構造物理化学 II (20151202) M: 以下は宮本のコメント
14s3001: 
ヘリウム原子のハミルトン演算子の運動エネルギーの講を $ \DS -\frac{\hbar^2}{2 m_\text{e}}\left( {\bm \nabla}_1^2 + {\bm \nabla}_2^2 \right)$ とおきましたが, これは電子数が等しい水素分子にも当てはまりますか? M: 自分で判断できないのは, 何故でしょうか? 教科書 9 章や参考書を読めばいいのでは(?)

14s3002: 
摂動論, 変分法ともにヘリウム原子について良い結果を与えるのは なぜなのでしょうか. 他の原子でより良い結果を出せるものはないのでしょうか? M: He 原子について良い結果を得ることはできないと予想していたという意味か? その根拠は何か?? // あるかもしれないが, それで?

14s3003$ -$
今回の講義で, 結合エネルギーという全く概念の違うエネルギーを誤差を考える際の判断の根拠にしてよかったのですか? M: 正気ですか? 結合エネルギーを全く概念の違うエネルギーと考えるとは, 驚きです. // 運動エネルギーとポテンシャルエネルギーという見かけがまったく違うものでも, その本質はエネルギーという点で共通の視点を持つことができるという, 物理学の概念の統合の精神を全く持ち合わせていないのでしょうか? [裏面は別件とみなして省略]

14s3005: 
結合 1 本分に相当するほど大きなズレが生じるのにも関わらず, 摂動法・変分法が教科書に出てくるほどメジャーな近似法なのは なぜでしょうか. もっと良い近似法はありますか. ズレの値に規則性はあるでしょうか. M: 概念として重要だからでしょ. それにテキトーにやっても全エネルギーとしては 5 % error だし, 近似を改良する手段はあるのだから. // 摂動ハミルトニアンの選び方や試行関数の選び方にルールは無いのに, そんな前提条件に大きな任意性があるのに, 結果の全エネルギーに対するエラーに規則性が期待できるのだろうか(?)

14s3006: 
摂動法でいい近似解を得るためにはパラメータの数を増やせばいいとありますが, その数は有限ですか. M: 誤解の予感. // 無限個のパラメータを, どうやって求めるのか? もしも解 (全エネルギー) 無限級数で表現できたら, それは厳密解という意味ですネ :-)

14s3007: 
高次の摂動論では誤差は少なくなりますが, 変分法では実験値との差を, より小さくすることはできますか? M: 教科書 p.266 や参考書をよく読めばいいのでは(?)

14s3008+: 
真の値というのは, 現実的にはどうやって求めているのですか? また, 近似を使わずとも真の値がわかるのなら, 近似値を求める意味とはなんなのですか? M: 想像力の欠如(?) // 量子化学の入門段階を学んでいると, 取り上げられる系は簡単なものであり, 厳密解がわかっていたり精度良い実験値があるものだったりする. しかし実際にはそんな系ばかりが量子化学の対象になるわけではない. 厳密解や精度良い実験値が無いだけでなく, そもそも合成・単離されていない化合物 (精度の悪い実験値さえも無い系) についても, 量子化学の理論で物性値を求めることができる.

14s3009: 
多電子原子のハミルトニアンの電子間ポテンシャルだけ正なのはなぜですか. ハミルトニアンの項が原子モデルに対応していると考えると なにか意味があるのではないかと思いました. M: このレベルは深刻ですね. 物理学の基礎を復習する必要がある(?)

14s3010: 
ハートリー・フォック法で 1 次の計算と 13 次の計算で 値として $ \DS 10^2$ 程度の精度の改良しかみられないとおっしゃっていたのですが, 水素原子の計算では 1 次と 13 次の計算で値の制度の改良としてハートリー・フォック法よりもかなり大きいのでしょうか. そうだとしたら, あまり改良が見られない原因はなんなのでしょうか. M: トンでもない勘違いの予感. ツッコミ所を何ヶ所発見できるか試されている気分 :-p

14s3011*: 
ハートリーフォック近似において得られる $ \DS E_$HF が最良の近似ではあるが, その前の, $ \DS r_{12}$ を取り入れ, オービタルの概念を放棄した式が何故最良に近い値を導けるのか. M:  $ \DS r_{12}$ をあらわに変数として取り入れると, 比較的簡単な試行関数であっても良い近似値が得られることは, 驚嘆に値します. これは電子間の反発のポテンシャルが非常に重要であるかということを示唆しています.

14s3012+: 
ハートリー・フォック法で, 独立粒子近似等を導入することによって, 1 電子についての方程式に書きなおすことができるとありましたが, 2 つ以上の電子が同じ空間に存在するように近似することでどうして 1 電子の場合にすることができるのか, よくわかりませんでした. あらゆる位置の電子を平均して 1 つにすると, 位置に対して誤差は生じないのですか. また, この場合で近似するとオービタルの概念はどのように維持されるのですか. M: 独立粒子近似の内容を完璧に誤解している予感. 独立粒子近似は, $ n$ 電子系を, 注目する 1 電子とその他の $ n-1$ 個の電子に分けて考える. そしてその 1 電子は, 他の $ n-1$ 個の電子が個別具体的にどこに存在しているかに依存せずに運動すると考える. そしてその 1 電子の運動状態としてオービタルを考える. といった感じ.

14s3013: 
スレーターオービタルの動径部分はなぜ節をもたないのか. M:  $ \DS r^{n-1}$ という関数は, 原点以外にゼロ点が無いのは自明では(?)

14s3015: 
つじつまの合う場の方法について具体的には何につじつまを合わせているのですか. M: 教科書 8 章や参考書を読めばいいのでは(?)

14s3017: 
ハートリー・フォック方程式のつじつまの合う場の方法とは どのようなものですか. M: 14s3015 参照

14s3018: 
スレーター行列式から得られる波動関数は どのような性質なのですか? M: 教科書 8 章や参考書を読めばいいのでは(?)

14s3020: 
今回 5 % エラーでも良い近似と言えませんでした. まだ近似について, 良い近似, 悪い近似の違いがよく分からないです. M: あなたは何をしたいのか? 系の全エネルギーを求めたいのか, それとも二つの系のエネルギー差 (例えば生成系と反応系の差 (反応熱)) を知りたいのか, それとも......? そのときに必要な精度はどのくらいか?

14s3021: 
He 原子について摂動法と変分法でエネルギーを求めるとき 両者の実験値にずれが生じていたのは なぜですか? M: 板書に誤りがあったのでしょうか? なぜその場で指摘しないのか?

14s3022: 
今回ヘリウムについて近似解を出しましたが, $ Z$ の値が大きくなるとずれも大きくなるのですか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ

14s3023: 
無機化学で「スレーターの規則」というものを学びました. これはスレーター行列式と何か関係はありますか. M: 同じ ``スレーター'' が関係している :-p しかしどうせなら, スレーターオービタルの方を持ち出せばいいのに. ピンボケでしたね, 残念.

14s3024+: 
教科書には原子単位の利用の特徴は, 得られたエネルギーが物理定数の値に依存しないとありますが, これはなぜですか. 物理定数が更新されるとエネルギーがかわってしまうのではないですか. M:  $ ($物理量$ ) = ($数値$ ) \times ($単位$ )$ です(!) 水素原子の電子のエネルギーは $ \DS E_$H$ = -0.5 \frac{m_\text{e} e^4}{16 \pi^2 \varepsilon_0^2 \hbar^2} = -0.5 E_h$ ですから, 物理定数の値が更新されれば $ \DS E_$H は変わり, (SI 単位系で) ジュールを単位としたエネルギーの値も変わります. しかし原子単位系で $ -0.5$ という値については変更ありません. 物理定数の更新の影響は, $ \DS E_h$ の変更に押し込められています.

14s3025: 
第 6 章で導出した式を用いて He 原子の計算をしているが, 計算を簡単にするために原子単位をつかっているのはなぜか? なぜ原子単位=ハートリーというのか? ハートリーがみつけたのか?? M: 第 6 章で導出した式とは何のことか? // 計算 (ていうかそもそもの方程式, ハミルトニアン) が簡単になるから, と自分でも言っているのにネ // 命名した人に聞けばいいのでは :-p

14s3026: 
サイエンスにおいては同じような手法で求めたいということでした. ハートリーフォック法で多電子電子[原文ママ]を求めるということですたが どんなものでも求められますか. 例外はないのですか. M: 勉強してみれば分かるのでは(?) // 例外があったらダメなのか(?)

14s3027: 
相関エネルギー $ \DS$   CE$ = E_$exact$ - E_$HF で $ \DS E_$exact があるということは, あらかじめ実験等によって $ E$ を求めておく必要がある, ということですか. M: 全然違います. それでは量子化学の理論でエネルギーを求める意味が無い. この式は相関エネルギーの定義で, HF 法で求めきれない分のことを相関エネルギーと定義しています. 14s3008 も参照

14s3028: 
前回の宿題で求めた波動関数が正負どちらも求まりましたが, それはスピン量子数が正負あることと関係ありますか? M: 全然違います. 講義での説明を全く理解していないようで残念. 固有値方程式の基礎を全然理解していないのか, もしかして数学的な論理が分からないのか(?)

14s3029: 
独立粒子近似の考え方が勉強不足であまり理解できませんでした. これはオービタルの概念を維持できているのでしょうか. M: オービタルの概念は, 波動関数の形に表れています. 独立粒子近似は, 方程式の解き方の問題であって, 別の話. // 何が不足しているか自覚があるなら, あとは実行するだけ. // 14s3012 参照

14s3032: 
独立粒子近似では電子がもし重なっていた場合でも考えられるようですが, そのときの近似は何を表すのでしょうか. M: 勘違いの予感. 二つの電子が同一の空間を占有している状態をことさらに取り上げて, その状態の何かを求めるわけではありません. 14s3012 参照

14s3033: 
ハートリー・フォック法は式 (8.15) を用いて得られる最良の結果であると教科書にあるが, これよりも良い近似を得る方法はあるのでしょうか. M: 既に質問で答えを言ってますけど(笑) 教科書の続きをよく読めがいいのでは(?)

14s3034: 
スレーターオービタルの動径部分は節をもたないとあったのですが なぜそれで近似ができるのでしょうか. M: 別に. 近似なので何を使ってもいいのでは? // 例えば水素原子の波動関数と比べてみれば, $ l = n - 1$ の場合には完全に一致しているし, それ以外の場合でも核から遠い領域での振舞いは一致している. 多電子原子のオービタルは水素型原子のオービタルと完全には一致しないはずだが, 遠距離では漸近すると考えてもいいでしょう.

14s3035: 
「イオン化エネルギーの面から見ると」のところで, IE$ _1$ と IE$ _2$ の値と実験値 IE との誤差が大きかったですが, 実験値の IE の中には実験環境などによって生じる余分にかかるエネルギーも含まれているのでしょうか. それによっても誤差が大きくなっているのでしょうか. M: 科学者たちが, どれだけ苦労して結果を積み上げてきたのか, 少しは想像力を働かせてもいいのでは(?)

14s3036: 
変分法, 摂動法から求めた IE の値のエラーとしてとても大きくなっているということは, 第 7 章で求めた他のものも IE の面からみるとエラーが大きくなっているのでしょうか? M: 本気ですか? 箱の中の粒子や調和振動子の IE とは, 一体なんでしょうか?

14s3037: 
ヘリウム原子の基底状態のエネルギーについて, 13 次の摂動論の値が紹介されていましたが, 14 次であればより実験値に近くなるのでしょうか. M: 私は知りません. 自分でやってみるか, 計算した人に聞けばいいのでは(?) で, 近かったらどうだというのか?

14s3038: 
原子単位でハミルトン演算子を表したときに得られるエネルギーが物理定数の値に依存しないのは, どうしてですか. M: 数式に登場しないものに依存するはずがない. 14s3024 参照

14s3039: 
多電子原子についてのシュレーディンガー方程式の解き方が今回は 3 つ紹介されていましたが, どの多電子原子のシュレーディンガー方程式でも, 3 つの解き方すべてで解けるのでしょうか. それとも, 解けない解き方があるからこそ 3 つの説き方があるのでしょうか. また, 3 つの方法の使い分けは何が基準となるのですか. M: 講義では He を例にあげましたが, 他の原子は He と何が違うか? それによって解き方とやらの適用可能不可能が変わるか? // あいかわらず使い分けの基準を他人に求めるのだね. 講義で何度言っても理解できないのは, 非常に残念.

14s3040: 
スレーターオービタルでといたエネルギーでは, イオン化エネルギーを今まで近似してきたように細かく近似できないことだったのですが イオン化エネルギーだけに注目するとスレーターオービタルよりもより細かく近似できる方法はないのですか? M: 意味不明. 教科書 7 章や 8 章をよく読めばいいのでは(?)

14s3041: 
ハートリーフォック法をつじつまのあう場の方法でとくとおっしゃっていましたが, つじつまのあう場の方法とは どのような方法ですか. M: 14s3015 参照

14s3042: 
ハートリー・フォック法では相関エネルギーを求められないことがわかっているのに, なぜ主流なのですか? 具体的に, どの点が優れていて主流になっているのでしょうか? M: 完璧なもの以外には存在意義を認めない主義ですか? // HF だけでも分子の安定構造やイオン化エネルギーなどについて, かなり正確に求められる. 11 章や参考書を参照. さらに, 相関エネルギーが HF エネルギーを用いて定義されているので, HF 法が全てのより高度な計算の出発点になっている.

14s3043: 
変分法と 1 次の摂動論で求めたヘリウム原子の基底状態エネルギーは大体一致していましたが, イオン化エネルギーを考えると, 2 つの方法で求めた値が大きくずれてました. この原因はどこにあるのですか? M: 変分法と摂動論のそれぞれで, どうであれば早く良い近似が得られるか?

14s3044: 
原子単位を使って計算したエネルギーは技術の進歩によって更新された物理定数の値に影響されないということですが, 要するに, $ \DS E_h$ という単位の中に影響される部分をまとめてしまったという考えでしょうか? M: 自分で考えて分からないのは, 何故か?

14s3045: 
ハートリー・フォック方程式はつじつまの合う場の方法で解くとかいてあったが, 「つじつまの合う」とは ここではどういうことなのでしょうか? 実験値と厳密解 (理論値) が一致するということでしょうか? M: 14s3015 参照 // 厳密解と理論値は同じものではない (今更これか orz).

13s3001: 
$ \DS E_h^{(1)}$ は実験値と比べて約 5 % error でしたが, $ \DS$   IE$ ^{(1)}$ は実験値と比べると約 17 % error となりました. ここまで誤差が大きくなるのは なぜですか? M: 何と比べて 何% error と言っているのか, よく考えればいいのでは? どちらもエラーの絶対値は同じです.

13s3006: 
オービタルの概念を維持した波動関数と維持していない波動関数の違いとはどのようなものなのでしょうか. オービタルの積で表されているものが維持しているもので, 電子間距離を含むものは維持していないのでしょうか. M: 一つの例は, 教科書に載っています. 自分で判断できないのは, 何故か? // オービタルの概念を維持 (オービタル近似) とは, 各々の電子が ``自分の'' オービタルを占めていると考える. $ \DS r_{12}$ を含む波動関数は 1 個の電子の情報だけでは定まらない.

13s3023: 
摂動論や変分法以外でもハートリーフォック法に適用できるものはあるのか. M: 意味不明

13s3025: 
エネルギーの実験値はどうやって測定するのか? M: XPS あたりが定番か(?)

12s3017+: 
実験値と計算値では, 基本的にどちらの方が信用できる値なのですか? どちらも ある意味, 正しい値といえますか? M: H$ _2$ 分子の解離エネルギーに関する計算と実験の歴史が参考になる. 私は又聞きだが, 「化学における精密測定」 化学総説 10, 日本化学会編 に載っているらしい.



rmiya, 2015-12-07