構造物理化学 II (20160127) M: 以下は宮本のコメント

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14s3001: 
誤解しているかもしれませんが 節面の数で $ \sigma$, $ \pi$, $ \delta$ 結合を決めましたが, この場合にみる節面の数とは結合性軌道においてですか? M: 原子間の結合軸を含む節面の数は, 結合性オービタルと, 組になる反結合性オービタルとで, 同数なはずです. 数えてみてください.

14s3002: 
講義では取り扱いませんでしたが, 結合次数の話で, He$ _2$ の結合次数は 0 となり, 存在しないはずであるのに 現在では確認されているのは どのような方法でわかったのでしょうか. M: 教科書 p.370 にあるとおり, ``単純な分子軌道法は, ヘリウム二原子分子が存在しないことを予言する'' のですが, 高度な分子軌道法では存在が示唆されたり, 現実に存在が検出されたりするわけです. しかし p.371 ページにあるとおり, 結合エネルギーは非常に小さく, 気相の 0.001 K 付近という絶対零度に非常に近い極低温で初めて検出されたわけです. 分光学的方法とも書いてあるので, 何らかのスペクトルを観測して, そこから分子の存在と結合エネルギーなどが見積もられたのでしょう. 詳細は原著論文参照.

14s3003: 
教科書の式 (9.31) で, 微少成分[原文ママ]が 2 つあるので $ \DS \iint \psi_$MO$ ^*(1,2) \hat{H} \psi_$MO$ \d{\bm r}_1\d{\bm r}_2$ と 2 回積分するということで $ \DS \iint$ が表記されると思うのですが何故 $ \DS \int$ のみなのですか? M: 著者に聞けばいいのでは(?) // 略記してはいけないんですか(?) 読者があなたのようにちゃんと数学に堪能で理解してくれるのなら, 略記してもいいのでは(?) // ちなみに講義でも言いましたが, 三次元空間に二電子なので, 積分変数は 6 個で積分は六重になります.

14s3005: 
分子オービタルを形成するときに, 原子が回転することによって, 偶然節面ができることはありますか. // 結合次数がとることのできる数は, 実数でしょうか, 有理数でしょうか. 教科書では ``半整数でもよい'' と書いてありますが, 0 からはじまる 0.5 きざみの有理数という意味でしょうか. M: ``原子が回転する'' というところがわかりません. 球対称の原子には回転の自由度は無いと思うのだが… p オービタルのような方向性を持った原子オービタルの, ローブの向きが変わることをそうていしているのかもしれないが, 二原子分子の対称性 ( $ \DS$   C$ _{\infty h}$) を考えれば, 座標軸のとり方は決まると思う. そっぽを向いた原子の軌道は, 軸に沿った向きの基本的なオービタル関数の線形結合で作ることができる. // 結合次数の定義式 (9.33) では, 電子の数を自然数で数えるので, 取りうる数は決まってくると思いますが. 多原子分子では, 例えば章末問題 10.40 の (1) 式のように $ \pi$ 結合次数を, (2) のように全結合次数を定義すれば, その値は…

14s3006: 
結合次数が変化すると, 分子の反応性は変化しますか. また, 反応性が変化するならば, このことを利用して, 通常は反応しない分子同士を反応させている例はありますか. M: どうやって結合次数を変化させるのか? 例題9.5 のように, 電子の数を変えること (すなわち酸化還元) によって結合次数が変化すれば, 結合エネルギーも変化することがみてとれるのでは(?) // 安定な分子である窒素は, 通常の条件では結合が切れず, 反応はおこらないといえます. しかしハーバー法やオストワルド法によって, この安定な窒素分子をアンモニアや硝酸イオンに変換しています. また窒素固定細菌は, …

14s3007: 
結合性オービタルと反結合性オービタルの二つの表し方に使い分けはあるのですか? M: 別に, 分子オービタルの結合性・反結合性を強調したい時にはそれを, 分子オービタルの対称性 g, u が重要な場合にはそっちを, それぞれ使ったほうがいいのは, あたりまえ. それ以外では好きにすればいいのでは(?) ただし, 混ぜて使うことはしないように.

14s3008: 
なぜ結合性オービタルはプラス, 反結合性オービタルはマイナスの添字をつけるのですか? 図を描いたときに電磁気力のイメージと重なってしまって分かりづらいと思うのですが… M: 意味不明, オービタルのどこにプラス・マイナスの添字をつける話か? // ``結合性オービタルはプラス, 反結合性オービタルはマイナス'' なんて, どこに書いてある何の話か? // 電磁気力のイメージと重なるのは, 理解不十分だからでは?

14s3009: 
ある分子の p 軌道の組み合わせが, $ \pi$ 結合が結合性で, $ \sigma$ 結合が反結合性の可能性って, 考えられませんか. M: 意味不明 // 普通は, p 軌道の組み合わせが $ \pi$ 結合が反結合性で $ \sigma$ 結合が結合性であることを意味しているようだが, それでもやっぱり意味不明

14s3010: 
異核二原子分子では電子親和力が異なることから, 等核二原子分子の時からどのような補正が必要になるのですか. M: 別に, すなおに拡張するだけで, 特別な補正 (付加される項や因子など) は無い (全く同じ物理法則に従っているだけ). 教科書の図9.19 と (9.34) 式や参考書を参照.

14s3011*: 
多原子分子における結合, の章で 混成オービタルに関する記述があるが, 混成オービタル同士が相互作用する場合は同じオービタルと見なして ゲラーデ, ウンゲラーデの区別が可能になったりするのでしょうか. その際 等核二原子分子と同様に項の記号は分子波動関数の対称性に関与するのか. M: 多原子分子の場合, 分子軌道法では分子全体に広がった分子オービタルを考えるので, 特定の原子間の結合だけに局在したオービタルを考える事はない. LCAO-MO による分子オービタルから, 特定の原子の原子オービタル部分を抜き出せば, $ \DS \psi = c_1 s + c_2 p$ のように, 混成軌道に見えるものとなる. しかし係数の $ \DS c_1$, $ \DS c_2$ は, 変分原理に基づいて決まるものなので, きれいな $ \DS sp^n$ 混成 ($ n=1, 2, 3$) に対応する値になることは, よほど分子の対称性がちゃんとしていない限りありえないだろうし, また二つの原子周りの環境が同じで無い限り, 同じ混成になるとはいえないだろう. よって, こんなところで, ゲラーデ・ウンゲラーデの区別をつけようとしても意味が無いし, そもそもできないでしょ. // 多原子分子の分子オービタルは分子の幾何学的な構造・対称性を反映しているので, 点群の既約表現を用いて呼ぶことがあるし, その分子オービタルに電子を配置した状態についても, 点群の既約表現を用いて呼ぶことがある. 詳細は教科書 12 章や参考書を参照

14s3012: 
(9.31) 式で, $ \DS \d{\bm r}_1\d{\bm r}_2$ $ \DS \psi_$MO$ ^* \hat{H} \psi_$MO$ (1,2)$ の前に出ているのは 何か意味があるのですか. M: 著者に聞けばいいのでは? // 積分の書き方には $ \DS \int f(x) \,\d x$ $ \DS \int\!\d x\, f(x)$ の二つの流儀があるでしょ, 知らなかった(?)

14s3013: 
節面には, 全く電子が存在しないと考えて良いのでしょうか. M: 今さらこれですか? // 波動関数の意味を復習して, 確実に身につける必要があるのでは(?)

14s3015: 
結合次数を変化させるために, どのようなことをすればよいのでしょうか. M: 定義式 (9.33) を見て, よく考えればわかるのでは(?) 例題9.5 や参考書も参照.

14s3016: 
d 軌道を持つものだけが, $ \delta$ 結合をつくる可能性があるのですか? M: s 軌道をもつものだけが $ \sigma$ 結合を, p 軌道をもつものだけが $ \pi$ 結合を, それぞれつくる可能性があるのだろうか?

14s3017+: 
$ \DS \Delta E_+$ を実験値に近づける為の補正として電荷の傾り[原文ママ]の他にどのようなものが考えられるのですか. M: 波動関数を, 最も簡単な (9.6) 式のようにとる代わりに, p.364 の中頃の式または (9.35) 式のようにとって波動関数を改善することで, エネルギーが改善されて実験値に近づくことが予想・期待されます. これは電子雲のゆがみ, すなわち電子密度分布の偏りを意味しています. このようにして HF 極限に近づくことができます. それでも残る実験値との差は (8.21) 式のように相関エネルギー CE と定義されていますので, その原因は電子相関ということになります, 当然ですが. // 波動関数 (9.30) 式を展開したものを VB 的に見ると, $ 1s_$A$ (1)1s_$A$ (2)$ のような一方の水素原子に二つの電子が存在している状態をあらわす項が, $ 1s_$A$ (1)1s_$B$ (2)$ のように両方の原子にひとつづつ電子が存在している状態をあらわす項と同じ比率で重ねあわされています. これは化学的な直感に反して明らかに前者を過大評価しています. 言い換えれば, これが電子相関を考慮されていないということです.

14s3018: 
$ \DS p_x$, $ \DS p_y$, $ \DS p_z$ 軌道では $ \DS p_z$ 軌道が一番安定でしたが, これは磁気量子数などの影響もあるのでしょうか? M: どこで安定でしたか? 何の話でしょうか?? 何か誤解があるのでは(?) // $ \sigma$ 結合は $ \pi$ 結合よりも結合エネルギーが大きく, すなわち結合性の $ \sigma$ オービタルは最も安定にはなるが.

14s3020: 
節面の数で結合の名前が変わるとありましたが, 節面によって結合はどう変化するのでしょうか. M: $ \sigma$ 結合と $ \pi$ 結合の違いなど, 有機化学で出てきませんでしたか?

14s3021: 
原子価結合法や分子軌道法は, 波動方程式を解くために条件付け的な役割を担うのですか? M: あなたは ``条件付け'' という言葉に, どのような意味・ニュアンスをこめていますか? // もっとも中立な意味としては, 波動方程式 (二階線形偏微分方程式) を解くときの ``境界条件'' という意味だろうが, VB 法や MO 法はそういうものじゃない. 14s3023 も参照

14s3022: 
エネルギーがスピンに依存しないとありましたが, スピンの向きによってエネルギーは変化するのではないのですか. M: 教科書 (9.3) 式で与えられている水素分子のハミルトニアン (エネルギーに対応する演算子) には, そのようなエネルギーの項 (スピンの向きによって変化するようなエネルギーの項) はありません. // もちろん, (8.55) 式の末尾の項のようにスピン-軌道相互作用の項を考慮したり, 章末問題6.44, 6.45, 6.46 を電子スピン版にするように分子を磁場中に置いたりすれば, スピンの向きによってエネルギーは変化する可能性はあります. しかし, 基底状態の水素分子は一重項シグマ状態 ( $ \DS \Term{1}{\ensuremath{\Sigma}}{}$) であるので, エネルギーは変化しません.

14s3023: 
レポートでつまずいていた所, 勘違いしていた所がわかってとても良かったです. ためになりました. // VB 法は MO法とアプローチが異なるとありましたが, どのようなちがいなのでしょうか. M: 参考書を見てもらうのが最も正確だとは思いますが. 原子価結合 (Valence Bond, VB) 法では, ある原子の原子価オービタルにある電子が別の原子の原子価オービタルにある電子と対を作ることにより, 原子間で結合が形成されると考えます. 分子に対してルイス構造式 (日本の高校化学では点電子式) に直接つながっている考え方ですね. したがって VB 法では, 水素分子の波動関数を $ \DS \psi^$VB$ (1,2) = 1s_$A$ (1)1s_$B$ (2) + 1s_$A$ (2)1s_$B$ (1)$ のように書きます. アトキンス の教科書などがわかりやすいでしょう. // 一方 MO 法は, 分子全体に広がった MO を考えて, そこに電子を配置するため, 水素分子の波動関数は $ \DS \psi^$MO$ (1,2) = \left\vert \phi_\text{b}(1) \phi_\text{b}(2) \right\vert$ となります ( $ \DS \phi_$b は結合性分子オービタルで, スレーター行列式を使用しました). なおこれらでは, スピン部分の関数を省略しています.

14s3024: 
$ d$ 軌道において $ \DS d_{xy}$ $ \DS d_{x^2-y^2}$ などの相互作用はわかるのですが $ \DS d_{z^2}$ のような形の相互作用はどうなるのでしょうか. // またエネルギー準位図について $ \Delta E$ の大きさはどのように求められるのですか. M: 別に, まずは同じようにきちんと図を描いて考えればいいのでは(?) // 別に, 関数はわかっている (例えば表6.6) のだから, $ 1s$ について考えたのと同様にして考えて計算すればいいのでは(?)

14s3025: 
分子のオービタルの形は, 無機化学でもやってみたのですが, 今回の講義での $ S \neq 0$$ S = 0$ とは そのような形をとるかとりえないかというだけでいいのでしょうか? それとも違う意味をいっているのか? M: 今回の講義では, 重なり積分 $ S$ が zero か non-zero かで, 原子オービタル間の相互作用の有無, 即ちここでは分子オービタルを形成するか否かの判定をしました. 重なり積分自体は p.355 でも登場しましたが, 教科書ではその意味までは説明していませんネ. $ \DS$   H$ _2^+$ において平衡核間距離にある 2 個の 1s オービタルでは $ S=0.59$ という非常に大きな値になり, $ n=2$ のオービタルでの代表的な値は 0.2-0.3 程度だそうです. この $ S$ が大きければ, その重なり部分を通してそれだけ原子間で電子を交換しやすいと考えられるのではないでしょうか (やや古典的な描像ですが).

14s3026: 
等核の場合について $ E$ を求めましたが, 異核の場合, 今回のように電子を逆向きにして空間部分だけで計算できるのでしょうか. もっと複雑な計算が必要だと思うのですが… M: ``電子を逆向きにして空間部分だけで計算'' とは, どういうことか? // 異核の場合, 核 A と核 B が異なるので, 同じ量子数をもつ原子オービタルであっても波動関数は異なるので, その面でも計算が複雑になりそうな予感.

14s3027: 
講義では H$ _2$ 分子について分子軌道法を用いて $ \DS R_$e, $ \DS E_$結合 を導きましたが, 方法自体を変えるとより良い値が出るのでしょうか. それとも, 分子軌道法によるものが他の方法より良い値を得られるのでしょうか. M: LCAO-MO 法は, 結局のところ変分法・ハートリー-フォック法に帰着されるので… 14s3017 参照

14s3028: 
重なり積分が 0 である時は分子オービタルを作らないということは 重なり積分が 0 の時, 非結合性軌道となるということですか? M: 教科書 p.379 の図9.18, 9.19 を参照

14s3029: 
$ s$$ p_z$ の相互作用で $ s$ のエネルギー準位が高い時はイオン結合となるということですか. // [非常にでかい の右に小さい
○●
●○
の図] ←結合性, 反結合性は関数なくなる? M: いわゆる共有結合とイオン結合との間に, 明確な境界線を引くことができるだろうか? 結合に関与する原子オービタルのエネルギーの差が大きければ, 結合性軌道はエネルギーの低い側の原子の寄与がより多くなる. すなわち結合に関与する電子の偏りが大きくなる. これは電気陰性度が大きいことを意味しており, また結合の ``イオン性'' が大きいことを意味している. 章末問題9.34 から 9.39 または参考書を参照. // $ s$ がでかくて $ p_z$ を飲み込んでしまえば, 原子間に節面はできないかもしれない. しかし別に $ s$ がでかくても関係ない. 結合性オービタルに比べて, 反結合性のオービタルでは原子間の電子密度が減少していることは確かなのだから.

14s3030: 
$ \DS \psi_+$ $ \DS \psi_-$ とその二乗の核間軸に沿ったプロットを求めることによっては, $ \sigma$$ \pi$$ \delta$ かは決定できないのですか. M: 習った知識や調べた情報を元に, 自分で考えてみればいいのでは(?) 関数は与えられて既知なのだから, 自分でプロットしてみれば良いのでは(?) // 結合軸を含む節面が存在すれば, 結合軸に沿った分子オービタル関数の値のプロットは, 恒等的に zero になる. 従って $ \sigma$ とそれ以外を区別することは可能.

14s3031: 
H$ _2$ の基底状態のエネルギーと結合キョリの実験値と計算値が一致しない理由として, 計算値の方が分子の極限構造を考慮していないと学んだが H$ _2$ の場合, 反結合性軌道に電子が入ることはないので H$ _2$ が理想的な分子軌道をとらない要因として他にどのようなことが考えられるのでしょうか. M: 極限構造については, 私が少し勘違いしていました. スミマセン. むしろ極限構造を過大に含んでいると. 14s3017 参照

14s3032: 
$ \pi$ 結合は $ \sigma$ 結合に比べてオービタルの重なりが小さいため, 結合性オービタルと非結合性オービタル[原文ママ]のエネルギー分裂は $ \sigma$ 結合に比べて小さいですが, $ \delta$ 結合は $ \pi$ 結合よりも重なりはだいたい同じくらいのように思うのですが, やはり小さいのでしょうか. M: 私は知りません. 小さそうな気もしますが, 個別具体的に計算してみないと何とも言えません.

14s3033: 
$ s$ 軌道と $ p$ 軌道のオービタルを重ね合わせたときに [○ と ○● の図] $ \DS s - p_z$, [○ と ●○ の図] $ \DS s + p_z$ と表現されていましたが, この $ \DS p_z$ の符号はどのように決まるのでしょうか. M: 原子の結合軸方向右向きを z 軸の正の方向にとりました. そういう図を黒板にも描いていたつもりですが.

14s3034: 
結合による安定下[原文ママ]$ \pi$ 結合より $ \sigma$ 結合の方が大きいのですが, $ \delta$ 結合は重なりが $ \pi$ より大きいので安定下も大きくなるのですか. M: 14s3032 参照

14s3035: 
軌道を図示することで結合性, 反結合性や結合の種類 ($ \sigma$ 結合, $ \pi$ 結合, $ \delta$ 結合, …) を考察をしましたが, 同じような図示により配位結合の考察はできるのでしょうか. 配位子の混成軌道により複雑になるのでしょうか. M: 別に, やりたければすればいいのでは? 自分でやってみればいいのでは(?) // 考察するのに他人の許可など必要ないし. そもそも出来るかどうかではなくて, どんなことをどのように考察するかが問題なのでは(?)

14s3036: 
重なり積分が $ \DS \left\vert S_{2p_z} \right\vert < \left\vert S_{2p_{x,y}} \right\vert$ となっていましたが, $ s$ 軌道と $ p_z$ 軌道との $ \sigma$ 結合はどのくらいのエネルギーなのでしょうか. M: 何かの勘違いでは? その不等式は誤っているように見える. また結合のエネルギーは, 個別具体的な事例に依存する.

14s3037: 
分子オービタルにおいて $ \DS p_{x,\text{A}} + p_{x,\text{B}}$ などオービタルの広がる方向がちがう場合, +と‐の決め方に決まりはあるのでしょうか. M: ``オービタルの広がる方向がちがう'' とはどういうことか? 例では, 二つの $ p$ オービタルはどちらも同じ $ x$ 方向に広がっているが(?) // 14s3033 参照

14s3038: 
$ s$ 軌道の重なりのときは節面 0, $ p$ 軌道の重なりのときは節面 1, $ d$ 軌道の重なりのときは節面 2, … のような規則性はあるのですか? M: 自分で数えてみれば分かるのでは(?)

14s3039: 
教科書図9.11 の $ \DS \sigma_{g}2p_z$ $ \DS \sigma_{u}2p_z$ の図について, + と + が近づくとしりぞけ合ってそこの間に節面ができそうなのですが, なぜ重なり合うのでしょうか. [図は省略] こうなるのはなぜ? M: 誤解しているから. + や ‐ の符号は, 電荷を表しているのではない. 波動関数の位相を表している. 14s3008 の質問の後半参照 // 結合軸にそって波動関数の値を求めてプロットしてみれば分かるのでは(?)

14s3040: 
H$ _2^+$ や H$ _2$ の結合性オービタルと反結合性オービタルが求められることがわかったが, 同じ方法を使っても, 金属原子や, 配位分子, イオンなどの結合性オービタルと反結合性オービタルは求められるのでしょうか? また非結合性オービタルがある分子の例としてどのような分子が考えられますか? M: 結合性・反結合性オービタルが求められないと考える理由は何か? 金属原子などだと, 本質的に何が違うというのか? // 教科書 p.379 や参考書を見ればいいのでは(?)

14s3041: 
先生は講義で $ \DS \psi = s_$A$ + p_{x,\text{B}}$ を反結合性, $ \DS \psi = s_$A$ - p_{x,\text{B}}$ を結合性とおっしゃっていましたが, $ p_{x,\text{B}}$ の +, ‐ を逆で考えると $ \DS \psi = s_$A$ - p_{x,\text{B}}$ が結合性, $ \DS \psi = s_$A$ + p_{x,\text{B}}$ が反結合性となると思います. これらは区別せず同じものであると考えていいのですか. // また $ \DS \psi_\pm = d_{x^2-y^2,\text{A}} \pm d_{yz,\text{B}}$ を考えてみたのですが, $ S = 0$ であるのか $ S \neq 0$ であるのかわかりませんでした. これは結合性であるのでしょうか. M: 意味不明. ``+, ‐ を逆で考える'' とは, どういうことか? 質問に記載のものは, 一貫して和が反結合性になっていて, 同じものの繰り返しになっています. 同じものなのだから, 区別など出来ないでしょう. こんなことを自分で判断できずに他人に聞かなければいけないのは, 一体全体なぜなのでしょうか?? ちなみに講義では質問で記載のようなことは言っていない. 何かの誤解でしょう. // きちんと図を書いて, 別な方向から見た図も書いて, 落ち着いて考えればいいのでは(?)

14s3042: 
水素 2 分子の結合距離, 結合エネルギーの実測値と計算値の誤差について, 分極等について考慮すれば 計算値を実測値に近づけられるが, 現象として あまり考えられないとおっしゃっていましたが, このような時は 計算値と実測値のどちらに誤差があると考えるべきなのでしょうか. M: 14s3031 参照

14s3043: 
重なり積分が 0 であることと, 反結合性であることは, 同じことなのですか? M: いいえ. 図9.18 を見たり自分で図を書いて, 落ち着いて考えてみればわかるのでは(?)

14s3044: 
現在の講義内容では取り扱っていませんが, NaCl などのイオン結晶を考える際にも $ s$$ p$ の分子オービタルの考え方を用いると思います. その場合はイオン結合している隣の原子同士だけ考えるのでしょうか? それとも離れた原子との分子オービタルも考えるのでしょうか? M: 共有結合とイオン結合との間に, 明確な境界線を引けるだろうか? // 14s3029 の前半も参照. 章末問題10.45 参照

14s3045: 
$ s$ 軌道や $ p$ 軌道の結合性オービタルは理解出きましたが, $ d$ 軌道オービタルにおいて $ d$ 軌道同士での結合, また $ d$ 軌道と $ s$ 軌道や $ p$ 軌道と結合を作ることは可能なのでしょうか? M: 同様に自分でやってみれば分かるのでは?

14s3046: 
図9.13 には Li$ _2$〜F$ _2$ までの分子オービタルの相対的エネルギーの準位が示されていますが, なぜ $ \DS \pi_u2p_x$, $ \DS \pi_u2p_y$ の変化量は他の軌道に比べて小さいのでしょうか. (Li$ _2$ → F$ _2$ の変化) M: 任意尺度で描かれた相対的エネルギーに定量性を求めてもあまり意味がないと思われるのだが…

13s3001: 
違う種類のオービタルどうしの重なり積分が 0 になることは分かりましたが, それならばそもそも p オービタルは上下で符号が違うので打ち消し合って存在できないのではないですか? M: 何と何が, どのように打ち消し合うというのでしょうか?

13s3006: 
エネルギーがスピンに依存しないと考えたのは, スピンのエネルギーに対する影響が無視できるほど小さいので依存しないと近似したということでしょうか. そうだとすると, 実測値との誤差にはスピンを無視したことによるものもわずかに含まれるのでしょうか. M: 14s3022, 14s3017 参照 // ``そうだとすると〜'' 以降, 自分で判断できないのは, 何故か?

13s3023: 
分子軌道法によって求めた H$ _2$ の基底状態のエネルギーの値と実測値との差は, どのようにしたら小さくできるのですか. M: 14s3017 参照

13s3025: 
空軌道とはそもそも何者なのか? 電子が存在しなければ軌道も無いと思う. 電子があるから軌道が生まれるのか? 軌道があるから電子が生まれるのか? M: 軌道は物質でもエネルギーでもないので, 最後の言いようは誤りだとわかる. また一電子の系を考えるから, 基底状態をはじめとする様々な状態が考えられるが, もしも系に粒子がなければ, エネルギーを求めることはできない. その意味では電子があるから軌道 (基底状態では空である軌道も含めて全ての軌道) が生まれると言えるかも. // 箱の中の粒子問題の解の波動関数は無限個あるが, 一粒子の系なので, 一つ以外の残り全ては空軌道ということになる.

12s3024: 
炭素の 3 つの $ p$ 軌道が全て水素の $ s$ 軌道と結合を形成することができるのはなぜですか? M: 自由空間にある原子の $ p$ 軌道は, 三重縮退しており, すなわち互いに等価である. 一つが結合を形成できるならば, 三つとも同じように結合を形成できると考えるのは自然では(?)



rmiya, 2016-01-29