構造物理化学 II (20160113) M: 以下は宮本のコメント
14s3001: 
うまく理解できなかったのですが, (9.2) 式で, 核が動かなくて $ R$ が一定であるのなら, ハミルトン演算子を用いて計算したエネルギーは $ r$ に依存するのではないですか? M: 量子力学を基礎から復習する必要がある(?) エネルギーの求め方は? // ``$ R$ が一定'' の意味を誤解している. 14s3029 参照

14s3003: 
ボルン-オッペンハイマー近似に関して, 電子の運動と核の運動してわけて[原文ママ]考えるのに, (9.3) で $ \DS \frac{e^2}{4 \pi \varepsilon_0}$ が外れているのですか? M: 意味不明. 14s3008 参照

14s3005: 
量子力学によって化学結合を説明 (電子の位置について計算) できるのにもかかわらず, 化学の研究が無くならないのはなぜでしょうか. // そういえば, 電子は波として空間に広がっているのに, クーロンポテンシャルを考える時には, 粒子として計算してよいのはなぜでしょうか. M: 意味不明. ``化学結合を説明'' とその後の括弧内の記述の関係は? ``化学の研究が無くならない'' とは何のこと? // 空間に広がっているから, エネルギーを求める時には電子の座標についてその存在している全空間に渡って積分している. 電磁気学でも点電荷の分布の重心を考えればよい場合もある.

14s3006: 
ボルン-オッペンハイマー近似は非常によい近似であるとありますが, 具体的な数値でいうと, どのくらいの error があるのでしょうか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ // error を考える時の対照は何でしょうか?

14s3007: 
H$ _2^+$ の結合長, 結合エネルギーは実験で求められた値ですか? 計算で求めることはできますか? M: 教科書 p.353 をよく読めばいいのでは(?) // ``化学結合を量子力学で説明できた'' とは, どういう意味だろうか? 国語力が不充分なのだろうか(?) 教科書の少し先も読めばいいのでは(?)

14s3008: 
ボルン-オッペンハイマー近似によるハミルトニアンでクーロンポテンシャルの項で $ \DS \frac{e^2}{4 \pi \varepsilon_0}$ が省略できるのは なぜですか? M: 教科書本文をよく読めばいいのでは(?)

14s3009: 
核の運動エネルギーを無視する近似があるなら, 電子の質量を無視する近似は存在しますか. M: ボルン-オッペンハイマー近似で, 核の運動を考える時に電子についてはどう考えていたか?

14s3010: 
原子間の結合はオービタルの重なりが大きいほど大きくなることは分かりますが, 酸素のような $ \pi$ 結合をもつ二原子分子も $ \sigma$ 結合しかもたない水素などと同じように求られるのですか. 何か違う要因が関係してきますか. M: ``同じように'' が何を指しているか, よく分かりませんが. 重なり積分の重要性について, 結合の $ \sigma$, $ \pi$, $ \delta$ 等によって異なる必然性はないと思われますが(?)

14s3011*: 
BO 近似は, マッカーリの本にはメリットのみがあげられていて便利な近似だとされているが, 核の運動を切り離して考えることによってデメリットはないのか? 精度はある程度悪くなるのでは? M: BO 近似は断熱近似とも呼ばれる. 当然, 核の運動と電子の運動を切り離して考えられない場合には, 断熱近似はあまりよくない近似となる. たとえば化学反応が進行する過程を量子力学的に考える時には, 断熱近似を越えた非断熱過程を考えることになる. // 教科書では量子化学の基礎を学んでいる. 精度の高い手法よりも, 様々に工夫された手法 (原理があらわに分かる手法) により取り扱える現象や系を拡張して, 化学全般に広くに適用されて多くの現象を記述できるようになっていく様子を学んでいる, といった感じかな. だがもちろん先端の研究では精度向上の努力のために理論の高度化が続けられている (基礎なしでいきなり高度な理論を理解するのは困難).

14s3012: 
ボルン-オッペンハイマー近似をする際に, 核の運動に比べて電子の運動は非常に速いことから電子の運動と核の運動を分けて議論しましたが, 運動量のちがいは前提として質量の大きさから考えてよいのでしょうか. M: 講義では, 熱力学の ``エネルギー等分配の法則'' をイメージ的な参考としてあげました. 核と電子の間の引力で (作用反作用の法則により) 大きさが同じ力が働いていると考えた時の, それぞれの加速度がどうなるか, という考え方もあるようです. あとは自分で考えてみればいいのでは(?)

14s3013: 
ボルン-オッペンハイマー近似が, 成り立たない例は, 実際あるのですか. M: 14s3011 のコメント参照

14s3015: 
H$ _2^+$ は対称性があるので厳密に解くことができるとありましたが, どのようにして解くのでしょうか. M: 残念ながら, 私は知りません. 調べて分かったら, ぜひ教えてください. 期待して待っています.

14s3017: 
ボルン-オッペンマイヤー近似[原文ママ]において核間距離を固定し, 核の運動エネルギーの項を無視して全エネルギーを求めているということは, 一般的に全エネルギーに対する運動エネルギーの寄与は小さいということでしょうか. M: いいえ, 全然違います. // 核の位置が固定されている (静止している) という近似の元で, 核の運動エネルギーが zero になるのは, 当然のことです. 分子全体の並進運動, 回転運動や, 分子内の振動運動のエネルギーを無視して (分離して別途考えることにして), ここでは電子のエネルギーを考えているだけです.

14s3018*: 
水素原子は 1s オービタルで形が球状の 1 つですが, リチウム以上だとオービタルの形が 1 つではなく, またさらにオービタルは原点などで対称になります. オービタルに対称性があるということは 量子化学的に どういう意味があるのですか? M: 非常に重要です. 分子の様々な性質に直結します. 教科書のこの先や, 参考書などを読んでみればいいのでは(?)

14s3020: 
今回, LCAO 近似を用いていましたが, 他にどのような近似法が適切なのでしょうか? M: 分子が原子がらできているという化学的な直感に一致するような近似が LCAO 近似といえます. この他の近似が, どうして必要なのでしょうか? // 例えば平面波など, 考えたければいくらでも自由に考えればよいが, それで分子の状態を理解する助けになるか?

14s3021: 
分子オービタルに付随する確率密度について見るとき なぜ $ \DS \psi_\pm$ を規格化しなければならないのですか? M: 今さらな質問でビックリ. 量子力学の基礎を復習する必要がある予感. 教科書 3-4 章や参考書をよく読めばいいのでは(?)

14s3022: 
式 9.7 でなぜ先に分母を計算したのですか? M: それを知ることで, あなたの行動に何の影響があるのか? // どちらを先に計算するかで, 結果が変わるのか?

14s3023: 
ボルン-オッペンハイマー近似を用いる際の手がかりとして, 核と電子の質量を挙げていましたが, これはどのように近似できることと関係しているのですか. M: 講義で散々説明したのに, 伝わっていなくて残念です. BO 近似の内容と, その近似が成り立つ根拠について, 教科書や参考書をよく読めばいいのでは(?)

14s3024: 
H$ _2^+$ においてボルン-オッペンハイマー近似の下ではシュレーディンガー方程式を解くことができるが, その解は扱いにくく, 結合が生じる物理的な背景がわかるわけではないと教科書に書いてあったのですが, これはなぜですか. M: 教科書の文章の通りで, なにが分からないのか? 日本語力の問題か(?) 同類の事項は p.305 の変分計算の時にもあったな.

14s3025: 
ボルン-オッペンハイマー近似から, 「電子の運動と, 核の運動を分離する」とあるが, この方法を用いて結合の何を求めているのか? 結合の長さなのか? それとも結合自体を説明しているのか? M: 今さらな質問でビックリ. ハミルトン演算子はどんな物理量に対応しているか? シュレーディンガー方程式は何を表していて, それを解いて得られるものは何か? 量子力学の基礎を復習する必要があるのでは(?)

14s3026: 
今回 ボルン-オッペンハイマー近似がでてきましたが, 二原子分子で使われる他になにかに使われているのですか? M: 想像力の欠如(?) 電子と核の質量が大きく異なるのは, どのような系の場合か?

14s3027: 
教科書 p.352 の図9.1 について, 核や電子の間の距離の他に, 角度を考慮していないのは何故ですか. M: 別に, 使いたければ使えば良いのでは(?) // 電子や核など粒子間の距離が図のように決まっている場合, 系の状態を記述するのに, 角度という自由度を図9.1 に示されている粒子間の距離にさらに追加する必要があるか? 水素分子の状態を記述するのに必要な自由度はいくつか??

14s3028: 
なぜ, H$ _2^+$ のボルン-オッペンハイマー近似の元でシュレーディンガー方程式を解いて得られる厳密解は扱いにくい形をしているのか. ボルン-オッペンハイマー近似の補正は質量比と比べてもよい近似であるので, きれいな解が得られてもいいと思うのですが. M: 思うのは勝手だが, 現実はそうではない. 近似のよしあしよりも, 方程式の形との方が関係性が深そうな気はするが.

14s3029: 
ボルン-オッペンハイマー近似において核が止まっていて, そのまわりを電子が運動しているという様に, 電子と核を分けて考えましたが, 近似したエネルギーを求める際に, $ R$ がパラメータとなるのはどうしてでしょうか. (核が止まっているとするのならば $ R$ は定数となるのではないでしょうか) M: 電子の運動を考える時には, 核が止まっていると考える. すなわち $ R$ は, ある定数である. この時電子のエネルギー $ E$ はある値に成っている. そして $ R$ が別の値の定数である時には, 電子はまた別のエネルギーをもつ. すなわち $ E$$ R$ の関数.

14s3030: 
H$ ^+$ [原文ママ]のエネルギーを求める際, リッツの変分方に従い, 近似エネルギーを求めるとき, $ \DS \frac{\partial E}{\partial c_1} = 0$, $ \DS \frac{\partial E}{\partial c_2} = 0$ としたのは, 数式で $ \DS c_1, ~c_2$ は定数であるということを示すための方程式なのでしょうか. M: 激しく誤解の予感. リッツの変分法についての復習が必要なのでは(?)

14s3032: 
教科書ではボルン-オッペンハイマー近似は核の運動を無視して考えていますが, 核の運動を無視せず電子の運動を平均的に考える方法はやり方は異なると思うのですが, 同様の近似になるのでしょうか. M: 電子の運動と核の運動を分離するのがポイントです. それを電子側から見た場合と, 核の側から見た場合とでは, 見える景色が違うということです.

14s3033: 
核を止めて考えているのに, 核間キョリを $ R$ とおいてパラメータとしているのはなぜなのでしょうか. M: 14s3029 参照

14s3034: 
なぜ, 他の近似ではなく, ボルン-オッペンハイマー近似を用いるのか. M: 他の近似とは, 例えば具体的に何か?

14s3035: 
「多原子分子におけるある二原子間の結合」を考えられるとありましたが, 多原子分子では他の原子からの力も重要になると思うのですが, どのようなときに「ある二原子間」のみの結合の考察が有効になるのでしょうか. // 水素分子は s 軌道同士による結合でしたが, 拡張して p 軌道などを用いる場合, どのような特徴的な違いが生まれるのでしょうか. M: 講義では, アイソローバルというキーワードを示しました. また, その二原子間の電子密度の増減ということも話しました. // s オービタルには方向性が無いが, p, d 等にはある, と想像できませんか(?) 教科書の少し先とか, 参考書とかを見れば良いのでは(?)

14s3036: 
水素分子イオンは対称性が良いため, 厳密解をえることができるとおっしゃっていましたが, 他にも, 対称性が良いために, 厳密解が得られるものがあるのでしょうか. また, 対称性以外の理由から, 厳密解を得られるものはありますか. M: 私は知りません, 調べて分かったら, 教えてくださいネ // そもそも厳密解を得られないのは何故なのか, きちんと理解しているのかぁ??

14s3037: 
電子運動よりも核の運動の方がはるかにおそいということから核が止まっていて電子がそのまわりを運動しているということは理解できたのですが, 核の運動を考えるとき, 電子密度は考えられても距離は考えられないように思うのですが, どう考えるべきなのでしょうか. M: 何の距離の話でしょうか? 電子密度分布があれば, 微小空間内の負電荷と核とのポテンシャルを考えることができると思いますが(?)

14s3038: 
H$ _2^+$ について, ボルン-オッペンハイマー近似によって核の運動を無視しているのに, なぜシュレーディンガー方程式の厳密解を求めることができるのですか? M: どの方程式の厳密解かという点で, 理解不十分な予感. 日本語力の問題か(?)

14s3039: 
化学結合にもいくつか種類がありますが, 近似エネルギーの大きさから, その分子の化学結合の種類を判断できるのですか. M: 近似エネルギーとは, 何のエネルギーのことか? // 教科書や参考書を読んだり, 自分で既知のデータを調べてまとめて考えてみればいいのでは(?)

14s3040: 
今回の授業でやっと化学の分野がでてきたと思ったのですが, そもそも化学を学んでいて物理の分野が派生していったのかそれとも物理を学んでいて化学の分野が派生していったのかどちらなのでしょうか? 物理化学を学んでいると, 物理から化学ができたと思えるのですが どうなのでしょうか? M: 教科書 p.89 や章末問題3.6, 3.27 のころから, しっかりと化学でしたが(?) // 現在ある学問分野が, 初めからそっくりそのままの形で存在したわけではない. 科学史を勉強すれば良いのでは(?)

14s3041: 
H$ _2$ 分子のハミルトニアン演算子を少しでも簡単に考えるために, 電子と核の運動を分けて考えるとありました. 1 つ目は核の運動は電子の運動よりも遅く, 電子の運動に比べて核は一定の位置にあると考えることができ H$ _2$ 分子のハミルトニアン演算子の核の運動エネルギーを表す項を無視して, H$ _2$ 分子のハミルトニアン演算子を書き表すというものでしたが, もう一方の方法, それは核の運動に対して電子は平均的な電子分布であるとみなす考え方ですが, この考え方ではハミルトニアン演算子はどのように書き表されるのでしょうか. M: 二つの方法があるわけではありません. 14s3032 参照 // イメージとして変数を分離するのですから, 核の運動エネルギーの項, 核間のポテンシャルの項, そして電子密度分布と核とのポテンシャルの項が含まれることでしょう.

14s3042: 
電子と核の運動速度を考えるときに, 電子と核のもつエネルギーが等しいと考えられるのはなぜですか? M: 14s3012 参照

14s3043: 
質量数が違う分子に関するハミルトン演算子は中性子と陽子のクーロンポテンシャルを考えなければいけないのですか? M: 基本に戻って, 丁寧に考えればいいのでは(?) // 中性子のクーロンポテンシャルって, 本気で言ってますか?

14s3044: 
二原子分子のシュレーディンガー方程式に言及した際に, H$ _2$ のハミルトン演算子に触れました. そのとき, 核 2 個, 電子 2 個, それぞれの距離を用いましたが, $ \theta$$ \phi$ といった角度を用いる必要はないのでしょうか? M: 14s3027 参照

13s3006: 
核の運動に対して電子は平均的な電子密度分布であると近似したとき, 電子の運動エネルギーの項は無視できると思うのですが, 原子-電子および電子-電子間の距離はどのように考えるのでしょうか. パラメータとなるのでしょうか. M: ``パラメータにする'' の意味を正しく理解しているのだろうか? 全ハミルトニアンには様々な距離の変数が含まれているが, 何を考える時にそれらの距離をどうあつかうか, きちんと整理して考えてください. 14s3032 参照, 14s3029, 14s3041 参照, 14s3001 参照

13s3023: 
原子核の重なり[原文ママ]は単に核間の距離のことを指しているのでしょうか. M: それを表している式 (どれ?) の意味をよく考えればいいのでは(?)

12s3017: 
ボルン-オッペンハイマー近似について, どのような基準で電子運動, 核の運動について速い, おそい, を決めているのですか? M: ある絶対的な閾値があって, それをほんの少しでも越えると, 速い $ \leftrightarrow$遅い が変わると考えているのか? // BO 近似について, 教科書や参考書をよく読めばいいのでは(?)



rmiya, 20160126