化学の基礎 II(G) (20151214) M: 以下は宮本のコメント
15s3001: 
Chapter 8 のコラムでマイクロ波と電子レンジについて書かれていますが, マイクロ波によって加熱できるのは気体, または液体の水を含むものだけなのでしょうか. M: コラムにも ``電気双極子'' というキーワードが書かれています. 後は自分で調べれば良いのでは(?)

15s3002+: 
$ Q = \Delta U + P \,\Delta V$ の式で, $ Q$ も変化量だと思うのですが, $ \Delta Q$ と表すことはないのでしょうか. M: $ Q$, $ \Delta U$ などが変化量です. $ \Delta Q$ と書いたら変化量の変化した分という意味になってしまいます. なお $ U$ は変化量ではなく系の状態量です.

15s3003: 
$ \Delta U = Q + W$ という式は, 系が理想気体でも実在気体でも使えるのですか. M: その式が使える系に, 何か制限はありましたか?

15s3004: 
実在気体において, 断熱系はおこりうるのか. M: (起こると or 起こらないと) 何がどうだというのか? // 実在気体かどうかは気体分子間の相互作用をどう考えるかであり, 断熱系かどうかは系と外界との間で熱や仕事の出入りがあるかどうかであり, 全く異なる話です.

15s3005: 
図8.5 の ($ \DS T_2$, $ \DS H(T_2)$) で急に傾きが変化するのはなぜか. M: ``急に'' 変化するかどうかは主観でしょう. で, 変化したりしなかったりで, 本文中の記述に何か違いはありますか?

15s3006+: 
状態量における「量」とは具体的に何を指しているのか. M: 別に. ``物理量'' といっても具体的に何かを指しているわけではない. // 物理量には, その時点の変数の値だけで決まり, それらの過去の履歴なのに依存しない量と, そうでなくて経路に依存する量とがある. 前者が状態量で, たとえば内部エネルギーやエンタルピー, 後者の例が系に加えられた仕事.

15s3007: 
p.103 の NH$ _3$(g) + HCl(g) $ \rightleftarrows$ NH$ _4$Cl(s) の (s) は何ですか? M: ``(g), (l) はそれぞれ 気体, 液体 を表す'' の記述から想像できませんか? ``塩化アンモニウム(固体)'' の記述から想像できませんか?

15s3008: 
気体の圧力と一気に変化させた時とゆっくり変化させた時の中間の式はないのですか. M: 講義では, 一気に終状態の圧力にした場合とゆっくり平衡を維持したまま変化させた場合のほかに, 二段階で変化させた場合を紹介しました. 後はいくらでも, 三段階変化, 四段階変化, ...... を考えればいいのでは(?)

15s3009: 
教科書 p.97 に特殊相対論について書いてありました. 厳密には特殊相対論が熱力学第一法則にどのように作用するのですか? M: 傍注の説明の, 何が理解できないのか? 特殊相対論の初歩を勉強すれば良いのでは(?)

15s3010: 
エンタルピーの定義の起点は一体なんなのでしょうか. M: エンタルピーの導入の仕方は色々あるでしょう. 複数の参考書を読み比べれば良いのでは(?)

15s3011: 
エンタルピーを $ H = U + PV$ と定義すると と出てきたのは どうしてですか? M: そう定義したから. 15s3010 参照

15s3012: 
熱とエネルギーを同じ意味として考えることができるのは なぜか. M: 理由も何も, 考えるだけならいくらでも自由にできるでしょ. で, この分野ではそういう言葉遣いをしているから, 郷に入っては郷に従う.

15s3013: 
「圧力一定の条件で起こる状態変化で系へ移動した熱 $ Q$ を論じるときは $ \Delta U$ でなく $ \Delta H$ を用いなければならない.」とありますが, $ \Delta H$ でなければならなk理由は何ですか. M: 教科書に書いてあるとおり, 当該条件下では $ Q \neq \Delta U$ であり $ Q = \Delta H$ だから.

15s3014: 
熱容量に圧力が関係しているというのがイメージできないのですが 何か例がないでしょうか. M: そういうものって, 複数の参考書を読み比べたり, 自分で考えて理解する努力をするべきでは(?) // ``熱容量に圧力が関係している'' と言うと, 熱容量が圧力の関数になっているというイメージがわく. ここで述べていることとは異なるが.

15s3015: 
熱を全て仕事に変換することができないといっていましたが現時点でどのくらいの仕事まで変換することができるんでしょうか? M: 講義で述べた数値は, あいまいな記憶に基づく概数です. 正確な数値を知りたければ, 個別に調べればいいのでは(?)

15s3016: 
エンタルピーの測定が容易なものと困難なもの違いは何ですか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ

15s3017: 
自由膨張で理想気体では $ \DS C_P - C_V$ が成立するが, 実在気体では気体の種類によって $ \DS C_P - C_V$ の値が異なるのは, 気体が原子や分子から構成されているのとどのような関係があるのですか. M: ``自由膨張で理想気体では $ \DS C_P - C_V$ が成立する'' が意味不明. // (5.13) は常に成立するわけではない.

15s3018: 
物質 1 g の熱容量, つまり比熱は物質によって異なるが, その違いを生み出しているのはどのような要因なのでしょうか. M: (8.8), (8.9), (8.10) 等が成り立つのは, どのような場合か?

15s3019: 
電気エネルギーを 100 % 運動エネルギーに変換することは可能ですか? M: ちょっと考えてみれば自明では(?)

15s3020: 
エンタルピー変化はどのような場面で使われますか. M: 教科書 8.3 節の化学反応とエンタルピー や参考書をよく読めばいいのでは(?)

15s3021: 
宇宙規模で考えたとき, 孤立系は存在しないと思ったのですが, ミクロな世界では孤立系はどのように存在するのですか. M: 違います. 宇宙規模で考えれば, 全宇宙が孤立系であると考えられます.

15s3022: 
熱を分子がする仕事として扱わないのは なぜですか. M: 熱力学は, 物質を構成している分子自身やその内部構造を想定していません. 系の構造に深入りせずに, 出入りする熱や仕事だけを考えています.

15s3023: 
孤立系は, どういう実験の時に用いられるのですか? M: 外から何も関与できない系は, 現実的には興味深い系とは思えません. 理論的な考察の対象や基準としては興味がもたれますが.

15s3024: 
完全な孤立系は現実に存在するのでしょうか? M: 完全な閉鎖系, 完全な断熱系など, 理想化された系は現実には存在しないようにも思われますが, 孤立系については...... 15s3021 参照

15s3025+: 
孤立系, 開放系, 閉鎖系の仕事の出入りについて ( ) で示されていましたが, それはなぜですか? M: これらの定義に, 仕事は関与していないから.

15s3026: 
ジュールの実験で気体が理想的なふるまいをしたので (8.13) 式を求められたが, 理想的なふるまいではないと どうなっていたのですか. M: 理想からの外れ方にも色々ある ( $ \Delta T \neq 0$, $ Q \neq 0$, $ P \neq 0$, ...) と思うので, 自分であれこれ考えてみればいいのでは(?)

15s3027: 
氷の結晶は, マイクロ波で加熱されないそうですが, 食塩が少量混じった氷の場合でも, 電気双極子が回転できるほど水素結合が弱まらない限り, マイクロ波で加熱することはできないのでしょうか. M: 誤解というか無理解の山の予感. ``電気双極子が回転する'' とは, 具体的に何がどうなることに相当すると理解しているのでしょうか? そのときに結晶作っている分子どうしの結合は, どうなっているのでしょうか? また食塩が少量混じった氷についても, 普通は氷 (の結晶(!)) とはどんなものなのでしょうか?

15s3028: 
エントロピーとエンタルピーが似ていますが, 簡単に覚えたいです. どんな方法がありますか? M: 理解するには, あるていどの努力が必要です. 学問に王道なし, です. 簡単に覚えられたものは簡単に忘れてしまうでしょう.

15s3029: 
特殊相対論によるとエネルギーと質量は等価なので, 厳密には質量とエネルギーの相互変換は起こりうるとありますが, 一般相対論でも成り立つのですか. M: ``特殊'' や ``一般'' と修飾されている意味を考えればいいのでは(?)

15s3030: 
まさつ等を考えた上でシリンダーの実験は計算上の仕事になるのか. M: ``実験が〜仕事になる'' とか, ``計算上の仕事'' とか, 意味不明

15s3031: 
エネルギーの変換には変換のしやすさはあるのか. 分子や原子の無秩序の運動のエネルギーと秩序が正しい運動のエネルギーがなぜ相互に変換できる関係になるのか. M: 例えば膨張する気体がピストンを押せば, 無秩序な分子運動から一方向のピストンの運動が発生するということは, 想像や理解の範囲を超えているのですか?

15s3032: 
等温変化で, 圧力を限りなくゆっくり変化させると, 体積変化もゆっくりとなり仕事が最小になるが, 反応に無限大の時間がかかってしまうのではないだろうか. M: 当然ですね. それがどうかしましたか?

15s3033: 
ジュールの実験で仕事から熱への変換を測定した際に, その変換効率が 100 % であるといえたのはなぜですか. M: 水槽の温度変化は厳密にはおもりの位置エネルギーに対応していないと思われるが, しかし位置エネルギーが 100 % の効率で熱に変換された事は今では事実だとわかっているでしょ :-) (仮に位置エネルギーをロスして...... 14s3034 参照)

15s3034: 
$ \DS C_P - C_V = \left( \frac{\partial U}{\partial T} \right)_P + n R - C_V = n R$ の式は理想気体でのみ成立するとあるのですが なぜですか. M: その式は間違っていませんか? // 利用する式のそれぞれについて, どういった限定条件が付いているのか, よくよく考えてみればいいのでは(?)

15s3035: 
ヘスの法則は, 実在気体, 理想気体のどちらにおいても利用することができますか. M: ヘスの法則が成り立つ理由を考えれば, どの場合に使えるかは自明では(?)

15s3036: 
ピストンのような装置を用いて, 気体の圧力を圧縮させることさえ出来れば, 温度はどこまでも上げることができますか. M: 実在気体の話ですか? 実在のピストンの話ですか??

15s3037: 
完全な孤立系は存在するのですか. また, どのような場合に用いられるのですか. M: 15s3023, 15s3024 参照

15s3038+: 
外圧を「ゆっくり」増加させる場合であっても時間は考えていませんが, 時間をさらに式に組み込んで式をつくることは可能でしょうか? M: そりゃ可能でしょうね. ただし熱力学では平衡状態間の状態変化を扱いますので, 通常では時間を問題にしませんけど.

15s3039: 
例で挙げられたシリンダーと滑らかに動くピストンの間に閉じ込められた理想気体の求め方で, $ \DS W_1$ を求める時, 外の圧力をまず $ \DS 2 P_0$ にしたのは なぜですか. M: 別に. そのような経路をとった状態変化を考えただけ.

15s3042: 
エンタルピーは反応の経路に依らないのは なぜですか. M: 状態量だから. 15s3006 も参照

15s3043: 
物質のやりとりがなく, 仕事も変化しないが熱だけやりとりがある系はありますか. M: 別に. 必要ならば考えればいいんじゃないの(?) てゆーか, 定容熱容量を何だと思っているのか?

15s3044: 
理想気体を閉じこめ, ピストンで押したときの仕事と, 実際に実験してやったときの仕事の量の値は どんな期待でも誤差は同じくらいになるのですか. M: 誤差の生じる原因を, 色々と考えてみればいいのでは(?)

15s3045: 
開放系を考えたときに, どの範囲まで考えたらいいのですか? すべてのエネルギーの出入りを考えるとしたら, 宇宙規模になってしまいきりがないのでしょうか? M: 何を想定しているのか意味不明. 考えている系と外界との界面を通してエネルギーが出入りするので, その地点で補足すれば, 宇宙のかなたまでエネルギーを測定しに行く必要は無いと思うのだが?

15s3046: 
エンタルピーとエントロピーの違いがよく分かりません. M: そうですか. ところで, 提出物が要件を満足していません. // 暗記しようとすると ``au'' と ``oo'' というわずかな違いしか見出せなくて混乱するでしょう :-p しかし内容を理解すれば, 全く別物だと分かるはずです.

15s3048: 
定圧でないときのエンタルピー変化はどうなるのか. M: 別に. 定義に戻ってちゃんと考えればいいだけでしょ. 始状態と終状態を i, f の添え字で表すとすれば, $ \DS \Delta H = H_f - H_i = (U + PV)_f - (U + PV)_i = U_f - U_i + (PV)_f - (PV)_i = \cdots$

14s3008: 
エントロピーは乱雑さというイメージがありますが, エンタルピーはどうイメージしたらいいのでしょうか? M: そういうものって, 複数の参考書を読み比べたり, 自分で考えて理解する努力をするべきでは(?) // (8.5) などはイメージしやすいのでは(?)

14s3015: 
宇宙の膨張速度は減速したり, 加速したりしているようですが, 宇宙を孤立系とすると, 膨張させるエネルギーはビッグバン時のものしかないと思うのですが, なぜ原則していたのが加速するのでしょうか. 宇宙は孤立系としてもよいのでしょうか. M: 勘違いでは(?) 宇宙論の入門書などを読めばいいのでは(?)

14s3021: 
熱エネルギーを 100 % 変換する第二種永久機関は実現不可能なのでしょうか? M: ``第二種永久機関'' という言葉を知っているにしては, 困った質問ですね. 熱力学の第二法則を勉強すれば良いのでは(?)

14s3030: 
カルノーサイクルと, 教科書 p.97 の 3 行目の「仕事は熱に 100 % の効率で変換される」 というのは, あまり関係のないことなのでしょうか. M: それぞれをちゃんと勉強して理解すれば分かるのでは(?)

14s3034: 
仕事から熱への変換は 100 % とありましたが, なぜロスが生じないのでしょうか. M: 仮にロスしたとして, それ (仕事(?)) はどこへ行ってしまうのでしょうか? まじめに考えてみればいいのでは(?)

14s3040: 
仕事は状態量ではないのにエンタルピーは状態量となるのはなぜですか? M: 仕事とエンタルピーは, それぞれにそういうものだというだけ. 一方が状態量である/ないことが, 他方もそうである/ないと予想させる根拠にならないので, 対比する意味が無い.

12s3017: 
エネルギー変換について, A $ \rightarrow$ B に変換しようとするとき, 100 % で進行するということはありえますか? A $ \rightarrow$ B の過程で, どれだけ効率が良くても, C や D といった他のエネルギーに少なからず変換されていると思います. M: あなたが思うのは勝手だが, 事実 (自然の法則) は, 教科書に記載の通りです.

12s3024*: 
断熱系であれば, 熱 $ \rightarrow$ 仕事 のエネルギー効率は, 100 % に近い値になりますか? M: 熱力学の第二法則によれば, 熱機関を運転して熱を仕事に変換する時に, 必ず高温の熱源と低温の熱源が必要であり, そして熱の一部を (低温の熱源に) 捨てなければいけない. 従って, 系と外界との間で熱の出入りが必要であり, 断熱系としての熱機関はありえない.



rmiya, 20160126