでは? :-p // 例えば 3 次の非調和項について, エネルギーを計算してみればわかるのでは?

14s3029: 
7-9 において与えられた 4 次の振動数の基底状態エネルギーは $ x$ が大きくなるにつれて $ \infty$ となるように思えます. 問題では $ \DS \e^{\frac{- \alpha x^2}{2}}$ 型の試行関数を用いていましたが, 本来は 4 次の関数を用いるべきものなのでしょうか. M: 思考が混乱している予感. ``4 次の振動数'' とは何か? ``〜振動数の基底状態エネルギー'' とは何か? 試行関数とは何かわかってるのか? etc.

14s3030: 
(7.15) 式の (p.271), 電子間反発の項を無視して (7.20) 式などを出し, $ E$ を最小にする $ Z$ 有効核電荷を求めていますが無視せずに基底状態の波動関数を求めるためには, どのような方法をとればよいのでしょうか. M: (7.20) 式では無視していない. それがこの章の主題なのだが. // 国語力不足か?

14s3031: 
7 章の章末問題では 4 次の振動子の基底状態エネルギーに関する問題が多いが, 何か重要な値であるということなのでしょうか. M: 14s3028 参照

14s3032*: 
問題7-8 で三次元で球対称な等方性調和振動子を考えますが, このとき三次元であるにもかかわらず, $ \theta$, $ \phi$ がハミルトン演算子に含まれていないのはなぜですか. M: 三次元の問題なので, 自由度すなわち変数の数が 3 個必要だというのは, まったくその通り. この変数は独立であればよく, 通常用いられる座標系としては, デカルト座標系 ($ x$, $ y$, $ z$), 球面極座標系 ($ r$, $ \theta$, $ \phi$), 円筒座標系 ($ r$, $ \theta$, $ z$) などがあり, 系を表すのに便利な座標系を採用すればよい. 今回の三次元の調和振動子であっても事情は同じだが, ただしここでは ``等方性'' という条件が付け加わっている. 等方性とは, すなわち方向 ($ \theta$, $ \phi$ で表される) に依存しないということ. 調和ポテンシャル (フックのポテンシャル) が方向に依存しないので, ポテンシャルには方位を表す変数が含まれないことになり, すなわちポテンシャルは動径を表す変数 $ r$ だけで記述されることになる. この場合に, 本来の球面極座標系で表した三次元のシュレーディンガー方程式は, 動径部分と角度部分に容易に変数分離できる. 角度部分の方程式の解が球面調和関数になることは明らかですね. ということで, あとは動径部分を解けばいいことになる.

14s3033: 
今回の問題は試行関数は与えられていますが, 与えられず自分で決める場合, なるべく良い近似になる関数をどのように決めたらいいのでしょうか. M: 14s3015 参照

14s3034: 
$ \DS \int\d\tau$ $ \DS 4 \pi \int r^2 \d r$ と等しいですか. M: 場合によるでしょ. 14s3022 のコメント参照

14s3035: 
自らで設定した試行関数では, 得られる最低エネルギーは基底状態エネルギーより大きい値をとり, その差は自らの許容範囲をもとに許していきますが, その最低エネルギーを第 3 者が許容しなかったとしたら, どう折り合いをつけていくべきなのでしょうか. M: べきべきと, 結局自分で判断しないで, 基準を外に求めるのかぁ.

14s3036: 
変分パラメータについて 1 次の試行関数を使うと永年行列式が得られるとありますが, 2 次の時はなにかになるのでしょうか. M: 私は知りません. 自分で計算してみたり, 調べてわかったら, 教えてくださいね.

14s3037: 
摂動は回数をかさねるほど真の値に必ず近くなるのでしょうか. M: 教科書の章末問題7-19 ではちゃんと書いていないので, 参考書を参照. 摂動論では一般には 0-1 の値をとるパラメータ $ \lambda$ を導入して, ハミルトニアンを $ \DS \hat{H} = \hat{H}_0 + \lambda \hat{H}'$ と書き, エネルギーと波動関数を $ \lambda$ の級数に展開する. この級数の収束性について, 数学的な意味での保証はないのかもしれないが, 物理的には摂動が小さければ非摂動系に収束することが期待されるし, エネルギーは有限だし. したがって, たまたま大きな項があったとしても, より高次の項は小さくなっていくと期待していいんじゃないの.

14s3038: 
そもそも, なぜ摂動論というものがあるのですか? ハミルトニアンを対角化すればエネルギーは求められるのに, どうして摂動論などの近似を使ってエネルギーを求めるのか気になりました. M: 科学と技術は, 最初から現在の姿で存在していたわけじゃない. 科学史を勉強すればいいのでは? // 人が自然を理解するとはどういうことか, よくよく考えてみればいいのでは?

14s3039: 
図7.1 について, 最適化されたガウス試行関数と厳密な波動関数のプロットが $ \DS r/a_0 = 0$ 周辺で大きくずれているのは, 何によるものなのでしょうか. M: 指数関数とガウス関数の関数形を見れば自明では? (それぞれの関数の $ r=0$ の点での微係数は?)

14s3040: 
変分パラメータは各問題によって指定されているが, それ以外を変分パラメータとして計算しても同じ値を求めることができるのでしょうか? M: やってみればわかるのでは?

14s3041: 
7-13 で, 7-12 を参考にして問題を解く際に, ハミルトン演算子に $ \DS V_0$ を含むときの範囲が 7-13 では $ \vert a\vert \geq 0$ であるが 7-12 では $ -a < x < a$ になるのは なぜですか. M: 誤解しているからでは? 本質的には試行関数が異なるだけの問題で, 変分パラメータは, 波動関数が値を持つ中央部の範囲を指定している.

14s3042: 
調和振動子の基底状態エネルギーを考える試行関数として, 指数関数を用いられるのは どのような考えからですか? M: 許容される波動関数のための 3 条件を思い出せばいいのでは?

14s3043: 
実験値と計算値はどちらが正しいのでしょうか? 合成実験で収率を計算する際, 計算値を正しい値としていて, 近似計算では, 実験値を正しいものとしている気がします. M: 本気ですか? あなたは何をしたいのですか?

14s3044: 
教科書 p.264 のように, エネルギーの計算の際に $ \DS 4 \pi r^2$ を掛けているのはなぜですか? 他の, 例えば振動子などではそのまま $ x$ などに置き換えられているのですが? M: 14s3017 のコメント参照

14s3045: 
問7-9 では 4 次の振動子の基底状態エネルギーを $ \DS \e^{-\alpha x^2/2}$ 型の試行関数を用いて計算する問題であったので同様に調和振動子の基底状態エネルギーを計算する例題7-2 を参考に解こうとしたのですが, こちらでは $ \DS \phi(x) = \frac{1}{(1 + \beta x^2)}$ で計算しています. この違いとは何なのでしょうか? M: 別に, 試行関数の違いでしょ. 名称をあげれば, ガウス関数とローレンツ関数.

14s3046: 
(7.15) 式から (7.21) 式において $ E$ を最小にする $ Z$ の大きさは有効核電荷とかんがえるとありますが, それはなぜでしょうか. M: $ Z$ の元の意味は何か? これが減少して見えるということをどう理解すればいいか?

13s3010: 
例題7-1, 7-2 について, 積分範囲の取り方が異なるのはなぜでしょうか? M: 問題にしている系が異なり, 変数が表しているもの (と変域) が異なるから. // ``粒子の存在する全範囲'' という意味は同じなのだが.

13s3025: 
演算子の操作に, 関数×ポテンシャルエネルギーがあるが, 関数にエネルギーをかける意味はそもそもあるのか. M: そこだけ取り出されては無意味に見えるが, 演算子ってそういうもの.

13s3027: 
p.269 「大きな変位に対して試行関数〜わかる.」とある. 確かに $ \DS \psi_0$ の変位が大きいとき, $ \phi(x)$ の振幅が大きいが, このことが誤差に対してどれくらい影響するのか書かれてない. 変位と振幅を比べると, 何がわかるのか. M: (7.3) ないし (4.11) と (B.12) との対比から, 物理量の平均値・期待値は, いわゆる加重平均のこと. 二つの分布 (波動関数) で似た値 (エネルギー) が得られるのは, 一方がある部分の分布が大きいことを別の部分の分布が小さいことで帳尻を合わせているからと考えられる.

13s3030: 
p.227 の「励起状態のエネルギーの上限のもっとよい値を得る方法」とは何でしょうか. M: 14s3026 参照 // 例えば, 求めたい励起状態の波動関数が持つとわかっている特徴を, あらかじめ取り込んだ試行関数を用いる.

13s3042: 
(7.5) 式 $ \DS E_\phi(\alpha,\beta,\gamma,\dots)$ で, (7.9), (7.10) 式で $ \DS E_$min$ > E_0$ であることが書かれていますが, $ \DS E_\phi$ が最小の時で, $ \DS E_0$ より大きいなら, $ \DS E_\phi \geq E_0$ ではなく $ \DS E_\phi > E_0$ とならないのでしょうか. M: (7.4) 式の下の文, 例題7-1 参照

12s3011: 
励起状態のエネルギーの値と基底状態のエネルギーの値で励起状態のエネルギーで計算値が粗いものとなるのはなぜか. M: 励起状態の方が波の振幅の変化が激しい (一般に曲率が大きい) のに, 基底状態と同じ次数の試行関数を用いたら, そりゃぁ近似が悪くなるでしょ.

12s3022: 
エネルギーは基底状態でなくても求めることはできますか? M: 3 章の復習が必要か?

12s3024: 
敢密でない[原文ママ]波動関数では変分原理に従わない場合もあるのですか? M: 意味不明. 演習で取り上げて発表された章末問題7-1 を全く理解していないようで, 残念.



rmiya, 2016-07-04