構造物理化学 II (20151028) M: 以下は宮本のコメント
14s3001: 
$ l = 1$ のときは $ m$ の値に対応して角度が指定されましたが, $ l = 2$ 以上でも指定されますか? また $ l = 2$ 以上では円錐以外の形をとったりはするのですか? M: $ l = 1$ の場合, $ l = 2$ の場合, $ l=3$ の場合, ...... と個別事例を暗記するのではなくて, 講義で説明した論理・手順にしたがって自分で考えてみればいいのでは(?)

14s3002: 
「今や電子はボーア軌道上に束縛されているわけではなく, 電子の波動関数 $ \DS \Psi(r,\theta,\phi)$ によって記述されている」と書かれていますが 電子をボーア軌道上で記述する場合, なにかメリットはあるのでしょうか. M: 教科書 1 章のボーアモデルを復習しする必要があるのでは(?)

14s3003$ -$
何故今回のレポートにおいて明確な目的・意義を言わなかったのですか? 迷走等によるレポートの質の低下は明白だったはずです. M: 勉強の目的を教わらなければ, 勉強できないというわけですか(?) // それを発見することも, 勉強の楽しみでは(?)

14s3005+: 
今日の講義で触れた量子数の導入のしかたがボーアの仮定よりも自然だとのことでしたが, シュレーディンガー方程式だって天下り的に与えられた式であることに変わりはないのだから「自然さ」という意味では互格だと思ってしまいました. 実験事実を偶然に正しく説明できていたこと以外に, 決定的にシュレーディンガーの仮定が優れている点は何でしょうか. すぐれた仮定を考えるために必要なことは何でしょうか. M: どんな理論にも前提となる仮定はあります. だからといって全てを互格とするのは, 過度の相対化と言えます. 実際には理論の確からしさには濃淡があり, ほとんど間違いないだろうというものから疑わしいものまで, 様々だと思われます. ボーアの理論よりもシュレーディンガー方程式の方が有利なのは, 前者で説明できないことも後者では説明できるということ, 不確定性原理と整合していることなど, 多数あるでしょう.

14s3006: 
$ \DS \BRAKET1{L_x}$ $ \DS \BRAKET1{L_y}$ が 0 になることは, どのようにして証明すればいいのでしょうか. M: 講義中にやり方を説明したはずですが, 理解されていなくて残念. 教科書 4 章の復習が必要か(?)

14s3007: 
$ \DS \vert L\vert = (L^2)^\frac{1}{2} = \sqrt{2} \hbar$ の式で $ \vert L\vert$ は角運動量ベクトルの絶対値ですが, ここで絶対値を使うのはなぜですか? M: 何の話をしていたのか, 理解されていないようで残念. // 角運動量 (ベクトル量) の大きさを, どう表現すれば良いでしょうか?

14s3009: 
理解が不十分だと思いますが, なぜ $ x$, $ y$ の 2 つの成分の演算子から, 磁気量子数の遷移を起こせるのでしょうか. 1 つの成分もしくは 3 つ以上の成分から, 磁気量子数の遷移は起こりませんか. M: 質問の方向性が違う気がします. ``昇降演算子'' がポイントです. **状態の混合**

14s3010: 
ラゲールの陪多項式が変化することで, $ \DS R_{nl}(r)$ の値にどのような影響があるのですか. M: ``変化する'' とは, どういうことか? 量子数の異なる状態には異なる多項式が割り当てられ (定数の場合を除く), 異なる波動関数になることは見れば分かると思うのだが(?)

14s3011: 
$ L$$ S$ に置き換えてスピン角運動量について計算するとのことだが, $ \DS \hat{L}_{x,y,z}$ と同じく $ \S2$$ \Sz$ のみが固有関数となり得るのか? ($ L$ と同様の規則性が見られるのか?) M: 誤解がある予感. ``置き換えて計算する'' とは言っていない. また ``固有関数となり得る'' が意味不明. // ``同様の規則性'' については, yes. そういう話しかしていない. p.308 と章末問題や参考書を参照.

14s3012: 
角運動量の演算子を球面調和関数に作用させることで, それぞれの角運動量ベクトルの不確定性関係の有無がわかりましたが, それぞれの $ l$, $ m$ で求めた値自体の物理的意味はあるのでしょうか. ボーアの角運動量がまちがっていたということは値に意味がなかったからですか? M: 誤解がある予感. ``求めた値'' とは, 何のことか? 物理量の求め方については, 今回の講義でも述べたのだが, 教科書 4 章の復習が必要か(?) // 後半は意味不明, 論理不明.

14s3013: 
「 と 」, 「と 」は, 両方とも不確定性関係にあり, 同時に求めようとする場合, 不確定さがつきまとう. と講義でありましたが, 不確定さがつきまとうのに, 同時に求めるメリットは何があるのか. M: 誤解がある予感. 同時に求めなければいけないなど, 誰も一言も言っていないと思うが(?) 必要な時に求めればいいでしょ. // 概数 (の計算) には意味が無いとの主張か(?)

14s3015*: 
\L2 の固有値の平方根は $ \DS \sqrt{l (l + 1) \hbar}$ [原文ママ]となるのに なぜボーアは $ mvr = n \hbar$ を用いて水素原子の軌道を出せたのですか. M: 角運動量以外にもボーアモデルには誤りがある. 複数の誤りを重ねて正しい結果となったのを ``偶然'' と言ってかたずけてしまうのは惜しいですね. それなりの複雑さ (基礎物理定数の組み合わせ) を持つものが偶然に一致するとは考えにくいですね. 何らかの本質を突いていたからでしょうか. もちろんボーアの採用した仮定に, 正しく有用なものもありました.

14s3016: 
角運動量ベクトルの運動から原子軌道の形や電子分布を表すことはできますか? M: 教科書 p.226 以降や参考書で示されるように, 原子オービタルの形は量子数に依存する. 水素 (類似) 原子のシュレーディンガー方程式を解いてきた結果から当然のことだが.

14s3017: 
\L2 の演算子はどのように導かれるのでしょうか. M: 別に. 普通に計算すればいいでしょ. 教科書や参考書を読みあさってヒントを探してもいいけど.

14s3018*: 
(微分) 演算子$ \times$   波動関数$ =$   (実) 定数$ \times$   波動関数 となることが不思議に思いました. これは量子力学的にどういうことを示しているのですか? M: 特にどの辺が不思議に感じられたのでしょうか? // 私たちが観測する物理量は実数だという現実に対応しています.

14s3020: 
$ \DS E_n = -\frac{\mu Z^2 e^4}{8 \epsilon_0^2 \hbar^2 n^2}$ [原文ママ] について, エネルギーは正の値をとらないのですか? M: 物理学の基礎を復習する必要があるのでは(?)

14s3021: 
ラゲールの陪多項式を求めることによって どのような利点があるのでしょうか? M: 本気ですか? 水素原子の波動関数の動径部分が分かるという利点は, 全員の共通理解だったのでは(?)

14s3022: 
ボーアモデルがエネルギーに関して正しかったのは偶然だったということで良いのですか. M: 14s3015 のコメント参照

14s3023: 
$ l = 1$, $ m = 0, \pm 1$ の角運動量状態における成分を図で表していただきましたが, これが具体的には何を表しているのでしょうか. M: ``角運動量状態における成分を図で表し'' という文言が, 理解のあやふやさを示していると思われます. 講義で図示したのは (図示しようとしたのは) 角運動量という物理量そのものです. これ以上に ``具体的'' は無いと思うのだが.

14s3024: 
動径関数をといて得られた $ \DS E_n$ がボーア模型からえられたエネルギーと一致するのは偶然だったのですか. それとも一致することがわかっていてそれを前提に導かれたのですか. M: ``一致することがわかっていて'' は, 何と何との一致のことか? また ``それを前提に導かれた'' と言っても, 導出の過程にそんな要素はあったか(?)

14s3025: 
昇降演算子は上昇, 下降演算子を合わせたもの? だと思いました. $ \DS [\hat{L}_\pm, \L 2] = 0$ のような所で用いているのはなぜですか? M: 教科書の太字の単語にマーカーで印をつけて, それを暗記するような勉強ばかりしているのかな(?) その交換子のところ以外でも使われていますけど.

14s3026: 
今回, 水素原子オービタルの動径部分を与える式 (6.8) を解くためにラゲールの陪多項式がでてきたがラゲールの陪多項式は他にどんなことを知るときに使われるか. ボーア半径 $ \DS a_0$ を導入して得られた (6.45) はボーア模型から得られたエネルギーと一致するとかいているが, これはたまたま一致したのか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ. // 14s3015 のコメント参照

14s3027: 
ボーア模型や仮説から考えられる角運動量が誤りであるのは, 想定している原子モデルが異なるからなのでしょうか. M: 少なくとも現在分かっている原子の姿と比べて, ボーア模型には誤りがある. 14s3015 のコメントも参照

14s3028: 
角運動量を 2 乗したものと, 角運動量の 2 乗していない $ z$ 成分が可換となるのが不思議だった. なぜなのか. M: 実際は違うが $ \DS \hat{L}$ と が可換だったなら, それは不思議に思わないということか? なぜ不思議じゃないのか?

14s3029: 
ボーアモデルから得られたエネルギーと空間に広がって運動する様に考えた角運動量 $ L = \sqrt{l (l + 1)} \hbar$ から得られたエネルギーが一致するのがイマイチわかりません (エネルギーの遷移で放出される光エネルギーは同じということ?). M: 混乱して誤解している模様. 頭の中を整理して考える必要があるのでは(?) // 角運動量とエネルギーは別の種類の物理量です. またエネルギーが一致するとは, 文字通り一致すること. エネルギーの実際の測定方法は関係ない.

14s3030: 
レポートは評価に関係ありますか. M: 初めの時間に説明したし, シラバス (Web 参照, またはコピーを配布済) にも記載してある.

14s3031: 
の測定値が $ \hbar$ の整数倍になることから どのような有益な情報が与られるのか. M: そのズレから軌道縮小因子やらスピン軌道結合定数やら, 他にもあると思われますので, 調べて分かったら教えてくださいネ

14s3032: 
ボーアの水素モデルにおける角運動[原文ママ]は間違っているが, エネルギーについて正しいということですが, ボーア半径 $ \DS a_0$ というものも正しく, 存在するのですか. M: ボーア半径自体は, 基礎物理定数を組み合わせて定義される値なので, ボーアモデルの正誤とは無関係. // 基底状態の水素原子の軌道半径という意味では, そもそもそういう軌道運動をしていない. 新たな意味については教科書 p.230 や参考書などを読めば良いのでは(?)

14s3033: 
教科書に $ x$, $ y$, $ z$ の 3 方向の区別ができないということが $ 2 l + 1$ 重の縮重度を説明するとありますが, これはどういうことなのでしょうか. M: 言葉の通り. 3 個の変数が区別できないとは, 関与する物理量 (固有値) は同じ値だという意味. すなわち縮重している.

14s3035: 
教科書と異なり, 板書では式 (6.43), (6.47) などで原子番号 $ Z$ が書き加えられていましたが, これは教科書で水素原子に対して考察した式を一般化 (他原子に対して拡張) したということでしょうか. M: 核の電荷に関する拡張と核の質量に関する正確な扱いについては, 講義で説明済みなのですが, 理解していただいてないようで残念.

14s3036: 
ボーアの水素モデルでの角運動量はまちがっているとおっしゃっていましたが, まちがっていることがわかっているのになぜ今でも使われているのでしょうか. // 教科書 p.143 では $ \DS \left[ \hat{K}_x, \hat{P}_x \right] = \hat{O}$ のように右辺が 0 をかける演算子になっていますが, 教科書 p.219 例題 6.7 や, 授業では $ \DS [ \L 2, \Lz ] = 0$ とかいていました. この 2 つは同じことをしめしていると思うのですが, なぜ 2 通りの書き方があるのでしょうか. \L2 や は演算子であるため $ \DS \left[ \hat{K}_x, \hat{P}_x \right] = \hat{O}$ と書く方が正しいと思うのですが…. M: 使われているのは教育的な目的と, 図案としてだけでしょう. // 確かに演算子に不慣れな初学者には, 等式の左辺と右辺がともに演算子であると明示的にわかる表記の方が理解しやすいかもしれません. しかしそれを過ぎた段階では, ``定数倍する'' という操作に対応する演算子の実体はただの数ですから, 全ての数に対していちいち演算子を作らなくても 0 とか $ i \hbar$ とかだけでいいのでは(?)

14s3037*: 
ボーアモデルは軌道上を運動するという点で間違えていたのに なぜエネルギーは正しい値を出すことができていたのでしょうか. M: 14s3015 参照

14s3038: 
教科書 p.221 図6.1 は $ m = +1$ のときについて表されていますが, $ m = 0$$ 2p_z$ 軌道の場合, 角運動[原文ママ]について どの面に射影するような原点を中心とした半径 $ \hbar$ の円になるのでしょうか? M: 理解不十分な予感. $ l = 1$$ m = 0$ の場合には角運動量の 2 乗は $ 2 \hbar^2$$ z$ 成分は 0 です. 講義でも該当する絵を少し描きました. 自分で考えて作図するのは良い復習になるのでは(?)

14s3039: 
水素ではない原子を「水素型原子」として他の原子を考えることは, どのようなメリットがあるのでしょうか. M: 自分で言ってますね. 他の原子も水素原子と同様の枠組みで理解できるというメリットがある. (+)できるだけ多くの事実をできるだけ少ない思考の労力で記述することを科学的認識の目標と考える説がある.

14s3040: 
ボーアが出した角運動量がまちがっているということでしたが, そうすると, 最初から今日学んだ角運動量を学習した方がいいのではないのですか? M: そういう考え方もありうるでしょう. 実際にアトキンスの物理化学ではボーアモデルを取り上げていません. しかし意味があると考えるから, マッカーリ&サイモン の教科書では取り上げているのでしょう. 14s3015 も参照

14s3041: 
\L2 と は不確定性関係にないとありましたが, 不確定性関係にないことで どのような利点があるのですか. また [ と ], [ と ] は不確定性関係にあるとありましたが 不確定性関係にあることで正確な値を同時に求めることができないことのほかに, なにか不都合な点はあるのでしょうか. M: 何だか脱力させられます. 不確定性関係に無いことでは, 同時に正確な値を求めることができるという重要な利点があります. そして逆もまたしかりで, それ以上でも以下でもない.

14s3042: 
実際の空間において $ x$ 軸, $ y$ 軸, $ z$ 軸を区別することはできないと思いますが, $ \DS L^2 = l (l + 1) \hbar^2$, $ \DS (L(\sqrt{L^2})) = \sqrt{l (l + 1) \hbar}$ [原文ママ], $ \DS \Lz = m \hbar$, $ \vert m\vert \leq l$, $ \DS \BRAKET1{L_x} = 0$, $ \DS \BRAKET1{L_y} = 0$ の条件下において, それぞれの軸を固定するとき, $ z$ 軸を中心として $ x$ 軸や $ y$ 軸を区別することはできないのですか? M: ``それぞれの軸を固定する'' とか ``$ z$ 軸を中心とする'' とか, 一体どういう意味か? // ある方向についての角運動量を求めたら, それが $ z$ 軸であって量子化軸として決まるのだから, 他の二つの軸はそれに垂直な面内にあるに決まるでしょ(?)

14s3043: 
\L2 は , , と同時固有関数をもつとやりましたが, この , , のどれか一つが \L2 と同時固有関数をもつ時, ほかの二つはもたないという認識であっていますか? また, , が \L2 と同時固有関数をもつ関数にはどんなものがありますか? M: ダメですね, 誤解しています. この言い方だと, 例えば は \L2 と同時固有関数を持つときと持たないときがあるように聞こえます. 教科書や参考書をよく読んで考えましょう.

14s3044: 
水素に関しては三つの量子数が出てきましたが, 他の原子でも三つの量子数だけで表すことができるのでしょうか? M: なぜ 3 つなのだろうか? // 他の原子では量子数で指定される固有状態を見つけることができるだろうか?

14s3045: 
ラゲールの陪多項式の「 $ \DS -\left\{ \frac{(n - l - 1) !}{2 n [(n + l) !]^3}\right\}^{1/2}$」部分は規格化されていることを保証する因子とありました. しかし, 規格化定数は例として $ \DS \int_0^\infty B^* B \sin \frac{2 n \pi x}{a} \,\d x$ [原文ママ]で求めています. ラゲール陪多項式の会場部分はどのように規格化されていることを保証しているのですか? [積分に下波線は省略] M: 別に, 普通でしょ. どうして今回は特別だと考えるのか?

14s3046: 
水素原子オービタルを考える際, $ \beta$$ l (l + 1)$ と等しいとおきましたが $ (l + 1)$ は何を示しているのでしょうか. M: 本気ですか? 量子数 $ l$ に 1 を加えたものでしょ.

13s3001: 
ラゲールの陪多項式は, 水素原子の波動関数を求める過程ではじめて出てきたのですか. 他にこの式が出てくる分野はあるのでしょうか. M: 私は知りません. 調べて分かったら, 教えてくださいネ

13s3006*: 
精確な値をもたず, 平均値も存在しない物理量はあるのでしょうか. M: そんな物理量に意味あるのか? と思ったけど, 逆にある物理量がカオスな振る舞いをするならば…

13s3023: 
ボーア理論において角運動量は実際の量子力学的角運動量と値は異なっているとありましたが, 結果的にはエネルギーが同じ結果になるとのことでした. これは計算のどこかでなにかしら辻褄を合わせているのでしょうか? M: それぞれの計算過程に, そんなズルをするような論理の飛躍があったか? 14s3015 も参照

13s3025: 
(質問は特に) ないです. M: そうですか. しかし提出物が要件を満足していません.

12s3017: 
なぜ, 「, 」や「, 」などの 2 つの物理量を同時に求めなければいけないのですか. 同時に求めることのメリットはあるんですか? M: 14s3013 参照

12s3024: 
教科書のラゲールの陪多項式に書くの原子番号がないのは なぜですか? M: 教科書の記述では, そこで何をやっているのか?



rmiya, 2015-12-07