構造物理化学 II (20151125) M: 以下は宮本のコメント
14s3001: 
解けない式に近づけるために解ける式に補正項を加えて近似させていましたが, この補正項はどのように決めているのですか? 解けない式に近似させていくのが少し不思議でした. M: 事実関係に誤認がある予感. ``解けない式に近づける'' のではなく ``解けない方程式の解に近づける'' だし, ``解ける式に補正項を加える'' のではなくて ``解ける式の解に補正項を加える'' です. 補正項は, 1 次の補正エネルギーについては (7.47) 式だし, 1 次の補正波動関数や 2 次の補正エネルギーについては, 講義で板書して示した. また詳細については参考書を参照するようにも述べた.

14s3002: 
ハミルトン演算子を変形して, 摂動論で用いた非摂動ハミルトニアン演算子は どのような物理的意味をもっているのですか. M: 摂動論の根本的な原理を全く理解していない予感. 教科書などをじっくり読んで復習する必要がある(?)

14s3003: 
摂動法を用いた時, わかっていない系の近似について, 良い近似なのか, そうではないかとの判断の根拠はどこにありますか? M: 実測値と比較. または他の計算結果と比較して妥当性を吟味する. またあるいは高次の項まで求めて計算結果が収束する様子を見るとか, かな. // 価値判断に絶対的な正解はないので, 自分で考えて判断すれば良いのでは(?) // 最も多いのは ``○次の摂動まで求めた結果は△△だった.'' と主張する. もちろんそれで十分かと指摘されるだろうが.

14s3005: 
近似値を求める時に, 変分法を使うか摂動法を使うかは, どんな基準で決定しますか. 好きな方を使えば良いのでしょうか. それぞれの方法に長所・短所はありますか. M: 当然, 長所・短所はあるでしょう. 価値判断に絶対的な正解はないので, 自分で考えて判断すれば良いのでは(?) または, あなたが何を知りたいのかによって, 適切な方法を選べばいいのでは(?)

14s3006: 
摂動がないとは どのような状態のことをいうのでしょうか. M: 14s3002 参照

14s3007: 
摂動論の部分で, 教科書では 1 次の補正までしかやっていませんが, 実際に補正する際には何時の補正までするのが良いとされるのですか? M: 14s3003 参照

14s3008+: 
2 つ目の解 $ E$ は励起状態のエネルギーだというのはわかりましたが, なぜ粗い値になってしまうのですか? M: 一般に, エネルギーの高い状態の方が波動関数に節が多く, その形状は, いわば起伏に富んでいると考えられます. これをべき級数の多項式で近似するとなると, より高次の項まで必要になる. 逆に同じ次数までで近似しようとすると, 起伏が少ない低エネルギーの側の波動関数の方が, 近似の程度が良くなると期待されますネ.

14s3009: 
摂動法では条件で補正項が相対的に既知の系の項に比べて小さいことが条件でしたが, もし仮に相対的に大きい場合を考えたときは高次の補正エネルギーを考えれば未知の系に値は近づくのですか. M: そうなると期待できると, 講義中にも説明したのだが, 伝わっていなくて残念. // ただし, 摂動項が大きければ, それはもう摂動ではないという言語矛盾 (笑).

14s3010: 
摂動論では既知の値を利用すると言っていたのですが, もし 2 次の補正で $ \DS E_2$ を求める場合, 1 次の補正で求めた $ \DS \psi^{(1)}$ $ \DS \psi^{(1)*}$ の値を利用するということでいいのでしょうか. それとも, $ \DS \psi^{(0)}$ $ \DS \psi^{(0)*}$ の値を利用してもいいのでしょうか. M: 結論だけをいきなり書いたので, 板書に誤りがあったということでしょうか(?) 参考書などで確認してください.

14s3011: 
今回の課題で, $ \DS c_1^2$ から $ \DS c_1$ を求める際, $ \pm$ の 2 つの値がでたのですが, $ \DS \psi_2(x)$ の近似であった値ではない方のグラフは どういった意味をもつのでしょうか? M: 波動関数の, 位相の違い (全体の符号の違い, または $ -1$ 倍, またはより一般には定数倍) に何の意味があるのか? 基本を理解していないということか(?) 教科書 p.87, p.126 や参考書などをよく読んでみればいいのでは(?)

14s3012: 
11/18 の課題で求めた試行関数 $ \phi(x)$ について, $ \DS c_1$$ \DS c_2$ の比を求めると 2 つの解が求められて, p.88 の図3.2 にある $ \DS \psi_2(x)$ と近似できる方を図として比較して示しました. しかし授業で先生が例として出した図は もう一方の $ \DS c_1$ の値を代入した逆位相のものでした. 位相が逆であるだけで, 本質的には同じものなのでしょうか? M: 14s3011 参照

14s3013: 
教科書例題7.5 で, 「 $ \DS c_1 = 4.404$ が得られる」とあるが, なぜ, 負の値のほうに触れていないのか. それとも, ただ省略しているだけなのか. M: 14s3011 参照

14s3014: 
摂動論は 類似性のある別の問題の既知の解で問題の解を表すものならば, 類似式を知らない者にとっては 使いにくい式なのだろうか? M: そもそも厳密解が既知の系は非常に限られているので, それを知らないとは, 不勉強のそしりをまぬがれないと思います.

14s3015: 
高次の摂動論で計算すると誤差が小さくなっていきますが, 実際にはどのくらいまで計算しているのですか. M: あなたが必要だと思うまで. 教科書 p.263 にも, ``シュレーディンガー方程式をほとんど望みの精度で解く'' と書いている. 14s3003 も参照

14s3017: 
2015 年 11 月 25 日提出分の課題について, 試行関数を規格化して変分パラメーター $ \DS c_1$ を求めた結果, 絶対値が等しく正負の異なる二解が得られました. これを用いて $ \DS c_2$ を導き, 試行関数を図示すると, $ \DS c_1$, $ \DS c_2$ の符号の組み合わせがある一方の場合のときに, 厳密な波動関数と一致したのですが, 他方の符号をもった試行関数は当然ながら正負の値が逆転したものが得られました. これは波動関数の腹の振幅の絶対値が最大である場合を示したものであると解釈してもよいのでしょうか. M: 自分で考えて分からないのは何故か? // ``これは波動関数の腹の振幅の絶対値が最大である場合を示した'' が意味不明. 指示代名詞は何を指しているか? 最大じゃない場合って, 例えば具体的に何のことか? とか...... // 14s3011 参照

14s3018: 
参考書を見ると, 摂動法はなく, レイリーリッツの変分方しかのっていなかったのですが, 摂動法は一般的ではないのでしょうか. それとも私が見た参考書に偶然, 摂動法がのっていなかっただけでしょうか? M: どの参考書? 何冊見たのか? // あなたが見た例だけで, 一般的かどうかが言えるか. // 逆に, マッカーリ&サイモン の教科書には載っているので一般的である, と言えるか?

14s3020: 
宿題でも, $ E$ の値は 2 つ存在した. そのうち, 大きな値について, 教科書 p.277 に, 「第二の解は $ \DS E_2$ の上限を示すが, かなり粗いものである.」とあった. なぜ粗いものとなってしまうのですか? M: $ \DS E_2$ の近似値というよりは $ \DS E_3$ の近似値と考えた方がよさそうだと講義で説明したのに, 伝わっていなくて残念. $ \DS E_3$ の近似値なのだから, $ \DS E_2$ の厳密解との差が大きくてあたりまえ. // 14s3008 参照

14s3021: 
摂動論によると摂動項が小さいと「直観的に」解が近くなると予想されるとしていましたが なぜそのようなことが言えるのですか? M: 本気ですか? 例えば非摂動項が 100 で摂動項が 10 の場合と, 非摂動項が同じく 100 で摂動項が 1 の場合を考えてみると, ゼロ次近似としての 100 は, 知りたい解 (摂動が加わった場合) である 110 または 101 のどちらに近いですか?

14s3022: 
近似値を求めるときに変分法と摂動論の 2 つを習いましたが, どちらを使うのかは自分の好みで決めても良いのですか. M: 好みで決めて良いか, 自分で判断できないのは, なぜか? 14s3005 も参照

14s3023: 
$ \DS E_$min でないもう 1 つの解はどうして 1 つエネルギーの高い励起状態になるのでしょうか. また, 今回授業で扱っていたものは上記のようになっていましたが, どんな解でもそのようになるのでしょうか. M: 極値を求める条件 $ \DS \frac{\partial E}{\partial c_i} = 0$ を用いているので, 必然的にそうなるのでは? // 暗黙の了解として, 異なる固有値に属する固有関数は互いに直交するという線形代数の定理がある. 教科書 4 章や参考書を参照.

14s3024: 
授業では非調和振動子に対して摂動論を使って説明していましたが, 変分法を用いても説明できますか. M: 自分でやってみればいいのでは(?) 14s3005 も参照

14s3025: 
宿題や例題にもあるが $ \phi(x)$ を求めて $ \psi(x)$ 即ち厳密解との差があることが分かりますが, 結局比較して何が解決するのですか? 単に規格化した $ \phi(x)$$ \phi(x)$ の値に近くなる事を示せればいいのですか? M: 厳密解が分かっている系についてわざわざ近似解を求める必要はない, その目的は限定的だと講義で述べたのだが, 理解していただけなくて残念.

14s3026: 
摂動論は未知の系を既知の系 $ + \alpha$ 補正 で表すということでしたが, 既知の系が分かってないと摂動論は使えないのですか? M: 正気ですか? ``既知の系が分かっていない'' のなら, それは既知の系ではなくて未知の系では(?)

14s3027: 
変分法と摂動法はどちらも高次まで計算すれば良い近似が得られると思いますが, 変分法を適用した方がいい, あるいは摂動法を適用した方がいい, という場合はあるのでしょうか. M: そりゃ, あるでしょうね. あなたが何を知りたいのかによる. 14s3005 も参照

14s3028: 
(7.39), (7.40) からは多数の解が得られると思いますが, そのうち最小でも最大でもない解は何を表すのですか. M: 最小値が基底状態なら, それ以外の解は基底状態以外の状態すなわち励起状態では(?) 14s3023 も参照

14s3029: 
教科書例題7.5 で変分パラメータ $ \DS c_1$, $ \DS c_2$ を求めていますが, $ \DS 0.05156 c_1^2 = 1$ から得られる $ \DS c_1$ がマイナスの場合のことは考えなくて良いのでしょうか. (変分パラメータの条件を何か見落としているのでしょうか) 逆位相の関数になる? M: 14s3011 参照

14s3030: 
現実的にはだいたい何次の摂動を求めることで十分とみなせるのでしょうか. M: みなす本人 (あなた) が決めればいいのでは(?) 14s3015 参照

14s3031+: 
逐次補正が急速に小さくなって先へ進むにつれて重要でなくなるのは なぜでしょうか. M: 知りたい解 (エネルギー) は有限の値なので, それを表す冪級数は収束しなければいけないから.

14s3032: 
摂動論では知りたい未知の系を解がわかっている類似の系+補正 で近似するということですが, 未知の系であるのにかかわらず類似な系というものはわかるのですか. M: 激しく誤解している予感. 未知の系とは, 系について全く情報が無いという意味ではない. シュレーディンガー方程式の解が未知だという意味であり, 方程式 (ハミルトニアン) がどんなものかは分かっている. ハミルトニアンには, 系のエネルギーとしてどんな相互作用を考えればよいか, どういうポテンシャルなのかが明確に記載されている.

14s3033: 
摂動論の逐次補正は急速に小さくなって先へ進むにつれて重要でなくなると教科書にあるが, この仮定がどんな関数にもあてはまるような証明はされているのでしょうか. M: 摂動ハミルトニアンの対称性が 奇 であれば 1 次の摂動エネルギーはゼロになるが, 2 次の摂動エネルギーは有限の値となる可能性がある. という特定の項の間で大きさが単調減少にならない事例はある. しかし一般には, 高次の項になるにつれて, 小さくなることは期待していいだろう. 14s3031 参照

14s3034: 
説明を聞いたかぎりでは, 摂動論の方がよい近似を得られるような気がしますが, 変分原理の良い点は何ですか. M: 14s3005 参照

14s3035: 
摂動論において, ハミルトン演算子に非調和項として「 $ \DS \frac{1}{6} \gamma x^3 + \frac{1}{24} b x^4$」が例としてでてきましたが, 自分で解いていく上で, この項は自由に設定してよいものなのでしょうか. この非調和項はどのように決まるのでしょうか. M: 論理を誤解している予感. p.280 の上の行の式で示されたハミルトニアンで表される非調和振動子を考えただけ. 別の式で表されるような非調和振動子もあるかもしれないが, そればまた別の話.

14s3036: 
試行関数を解いて得られたエネルギーの大きい方も, 別の厳密なエネルギーの近似となっていましたが, それの誤差が大きくなってしまっているのはなぜですか. M: ``試行関数を解く'' が意味不明. // 14s3008 参照

14s3037: 
摂動の値は必ずしも実験値よりも大きいとはかぎらず, 補正を足しすぎていきすぎることもあるということは n 次の摂動よりも n+1 次の摂動の方が少しでも値が実験値からはなれてしまうことはあるのでしょうか. M: あるかもしれない. 14s3033 も参照

14s3038: 
古典力学における摂動論と量子力学における摂動論では, どのような違いがあるのですか? M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ

14s3039: 
変動法[原文ママ], 摂動論を使ってより厳密解に近似した解を求めたいわけですが, 2 つの近似を求める方法は, それぞれ使うのに適しているジャンルなどはあるのですか. M: 14s3005 参照

14s3040: 
摂動論は, 問題の解を別の問題の既知の解で表現するとのことだったが, どんなに関わる部分が少なくても, 既知の解があれば, 摂動論で求めることができるのですか? M: 14s3009 参照

14s3041: 
レポート課題で私が出したグラフの形と先生が授業で示したグラフの形の位相が逆だったのですが, それは私が $ a=2$ にして計算したためそのような結果になったのですか. M: $ a$ の具体的な値によって波動関数の位相が変わるという論理が理解できません. 詳しく説明してください.

14s3042: 
摂動論を用いて近似する際, 厳密解がわからない場合は どれほど答えが近似されているかわからないと思いますが, 多くの関数を試してみて それを比較する方法でしか近似の程度はわからないのですか? M: 例えばあなたのやり方で, 関数により 100, 103, 95, 110, 80 などという結果が得られたとしても, そこからどうやって近似の程度を知るのでしょうか? ぜひ教えてください.

14s3043: 
変分法と摂動論は, どう使い分ければいいのですか? // 基底状態と励起状態のエネルギーを一つの試行関数でよりよい近似で求めることはできますか? M: 別に, 好きにすればいいのでは(?) 14s3005 参照 // 一般にパラメータが多いほど近似がよくなるということを何度も繰り返して言っているのだが, 未だに理解していただけないようで, 残念です.

14s3044: 
摂動論に限らず, 量子力学で出てくる計算の手法は, 補正やパラメーターが多いほど, 厳密解とのズレが小さくなるということでしょうか? M: これまでの勉強を踏まえて, 自分で判断できないのは, 何故か?

14s3045: 
今回の課題の中で, 教科書の中で簡単のため「$ a=1$」として計算していたので, 課題の中でも「$ a=1$」として計算しました. でも, おそらくですが, $ a=2, 3 \cdots$ でも計算すると思いますが, $ a=2, 3 \cdots$ で計算する時はどういった時に使いますか? また, この使用は任意ですか? M: 質問の意図が分からない. $ a=2, 3 \cdots$ の時に $ a=2, 3 \cdots$ を使うのは当然だと思うのだが(?)

14s3046: 
(7.42) の第 2 項を摂動といいますが, 摂動とは単に項の名称であって, 何か運動のようなものの名称ではないのでしょうか. M: 言葉の意味が知りたければ, 辞書を見ればいいのでは(?) // (7.42) の第 2 項は ``(ハミルトニアンの) 摂動項'' または ``摂動ハミルトニアン'' です. ``摂動'' という言葉が天体の運動の場面で使われることを考えると, 摂動はそれが無い場合の運動からのズレを生じるので, ズレた分の運動を指すと言えるかも.

13s3001: 
シュレーディンガー方程式を解くことにおいて, 変分法による近似と摂動論による近似は どちらの方が優れていますか? M: 優劣を判定する基準は何か? // 未だにこんなことを質問してくることに, ちょっとビックリ. それぞれの方法の思想をよく復習する必要がある(?)

13s3006: 
実際の研究で摂動論を用いることはありますか. M: もちろんある. それがナニか(?)

13s3023: 
今回の課題で解いた試行関数について, プロット図の横軸は $ 0 \leq x \leq 1.0$ でなくてもいいのでしょうか. M: 問題の設定をよく考えてみればいいのでは(?)

13s3025: 
摂動論によって どれくらい大きな分子の実用的な範囲での近似が可能なのか. M: 分子の何を近似するつもりなのか?

12s3017: 
時間に依存する時と, 時間に依存しない摂動論の時とは, 導出の雰囲気が違って見えるが, やっていることの意味は一緒ですか? M: 雰囲気ではなく, 論理で考えましょう.



rmiya, 2015-12-07